現代は空前の宦官ブーム。世界のどこでも男性の多くが自発的に完全去勢して宦官となることが大流行だ。
ただし、男性の中で宦官が増えると、公衆トイレで大便器が不足するという深刻な問題が発生する。
中国のように男性用大便器が個室ではなく、剥き出しでずらっと並んでいる国はまだいいが、日本のように大便は個室でという文化がある国では、大変やっかいな問題となった。
そこで各国とも、宦官になった男性が公衆トイレでも今までのように立小便が出来るように、いろいろ工夫を凝らしている。
そんな「宦官用小便器」の世界各地の実態を追ってみた。
◆はじめに
小用をするとき、男性は立って、女性は座るかしゃがんでというのが、世界の一般的な潮流であるが、中には南アジアなどで男性でもしゃがんで小用をする習慣の地域もあるし、逆に女性用の立小便器(サニスタンド)が普及している国もある。
女性が立小便をするときは、男性とは逆にお尻を便器に向け、通路の方を向いて用を足す。女性の尿は身体と同じ方向に飛ぶから、これが便利なのである。
下は通常の女性用サニスタンドである。
それでは、ペニスを取ってしまった宦官はどうするかというと、昔の中国の宦官のように尿道口をそのままにしている場合と、外科手術で尿道口を会陰に移動させている場合で、小用のスタイルは異なってくる。
尿道口がそのままの場合は、小便が前に飛ぶと同時に、真下にも垂れてくるので、洋式の座り便器は使いづらく、和式のしゃがみ便器が好ましい。ただし、尿が飛散する範囲が広いので、しゃがみ便器でもいわゆる「金隠し」を大きくしないと、上を飛び越えてしまうことも多い。
宦官の立小便器もいろいろ工夫されている。尿道口を会陰に移動させた宦官の場合は、女性用サニスタンドそのままでも良いが、ペニスを切っただけの宦官の場合は、サニスタンドとは逆に小便器の方を向いて、真下に垂れる雫も受け止めるような構造が必要になる。
このような立小便器をペニス切っただけの宦官が使用する場合は、ズボンもパンツも膝より下まで下ろして、太腿で小便器を挟むような恰好で用を足すことになる。
それでは世界各地の宦官用小便器を見てみよう。立小便型、座り便器型、しゃがみ便器型など、いろいろ工夫された便器があるので、順にご紹介していきたい。
◆1
まず宦官の本家とも言うべき中国。
元々大便器に扉や仕切りが無いスタイルが多い国なので、宦官になっても、大便器にしゃがんで小用をすればよいように思える。
一見すると、ご覧のように宦官になった青年でも、股間部をしっかり露出しながらも、普通に用を足しているように見えるのだ。
が、実はそれだと、尿道口を会陰部に付け替えている場合は良いが、中国伝統の男性器をそのまま全切除しただけの宦官だと支障が出るのである。
次も、中国の一般男性用大便器で小用をする現代の宦官青年だが、宦官の小便は前に飛ぶことが多いので、このように扉がないトイレだと、前の床を濡らしてしまうことがよく起こるのである。
それにしても、中国のしゃがみ便器は、宦官に限らず普通の男女であっても、股間の様子が完全に丸見えなのがよくわかる。
前向きタイプの他にも、一本の溝だけがあって仕切りがない大便器もあるが、これは、小便が前で使用中の人のお尻に掛かることがあるため、空いているときでないと宦官の小用には使用できない難点がある。
そこで、今日では宦官専用に工夫したしゃがみ小便器が多くなっていて、この小便器は一般男性の大便用にも使えるので、今日ではご覧のように、立小便器の数の方が圧倒的に少ないことが多くなっている。
これは特に人口に占める宦官の割合が多い地区の公共厠所で、男用であるがご覧のように扉も仕切りもないしゃがみ便器がすら~と並んでいて、立小便器は奥に1器あるだけである。
よく見るとしゃがみ便器の金隠しが大きかったり、また手前に湾曲していたりして、昔の中国では普通であった、性器切断だけで尿道口はそのままの宦官にも配慮されたタイプであることがわかる。
次の例も基本的には同じタイプも厠所で、小便器は1器だけ。しゃがみ便器の金隠しが大きいのが分かる。男性も大便はしゃがんで行うが、立小便器としゃがみ便器のこれほどの数の差は、この地区に宦官がいかに多いかを表しているといえよう。
