聖剣広場の中央の台には聖剣が突き刺さっている。これを抜いた者が、聖剣の持ち主として、勇者として認められ、悪魔討伐に赴くのである。
多くの力自慢が挑戦し、そして諦めた。触るだけで体調に変調をきたし、力を込めるほど内蔵に異常を感じて、そのまま力が入らなくなってしまうからだ。
カストラートは力は足りなかったが我慢強かった。そして、ついに聖剣を抜いた。
抜いて気がついたのは、なるほどこれなら精気が溜まる筈だということだった。そして、なぜ魔王討伐でなく悪魔討伐なのか、なぜ治外法権なのか理解した。この国では人身売買やヤク売買で儲ける連中を悪魔と呼ぶ。そういうことだ。
それからカストラートは各地を放浪し、手に持った聖剣で悪魔を貫き、ついでに悪魔の聖剣を抜きまくった。カストラートの持つ聖剣は、相手が女の場合も有効だった。
賞金は出ないが、罪に問われることも無い。そして、ギルドでは悪魔達の持つ聖剣も買い取った。ただし、それは極めて安価で、カストラートは数をこなすことで、勇者という立場に相応しい生活をギリギリ続けていた。
これを改善させたのが、元悪魔達の形成するバーである。そこの新人の聖剣を抜いて欲しいとの依頼が来るようになった。しかも払いは良い。
かくしてカストラートは悪魔退治よりも、ニューハーフサポート業に転職した。使っていた聖剣は聖剣台にもどり、新しい勇者を待っている。
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フクロは? それは別の聖ヒーラーの物語です
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投稿:2021.01.06
聖剣伝説
著者 偽聖剣 様 / アクセス 3122 / ♥ 1