「悪い子にしてるとサンタさん来ないわよ」
クリスマスが近くなると毎年そうやって母親に脅された。そんなこと言ったって毎年ちゃんとプレゼントが来るんだから効かないって。あの日まではそう思っていた。あの日のことを話そうと思う。
今日は12月24日。クリスマスイブだ。こんな日でも学校があるなんて嫌になっちゃうぜ。俺が通ってるのは、中高一貫の男子校だから、女子と触れ合う機会が一切ない。あーあ、クリスマスに彼女がいたらなー。セックスとかできたのかなー。こんな監獄にあと4年も通わなきゃいけないなんて憂鬱だ。ちなみに、自慢じゃないが俺はこの学校ではかなりのワルだ。よく先生とはバチバチやっている。
担任「今日はクリスマスイブだが、ちゃんと学校には来るように。あ、あと柳は話があるから残れ。それじゃ、さようなら」
ちぇっ、なんだよ早く帰りたいのに
俺「センセーなんすか?」
担任「柳、お前なぁ、最近遅刻多すぎないか?しかもテストも赤点ばっかりだ。おまけにいまだに夏休みの宿題出してないじゃないか。もう冬休みに入るんだぞ?わかってるのか?」
俺「あーすんませんすんません。こんど出すからさー許してよセンセー」
担任「ったく、口も悪いし。早いうちに更生しとかないといつか大変なことになるぞー?ほんっとに早く出せよ?」
俺「へいへーい。」
担任「大丈夫かあいつは、、。」
ったく、クリスマスイブだってのにあの野郎のせいで時間食っちまったじゃねえか。早く帰ろ。
「あ!にいちゃん!」
後ろから声がして振り返ると弟の智己がいた。今は小学3年生だったかな?
俺「おぅ智己も帰りか?」
弟「うん、にいちゃんなんか疲れてる?」
俺「ははっ、そんなことねーよ」
家に着いた。
俺「ただいまー」
母「克己、こっち来なさい」
母の怒号が聞こえる。
俺「何?」
母「何じゃないわよ。先生から聞いたわ。アンタ遅刻に赤点におまけに宿題も出してないって?何してんの!?」
俺「いーじゃん別に。」
母「いーじゃんじゃない!そんなんじゃろくな大人になれないよ!?」
俺「そんなん母ちゃんには関係ねーよ。」
母「アンタねー、そんなに悪い子でいると、ブラックサンタが来るわよ。」
例年は「サンタさん来ないわよ」と言うのに、なんでブラックサンタの話が急に出てきたんだ?
俺「そんなん信じねーよ。俺は中学生だぞ?」
母「テレビでやってたのよ。クリスマスイブの夜、悪い子の元にはブラックサンタがやってきて、大事なものを何個か奪ってっちゃうって」
テレビか。相変わらず影響されやすいな
俺「はーいわかりましたよー」
母「本当にわかってるのかしら。まぁいいわ。今日はチキンとミートパイにケーキ、ごちそうよ。」
俺「やったー!」
弟「俺いっぱいたべるからねー!」
父が帰ってきてから夕食をたくさん食べた。
そして夜。智己も俺もそれぞれの部屋で就寝した。
夜も静まったころ、急に大きな音を立てて俺の部屋の窓が開いた。
「君が柳克己か。」
謎の声がして目を開けるとそこには2メートルもありそうな真っ黒な服を着た大男が立っていた。手には大きな袋を持っている。逃げなきゃ。そう咄嗟に思ったが、体が動かない。金縛りというやつなのか?
大男「君は悪い子らしいね。だから君の大事なものたちを奪いにきたよ。」
弟「今の音なーに?」
智己が入ってきてしまった。やばい、智己は逃さなきゃ。
大男「まずは、これを奪ってやるか」
大男は智己をひょいと持ち上げた。助けたいのに、なぜか動くことができない。
俺「やめろ、やめろ、智己には手を出すな!」
大男「ふん、まぁ一旦いいか。」
そう言うと、大男は智己を床に置いた。
俺「今のうちに逃げろ!早く!!」
弟「に、にーちゃん、動けないよぉぉ」
智己も金縛りにあっているのか!?あーもう、どうすればいいんだ!
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投稿:2024.12.18更新:2024.12.18
悪い子へのクリスマスプレゼント1
著者 けんせい 様 / アクセス 1091 / ♥ 5