(こうなったのも全部、佐吉の奴のせいだ…!!)
牢屋に閉じ込められたヒコネは、完全に不貞腐れていた。
事の起こりは、つい3日前のことだ。
長老に呼び出されたヒコネと佐吉は、初めての任務を申し渡された。
「お前たちも数えで十四だ。そろそろ、忍びとしての役割を果たさねばならぬ。」
初任務ということで、二人は舞い上がっていた。
長老は確かに言っていた。
「二人で助け合って、良い結果を出すのだ」と。
だが、まだ若く、気ばかりが競っている二人に、そんな心の余裕などあるわけもない。
どちらが相手を出し抜くか。
二人とも、考えはその一点張りだった。
…だからこそ、任務を果たすどころか、敵の本陣の真っただ中でこうしてつかまって、二人バラバラにされ、別々の牢屋に閉じ込められているわけではあるのだが、そんなことにまで頭が回るわけでもなかった。
ヒコネは佐吉を、佐吉はヒコネを恨んでいるわけだが、何のことはない、こうなったのは、全て自分自身のせいであった。
「おい、クソガキ。お前に尋ねたいことがある。…何の目的でここに来た?」
言いながら牢屋に歩み寄ってきたのは、赤い着物をまとった二十歳ぐらいの美しい女だった。
「おいこのクソドブス!お前に話すことなんぞ何もねえぞ!!とっととここから出しやが…ぐげっ!!」
牢に入ってきた女の足は、ヒコネの股間に蹴り込まれていた。
「クソガキって呼ぶのはもったいないな、お前何ざ。もう人間以下ってことで…犬で上等だ、くそ犬。…くそ犬には躾が必要だ。」
ヒコネは、褌一つの裸にされ、大股開きで仰向けにくくりつけられた。
その周りに、女と、その仲間と思しき、もう三人の美女が集まっている。
「さあ、躾を始めようか。」
「くそっ!!これをほどけ!!ほどけったら!!」
喚き散らすヒコネを無視して、青い着物の女が言った。
「…もみじ。せっかく面白いおもちゃが手に入ったんだ。たっぷり遊ぼうよ。」
もみじと呼ばれた、赤い着物の女が返す。
「そうだな。…活きのいいくそ犬だ。楽しませてくれそうだな、鮎。」
「ぎゃっ!!」
だしぬけに、ヒコネが悲鳴を上げた。
もみじの手が、ヒコネの股間の二つの球を握って、ゴリゴリとこすり合わせたからだ。
「ゆき、あさぎ。…今から、お前たちにくそ犬の躾の仕方を教えるぞ。このガキは、ちょうどいい実験台になる。躾のなってないくそ犬だが、躾が終わるころには、このくそ犬は私たちに絶対服従して、伝令、警備に、火薬を抱いての自爆兵。何にだって使える、いい猟犬になるぞ。」
激痛に脂汗を流すヒコネの褌を、もみじは引きちぎるように剥した。
「ほら、ゆき、あさぎ。…これが男のものだ。と言っても、まだ男になり切ってはいないがな。これが手中にあると、このくそ犬のしつけは思うがままだぞ。」
露わになったヒコネの男性器は、ひくひくと蠢いている。
成長期に差し掛かったばかりの二つの球は、ハトの卵ほどの大きさになっており、竿の長さはヒコネ自身の人差し指ほど。太さは親指より少し太いくらいか。
付け根にはうっすらと恥毛が生えていて、包皮の先から、亀頭が僅かばかり顔をのぞかせていた。
「やめろぉ…おいらに何をするつもりだ!!」
「くそ憎たらしいもんぶら下げやがって…!!」
鮎は言うなり、ヒコネの男性器の付け根を、テグスできりきりと縛りあげた。
「い…いてえ!!やめろ、やめろぉ!!」
「…そうか。鮎の家族は、夜盗に皆殺しにされたんだったよな。」
もみじは、口には出さなかったが、鮎自身も、鮎の母と姉、まだ十にも満たない妹も夜盗に犯されていたことを知っていた。
鮎にとって、ヒコネの股間のものは、その時の悔しさ、悲しさ、憎しみを思い出させる忌まわしきものでしかなかったのだった。
