私が男性器を失ったのは、もう二十数年も前になるでしょうか。あれは忘れもしない、中学三年の夏のことでした。
そのころ私は、思春期を迎え、自慰も覚えて性に目覚めて間もない頃のことでした。私にはその頃、幼なじみの美奈子というガールフレンドはいたのですが、セックスはおろか、まだキスもしたことがありませんでした。美奈子は特に美人という程でもなかったけれど、そこそこの器量でプロポーションもまあまあ、今から思えば磨けば光るタマかもしれない、といった感じの平凡な娘でした。私は彼女をとても大切に思っていましたが、彼女を愛していたのか、というと今になって考えるとよくわかりません。彼女に対し性的な興味はもちろんありましたが、まだ直接的な行動に出る気にはなってはいませんでした。田舎だったし、昔のことで、中学生どうしで性的な関係をもったことが噂にでもなれば、町にいづらくなってしまうくらい、狭い町だったし、そんな時代だったのです。
そんなころ、私は札付きの不良グループに属するある女子からラブレターをもらいました。その子が属するグループを仕切っているスケバン(今では死語なのでしょうか?)は地元の有力者の娘、理香で、十人程の女子のグループと、五、六人の男子が取り巻きを成していました。噂によるとその男子たちは不良少女たちにに誘惑されて弱みを握られ、「パシリ」として使われているようでした。私はそのころ特に目立たない大人しい生徒で、「不良」とされている女の子からラブレターなんかをもらっても戸惑い、へたな断りかたをしても面倒になると思いつつ、結局無視した状態でしばらく放っておいたのです。
そして一学期の期末試験期間中のある日、部活もないので私は美奈子と一緒に下校しようと下駄箱のある出入り口から校舎をでようとしました。そこに例の不良グループのうち四、五人がいて、私達を呼び止めました。
「おい、定男(私のことです)、ちょっと顔かしなよ」
彼女らの態度には有無を言わさぬ雰囲気があり、私達はしかたなく彼女らに従ってついていきました。彼女らは私達をグランドの隅にある体育用具倉庫につれていき、そこにはスケバン率いる不良グループの残りのメンバーと、取り巻きの男子が揃っており、その中には例の私にラブレターを送ってきた、直美もいて、私達をにらみつけていました。
リーダーの理香は私をにらみつけ、
「あんた、直美がラブレターまで書いてコクったのに、シカとしたらしいじゃない。直美はものすごく傷ついてるんだよ」
「だって、僕には美奈子がいるの、知ってるだろ」
理香は今度は美奈子に向かって
「定男とどこまで行ってるわけ? A? B?... Cまで行ってないんだろ?」
「...」
「直美はねえ、定男にCまでヤらしてやるって言ってんだよ。あんた、今すぐ定男にヤらしてやる気あるのかい?...おい、お前ら、手伝ってやれよ。美奈子の服を脱がして、定男がヤりやすいようにしてやんな」
理香に命じられると、取り巻きの男子たちが美奈子を取り囲み襲いかかって服を脱がせようとしました。
「いやっっ!やめてっ」
「やめろ、お前ら」
止めようとする私は不良少女たちに取り押さえられ、股間を思いきり蹴りあげられました。息が止まる様な痛みにその場で倒れ、身体を丸めて呻いているあいだに、倉庫の床に押さえつけられてしまいました。なんとか息ができる様になり身体を起こして見上げると、美奈子は脱がされて下着だけにされ、さらに男たちが餓えた目つきで下着にも手をかけようとした時、理香がちょっと待て、と制止しました。美奈子は嫌、嫌、と泣きじゃくっていました。
「そうか、定男にヤらせるのは嫌か。わかった。おい定男、お前の彼女はヤらせてくれないとさ。だったら彼女の目の前で直美と仲良くヤって見せてやれよ」
今度は私を押さえ付けていた女子たちが、私の制服を脱がせようとし始めました。私は暴れて逃れようとしたけれど、美奈子を取り囲んでいる男の一人がカッターナイフを取り出し美奈子の顔に突き付けているのが目に入って抵抗をあきらめました。
「暴れると美奈子の可愛い顔が傷モノになるぞ」
私は暴れるのをやめ、不良少女たちにブリーフまで脱がされて全裸にされ、高跳び用のマットの上に放り出されました。その私の目の前に直美が立ちはだかりました。直美は小柄だったけど、早熟で抑揚のある身体をしており、胸も豊かでした。驚いたことに直美は男たちも見ている前で、自ら服を脱ぎはじめました。
「あたしを抱くんだよ」
彼女は恥じらう風もなく制服を脱ぎ下着姿になり、美奈子のまわりの男子たちの目も直美の身体に釘付けでした。
「定男、あたしの下着を外して」
直美は私に背中を向けてマットの上に座り、ブラジャーのホックを外すよう促しました。私が震える手で直美のブラジャーのホックを外そうとしてなかなかうまくいかず、時間をかけてようやく外すと直美はくるりとこちらを向きました。
彼女の胸があらわになり、私の陰茎は不覚にも勃起してしまいました。それを見た美奈子とふと目が合うと、美奈子は首を大きく振り、絶叫するように泣きわめきました。
「ほうら、下半身は直美とやりたがっているんじゃないか! さあ、直美を抱きしめて、キスしな」
理香は私に命じました。
「そして胸をもんでやりな。ああ、へたくそだな。やっぱり童貞か。しかたないな」
