2023年、少子化が進み日本の人口は減少の一途を辿っていた。
しかし、出産に適した年齢である若者達は、子作りに励むどころか、15歳、18歳、22歳時の性交渉 未経験率が10年前と比べて驚くほど上昇している。
その背景には、様々な要因が考えられる。
まずは、メディアの発展だ。
スマートフォンの普及により、小学生でもネットを自由に使いこなす時代。閲覧が規制されたとしても、子供ながらにその規制を上手くすり抜け、小学生だとしても無修正のエッチな動画を見れる時代。射精という機能を備えていない男児でも手軽に視聴し、本能的に膨らんでもいない陰茎と陰嚢をまさぐる。
決して異性に興味が無いわけではない。
むしろその逆、性に対する興味は昔よりも増している。
しかし、手軽に性的興奮を処理できる環境が整い過ぎてしまっている状況が問題である。部屋の扉を閉め、箱ティッシュを傍らに置き、必要に応じてその他の道具を準備する。大抵の場合は利き手のみで事足りる。陰部を露出し、自身の好きな体勢をとり、再生ボタンを押すだけ。後は勃起した陰茎を刺激し、快感を得る。この手軽さ故に、男子はみな、ルーティンかのように生活の一部として取り込んでいる。
余談ではあるが、手だけでは飽き足らず、布団、クッション、更には床に勃起させた陰部を擦り付け、快感を得、射精をするという変わった方法を取る者も少なからずいるという。一部の専門家からは、この手法(手は使っていないが…)を日頃からとっている場合、いざ、女性との性交渉の場において、勃起不全、射精障害を発生させる可能性が高くなるとの意見も出ている。女性との性交渉で機能を果たさないのであれば、その場で去勢でも良いとの見方もあるが、それは一旦置いておく。
そして、もう一つの要因が、非接触コミュニケーションツールの発達である。
前述したスマートフォンに加えて、オンライン対戦のゲーム機、ポータブルゲーム機、SNSなど、直接会わなくとも、時間を潰し、自らの遊びに対する欲求を満たす事が出来る。
その結果として、非接触ツールを使ってのコミュニケーションは得意としても、直接会っての会話は弾まない、こんな事を言って嫌われたらどうしよう、つまらない人と思われたらどうしようという考えが巡り、会う人の制限が緩いネット上での関係を優先してしまう。
この事の弊害として生まれたのが、恋愛に発展し、恋人関係になる数の減少である。
よって、性的関係の構築も上手くいかず、結果として少子化に歯止めが効かない状況である。
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そんな危機的状況を打破する政策を打ち出した政党がある。
月に1度から2度、全国の中学校、高校、大学、専門学校、短大の中から選ばれた1校(いずれも対象は毎年4月2日時点で中学1年生の生徒〜毎年4月2日時点で23未満の学生)、もしくは毎年4月2日時点で23歳未満の就労者、または非正規雇用者(浪人生、フリーターを含む)や、日本の学校に籍はなく、海外の学校に通う学生、など全ての日本国籍を有する男子の中から選ばれた1名(この1名は被去勢男子と名付けられた。)において、去勢するというものである。
性交渉の有無・回数・頻度、恋人の有無、自慰行為の有無・回数・頻度、学年、該当範囲の年齢、成績、容姿、陰茎のサイズ、太さ、硬さ(これらは知る由もないが…)など関係なく、ランダムに選ばれた1名が去勢される。
なお、ここでいう去勢とは、陰茎、つまりペニスのみを完全に取り去り、女性との挿入を伴う性交渉の全てを永久に不能とするものをいう。睾丸においては、男性ホルモンの喪失に伴うデメリットを考慮され、温存の形を取ることとなった。つまり、執行された時点で男子の陰部には陰嚢、睾丸(睾丸に付随するもの)と尿道のみが残ることとなる(この尿道は後日、手術にて陰嚢の後ろへと移される。それまではオムツの着用が強いられる。)。
この政策によって、男子において、自らの性器がいつ失われるか分からない状況に対しての不安を駆り立て、早期段階での性交渉を促し、性交渉の快感を記憶、定着させ、未経験である事への一種の恐怖を断ち切る狙いがある。
