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特去会も初めの1、2年はただ静まりかえった体育館で、厳かに 的となるルーレットが回され、矢が放たれ、被去勢男子が選ばれた。
泣きじゃくり、いやだ、去勢されたくない!触んなよ!ちんこ切んなよ!お願いだからぁ!なぁーー!と泣き、喚き散らしなが、暴れ回る男子に時には鎮静剤を打ち、大人しくなったタイミングで、強制的に陰茎を勃起させ、医師の手により、持ち主の同意を得る事なく、無惨にも陰茎の根元から去勢が行われる。
くすんだ緑色の施術用のベッドに男子を固定し、腰回り、陰茎の部分のみ、鮮やかな青色のパーテーションカーテンで隠し、被去勢男子以外の生徒は15m程離れたところから、これから去勢を迎える男の子の悲痛に歪む顔を各々の気持ちを胸に隠して、眺めている。
「え、本当に切るの、これ?ドッキリでしょ?」
「やばくない?どうすんの人生、詰みじゃん?」
「え、なんか可哀想だょね…」
「あいつ、でかかったんだろ?」
「ちょっと、そんな事言うのやめたげなよぉ」
傍観者はあくまで他人事、一部の感受性豊かな生徒の吐きそうな顔以外は、珍しい光景に目の奥を輝かせている。
一方の被去勢男子は他人事ではない、まさに当事者である。頭部もベルトで固定されているが、思いっきり下腹部に向けて顔を曲げ、目をこれでもかと下に向ければ、これから自身から無慈悲にも切り離される大切な陰茎がかろうじて見える。最後の瞬間までくっついている姿を拝みたいのか、何かハプニング、アクシデントが起こり、この会が中止になるという一縷の望みにかけているのかは、分からない…
ただ、その顔はクラスメイト達からすると、これまで見た表情の中で一番《残酷》というタイトルが似合うと表現していた。
被去勢男子の口には安全の観点から、クッション材として布が咥えさせられ、叫び声もほとんどかき消され、微かに呻き声だけが、低く轟く。
今か今かと待ち望むもの達のざわめきが体育館を埋め尽くし、その中から さらに一部男子によるおふざけとも捉え難い野次や、歓声が飛んでいた。しかし、周りの生徒の目線に射殺(いころ)され、声高々に叫んだのも束の間、赤面し、後に生徒指導室へ呼ばれる小さな恐怖を待つのであった。
しかし、去勢会も開始から3年もしてくると、徐々にその様相を変えてくる。
まず大きな変化があったのが2027年4月前半の回から導入された司会進行役の制度である。
普通に特去会が執り行われると少なくとも1時間から2時間程の時間を必要とし、ある学校ではみんなが真剣に事の成り行きを傍観した事が原因で終始静かな特去会となった。ただ聞こえるのは被去勢男子の悲鳴だけであった。
よってそんな間延びを防ぐ為と、その場全体の緊張の緩和を目的として、司会進行役という制度が出来上がったのである。
ただ、
これはただ単に表の話である…
司会進行役の導入にはある、裏の話があると言われている。
それは、特去会への献金を増やす為に、特去会を資産家達へのエンターテイメントショーとするという話である。
資産家の中に限らず、去勢という行為、特に思春期の健康男子への去勢というコンテンツは、ある一定の層の性癖をゴリゴリに刺激する。
ただ、飲み会の席でさえ、あまりそういう性癖を持っている事を他人と共有する事は難しい。しかも、資産家という立場上、清廉潔白なイメージを崩したく無いという理由で親しい仲でも性癖を知る事は容易くはないようである。
後述するが、特去会を取締まる本部は、特去会をさらにエンタメ性の強いコンテンツとして成長させ、公言は出来ないが、本部の収益UPにも繋げる、いわば儲け話にする算段があった。
その第一段階として、資産家達へ特去会の映像を生配信し、性癖の歪んだ彼らを満足させる為のエンタメショーとした。そして、生配信への参加費用を徴収し、さらには配信中に追加の料金を払った資産家にだけは、複数のカメラからの映像が届けられ、マルチアングルで楽しむ事ができるサービスとした。極め付けは配信後に追加料金を払えば、マルチアングルの映像がデータとして送信され、いつでも楽しめるというコンテンツまで追加された。