なお、従来型の大便器を長い形にして、小便が前に飛ぶことが多い宦官対応用にしたタイプもある。下の厠所は奥の2つのしゃがみ便器が宦官用で、手前が一般男性用となっている。
このように便器がある床が通路より上がっているタイプは、用便中の人の股間がとりわけよく見えるので、宦官かどうかが一目瞭然である。
この厠所の宦官用は、床との段差が大きいので、昇るのに苦労しそうである。
◆2
次は中国の腰掛便器。
これもドアも仕切りもないニイハオトイレだが、腰掛式。
昔から大小兼用なので、宦官もそのまま使用できるように見える。
しかし、宦官でも陰茎切断後に尿道を下方に付け変えていない場合は、そのままでは尿が前方に飛ぶので、ご覧のような宦官専用の小便受けがあるタイプが利用されている。
こちらは小便受けを股で挟めば普通の未去勢の男性も利用できるので、利便性が高い。
◆3
宦官用洋式便器
洋式便器で陰茎切断して尿道口を付け替えていない宦官に合わせて、小便が前に飛ぶ対策を立てると、洋式便器も小便受けが前に張り出したような形になる。
この図では向かって右の2個がそのタイプ。
特殊な便器が一般男性で埋まるのを防止するため「宦官優先」便器となっていたが、それでも近年の宦官の増加に対応するため、一部が「宦官専用」に変更された。
一般男性が使用するのを防止するため、日本では割と珍しく個室の扉が無く、左右の仕切りも最小限になっていで、股間を見て宦官が正しく使用しているかどうか容易に確認できるようになっている。
◆4
洋式の腰掛便器の場合、単純に陰茎を切断しただけの宦官は、尿が便器外に飛び出してしまうことが多い。
そこで、陰茎切断だけの宦官も、尿道を会陰に付け替えた宦官も問題なく使用できるように工夫された洋式便器が開発された。
3つに分かれているように見える便器の一番奥は大便用、真ん中は会陰から排尿する宦官用、手前は尿道口が元の陰茎の位置にそのままある宦官に対応している。
小便の飛び散り防止のために前方がすこし高くなっているのがお分かりいただけるであろうか。
◆5
次は男性用の小便器を一つだけ宦官用にした日本の公衆トイレ。
サニスタンドは普通の男性も使用できるが、全部取り替えなかったのは予算の都合なのであろうか?。
ここでは宦官同士の連れションは不可能。宦官人口の増加で、小用の時間短縮のため、最近は日本でも大便器を個室にしない例が増えてきた。
◆6
小便器を全部サニスタンドにした高校の西欧風男子用トイレ。
これだけ用意すれば生徒の中でどれだけ完全去勢者が増えても大丈夫。
現にこの高校の男子の宦官比率は卒業時には30%を超えているとか。
ここの高校では、校則で生徒が陰茎を切断する場合は、陰茎海綿体を腹腔内まで全摘した上で、尿道を肛門のすぐ前に誘導するよう義務付けされている。
理由は表向きは体内に残った陰茎の根元でオナニーができると、せっかくの去勢の意味がないからということになっているが、実際はトイレの便器の周囲が汚れないようにする目的が大いようだ。。
なお、稀に中学時代に既に去勢していたり、他校からの転校生であったりすると、尿道口が元の位置のままのことがある。そのときは、最初の登校日までに尿道口を会陰に付け替える手術を受けておく必要がある。
◆7
日本の公衆トイレの宦官対応策として、こんな小便器も登場した。
ズボンとパンツを下ろしてから、鳥のくちばしのように伸びた部分を股に挟んで小用する。
サニスタンドと違って、用便の向きは常に壁向きで、小用中でもお尻は丸見えになる。
パンツもジーンズも下ろしたところを真後ろからみるとこんな感じとなる。
一般男性と宦官が共用なので、理解を呼び掛ける貼紙もある。
小用中の宦官の尿が真下に出ているので、尿道口を会陰に付け替えている宦官であることが分かる。
このタイプには便器はそのままにしてアクリル板の尿受を取り付けることで宦官に対応しているものもあり、安価なため今後の普及が見込まれるという。