性交渉未経験の男子が陰茎を失えば、性交渉の挿入時、ピストン運動時などに挙げられる特有の快感を得られる事が出来ず、一生童貞、生涯童貞というレッテルを貼られる。(強制童貞という言葉も後に現れた。)
性交渉経験済みの男子からすれば、はた迷惑な話ではあるが、公平性を考え去勢の対象となる。そして、去勢後は漏れなく性的快感を得られない。童貞とは異なり、一度でも性交渉での快感を得ている分、その喪失は計り知れず、童貞が選ばれるよりも重い決定と言われている。
やはり、性交渉を経験していないものにとって、初体験というものは、ある種のハードルがあり、一歩を踏み出せない者を生み出してしまう。
しかし、一度経験をしてしまえば、その抵抗感は消え、次の性交渉へもスムーズに移行できるという事である。また性交渉を重ねる事により、技術も磨かれ、女性とより良い関係を築く事が出来ると考えられている。さらには、その経験から自分自身、自分の性器に対して自信を持ち、性交渉への積極的な参加を促す狙いもある。
もちろん、周りからの反対は強かった。
健康な男子の性器を切断し、その後その者への性的劣等感を背負わせる。性的快感の強制的な喪失は、倫理的に受け入れられるものではない。
時には、性的興奮を自ら治めることが出来ずに精神的に苦痛を伴うことがある。
時には、同じ学校、職場の知人、友人に面と向かって、もしくは陰で、男性的に不能であること等を揶揄される事もある。
時には、入浴施設で他人からの視線を陰部に受けることもある。逆に去勢の対象外となる中学生未満の男児にさえ備わっている陰茎が自らに無いことを憂う事も考えられる。
しかし年に12〜24人の犠牲を払ってでも、打開しなければならない危機的状況に対して、まさかの決断が下る。
歳を重ねた議員にとって、税収の減少は由々しき事態、このまま少子化を見過ごす訳にはいかないと、話は進んでしまう。
また世間において、子育てを終えた世代ははじめこそ反対意見が出たが、政府からの危機的状況とその打開策の詳しい説明の甲斐あり、徐々に反対意見が減少してきた。どこまでも政府は年寄りの味方であり、年重ねた大人達も自分達にデメリットがない事に気づくと、すぐその手を返す。
1番の被害者はいつも、若者である。
これまでは、若者の陰茎への悩みといえば、童貞や包茎などが挙がっていたが、この政策が進むにつれて、そこに去勢というワードが追加された。
これまでとは180°違う生活を余儀なくされ、人生における楽しみの半分と言っても良いほどのものが失われる。若者達の間では、去勢後の生活を雑談の話題とする事も少なくないという。
そして、そんな生活にはなりたくないと声を上げる者が現れ始める。
しかし、抗議運動を起こすも小さな声はかき消される。
そして、抗議運動は形を変えて、世間にこの政策の中止を呼びかける事となる。
ここで1つ事例を紹介する。
まずは、20代の若さで不運な事故により陰茎を根元から失ってしまった動画配信者が注目された。この男性が事故によって陰茎を失ってから現在までの辛さや苦しみを再度動画内で語ったのだ。それだけではなく、この男性の現状を映し出すドキュメンタリー番組まで作成された。
排尿を我慢する事が大変難しく、陰茎を失ってからしばらくは、尿漏れ、おむつの着用、座位での排尿の煩わしさがまず語られた。
そして、性欲との葛藤。股間に手が伸びるが、そこには何もなく、ただひたすらに性欲と闘う日々が続いていると悲痛の想いが打ち明けられた。
性的興奮を感じた際には体内に残っている陰茎の部分がかすかに膨張し、下腹部をほんの少しだけ隆起させる。しかし、その膨らんだ部分に感覚はなく、触っても全く性的快感は得られないという。そしてそのまま就寝し起床すると、中学生ぶりに夢精をし、日々下着を汚し、その都度精神的に追い詰められる。
睾丸を摘出しようと考えた事もあったという。
これは去勢の悲惨さを語りかけるというよりは、該当年齢の男性により強い衝撃を与え、絶対に去勢されたくないという想いで抗議運動を激化させた。
しかし女性には被害がほぼ無い話ということもあり、小学生〜23歳未満の男子のみが声を上げたところで、この政策にブレーキをかける事はできなかった。