噂によると、参加費、マルチアングルの課金、映像のデータ配信への課金、その全てを行った資産家限定で、後日オークションが開かれ、その時に去勢された男子のペニスが出品され、資産家の手によって落札されているらしい…
なんともエグい世界である。
そしてその資産家達を楽しませる司会進行役の導入が決定されたという訳である。
そして次の大きな変化というのが同じ2027年9月前半の回である。この回から被去勢男子は、選ばれた後、去勢される直前に、別室に移動し、そこで性行為を行えるというものである。
方法も様々練られており、まず被去勢男子は最大3名まで同じ学校の中から希望する女子を選ぶ。好きな子、可愛い子、エロい子、大人っぽい子、子供っぽい子、つまりは自分のタイプの子を好きに選ぶ。次に特去会側はその女子とは別に全校生徒の中からランダムに3名の女子を選ぶ。この際にも明らかに誰も選ばないような女子ではなく、予め誰もが目を引く顔、スタイルの女子に目星をつけておき、本当に誰がタイプとして選ばれて、誰が特去会側に選ばれたか分からないようにしている。
こうして選ばれた合計6名の女子は校舎の中でバラバラの教室の前へ立たされる。女子が同時にクラスに入ると6箇所の内、被去勢男子が性行為を行いたい女子の入る教室にだけベッドが置いてある。そしてそこへその男子も合流し、希望の女子と性行為が行えるという訳である。男子は合計2名とまで性行為をする権利与えられる為、人生最後のお楽しみを存分に味わうのである。
整理すると、6人の内3人は特去会側が選んだダミーの女子、被去勢男子が選んだ女子3人の内2人は強制的に性行為を行う慰め役。残りの1人は万が一のための保険である。万が一というのは、当日女子が生理中であり、男子が変更を要求した場合や、その他の理由で挿入が始まる前に男子が変更を要求した場合の事である。
選ばれた女子は、規則のもと、真剣に男子と性行為をする必要があり、拒否権は与えられていない。ただ女子側のプライバシーの観点から、選ばれて性行為を行ったとしても、選ばれなかったと嘘をつける状況とする為に、他に5人もの保険を設けているのである。
実際に選ばれなかった場合には、教室の中にドラマやアニメ、映画が見れる設備が備えられていたり、電子書籍で小説や漫画を読む事もできる。つまりは時間を潰せるという事である。
そして、たとえ選ばれて性行為をしたとしても、選ばれず時間を潰しただけであっても、体育館に戻り、友達から「どうだった?」と聞かれても「選ばれなかった」とだけ言えば済むという作戦である。友達側もどうせ「選ばれなかった」としか答えてくれないと、端から諦め聞かない事も多いらしい。
もちろん選ばれた女子の中には、この性行為が初めてであり、処女を失うという事もある。そのような場合、例に漏れず性行為後の歩き方には通常とは異なる違和感があり、誰からも「あ、やったな」と勘づかれるものである。しかし、それでは女子のプライバシーが守られていないという事で、性行為を行った行わなかったに関わらず、6人の女子は教室を出る前に下着と股の間に大量のタオルのような布を挟むというルールが設けられている。これにより全員がぱっと見では誰が性行為を行った女子かが分からないような拙い歩き方となる。
ここで、読者の方々の中には、複数の疑問を思い浮かべている方がいらっしゃるのではと思われる。
①学校の中に性行為をしたい女子がいない場合はどうなるのか
②女子のいない男子校の場合
③学生にも、社会人にも属していない浪人生、フリーターの場合
④社会人が対象となった場合
①、②、③を解決する方法は予め準備されている。それはセクシー女優の導入である。
被去勢男子は教室ではない別室へ移動後、まずはタイプの女子3名を指名する。しかしそこで「いない」と宣言した場合、性行為をせずに去勢を開始するか、駐車場で待機しているセクシー女優との性行為を打診され、そのどちらかを選ぶ事になっている。
今のところ、性行為をせずに去勢を開始する事を選んだ男子はいないが、セクシー女優を選ぶ場合には、学校の女子は誰も選ばれず、全員が体育館にて待機する。
