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さて、ふとある疑問が浮かんでくるのだが、彼女らは一体外部と閉鎖されたこの島でどうやって子孫を増やしているのだろうか?
あらかじめ断っておくが、家畜と交わるのはこの社会においてもタブーの一つである。そもそも彼ら牛男の精液には種が入ってないのだから、性行為を行っても子供を宿すことなどできないのだ。
その疑問に答えられるある祭りが、今宵開かれようとしていた。
今日は女たちの成人式である。彼女たちの成人の儀は夜遅くになってから始まる。
今年成人を迎える女の子は、全てある洞窟前に集合した。皆行水によって身を清め、まるで神様へと嫁ぐかのような緊張した面持ちで座っていた。
その下には、とびきり若くて逞しい牛男たちが、女の椅子代わりになっていた。鼻輪には綱が結ばれ女の子たちの手に握られている。
頭には牛の角を模倣した飾りが付けられていた。
彼らは搾精のために飼われている家畜ではなく、生贄用に育てられた牛男たちである。
彼女らの神に捧げられる供物として用意される彼らは並大抵の訓練を受けてはいない。その途中で半数以上が死に絶え、残った優秀な雄牛だけが捧げ物としての権利を得るのだった。
「次はワスカ、あなたの番よ。」
「はい、すぐに参ります。」
牛男の綱を引いて洞窟内へ入っていくのは、ワスカという美しい長身の女の子だった。
素晴らしい勘と弓の腕前で既に仲間の狩人たちからは将来を期待されている彼女であったが、明かりも無い真っ暗な洞窟を行くのは勇気がいるようだった。
「恐くない、恐くない、私は恐ろしくなどないぞ!」
彼女は暗がりのなか、道しるべの糸を掴んで岩の迷宮を奥に進んだ。もしこの糸を見失えば、自分は永久にこの中でさ迷うことになってしまう。
鼻輪を引かれる牛男は縮こまっていた。彼は今回捧げられる生贄の中でもとびきり上等な雄で、170はあるワスカの身体を十分包みこめる体格の持ち主だった。
狭い洞窟内を彼は這いながら、彼女の後を従順に付いて行った。
開けた礼拝堂のような場所へ入ると、いきなり松明に灯りがついて、ワスカの目をくらませた。
「な、なにっ! …ああ、これ、は……。」
目の前に現われたものがワスカには信じられなかった。広い空洞内の中央に作られた台座から大きな影が伸びる。
その姿は牛の頭を持った人間であった。雄々しいその体躯は、彼女の生贄と比較にならない程逞しく鋼のように締まっており、美しさすら漂わせている。
胡坐をかいた半身の中央から伸びる肉棒は、太い血管を浮き立たせ、触れれば指が切れてしまいそうな亀頭を松明の光に晒している。
幹は大木を彷彿とさせ、大きく飛び出した雁を支えるそれは、まるで樹齢数百を超えた樫の木を模ったかのようだ。
かろうじて人間が受け入れられる限界ぎりぎり、といったところだろうか。
「ああ、牛神様、どうか、私の生贄をお受け取りください。」
神々しい剛根を目の前にして傅いたワスカは、連れてきた牛男の肛門に手をやり、一日中彼を貫いていた巨大な張り型を抜き取った。
生贄の牛男はううっ、と軽く切ないようなうめき声をあげて、よろよろと二本足で立った。
毛の一本まで全て抜かれた牛男の股間からは、止まらぬ露に湿った男性器が竹のようにそそり立ち、割れ切った自らの腹筋を突いて汚している。
その尿道は肉棒を貫く鼻輪と同じ金属の輪で塞がっている。
初めて二本足で歩いた彼は、牛神様の精力溢れる御姿に圧倒されていた。このような猛々しい神の肉体に捧げられる己はなんと幸福なのだろうか。
神の視線を受けて、彼は更に股間の剛直を熱くたぎらせた。
牛の頭を持った神は、よたよたと近づいてくる牛男を片手でひょいと持ち上げた。
首根っこを掴まれた彼は苦しみながら、牛神へ触れようと手を伸ばす。
胡坐を崩した牛神は、両手で牛男の太い胴体を抱えると、その臀部を己自身の昂りへと乗せた。
神の興奮した鼻息をもろに浴びた牛男は胸を高鳴らせ、引き締まった尻たぶを自らの手で割り拡げ神を迎える準備をした。
牛神は生贄の腰を片手で支えると、その頭を下へと押しつける。
めりめりと肉の壊れる音がして、神の巨根が雄牛の秘門を貫いた。
「はぁああぁあああぁんーーーーーーっっ!!!!」
牛男は神が自分の内部へ入ってくることに感激した。痛みなどない。喜びだけが彼の脳髄を支配していた。
号泣し歓喜する牛男はペニスを一層膨らますと、自分の顎を打ちつけるほどの吐精を開始した。
尿道にぴったり嵌まったリングが全く堰止められない量の噴射は、牛男の胴体に降り注いで白い海をつくる。
牛神はその甘ったるい液をしきりに舐め取り、生贄を責め立てつつ喉を潤した。
舌使いに対してびくびくと筋肉を振るわせる彼への責めは長く続いた。牛神は反応の良いこの供物を大層気に入ったようである。