ここでいう女性への被害がほぼないとした理由としては、自分の恋人が去勢をされた事により、性交渉を諦めてそのままお付き合いを継続するのか、または新たな恋人を探すのかの選択を迫られるというものを指す。
余談ではあるが、こういう声が上がり始めた頃、小学校でも自慰行為やオナニー・マスターベーションといった言葉が流入し、まだ勃起という言葉すら知らない低学年、中学年の児童も性器を見様見真似でまさぐり、大人の真似事をしていた。これにより、良し悪しの分別のつかない児童が授業中に股間をまさぐり、先生に注意されるといった問題が多発し、小さな議論を巻き起こした。
学校側も必要に応じて性教育の機会を設け、身体の仕組みや受精の方法は伝えてはいるが、日本の初等部教育指導要領では自慰行為などの指導は依然なく、現場はかなり悶々としている。
更には去勢という言葉までもが、小学生の耳に入り、悪口、他人をいじる際の文言としても、使われるようになった。(例:お前なんか去勢されてしまえ! はい、去勢っ!去勢っ!等)
これには小学校の先生方も手は焼いているものの、そういう言葉が聞こえた際に注意する言葉として、「そんな事言ってる人が、去勢されるんですょ!」と強くいう事により、その場を治めているという。
小学生ながらにしても、自身の陰茎が失われる事に恐怖を覚えているのであろう。子供達にとって効果はテキメンであった。
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改めて決まった政策の確認を行うと、
2025年4月より月に1〜2回、年に12〜24回の去勢会(すぐに名称は特別去勢会、通称 特去会:とっきょかい、に変更された。合わせてこの政策名も特別去勢法、通称 特去法となった。)が行われる。
月1〜2回とされているのには理由があり、月に1回としてしまえば、1度特去会が開かれてしまえば、来月までは無いと男子全員が考え、去勢への恐怖が半減してしまう恐れがある為である。
よって月の始めに1回目があろうが、月の半ばにあろうが、月の終わりにあろうが、男子全員は2回目の恐怖に怯えるのである。
そして2回目は決まって月末に行われる事が決まっている。
では、被去勢男子の選び方である。
学校の種類(中学校〜大学)は完全なランダムである(就労者については後記する)。とは言ってもデジタルでは外部の操作が行われるリスクを鑑み、決定は全て手動で行われる事となった。
まずは、学生かそれ以外かの選択から行われる。
学生とそれ以外の割合は日々変動するため、不公平を防ぐために、毎月、学生とそれ以外の割合をそのまま表した円グラフ(学生とそれ以外で2分されている)を作成し、使用する。
円グラフを的とし、宝くじの発表の際のようにボタンを押せば、的めがけて矢が発射され刺さるといった方式をとっている。
刺さった矢が学生であれば、学生の中から、それ以外であればそれ以外の中から男子が1名選ばれる。
学生の場合、日本全国の学校に番号を振る。ある中学校には【00003574】、ある大学には【00126993】といった具合である。
そして桁分だけ的を用意し、その的にそれぞれ0〜9の数字を割り振り、同じように宝くじの発表の際のようにボタンを押せば、的めがけて矢が発射され刺さるといった方式をとっている。左の的から0.0.1.2.6.9.9.3と当たれば【00126993】の番号が振られた学校の生徒から1名選ばれる。
また、学校が決まった後の男子の決定にも同様の方式が取られる。
【学年】【クラス】【生徒番号】の番号に対してそれぞれ順番に矢が放たれ、1名が選ばれる方式である。(それぞれの学校の学年、組の構成によって的の数字を変更していく。)
それ以外の場合(就労者や浪人生など)は、マイナンバーを使用し、該当の年齢や条件などをソートする。
そして、該当者に改めて【0000001】から数字を振っていく。その数字を毎月該当者に通達し、後は学生同様に的に矢を刺す方式で決める。
学生の場合を例に挙げ、少し詳細を述べる事とする。