被去勢男子は最大2時間まで最後の性行為、それもプロとの性行為を心ゆくまで楽しむ事ができる。
もちろん、男子校が選ばれた場合や浪人生、フリーターが選ばれた場合はセクシー女優との性行為へと誘導される。
さて、④の社会人の男子が選ばれた場合はどうなるのか。この場合、被去勢男子は職場の女性3名(そしてダミーとしてランダムに選ばれた3名の計6名)の中から選ぶか、セクシー女優との性行為を選ぶか、この2択が与えられる。(もちろん性行為しないというパターンも用意されている。)
もちろん、この行為もビデオカメラが複数台導入され、資産家達へのライブ映像として流される。そして同時に録画された映像は、アーカイブとして残され、資産家達により購入され、初々しい若者の性行為として、彼らを愉しませるのである。
カメラの導入に疑問を持つ女子生徒も中にはいるが、記録のため大切に保管しますと、伝えて納得してもらっている。
一方、体育館に残された生徒には、性行為が行われている間に、今後の被去勢男子への理解や、子作り、つまり性行為の手順や素晴らしさ、今後の社会のあり方などの説明が行われる。
1人の健全な男子を去勢しておいて、選ばれなかった幸運な国民に対して性行為の素晴らしさを伝えているのであるから、甚だおかしい話ではある。
被去勢男子が今後どう扱われるか、例えばお手洗いや、更衣室の使い方や、合宿などの班分けについてが始めに説明される。
結論から言うと、基本的には男子と同じ扱いとなる。お手洗いも男子用の個室を使うし、更衣室も男子更衣室を使う。班分けの際にも男子として扱われる。
注意点としてかなり念を押されたのは、被去勢男子は精神的にかなり不安定になるので、男性器の話や、去勢についての話はかなりナイーブになる。決して揶揄したりしてはいけないと注意された。
なお、被去勢男子から特去会へ精神的苦痛を受けたと通告があった際には、学校側へ調査が行われ、認められた場合には、被去勢男子へ苦痛を負わせた加害者男子への厳重注意や、その程度により去勢の対象となる旨が伝えられる。
ここでの去勢は被去勢男子と必ずしも同じ去勢ではなく、5つの候補が設けられている。
①射精を司る神経の全切除
②亀頭の全切除
③睾丸及び陰嚢の全切除
④勃起神経の全切除
⑤陰茎の全切除
この中から1つを特去会の職員がランダムに選び、加害者男子に通告された上で施術される。
加害者男子にはランダムと伝えているが、実際には被去勢男子がどの施術にするかを事前に決めており、相手にその事実は伝えられない事になっている。
よって体育館で生徒達への説明の際には、被去勢男子が精神的苦痛を感じた際には、それを感じさせた男子にも去勢が行われる可能性がある旨が説明される。
ここで、生徒の中からザワザワという音が漏れる。特去会が行われた後にも自分達の身に去勢の可能性があることに震えるのである。
もちろん、普通に生活していれば、その対象となる事はないのであるが、その説明をしたとしても、生徒達はみな青くなる。
もちろん、男子からの精神的苦痛だけではなく、女子からの精神的苦痛を味わう可能性もあるため、そのための対策も行われている。
女子の場合に設けられている施術の候補としては、こちらも5つが挙げられている。
①両乳首の切除
②両乳首の切除+乳房内の脂肪の全切除
③陰核の全切除
④陰核+膣+子宮の全切除
⑤陰核+膣+子宮+卵巣の全切除
男子と同様の手順で決定の上、施術が行われる。
第一回の特去会から現在のところまで、これらが適応された事実はないが、いつ出てきてもおかしくない状況とみている。
そう特去会側が考えている理由としては、被去勢男子側からの通告は何度かあり、その都度調査を行うという事案は発生しているが、どの件においても厳重注意で留まっているだけとの考えである。これに被去勢男子が納得しないということになれば、初めての制裁去勢が行われることとなる。
ここで、特去会側に寄せられた被去勢男子が精神的苦痛を受けた事例を紹介する。
①通告時:17歳
教室内で被去勢男子に聞こえる声で「こないだのG.W.毎日6回はシコっとったわ!さっきシコったのに、気づいたらまたシコってるんよ!俺病気かもな」と発言。
