男性殲滅計画・パート1・少年の初体験
薬局の前にある、ちょっと小振りな自動販売機。
売られているのは……ゴム製の避妊具。
ある夜、その販売機の前に、一人のあどけない少年が立ち止った。
ポケットからコインを取り出して、投入口に入れ、ボタンを押す。
コトリ、と小さな箱が取り出し口に落ちてくる。
少年は、素早く箱をつかみ、ポケットに押し込むと、周りを気にしながら足早に立ち去った。
少女の部屋のベッドに、少年と少女が並んで座っていた。
今夜、少女の家族は皆出かけている。そのことを、前もって少女は少年に言っておいた。
「・・・ねえ・・・」
少女が焦れたように声を漏らす。
「・・・ああ・・・」
少年は戸惑いながら、それでも期待にワクワクして、ポケットから箱を取り出して、
「ちゃんと用意してきたから。」
と、少女に見せた。
少女は、口に手を当てて笑った。照れているのだ。
「もしかして、初めて?」
少女は少し大胆になって、少年に聞いた。
「・・・うん。」
少年は、うつむくと、小声で答えた。
「・・・あたしも。」
少女も、小声で答えた。そして、箱を指さして、
「使い方、分かるよね?」
と聞いた。
「ああ。」
少年は、開き直って答えた。数日前の保健の授業で、知識だけは得ていたのだが。
「じゃあ・・・しよう?」
少女は、そう言うと、少年の頭を両手ではさんで、そっと唇を近づけた。そして、少年と口づけをした。
少年は、おずおずと手を、少女の乳房に当てて、ゆっくりさすった。ブラがごわごわしている。
「触りたいの? じゃあ、脱ごうか?」
少女はそう言うと、着ていたブラウスをもじもじしながら脱いだ。
(・・・ブラジャーだ。)
少年は、若くふくらんだブラを見て、もう興奮していた。少女の腕をつかみ、ベッドにあおむけに倒す。
「きゃっ・・・」
少女が悲鳴を上げるのと、少年がブラに包まれた乳房をもみ始めるのは同時だった。
「・・・乱暴にしないで・・・はあ、はあ」
少年の両手はいささか性急だったが、少女は鋭い快感を覚えていた。
ある程度のところで、少年は自分のシャツもズボンも脱いだ。その間に、少女もスカートを脱ぎ、ブラも脱いだ。
パンツ一枚で向かい合う少年と少女。
少年が、少女のパンツに手をかけた。
まだ淡い性毛があらわになる。少年の胸は高鳴った。
お返しに、少女が少年のパンツに手をかける。ウエストのゴムが、亀頭にひっかかり、そしてペニスがピンと跳ね上がった。
二人は素肌を密着させて抱き合う。
「・・・おれ、やりたい。」
少年がささやくように言う。少女は小さくうなずいた。
「・・・それ、つけてね。」
少女が、ベッドに置かれた箱を指さして言った。
少年はうなずくと、箱を取って、開封した。
中には、避妊具の入ったアルミパック。保健の授業でみたとおりだ。封を切る。
小さく丸められたゴム製品を取り出す。
「それって、殺精子剤が塗ってあるんでしょ?」
少女が聞く。
「うん。授業ではそう教わった。」
少年はそういうと、勃起した自らに、コンドームを装着した。途端に性器が熱くなる。
「いくよ!」
少年は少女に言った。
「来て・・・」
少女は仰向けになると、ささやいた。
少年は、熱い性器を股間でゆらしながら、少女の体にのしかかった。
二人の性器が触れる。
そのとき、少年は熱さが尿道を伝って下腹部に入っていくのを感じていた。
(これが・・・興奮!)
少年は喜んで、腰を動かした。
「あ、痛い・・・!」
少女が小さく悲鳴を上げた。処女を喪失したのだ。
「ごめん、痛かった?」
少年が少女を気遣って聞いた。少女はかぶりを振った。
それを見て、自信をつけた少年は、ジリジリと分身を少女に打ち込んでいった。
そのとき、少年は下腹部の熱さがヒリヒリするほどになっているのを感じていた。
(こんなに感じるんだ・・・自分の手とは比べ物にならないな!)
