本編は「中学校入学要件に「パイプカット」を追加する法案 (1)」の続編です。
政府がパイプカット手術を利用して、現代社会の課題である「少子化、母子家庭の増加、晩婚化、そして未成年(18歳以下)妊婦の増加」の解決に向けて動き出してから6年間が経過した。
多額の補助金を予算計上したことで、数多くの大学病院や医薬品メーカーなどの研究機関が治験と称した人体実験に参加した。
多額の補助金が功を奏し、前章で扱ったT大学などの研究機関で行われた治験(人体実験)から、被験者1000人分以上のデータが集められた。治験者を数多く集め、政府が望むデータを提供した機関には、更に多額の報奨金が支払われたという。
各研究機関によりデータの差異は存在したが、政府が治験対象者を18歳以上、30歳未満の男性(若年層)を推奨した為、「パイプカット手術の再建術」による、従前公表されていたデータ(精子出現率90%、精液正常化率40%)を遥かに上回る結果が発表された。
精子出現率
MAX 100%
MIN 96.6%
中央値 99.5%
精液正常化率
MAX 97.5%
MIN 60.0%
中央値 85.2%
参考1 :治験期間の途中で辞退した治験者と6年間継続した治験者では、精子出現率には差異がなかったものの、精液正常化率には数%程度の差異が存在した。
参考2: 治験期間中に性行為を行った回数が多い治験者は正常化率が高い傾向にある。
→施行案
政府は、これらのデータを元に法案の審議を行い、4通りのパイプカット施行案を作成した。
案1: 中学校入学時に全男子生徒に実施する。
案2: 中学校2年時に全男子生徒に実施する。(一斉実施前に問題を起こした生徒は、年次に関わらず即座に実施する)
案3: 中学校3年時に全男子生徒に実施する。(一斉実施前に問題を起こした生徒は、年次に関わらず即座に実施する)
案4: 卒業時に全男子生徒に実施する。(一斉実施前に問題を起こした生徒は、年次に関わらず即座に実施する)
議員や有識者から様々な意見が集められ、TVでも頻繁に討論の様子が報道された。卒業時の実施では、中学校在学期間中の性行為に対応できないという反対意見が多く、早期に実施する必要があると結論付けられた。
政府は有識者らの意見を反映させ、下記の内容で法案を起草した。
パイプカット手術
1: 中学1年次(12-13歳)の生徒に対して行う。
2: 実施は中学校単位で行う。任意(政府認定)の医療機関での手術を希望者する者は、自己負担でパイプカット手術を受けることが可能である。
3: 学校で実施される場合は公費負担とする。
4: 正当な理由なく手術を拒否し、14歳を迎えた者は睾丸摘出の身体刑に処す。
パイプカット手術の再建術(もとに戻す)を受けるための条件。
1: 婚姻後半年間を経過した者で、妻の同意を得られた者。
2: 欠格期間 (服役、および執行猶予判決を受けた日から3年間) に該当しない者。
3: 1度目の再建術に限り、費用は全て行政負担とし、医療機関は自由に選択できるものとする。
4: 30歳以上の者は未婚の場合でも、自費で再建術を受けることができる。
関連法案
1: 14歳未満との性行為は、男女とも禁止。全当事者を有期刑に処す(18歳以下は少年院)。男性が強姦した場合は去勢刑に処す。
2: 18歳未満の女子を懐胎させた者は、有期刑に処す。
3: 上記の容疑者の捜査には、パイプカット前に採取された精子情報が登録されたデータベースを活用できるものとする。
4: 18歳未満の女性が出産した子供は、家庭裁判所の判決により養子縁組の対象となりうる。
本法案が国会で審議され、医療スタッフの養成や、実施時期の検討がすすめられた。中央政府から各自治体へ専門家が派遣された。
全生徒への実施は時間を要するうえに安全性を欠くという専門家の意見を踏まえ、関連法案のみ先行して発議の翌からに施行された。
数年間は、不法行為を犯した男子生徒のみにパイプカット手術を行い、段階を経て全生徒へ実施されると発表された。
大多数の対象者である一般学生への具体的な実施開始が発表されていないため、現在の小学生(及び保護者)や中学生かは、自らが施術対象になるのか否かと、ヒヤヒヤしながら生活している。
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投稿:2022.06.20更新:2023.11.26
中学校入学要件に「パイプカット」を追加する法案 (2)
著者 センチュリーミニオン 様 / アクセス 12869 / ♥ 47