その発言を聞いていたクラスメイトの証言により、事実として認定。
自慰行為の出来ない被去勢男子に対して、配慮を欠いた発言の為、該当男子に対して厳重注意の上、再度被去勢男子への対応の研修受講、再発が見受けられた際、制裁去勢を施術する可能性の言及、そして被去勢男子への謝罪が行われた。
②通告時:13歳
去勢が行われた1ヶ月後、水泳の授業前の更衣室内で、クラスメイトの男子3名が被去勢男子に聞こえる声で「ほんまに、金玉の膨らみしかないんや。多分あそこにちんこがあったんやろ。デカかったんかな?」と発言
①と同様の対応が取られる。
③通告時:18歳
放課後、教室後方にて、被去勢男子がクラスメイトの女子Aに告白をした際「ごめんなさい!受験とかあるし、恋愛は考えてなくて…」と返事を返す。
しかしその1ヶ月後クラスメイトAは別の男子の告白にOKを出し恋人関係となる。
その1週間後、女子トイレにて他の女子2名B、Cとの会話内で
B「よく告られるよねーAも」
A「たまたまだよー」
C「けど、1ヶ月前は◯◯くんの告白断ったんでしょ?」
A「だって、えっち出来ないでしょ?そりゃ顔はさぁ、かっこいいけど、チューしても、ハグしてもさ、先ないでしょ?」
B「まぁねぇ」
A「えっちが全部じゃ無いけど、何かと気遣うでしょ?お家デートしてても、ドキドキしないっていうか…」
C「たまたまあるから性欲はあるんでしょ!しかも発散してないから常ムラムラw」
B「たまたま触ってくれない?とか言われるのかなぁ。それとも手で触っていい?とか」
ABC「きゃーー♡」
A「普通にちんこある男子がいるんだし、わざわざ付いてない◯◯くん選ぶ必要はないかなって」
この一連の話が男子トイレの手洗い場にいた被去勢男子に聞こえ通告。
女子トイレにいた他の女子の証言により事実と認定
①と同様の対応が取られる。
さて、話を元に戻すこととする。
このように2027年9月前半の会から導入された最後の性行為の機会を設けることについては、資産家たちからの寄付のおかけで、有名なセクシー女優を呼べるようになった。
そして、その後2029年2月後半の会から新たに導入されたシステムもかなりの物議を醸し出した。
それは、2028年3月頭に公表されたのだが、来たる2029年2月後半の特去会から、被去勢男子に選ばれた者への人生救済措置である(名称はすぐに去勢協力措置と変更になった)。
簡単に言ってしまうと、ただ去勢された男子の人生が可哀想であるという理由から、何かしら、その悲しみを補填する措置を設けてあげようというものである。
少し詳しく説明すると、昨今のSNSなどで被去勢男子の待遇があまりにも、過酷すぎるという声が断続的に上がり、会が進むにつれて、少しずつその声が大きくなったことを受けての措置となった。
性行為、自慰行為をはじめとする人生を豊かにする行為の剥奪。排尿時など生活の一部の変更を余儀なくされる苦痛。恋人関係などが例にあがる人間関係の一部損壊。周囲から向けられる異質な目線、その中には嘲笑を含む可能性はあるものの決定打には乏しく、ただ笑われているかもしれないに留まる結果となる。
それにより、被去勢男子は精神的に弱くなる傾向にあり、いつか自殺者が出てもおかしくないという論調となりつつあった(まだ出ていない事に驚くものさえいた。俺なら去勢されたら、すぐ死ぬね、と去勢されていないからこその発言をするものも多数現れたいた)。
よって、特去会に協力、貢献してくれた貴重な男子に対してその補填が検討され始め、大まかに以下の選択肢が設けられた。
①金銭による補填
②転校先による補填
③入学先による補填
④就職先による補填
⑤婚姻による補填
⑥その他希望による補填
①金銭による補填
これは、特去会から被去勢男子へ協力金という形で譲渡される。
額については一律ではなく、特去会の最中に出資した資産家たちの献金の一部を渡すこととなっている。よって人気があり、献金の多かった会では支払われる協力金が多くなり、反対にあまり盛り上がらなく献金が少なかった会では、協力金が少ないということになる。
もちろん、このカラクリは被去勢男子へ伝えられることはなく、一律ではないこと、額に不満があれば他の補填に変えられることが伝えられる。
