「ねえ、見てA子。」
「何、B子。」
「あの男、変態じゃない?」
「ああ、あのスカートを見てる男?」
「プレゼントとか彼女のスカートを探してるって雰囲気じゃないよね。」
「確かに、おどおどしてるし、手は震えてるし・・・」
「足も震えてるよ。絶対に女性の連れなんていそうもないし・・・」
「そもそも、こんな閉店間際になってひとりで婦人服売り場に来るなんて、変態女装男に決まってるよ。」
「あっ、こっち来た。」
「プレゼントですか?」
「・・・」
「同じサイズでもメーカーによって微妙に違うんですよ。本当はご試着してからお買いになったほうがよろしいんですが。」
「・・・」
「お召しになる方は? お連れ様?」
「いえ・・・」
「ひょっとしたらご自分で?」
「あ・・・」
「それでしたら、どうぞご遠慮なく、お買い求めの前にご試着してみてください。」
「え・・・」
「こちらの試着室にどうぞ。」
「は・・・」
「こういった膝丈のスカートがよろしいんですか?じゃあ、あといくつか持ってきますね。」
「ちょっと、ちょっとB子、何やってんの? あの変態男にスカート試着させる気?」
「面白いじゃん。ああいう変態って、絶対あたしたちに口答えしないよ。まだ閉店にはもう少しあるし、遊んでみようよ。」
「あんな変態男に試着されるなんて気持ちわるいじゃん。そんなのもう二度と着たくなくなっちゃう。」
「いいんだって。自分のじゃないし。それに売れ残りを、あいつに売りつければ売り上げあがるよ。」
「まあ、そうだね。」
「お客さま、いかがですか。開けてよろしいですか?」
「え・・・」
「失礼しまーす。まあ、お似合いですね。サイズもちょうどだし。でもこちらのベージュのスカートのほうがこれからの季節にぴったりなんですよ。こちらもお試しになってはどうですか。」
「それに、せっかくですからトップスも合わせてお試しになってはいかがですか。」
「あ・・・」
「じゃあ、このスカートに合うのをいくつか見つくろって持ってきますね。しばらくお待ちください。」
「あんなブサイクな顔してスカートはいてよろこんでるんだから。気持ち悪いったらありゃしない。それはそうとA子、あの売れ残りの返品候補のブラウス持ってきてよ。あの変態に着せて買わせちゃうから。」
「はいはい、それじゃああの原色で趣味の悪いやつもいっしょに持ってくるね。」
「失礼しまーす。お待たせしました、あら、このスカートもよくお似合いですよ。」
「あ・・・」
「トップスもお持ちしましたが、これはどうでしょう。この配色がすごく個性的で素敵なんですよ。でもこのブラウスにはこちらのスカートのほうが合うかもしれませんね。」
「でも・・・」
「これ、品物のわりにすごくお値打ちな商品なんで、ほんとにお得ですよ。じゃあ、こちらにおいておきますので、どうぞお召になってみてください。」
「すごいじゃない、B子。ばんばん売り付けられそうね。でもあの変態、お金持ってるのかしら。」
「だいじょうぶ、財布にたんまり入ってるのが見えたから。」
「どうしたの、A子にB子。何楽しそうにしてるの?」
「なんだC子じゃない。下着売り場放り出してきちゃっていいの?」
「もうお客さんもいないし・・・」
「じゃあ、一緒にやってみない?」
「何を?」
「あの試着室にさ、変態男が入ってるわけ。売れ残りのブラウスとスカート試着させて買わせようっていうの。」
「ええっ、男に試着させてんの? 気持ち悪—い。」
「ついでだからさ、C子のところの売れそうもない下着も持ってきてさ、試着させて売り付ければどうかな。」
「気持ち悪いけど、面白そー。」
「失礼しまーす。お客様いかがですか。すごくお似合いですよ。でも、やっぱり体型がちょっとあれなんで・・・ 下着も女性用をお召になると体型も少し補正できると思うんです。いかがですか?」
「う・・・」
「それじゃあ今、ランジェリー売場のものが参りますので。」
「失礼しまーす。お客様、下着をお持ちしました。どうぞ・・・」
「・・・」
「そうですよね、ブラジャーの付け方とか慣れていらっしゃらないですものね。」
「・・・」
「C子、中に入って手伝ってあげて。ちょっと失礼します。ブラウスいったん脱ぎましょうね。それから、御自分の下着も。」
「・・・」
「はい、ブラジャーのストラップ手をとおして・・・」
「・・・」
「じゃあ、背中のホック止めますね。」
「こちらショーツなんですけど。これはご自分ではけますよね。」
「いいんですよ、スカートは脱がなくて。スカートをめくって履き替えれば。」