そんな生贄の狂乱の様子がワスカはどこか我慢ならなかった。神が与える究極の快楽をあの家畜が受けているのだと思うと、彼女の秘部はどっと愛液を噴きださずにはいられなかったのだ。
「ああ、早く、牛神様。そんな家畜はもう十分でございましょう?」
牛神はそんな哀願の言葉には耳も貸さず、ひたすら生贄の後穴を貪っていった。
牛男の中でも大柄なほうだった彼の身体は人間離れした手で掴まれ、乱暴に上下へと揺さぶられていた。牛神の神々しい身体と比べれば、牛男の身体など少年のようなサイズに見えた。
否、まるでその姿は生きた性具のようである。
「ぐうーーっ! ぎああぁあああぁあっぁあっ!」
神の昂りを根元まで咥えこみ、牛男は目を回しながら身体の奥で星と星がぶつかるのを感じた。
串刺しにされようと彼の肉体は神を拒まず、より一体となることを欲して内臓を差し出した。
彼の腸内は既に黒く汚れて破損していたにも関わらず、神の槍は躊躇なく生贄の中へ飲みこまれていった。
洞窟内で一年間成人の日を待ちわびていた牛神の御神体は、垢や皮質でひどく汚れてしまっている。
その為まずは牛が捧げられ、その臓物と血を持って神の一物が洗い清められるのが、古代から続く成人の儀の準備工程だった。
一年間穢れていた牛神の男根は、悶え狂う生贄の中で綺麗になるまで丹念に磨かれた。その頃、神を清め終わった牛男は肛門から大量の血液を流し白目を剥いていた。
牛神は牛男を台座に置き、繋がったままのその身体をさする。牛男は熱い息を漏らして神に応えた。
神の御身を洗う役目を全うできたことに対する感動が牛男を包みこむ。
牛男のどろどろになった男性器を掴む牛神は、その果実のような睾丸をむしるように千切り取った。そのままそれを一口に腹へと納める。
片方の宝球を失った牛男はまた大きく射精を繰り返した。もう彼の意識は遠く快楽の海へと沈み切っており、浮かんでくることはない。
神の肉になれるなど家畜にとってはもったいないことだったので、彼は驚いていた。
牛神はこの身が壊れるのも顧みず奉仕を続けた小さな牛に、自らと同化する許しを与えたのだ。
二つ目の睾丸が牛神の中へ消え、牛男はとうとう雄ではなくなった。
だが彼には去勢された悲しみはない。神の完璧な肉体の一部になれたことを誇りに思っているのだから。
神はいまだ勃起を続ける旨そうな肉棒にも目をつけ、太い指で亀頭に刺さった鉄の鼻輪を掴むと引っ張り上げた。
「ぐおおおおおぉおああぁああっ!!!!!」
大根でも抜くかのように力一杯引かれた彼の勃起体は、身体の中に埋まった部分を道連れにして牛男から抜き取られた。
血だまりが見る見るうちに台座を赤く侵食した。続いて、あまりの衝撃に牛男の中で残留していた精液が爆発して台座を白く塗り直す。
最上の家畜の証として、成熟したペニスに埋められたリングは、邪魔だといわんばかりに引きちぎられると、地面に転がってどこかに消えた。
己の全てを捧げ切った男は最後、牛神自身に直腸を突き破られ、天使の矢で眉間を撃ち抜かれたような顔をして昇天した。牛男の人生は彼が望んだ最高の終わり方で幕を閉じた。
その幸福に満ちた魂が牛神を通り過ぎた時、彼の男の象徴は神によって咀嚼され、逞しき神の喉を通って血肉へと還っていった。
死してもなお射精が止まらない牛男の抜け殻から、鮮血に洗われたペニスが登場すると、ワスカは目を輝かせた。
「ようやくお清めが終わったのですね? 牛神様。さあわたくしをお包みになってください。」
役目の済んだ穢らわしい生贄の肉体が業火に焼かれる傍で、ワスカは血に濡れた御神体を舐め清め、自ら神に跨った。
この国の全ての女たちは、こうやって種を神から授かり、子供を為すのだ。
一度種をつけられれば、後は滋養の高い牛たちの精液を飲み続ければ自然と孕むようになっている。
そして彼女らから生まれてくる男たちも神の影響下にあり、その精には種が含まれず、ただの飲み物としてしか役に立たなくなるのだ。
行為が終わると牛神は奥に帰っていく。一人一人、相手となる牛神は入れ替わる。その為何体もの生贄が必要なのだが、そんなことは彼女らにとって苦でもなんでもなかった。
正体すらわからない生物に身を預けることができるのは、古くからすっとそれが正しいことなのだと信じ切られているからなのだ。
彼女らにとって人とは女のみであり、男は牛であり、夫は神のみなのである。
「次、ミレバ、中に入りなさい。」
また次の女の子と、生贄の牛男たちが洞窟に入っていく。一人洞窟から帰還したワスカは膨らんだお腹をさすり、日が昇るまで洞窟内から響く供物たちの喜びの歌に耳を傾けていた。
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投稿:2010.11.07更新:2010.11.07
男の不必要な世界(2)
著者 モブ 様 / アクセス 16799 / ♥ 2