初体験の感激に全てを忘れ、ただ少女の膣の中を、ゆっくり動くことだけを考えた。
「うう・・・はあ・・・」
少女も、初体験の感動に包まれ、いつしか感じる声を漏らし始めていた。
その時、少年の下腹部は、ビリビリと電気が走るような感覚が走り始めていた。
(すごいや、女の子って。イクときは、俺、どうなっちゃうんだろう?)
「はあ・・・はあ・・・」
「はあ、はあ・・・」
二人の荒い息が交錯する。
すると、少年の下腹部は、だんだんズキズキと痛み始めた。
(なんだ、これ・・・? 男も初めての時は痛いのか?)
「うう・・・ああ・・・」
少年は、下腹部の痛みにうめき声を上げ始めた。
それを聞いた少女は、少年の絶頂が近いと思い、自分は絶頂を迎える余裕がないのに、
「いいよ・・・いって・・・」
と言った。
その間にも、少年の下腹部の痛みは増していき、同時に陰嚢から快感がペニスに上がってくるのも感じた。
痛みと快感はないまぜになり、やがて絶頂を迎えたとき、
「ギャアア!」
と悲鳴を上げ、射精した。
少女は、処女の自分で、そんなに感じてくれたと、少年の姿に感動した。
しかし、
「うう!・・・ああ!・・・」
と、少年は辛そうな声を漏らし続けた。
少年の体が少女から離れた時、少女は少年の男性器を見て、
「キャッ!」
と悲鳴を上げた。
ペニスも陰嚢も、黒茶色に変色しているのだ。コンドーム越しにも、ペニスの異常は確認できた。
少年は、少女から離れると、
「うー!あー!」
と、股間を手で押さえながら苦しみ悶え始めた。
「どうしたの?大丈夫?」
少女はあわてて少年を介抱した。
いつまでも痛がって悶えているし、性器は変色しているしで、少女は気が動転して救急車を呼んだ。
そこで、少年は緊急開腹手術を受けた。
麻酔から覚めると、少年は、自分の尿道にバルーンが入って、導尿されているのに気付いた。
しかし、感覚がすこし変だった。恥骨の辺りから先で、チューブを感じない。
臍の下から恥骨の上まで開腹されたので、今は腹帯が巻かれている。腕で上半身を起こしても、切開の痕はほとんど痛まなかった。
しかし、その下・・・導尿のチューブは、パンツの形に巻かれた包帯の下から突き出ている。
そのパンツの形は・・・ペニスも睾丸もない、女の股間の形を示していた。
(ななな、ない?)
少年は驚きのあまり、震えだした。
そのとき、
「起きましたかー?」
と言いながら、ナース服に身を包んだ女性がやって来た。
「かかか、看護婦さん!」
少年は思わず叫んだ。
「ぼ、ぼくのちんちん、どうしたんですか?」
「ああ。あれはね」
看護婦は答えた。
「壊死していたから全部切ったのよ。ペニスから前立腺から、精巣も輸精管も全部壊死していたわ、だからお腹も切ったのよ。
今のあなたの下腹部は、婦人科系以外は全部女の子になってるわ。」
少年は、ショックのあまり呆然とした。
「でも、あんなコンドーム、どこで手に入れたの?」
「あのコンドームが、どうかしたんですか?」
「あれから薬品が検出されたわ。」
看護婦は答えた。
「普通コンドームには殺精子剤が使われるけど、あのコンドームには、代わりの薬品が使われていたわ。
殺性器剤よ。」
薬局の女薬剤師は、薬品問屋に電話をかけた。
「あの殺性器剤入りのコンドーム、1個売れていたわよ。・・・ありがとう。これで私の『男性殲滅計画』がまた一歩前進したわ。
でも、どこの男かしら、男でなくなったのは・・・ふふふっ。」