陽翔(はると)は去勢小説家のモデルとなりで睾丸、性器を失った。
男性ホルモンが少ないと、脂肪の分布が女性的になる傾向と丸みを帯びた体型になり体毛や髭の成長が乏しくなり中性的に見えてきた。
それを悲観することなく、自分らしい生き方を見つけていた。彼は中性的な外見と柔らかい笑顔で周囲を魅了する存在だった。脚毛もなく、ヒゲも生えない彼の姿は、どこか風のように軽やかで、性別の枠にとらわれない自由さを感じさせた。
学校では、陽翔はジェンダーレスな服装を好んだ。白いシャツに女性用の短パンを合わせたスタイルは、彼の個性を際立たせるものだった。友人たちも彼のスタイルを自然に受け入れ、「陽翔らしいね」と笑顔で言ってくれる。彼はその言葉にいつも心が温かくなった。
ある日、親友の美咲(みさき)が陽翔に話しかけた。
「ねえ、陽翔。今日の短パン、すごく似合ってる!どこで買ったの?」
陽翔は笑顔で答えた。
「ありがとう!地元のショップで見つけたんだ。ジェンダーレスな服が多くて、すごくいいよ。」
美咲は興味津々で言った。
「今度一緒に行こうよ!私も新しいスタイルに挑戦したいな。」
スポーツの時間になると、陽翔はさらに輝きを増した。彼は女性用のスクール水着を着てプールに飛び込み、力強く泳ぐ姿を見せた。水中では性別の境界など存在しないかのように、彼は自由に動き回った。
陸上競技でも同じだった。彼は性別に関係なく、全力で走り、跳び、仲間たちと競い合った。
学校を卒業した陽翔は、地元の企業に就職した。職場でも彼の明るさと意気込みは変わらず、周囲から「オカマ」などと呼ばれることもなく、自然体で受け入れられていた。
ある日、同僚の健太(けんた)が陽翔に話しかけた。
「陽翔、社内スポーツ部に入らないか?君ならみんなを盛り上げてくれそうだ。」
陽翔は笑顔で答えた。
「もちろん!スポーツは大好きだし、みんなと一緒に楽しみたい。」
健太は嬉しそうに言った。
「よし、次の陸上の競技でも君の力を見せてくれ!」
私生活では、陽翔は男装と女装をうまく使い分けながら、ファッションセンスを磨いていた。
休日には、美咲と一緒に地元のファッションイベントに参加し、自分のスタイルを披露することもあった。
「陽翔、このコーディネート最高だね!どこでそんなアイデアを思いつくの?」
美咲が感嘆の声を上げた。
陽翔は照れながら答えた。
「いろんな雑誌やネットを見て研究してるんだ。性別にとらわれないスタイルって、自由で楽しいよね。」
ある日、職場の仲間たちと陸上大会に参加することになった。
彼はリレーのアンカーを務めることになり、最後の直線でバトンを受け取った陽翔は、
風のように軽やかに走り抜け、ゴールテープを切った。
観客席からは大きな歓声が上がり、彼のチームは見事優勝を果たした。
「性別なんて関係ない。僕は僕らしく生きるだけ。」
陽翔はそう言って、仲間たちと笑い合った。その笑顔は、彼が自分の人生を全力で楽しんでいることを物語っていた。
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投稿:2025.04.13更新:2025.04.13
去勢後の少年、自由に
挿絵あり 著者 玉子 様 / アクセス 673 / ♥ 2