特去会が行われる学校ではまず、全生徒、つまり男子だけではなく女子を含む全員が体育館に集められる。体育館に全生徒を収容出来ない場合は、近隣のホールなどを使用し特去会が執り行われる。
まず全生徒の内、女子を体育館の半分より後方に座らせ、男子を体育館の前方に座らせる。
一部の女子にとっては、今から目の前で繰り広げられる男子達の阿鼻叫喚の惨劇に、心を痛め、またある女子にとっては自らの性癖を歪め、狂わせ、刺激し、興奮とともに下着を湿らせるのであった。
体育館のステージ上に1〜3年の【学年】が書かれた的が現れ(大学の場合は1〜4年)(4年生の大学以外の場合でも対象は1〜4年生まで)、学年の指定が行われる。もし、2年生が選ばれた場合には、1年、3年の生徒は雄叫びやガッツポーズ、中には小躍りする者もいる。指定外の学年の生徒は満面の笑みと共に、体育館の後方、女子の待つ楽園とでも言える場所へと移動するのである。中にはダッシュで恋人の元へと向かうもの、口笛を吹きながらスキップするもの、様々である。この時、いつもは険悪な仲の女子までもが天使に見えると口々に声があがる。
逆に後方にぽっかり穴が空いた学年、指定学年に選ばれ、後方に向かえなかった学年は悲惨である。この時点で半狂乱に陥る生徒まで現れる。中には拳を握りしめて、涙を静かに流しながら事のなりゆきを見守る者もいる。
この時点で前方に残っている学年の生徒は後ろを向けないと言う。
少しでも後ろを向こうものなら、最悪のシナリオを脱した学年の生徒達が、自分達を可哀想な目で見ているのである。同じ床に座っていながらも、向こうのほうがはるか上からこちらを見下している、そんな風に見えるのであるから不思議である。
しかし、ここからが更に地獄である。
次はステージ上に【クラス】を指定する的が現れる。4組までの場合、4等分、10組までであれば10等分のように、無駄なクラスは書かれていない、専用の的が毎回用意される。
高校の場合、多ければ1学年150人〜200人程度いた男子が、一気に15人〜20人程度に減るので、心中は穏やかではない。
青春を共にした同じクラスの友達が今ではライバルであり、自然と顔も強張り、引きつる。
目線を横にし遠くを見れば、担任の先生が目を閉じ、若干上を向いている。何を思っているのか、「よりによって俺のクラスかよ」「これから選ばれたやつとどう目を合わせたらいいのか、どう接すればいいのか」「少し前に、去勢されんぞ!って悪ノリの冗談で言ってしまったのが、まさか現実となるとか…」
そんなとこであろう。
ここまでくると、中には過呼吸になるものまで現れる。しかし、同じクラスのやつらは、みな仕方ないと同情の気持ちが強い、あいつが過呼吸になっていなければ、俺がおしっこを漏らしていたかもしれない、そんな気持ちでいっぱいである。
後方で高みの見物をしていた他学年、他クラスのやつらも、ここまでくると、皆固唾を飲んで、その成り行きを見守っている。
そして最後にステージ上には、【生徒番号】が均等に割り振られている的が現れる。
みな、自分の生徒番号が無ければいいと願い、他のやつよりも、自分の番号の面積が狭くあれと期待し、今後の人生どんな試練も受け入れるから、この的にだけは当たるなと、神に祈りを捧げるのである。
そして、普段は10センチにも満たない小さな棒を失う者を決める…
失った者のその後の人生を想像する事も出来ないぐらい大きく変えてしまうのであるから、皮肉なものである。
そういえば、切り取られるペニスも皮と肉から出来ているなんて奇遇ですね♪
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次に被去勢男子が選ばれてから去勢前まで、去勢方法、去勢された後の説明である。
……それは、実際に行われた特去会の映像を見て確認頂きましょうか^ ^
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投稿:2023.12.01更新:2024.09.01
特去会〜 その一本を捧げよ 〜0-1
著者 闇夜ギロチン 様 / アクセス 4275 / ♥ 37