豊胸する男性たち、陰茎を切りたい男性たち──性同一性障害ではない者たちの意図と動機
「胸は女性の象徴、陰茎は男性の象徴」という認識は、概ね社会で共有されているものです。確かに、女性らしさを象徴するのは胸部の膨らみであり、男性らしさを象徴するのは陰茎の存在です。しかし、性同一性障害ではない男性たちが豊胸手術を受けたり、陰茎を切り取る選択をするという現象は一見、矛盾しているように思えるかもしれません。
なぜ、これらの男性は、自らを「男性として」確立し、男性的な特徴(陰茎)を保持するのではなく、女性的な特徴(胸)を誇示し、男性的特徴(陰茎)を捨てるという選択をするのでしょうか?ここには彼らの内面の動機と、社会との関わりが深く影響しているようです。
1. 女性的特徴を誇示し、男性的特徴を捨てる理由
男性として生きることへの疲弊が、一つの大きな要因であると考えられます。現代社会において、男性はしばしば、「男らしさ」を期待され、外見や振る舞いに厳しい基準を課せられます。特に、物理的に力強い男性像や、経済的に成功した男性像が社会において理想とされており、その圧力に耐えられなくなった結果、男性らしさを否定し、自分の体を女性らしいものに変えようとする人が増えてきたのです。
「女性らしさ」を身につけることで、男性たちはその圧力から解放され、もっと自由に自己を表現できると感じているのかもしれません。女性的な特徴を身につけることで、女性が享受する特権や社会的な優位性に憧れ、男性として生きることへの疲れを感じた結果として、女性らしさを選ぶという動機が生まれます。
「男性としての価値を感じない。ならば、女性として生きることにすべてをかけようと思った。」(匿名掲示板より)
また、男性としての「生きづらさ」や社会的なプレッシャーから逃れたいという気持ちが、性別の枠を超えて身体を変えるという行動につながっていることもあるでしょう。
2. 美容整形としての豊胸と陰茎切除
豊胸手術を受ける男性の多くは、外見に対する強い憧れと自己表現の欲求を抱えています。男性であっても、女性の象徴的な「胸」を持つことは、女性的な美しさを追求する手段として受け入れられており、美容整形の一環として選ばれることが増えています。これらの手術を通じて、男性は自己の身体を女性的な美しさを象徴するものに変えようとしています。
実際、豊胸手術を受けた男性たちは、単に外見を美しく見せるためだけではなく、自分自身を理想的な存在に近づけるためにその手術を選びます。性的な魅力に対する認識が、従来の性別に基づいた価値観から解放され、異なる価値基準で自分を評価し、変化を求める動きが見受けられます。
「女性として生きる覚悟を決めるためには、自分の体を女性らしくしなければならない。胸を手に入れたことで、やっと自分が一歩前に進めた気がする。」(匿名掲示板より)
一方で、陰茎切除を選ぶ男性たちも、これと似たような心理を持っています。陰茎は男性の象徴ですが、彼らにとってその象徴を切り捨てることは、男性としての自我を完全に切り離す行為であり、心の中で女性に近づいていくための儀式のような意味合いを持っているのです。陰茎切除は、身体的な「男性らしさ」を完全に断絶するという覚悟を示すものであり、これによって彼らは、**自分が目指すべき「新しい自己」**を体現することができると考えています。
3. 社会における新しい居場所と生存戦略
豊胸や陰茎切除を選ぶ男性たちにとって、それは単なる身体の変更ではなく、社会的適応の一環であり、生存戦略でもあると言えます。男性として生きることに疲れ、社会の期待に応えられないと感じていた彼らは、女性の特権を享受することによって、より生きやすい社会に適応しようとしています。
豊胸によって「女性らしさ」を強調し、陰茎切除で男性的な圧力から解放されることにより、彼らは新たな自分の居場所を見つけ、社会の中で生きやすくなると感じているのでしょう。
「男として生きるのはもう無理だと思った。女性として生きることで、初めて自分を取り戻した気がする。」(匿名掲示板より)
結論
豊胸や陰茎切除を選ぶ男性たちが抱える心情は、性同一性障害を持つ人々の動機とは異なる点があります。彼らは、社会から求められる男性像に疲れ、窮屈さを感じ、自分を女性的な存在として変えることで、自由や生きやすさを求めています。これらの行動は、単なる自己表現にとどまらず、社会との接点を見つけるための戦略的選択とも言えるでしょう。
身体的に男性的特徴を切り捨て、女性的な特徴を強調することは、社会の中で自分の居場所を確立し、新しい自己を生きるための戦いでもあるのです。