下も陰茎だけ切断して尿道口を付け替えていない宦官が、ズボンとパンツさえ下ろせば前向きで立位の排尿ができるように設計した小便器。一般の男性も違和感なく使用できるが、尿道口がそのままの宦官合は、便器にかなり近づく必要がある。
尿道口を会陰に付け替えた宦官は、後ろ向きで使用できる万能タイプ。
アメリカではもともと女性の立小便用のサニスタンドが普及していたので、切替も早かった。
このように多数のサニスタンドが、扉も仕切りもなく露出して並んでいるのが、ごく普通の光景である。
◆8
上記のトイレでは、宦官の剥きだしのお尻が見えてしまうので、それを隠す扉が付いた小便器。
発祥の地はやはり日本。いかにも大便器を密室の個室に設置する国らしい対応である。
シャイな宦官には好評で、今は東南アジア方面でもよく見かける。
◆9
逆にこちらの公衆トイレは、3器だけ宦官対応になっているが、オープンな構造で、宦官が使用すると性器もお尻も見えてしまう。
ただし、一般男性も横から性器丸見えタイプなので、あまり気にならないはずとのこと。
なお、設置位置が低い奥の2器は少年用で、少年宦官用もちゃんと1器用意されているのが分かる。
下のトイレは手前の3器が宦官対応で、少年用はない。
小便器の間に仕切り板があるが、宦官はもちろん一般男性でも低すぎてほとんど意味をなさないようだ。
◆10
扉と同じく究極の対策。
宦官であることがバレずに立小便できる漏斗が付いている小便器。
ただし股間に漏斗を直接当てる方式なので、漏斗の共有を衛生的に嫌う宦官も多く、普及はしていない。
◆11
人間工学に基づいたしゃがみ便器
宦官には尿道を下方誘導している人と、そのまま従前の場所に尿道口を残している人がおり、後者は普通の大便器での小用に苦労することが多かったので、日本で人間工学に基づく新設計のしゃがみ便器が開発された。
このようなタイプのしゃがみ便器なら、尿が前方や上方に飛んだりシャワー状におなったりしてもかなりカバーできる。
しかしながら日本はしゃがみ便器での用便中に、扉を閉めて姿を隠す習慣が根強いため、一見するとどの便器が宦官用なのか分りづらく、全国に普及するのは、まだまだ時間がかかると思われる。
◆12
アメリカの伝統的女性用立小便器であるサニスタンドと兼用可能なタイプ。
ただし男性&宦官用なので、小便器の設置位置がやや高く、小便器の下に膝まで下ろしたズボンやパンツが収納しやすく改良してある。
尿道を下方に誘導した完全去勢者は手前を向いて、尿道口がそのままの完全去勢者は壁を向いて使用することになるのは同じである。
◆13
宦官は陰茎を切断しただけの者と尿道口を会陰に移設した者がおり、それぞれ小便が飛ぶ方向が異なるが、これは宦官の尿道口の位置を問わず、前向きでも後ろ向きでも使用できる最新型の宦官用小便器。
しかも小便器の間に飛沫防止の仕切りがついた親切設計である。ただし仕切りのみで扉はないので、使用する宦官は下腹部を露出するかお尻を露出するか選ぶ必要がある。
なお、やや古いものの同じような構造で、仕切りのないタイプはこちらである。
◆14
これも宦官の特性に配慮した最新型のサニスタンドタイプの宦官用小便器。
尿道口の位置によって、前向きでも後ろ向きでも使用可能となっている。
半透明の仕切はあるが扉はなく、使用する宦官は、前陰部か臀部かどきらかを露出することになるのは同じである。
以上、各国の宦官用小便器を見てきたが、まだまだ普通の大便用個室を利用しなければならないところが多く、個室に長蛇の列が出来ている場合が多い。
そうしたわけで普通の男性からも、宦官用小便器の普及の要望が強くなってきており、早急が対策が求められている。
【参考資料】
陰茎と陰嚢の手術の解説図(東京陰茎クリニック提供)
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投稿:2008.09.07更新:2024.09.13
🚻 世界の公衆トイレの宦官用小便器 🚻 (2022年11月18日改訂版)
挿絵あり 著者 Castrato 様 / アクセス 56737 / ♥ 629