そんな鮎が混じっていたことが、全く以てヒコネには不運であった。
ヒコネの股間のものは、むくむくと膨れ上がってゆく。
「…おや、このくそ犬の魔羅、おっ勃つと大人並みだねえ。」
その長さは五寸ほど。
亀頭は大きくえらを張り、全く以て大人のものと寸分違わない。
ヒコネの自慢の一物だった。
「いいか、ゆき、あさぎ。…男ってのは、隠し事はぜーんぶここにしまいこんでるんだ。ここを責めると、何でも吐き出すぞ。」
鮎は、言いながらヒコネの男根を握りしめた。
「い…いてえ!!いてえってば!!テグスをほどけ、早くほどけよ!!」
「…そうやって生意気に吠え散らしていられるのも今のうちだけだよ。それに…テグス、もう二度とほどけないから。ゆき、あさぎ。何恥ずかしがってる。これはくのいち修行だ。魔羅や金玉も触れないようでどうするんだ。今からやることをよく見ておけ!」
「あがぁ…っ!!」
ヒコネがまたうめく。
亀頭の雁首を、テグスがからめ取っていた。
そのテグスの端は、天井の梁にくくりつけられており、ヒコネの男根は、天井に向かって、ぐっと引っ張り上げられる形となった。
「こういう、雁首が張ってるのにはこの手が使えるんだ、覚えておきな。」
ヒコネは、自分の男根から伝わってくる激痛に身をよじっていた。
男性器の付け根、亀頭のくびれ、双方からうっすらと血がにじんでいた。
(ち…ちぎれる!!おいらのへのこが、ちぎれちまう!!)
「さあ、くそ犬。…お前、何の目的でここに来た?」
「い…言うもんか!!」
「…そうか。なら。」
鮎は、ヒコネの右側の睾丸を、ぐっとひねりあげた。
「ぎゃあ!!」
「言うか?言う気になったか?」
「言わねえ、言わねえったら言わねえ!!」
気が遠くなるような痛みに、脂汗を流しながらも、ヒコネは答えた。
「おい、ゆき。…それをこっちへ持って来い。」
鮎が言った「それ」とは、平らに磨き上げた石の板だった。
「どうしても口を割らないバカ犬には、ちょっと仕置きがいるな。」
ヒコネの睾丸が入った袋は、板の上に置かれる。
鮎の右手には、こぶし大の石が握られていた。
鮎の真意に気付いたヒコネが叫ぶ。
「や…やめろぉ!!それだけはやめろぉ!!」
その顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
次の瞬間には、下腹をえぐられたような鈍痛がヒコネを見舞い、ヒコネは、つんざくような絶叫を上げた。
…ヒコネの右側の睾丸は、鮎の一撃で、ぐちゃり、と叩き潰されていた。
「…いいか?犬に情けはいらない。言うことを聞かなければ、男の秘密をしまい込んだ球を容赦なく叩き潰せ。」
もみじは、白目をむいて失神しているヒコネを見ながら、ゆきとあさぎに言った。
水を顔面にぶちまけられ、ヒコネは再び意識を取り戻した。
「お前の隠し事は、左っ側の球の中に入ってるようだな。」
もみじの呟きに、ヒコネは返した。
「もう一つの球も潰そうってのか…!?」
「いや、もっと楽しませてもらうよ。」
もみじの手には、いつの間にか、真っ赤に焼かれた金串が握られていた。
「ぎゃっ!!」
ヒコネの尿口が、じゅっと音を立てる。
金串の先端が、そこに差し込まれていた。
「さあ、一気に行くよ。」
「あぎゃぎゃぎゃ…ぎゃあー!!」
金串は、ヒコネの尿道に、一気に押し込まれた。
肉が焼けるにおいが立ち込め、うす煙が上がる。
「さあ、くそ犬。言う気になったか?」
激痛に体を痙攣させながら、それでもヒコネは頑張った。
「言わねえ、言わねえったら。…絶対に言うもんか!!」
「…なら、仕方ないな。」
言うなり、もみじはヒコネの男根に、針を突き立てた。
「ぐげっ!!」