不良グループの連中が好き勝手に命じ、野次り、大笑いするなかで、ナイフを突き付けられた美奈子の視線を感じながら、私は直美とのセックスを強要されました。こんな形で、不良少女たちに見つめられた中で、憧れていた性の初体験をすることになるなんて、最低です。しかも自分が大切にしているガールフレンドの見ている前で。しかし、言われるままに直美のパンティーを脱がせ、ぎこちなく愛撫しているうちに、初めて見、そして触れる同年代の女の子の身体に興奮し下半身の欲求に抗えなくなっていました。そしていつのまにか美奈子が見ていることもまわりに不良たちがいることも意識から遠ざかり、目の前にある直美の身体に溺れて行きました。そしていよいよ、直美の膣に陰茎を挿入しようとすると直美はとても痛がったので、「これが処女ってヤツなのかな」と思い少し我にかえって躊躇していると、理香は
「構わないから突っ込むんだよ!」
と私に命じました。挿入の瞬間、泣きじゃくっていた美奈子が息をのんで静かになったのを背後に感じましたが、理香たちに強要されていることを抜きにしても私の下半身の欲望は既に止まらなくなっていました。そして、処女を奪われた痛みに涙を流す直美を抱いて本能のままに腰を動かしはじめた私は、初めて経験する女性の体内の感触を味わう暇もなく、あっというまに直美の中に射精してしまいました。私は直美から身体を離しかけて、はっとしてふりむき、背後の美奈子に叫びました。
「美奈子、ごめん」
私の下の直美は目にたくさん涙をうかべたまま
「これであたしがあんたの女になったんだ。美奈子なんか、もう放っておけよ」
直美から抜いた自分の陰茎を見ると直美の血にそまって赤くなっていました。それに気付き、呆然としていると、背後で美奈子が再び火がついたように泣きはじめたのが聞こえました。その時、
「い、いやだ」
私は思わず直美の身体をマットの上に突き放してしまったのです。
「何だとこの野郎。あたしがこんな恥ずかしい思いをして男たちにも裸を晒して、痛い思いをして処女を捧げたっていうのにっ!」
直美の中で何かが切れたようでした。
「おい、みんな定男を押さえつけろ!」
私は抵抗したが、多勢に無勢であっというまに押さえつけられ、再び激しく睾丸を蹴られました。
「ぐしゃ」
嫌な音とともに、凄まじい痛みが股間をジャストミートでヒットし、私は床の上をのたうちまわりました。
「カッターを貸せ」
直美は美奈子につきつけられていたカッターをもぎ取る様に手にして
「定男の手足をしっかりおさえつけとけよ!」
と叫びました。まわりの不良少女たちは私の手足を持って身体を大の字に広げさせました。直美は左手で私の性器をわしづかみにしました。私は逃げ出そうともがいたががっちり押さえつけられており、無駄な抵抗でした。直美は私の陰茎を左手で握りしめ、右手に持ったカッターを陰茎の根元に当てがうと何のためらいも見せず一気に刃を引きました。
凄まじい痛みと、吹き出す血。美奈子の絶叫する声。そのあとのことは良く覚えていません。
気がつくと病院のベッドの上でした。あわててかけつけた両親によると、さすがにヤバいと思った理香が救急車を呼び、救急隊員が110番通報して警察も駆けつけ大変なさわぎだったようです。
その後外科医の先生が病室にやってきて、睾丸の片方は滅茶苦茶に潰れて壊死しかけていたので既に摘出したこと、切断された陰茎の縫合を試みたが、錯乱状態になった直美が切り落とした私の陰茎を地面の上で踏みにじり、原形を留めていなかったため、再縫合は断念せざるをえなかったこと、なんとか応急処置をしてあるが、自分で小便ができるようになるには後日再手術が必要なこと、それまで当分入院が必要なことを告げて行きました。そうして私は、たった一度の、最初で最後の悲惨な初体験とともに性器を失い、その後の人生を女性と無縁で過ごすことになったのです。
その後どうしたかというと、私の両親は直美や理香の両親を訴える、と怒り、裁判に持ち込もうとしましたが、地元の有力者である理香の父親から有形無形の圧力がかかり、驚く程小額の示談金で和解、という形にさせられてしまいました。私の家も美奈子の家もいろいろな噂や理香の父からの圧力で町にいづらくなり、離れた地方に引っ越さざるを得ず、離ればなれになりました。
私の性器を切断した直美はその後私の子を妊娠していることが判明したのですが、事件の影響で精神を病み、とても出産には耐えられそうにないということで中絶してしまいました。私はもう直美には恨みはありません。むしろ可哀想なことをしたと思っています。その後直美は精神科の療養施設を出たり入ったりしているという噂です。
理香は補導されて更正施設に送られたりしたが、今は更生して父親の仕事を手伝ったりしているようです。
そして、美奈子は、事件の後お互いに顔を会わせる気にはとてもなれず、そのまま離れたところに引っ越してしまい、今は消息もわかりませんが、どうしているのでしょうか...
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投稿:2003.12.01
昔話
著者 傍観者 様 / アクセス 16203 / ♥ 4