もちろん、司会者のギャラもこの献金が使われる為、司会者は少しでも盛り上がるように奮闘する、そんな仕掛けがなされている。
②転学先による補填
これは、被去勢男子が任意の日付から、別の学校へ転校することによる補填である。
やはり、去勢される事により、周りの目が辛い、接し方に違和感を抱く者が一定数おり、それを解消する目的で転校先を提供するというものである。
田舎の学校を選ぶ者、男子校を選ぶ者、女子の比率が高い学校を選ぶ者、その思惑は様々あり、全てを図り知ることは難しいが、心機一転、自分自身の事情を知らぬ地で新たに生活を送りたいという被去勢男子の為の選択肢となった。
もちろん、たとえ被去勢男子であることを隠したとしても、バレることの方が多いので、そこまでを考えた上で選んでいるのかは定かではない。
③入学先による補填
これは、被去勢男子がいかなる年齢であっても、一般的な受験学年となった際に、次の入学先を自由に選べ、無条件で合格とするものである。
例えば、中学生であれば中3時に次の春から通う高校を、高校生であれば高3時に次の春から通う大学を好きなように選び、入学が許される。もちろんいくら自由とはいえ、女子校の選択は許可されていない。男子としての象徴は失ってはいるので、自身を女子と勘違いする者が現れてもおかしくはない為、万が一にでも選ばれたら大変ということを考慮して、選択肢から外されているのである。
また、社会人や大学生がこの選択肢を選ぶ場合、再度好きな大学を選択し、入学する事が許されることとなる。
ただ、これには1つ条件があり、日本国内の学校に限るとされている。
言い忘れていたが、もちろん、入学金を含め、授業料、施設費など高校、大学へ支払う学費というものは全て特去会が支払うことになっている。
予備校生にとっては垂涎ものの選択肢となった。中には被去勢男子に選ばれないかと七夕の短冊に書き記す者まで現れる次第であった。
④就職先による補填
これは、被去勢男子が学生の場合、その学校を卒業と同時に就職できる会社を自由に選ぶ事ができ、選考を挟まず採用とするものである。
中学生であれば、中学校卒業と同時に就職する先、高校生であれば、高校卒業と同時に就職する先、大学生であれば大学卒業と同時に就職する先等を選ぶ事ができる。
もちろん、就職後の人事等は会社に決定権があるが、最低の賃金の補償と、不当な解雇の禁止は決められている。
ただし、中卒で働きたいと願った被去勢男子が選んだ会社が、その会社の規定として、大卒以上を条件としている場合には、選ぶことはできないものとしている。
やはり有名企業を選ぶ者が多いのだが、やはりそこに実力が伴わない者が多く、そのほとんどは企業内での活躍は見込めず、窓際に追いやられたり、資料室に閉じ込められるという末路を辿っている。
⑤婚姻による補填
これは、満16歳以上の被去勢男子が、自身の結婚相手を選ぶことのできるものとなっている。国の定める全国の結婚相談所に登録されている女性の内、特去会に協力するというチェック欄にチェックを入れている女性の中から、被去勢男子が好きな女性を選ぶ事ができる。
もちろん、実際に面会やデートを重ねて選ぶ事ができるので、資料だけでなく、じっくりと選ぶ事ができる。
もちろん、相手の女性への暴力や暴言など、ルールやマナーを守れない場合には、この補填は選べなくなる。
結婚相手が被去勢男子となる可能性があるのにも関わらず、特去会に協力するというチェック欄に、女性側がチェックをするのかという疑問が浮かび上がってくるかと思う。そこにはしっかりとしたカラクリがあり、もちろんチェックをした女性側にもメリットは存在する。
まずは結婚相談所への登録が無償化される。
そして、婚約の成立と共にお祝い金が支給され、結婚式の費用も特去会もち、さらには住宅費用の援助まで存在する。そして、人工授精にかかる費用や出産までにかかる費用、さらには出産時にお祝い金まで支給されるという。
結婚という一生のパートナーを決める際に、数ある中から、被去勢男子に選ばれ、挿入を伴う性行為の存在し得ない結婚生活を営むという人生に見合った補填となっている。