「さあ、鮎、ゆき、あさぎ。…お前らも刺せ。」
ぷつっ。
皮の抵抗を押しのけた針は、一本、また一本とヒコネの男根に突き立てられてゆく。
そのたんびに、ヒコネの体は、激痛に跳ねる。
…二十本目の針が突き立てられ、ヒコネの男根が鮮血に染まった頃、もみじはまた尋ねた。
「…言う気になったか、くそ犬。」
「…いわ、ねえ。…おいら、絶対…言わねえぞっ!!これでも忍びだ!!」
「そうか。なら仕方ないな。…おい、鮎。」
歩み寄って来た鮎は、ヒコネの左の睾丸を握りしめた。
「あたいはね。…男の球を潰すことなんざ、なんとも思ってないんだよ。さっき潰したろ。…潰して欲しくなければ言いな。」
そして、睾丸を握る手に、ぐっと力を込めた。
男の証を潰される恐怖と痛みを、もう味わいたくない。
ヒコネはついに、口を割った。
「…こ…この陣地の、兵站と、弾薬の貯蔵庫を調べて…」
「それだけじゃないだろ?」
ぐっとつまんだ鮎の指の間で、ヒコネの睾丸がひしゃげる。
「それから…弾薬庫の爆破を…!!」
「そうか、それだけ聞けば充分だ。最後に言う、くそ犬。あたいたちの猟犬になれ。」
「…だ、誰がなるもんか!!」
「なら、潰す。」
さらに睾丸をつまむ手に力を込められたとき、ヒコネはとうとう吠えた。
「な…なります!!だからお願いです!!おいらの球を潰さねえでくれ!!」
鮎は、その言葉に、にっと笑った。
「判った。潰さねえでおいてやる。…と言いたいところだが…秘密を吐き出した球に用はねえ!!」
鮎の手の中で、ヒコネの球がはじける、ぶちゅりという音がした。
「あたいは、お前みたいな口が軽いくせに一丁前面する、くそ生意気なオス犬が、大っ嫌いなんだよ!!」
その絶叫を、激痛と絶望の中で聞いたヒコネの意識は、一瞬で吹っ飛んだ。
「半人前以下のくそ犬の股ぐらに、男の証がついてるなんて気にいらねえ…全くもって、気に入らねえ!!」
気絶したヒコネの男性器の付け根に刃をあてがいながら、アユはわめき散らす。
そして、刃を一気に横へとなぎ払うと、それは、ヒコネの身体からあっという間に、切り離されてしまった。
「…おい、バカ犬。これが何か判るか?」
別の牢に閉じ込められていた佐吉は、もみじの手に下げられていたものが一体何なのか、一見して判らなかった。
「お前の連れの股ぐらに、さっきまでくっついていた物だ。」
テグス糸の先にぶら下がっている、血の滴る赤黒い肉塊。
それは、赤紫色に肥大し、中身を潰された二つの球の入った袋と、針を突き刺されて血みどろになった男根だった。
「ゆき、あさぎ。このバカ犬も、私たちの猟犬にするぞ。さっき、私と鮎がどうやったか見てたろ?こいつので本番だ。」
絶叫する佐吉は、両脇を抱えられて牢から引きずり出された。
忍びの里に、桐の箱が送り届けられたのは、それからひと月後のことであった。
その中には、燻製にされた、二つの男性器が入っていた。
「…やはりこうなったか。まあ、良い。」
長老は、箱の中身を見て呟いた。
「計略通りでございますな。」
側近の声に、長老は返した。
「あの二人はしょせん囮。お前も承知の通り、喜三郎がきちんと本来の務めを果たしておる。所詮半人前以下の捨て駒が里に戻るまいと、魔羅を切られて猟犬になろうと、取るに足らぬことだ。」
長老は、そう言いながら、桐の箱のふたを閉じ、妻に向かって言った。
「おい、お園。この箱は中身ごと風呂の焚きつけにでもしておけ。」
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投稿:2011.02.04更新:2011.11.12
初任務
著者 真ん中 様 / アクセス 19739 / ♥ 8