「じゃあ、お脱ぎになったものはいったんお預かりしておきますね。」
「・・・」
「じゃあ、お召替えになったころ見せてくださいね。」
「ええっ、どうしたの? これあの変態男の下着じゃん。」
「持ってきちゃった。」
「くさっ、汚っ・・・」
「何これ、股間のところがぬるぬるしてるよ。」
「ひえー、我慢汁だ。」
「あの変態さ、スカートはいて興奮してやがんの。態度はいやそうなふりして、顔はうれしくてたまらないって感じで。」
「気持ち悪、そんな汚い下着早く捨てちゃえ。」
「ええ、捨てちゃっていいのー?」
「あの変態、女の服着て興奮してるんだから、下着ごとみんな女物着て帰ればいいのよ。」
「そうね、そのほうが絶対嬉しがるよね。」
「でも、オッサン丸出しの気色悪い女装で外歩いたら、一発で職質ものね。」
「失礼しまーす。あら、素敵ですよ。」
「・・・」
「ショーツ、ちゃんと付けられました?」
「・・・」
「ちょっとスカートの中見せてくださいね。恥ずかしがらないでいいですよ。女性は下着も試着しますし、私たちがお手伝いするのはふつうですから・・・」
「・・・」
「あらあら、あれがショーツに収まりきらないんですか?もう少しショーツの前を上にあげたほうが。ちょっと失礼しますね。」
「ううっ・・・」
「あら、何か温かくて粘っこいものが溢れてきてしまいましたね。このショーツは申し訳ありませんがお客様にお買取りいただかないと。でも、ショーツで下半身をしっかり抑えないとスカートのシルエットがきれいにならないですからね。新しいショーツに代えましょうね。」
「・・・」
「さあ、ショーツを脱ぎましょう。いいですよ、そもままの姿勢で。ちょっと失礼します。スカートの裏地に染みがつかないようにめくりあげておいたほうがいいんじゃないでしょうか・・・ 」
「うううっ・・」
「あら、また出してしまったんですね。スカートに直接出しちゃいましたね。じゃあ、これもお買い上げということで、スカートももう一着持ってきますね。」
「あの変態、射精しやがるの。」
「キモーイ」
「それも、二度もよ。」
「しごいてやったわけ?」
「まさか、スカートの下にショーツはいたはいいんだけど、ピンピンになっててショーツどころかスカートまで完全にテント状態。ショーツに触れようとしたとたん暴発してんの。」
「ショーツはいたまま?」
「そう、もうベトベトよ。恍惚状態の顔になっちゃって返事もできないのよ。」
「しかたがないからべとべとのショーツ脱がそうと思っておろしはじめたらまた射精してんの。」
「汚ねー」
「スカートぐらい自分でめくっとけっていったのに、手が震えちゃって全然できないの。おかげでスカートの裏地に直接放出しちゃってべとべと。」
「どうすんの?汚されたやつ。」
「もちろんお買取りよ。」
「おきゃくさま、新しいショーツとスカートお持ちしました。これもお気に召すと思いますよ。」
「・・・」
「どうぞお試しください。しばらくしたら見せていただきますね。」
「B子、よく「素敵ですよ」とか「お似合いですよ」なんて言えるわね。あたしなんか気持ち悪くて胸がむかむかする。C子、見てられた? あの変態男の汚い女装姿。」
「あたしは大丈夫よ。でも笑いをこらえるのに必死だったけど。」
「失礼しまーす。いかがですか。」
「あ・・・」
「とても素敵でお似合いですよ。でもスカートの前の部分がなんかふくらんじゃっていてちょっと変ですね。」
「う・・・」
「下着が丸まってるんでしょうか。やっぱりスカートの前は平らになってないとねえ、不自然ですよね。ちょっと下着の様子見させてくれませんか、スカートの中触らしてもらいますね。」
「ううううっ・・・」
「あらあら、また出ちゃったんですか。あまり汚してしまうとお買取りがかなりの数になってしまいますよね。それに、スカートの前の膨らみ、これのせいだったんですね。どうしましょうか。」
「いい・・・」
「いい? いらないってことですか? 何が?」
「こ、この・・」
「このって、これはお客様の体の一部ですよね、この堅い物体。たしかに、これがなければショーツもきれいにはけますけど。」
「い・・・」
「ショーツやスカートをきれいにはくために、これを取ってしまいたいということなんですか。」
「い・・・」
「ちょっと困りましたね、私たち婦人服担当なので、これを切り取るのはちょっと無理なんですけど。」
「あの・・・」
「どうしても取ってくれですか? じゃあ、ちょっとお待ちくださいね。」