被去勢男子においても、普通の生活を送る中でパートナーを見つけて結婚に至ればいいものの、それこそ被去勢男子をパートナーとする女性が現れるのかに焦りを抱くぐらいなら、この補填を使う方がいささか得策であると言える。
⑥その他希望による補填
こちらに関しては、上記5つの中以外で補填を希望した際に使用される。
被去勢男子によって補填内容が説明され、それを特去会側が審議し、被去勢男子を含めて会議を重ねた上で補填の可否、内容が決められる。
以上6つの補填を見ていただいたが、これらの補填により、被去勢男子の負担というものは幾分軽減されたかのように思われる。
当たり前のことではあるが、自身の健康なペニスが無慈悲にも奪われるという行為と比べると、どの補填であったとしても決して足りないとは思うのだが、初期の頃の何も補填がなく、ただ被去勢男子となり、残りの人生から4、50gだけを奪われた時代と比べるとかなり待遇は改善されている。
司会者は自身のギャラの為により一層張り切り、その場の雰囲気を盛り上げるが、それと同時に去勢の可能性を残した男子にとっては一段と地獄へ引き摺り込まれたかのような心持ちとなる。
選ばれる可能性のない女子や去勢を免れた男子は一種のバラエティ番組を見ているかのような雰囲気に変わり、行為の残忍性や開催の目的などは暫しの間忘れ去られて、はしゃいでいる。
ただそこには、自身とは関係のない男子の人生を終わらせる"断頭台"が刃をギラつかせながら鎮座し、そこへ差し込まれる一本が誰のものになるのかを、涎を垂らしながら待ち侘びる見物人がいるだけであった。
それでは、そのエンターテイメントのラベルを貼られ、その残虐性をひた隠しにされている惨劇を見て参りましょう。
心の準備は出来ましたか?
選ばれるなら誰がいいですか?
まだ性的な知識、快楽を覚えておらず、ダメージの少なそうな中学1年生ですか?
見方を変えますと、中学1年生にしてペニスを失い、今後の性教育をどのような心持ちで受けるのか…
性行為の模式図を見せられたとしても自分自身とは全く関係のない行為でしかないものを見せられる虚無感…
周りが性的な体験を積む中で自分だけが置いてけぼりを喰らう劣等感…
始めの頃はただ無い事だけしか感じなかったのに、日々を過ごす中でふつふつと湧き上がる、これもこれも失ってしまったのかと気付かされる喪失感…
成長するに従い、世の中には性的なコンテンツがありふれているという現実を知り、その一切が自分にとって敵であるという事実を突きつけられる絶望感…
はたまた、選ばれるなら十分に性的な生活を送ったであろう社会人ですか?
もうすでに性的快楽に溺れている人に宣告される性的に不能であるという無力感…
これまで発散できていた性欲が、延々と蓄積され世の中の全ての事象が性と結びついていく違和感…
周りが性的な話題を際限なく話す中で、自分自身は去勢されるまでの出来事でしか語る事が出来ず、語る事によって自分にはそういった行為がもう出来ないのだ、他のみんなとは同じ行為は出来なくなったのだと気づき知る孤独感…
お付き合いしている、もしくは結婚している時のパートナーには、これから先、挿入によって得られる唯一無二の快感を一切与えられないのだ、もし自分とではなく、他の男と過ごしていたのなら感じれた快感を与えられないという罪悪感…
99.999999…%の方はそんな事は感じない人生を歩めると確信しています。
今までと変わらない、ただ少しだけ一部の人間に対して得られる優越感を除いては、ごくごく普通の人生を歩めます。
ただ、
もし、あなたが特去会の対象年齢で、まだ股間に大切な棒をぶら下げているのなら、お気を付け下さいませ。
気づくとあなたの前には陽気な司会者がヘラヘラと喋っており、その横にはルーレットが回っている…
横を見ても、残っているのはもう数人だけ…
そして、そう
次に選ばれるのは、気を抜いているそこのあなたの大切な大切な一本かも、知れませんね……
-
投稿:2024.08.20更新:2024.09.01
特去会〜 その一本を捧げよ 〜0-2
著者 闇夜ギロチン 様 / アクセス 1988 / ♥ 12