「聞いて、聞いて。あの女装の変態男、自分のあそこを切り落としてくれってさ。ショーツはくのにじゃまだからって。」
「げー、あの変態、Mなんだ。」
「ほら、じゃあこのはさみで切っちゃえ。」
「誰が切り落とすの? それに、切った後血が飛び散ったりしてこまるんじゃないの?」
「5階の診療所の女医のD子呼んで来たら?」
「そうね、あの人、手術したくてしょうがなかったみたいだから。こんなスーパーに間借りした診療所じゃ切断なんて普通じゃできないからね。切りたいっていう欲求が暴発しそうになってるみたいよ。」
「じゃあ、呼んでくるね。」
「なんなの? こんなところで手術してくれって。」
「だってあなた、人の体を切ってみたくてしょうがないって言ってたんじゃない?」
「変なこといわないで。」
「でも切断のための道具持ってきてくれたんでしょ?」
「まあ、一応ね。」
「実はね、試着室に変態M男がいるわけ。スカートやブラジャーやショーツの試着なんかして。」
「何それ。気持ち悪い。」
「そいつが、ショーツがきれいにはけないし、スカートの前が盛り上がっちゃうとかであれを取ってくれっていうわけよ。」
「そしたら、試着した服も下着もみんな買い取るってさ。」
「あれを切断しろっていうの?麻酔持ってこなかったのよ。」
「いいの、いいの。あいつドMなんだから。」
「そのままやっちゃったほうが、たぶん喜ぶんじゃないかな。」
「失礼しまーす。お客様、お待たせしました。」
「初めまして・・・ 私が切断しますね。心配しなくていいんですよ、私、医師ですから。」
「い・・・」
「立ったままで大丈夫ですよ。じゃあ、スカートをめくってくれませんか? スカートはご自分で押さえていてくださいね。」
「じゃあ、B子はショーツをおろして。」
「はい、じゃあちょっと失礼しまーす。おろしますね。」
「ずいぶんご立派なものですね。でもかえって大きすぎてショーツはくのは大変ですものね。」
「ああ・・・」
「お顔が赤くなっちゃってますけど、恥ずかしいんですか、興奮してるんですか。それとも切られるのが楽しみなんですか?」
「い・・・」
「じゃあちょっと切断場所を確認しますね。触りますよ。この付け根の部分から袋も合わせて切り取るということでいいんですね。消毒もさせてもらいますね。」
「ううううっ・・・」
「あらあら、ちょっと触れただけで発射してしまうんですね。でもいいですよ。もう二度と発射できないようになるんですから。たっぷり出しといてくださいね。」
「でも、切り取ればショーツもきれいにはけるし、ショートパンツもはけますよ。もちろん水着も。」
「麻酔がないんで時間をかけると痛みがつづいちゃうんで、一気にいきますからね。すみません、C子さんこれを持ち上げておいてくれない?」
「また、こんなに固くなっちゃってますよ。」
「袋と一緒に切るんで、下の袋のほうも一緒に持っていて。」
「わかりましたこうですね。」
「あ・・・」
「お客様、緊張してますか? あれ、なんか硬さが増してきたような。」
「袋の中のものがひくついているんですけど。」
「大丈夫よ、じゃあいきますよ。」
「ぎゃああああ・・・」
「すごーい、いっぺんに両方とも、それも根元から・・・」
「何これ、血と一緒に白いものも噴出してる。」
「切断する瞬間に射精したんですね。」
「私があれを持ってたからかしら。」
「切るっていうんで興奮しちゃったんじゃないの、この人ドMだから。」
「じゃあしっかり止血して。」
「血より白いもののほうが多いんじゃないの。」
「気を失っちゃったようね。涎なんかたらして・・・」
「このまま試着室にいたんじゃこまるから、外にださないと。ショーツはかせて・・・」
「お客様、お目覚めですか。もう閉店のお時間過ぎましたので、お会計よろしいですか。よかったですね、タイトスカートでも股間に全然違和感ないですよ。」
「・・・」
「ブラジャー2つに、ショーツ6枚、ブラウス2着、スカート5着、それに陰茎陰嚢一式切断費用と試着室清掃代、ご来店時にお召になっていた服の処分代、すべて含めまして86万2千円になります。○○カードお持ちですか? あ、失礼しました。」
「・・・」
「ありがとうございました。」
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投稿:2013.05.24更新:2013.05.28
恐怖の試着室
著者 とも 様 / アクセス 3983 / ♥ 7