明美は夫のことを心底憎んでいた。
もちろん、結婚当初は夫を愛していた。
優しく、頼り甲斐のある夫、結婚後すぐに二人の子宝に恵まれ、幸せだった。
だが、子供が産まれてからは体の関係も減ってしまい、ある時、夫が会社の部下と不倫をしていることに気づいてしまった。
明美は夫を許すことができなかった。一時は離婚も考えたが、子供のことを考えると、少なくとも成人するまでは離婚できないと判断した。
だが、何かしらのペナルティは与えたいし、もし不倫相手との間に子供ができたら大変だ。
そうして、明美は夫を去勢することにした。
それも、本人に気付かれない様に。
自分の知識やインターネットで得た情報は、どれも出血や痛みを伴う方法が多く、抵抗されたらうまくいかないだろう。
化学的な去勢も、皮下注射の副作用やホットフラッシュを伴うことがあり、バレない様に実施するのは困難だ。
困っていたところ、運命的に、出血を伴わない去勢方法を教示する動画を見つけたのだった。
この方法なら、できる。入念に準備をして、夫を去勢することにした。
その晩、普段は付き合わない晩酌を共にした。
気が良くなった夫は、ビールのおかわりを求めた。
夫は缶から直接飲む鈍感男だから、睡眠剤を入れても気付かれないだろう。実際に何の疑いも違和感も感じないまま、睡眠薬入りのビールを飲み干した。
半刻もすると、「眠いから寝るわ。」といい寝室に向かった。
よし、では始めるとしようかしら。
まずは、横向きにして、体操座りの様にさせる。下着を脱がせると、ちょうど腿の間に陰嚢が垂れ下がった様な形になった。
陰嚢を引き伸ばし、ペニスの根本のあたりから睾丸にかけ、ガーゼをきつく巻きつけて締め上げていく。
陰嚢が引き伸ばされ、ちょうどダンベルの様な形になった。
股の間にダンベルを挟んだ様な姿勢は滑稽に見えた。こんな男を愛していたのか、何だか自分が急に恥ずかしく感じてきた。
早く終わらせてしまおう。
縛り付けた陰嚢の下に、木製のブロックを置く。2x4の角材などがちょうどいいとのことなので、用意しておいた。
木製ブロックの上にガーゼを巻きつけた陰嚢を置くと、まるでまな板の上の鯉の様だった。
不倫男の睾丸、気色悪い。潰してしまいたいと思ったが、ぐっと堪えた。
去勢に使うのは柄付きのタガネだ。
縛り付けた陰嚢を木製ブロックに押しつけ、軽い力でタガネを陰嚢に打ち付けた。
うっ!
打ち付ける力が強すぎたせいか、夫が一瞬くぐもった声をあげ体を硬直させた。
が、幸い、起きる気配はなかった。
危ないわ、気をつけなくちゃ。それにしても、自分が去勢されようとしているのに眠っていて本当に呑気ね。あんたの睾丸は、これから永遠にその機能を失うというのにね。雄としての卒業、あなたは子供を奪われて、再婚しても子供を作れなくなるのよ。
タガネを再び打ちつけた。軽い力で、コツン、コツン、コツンと叩いていく。
なかなか小気味がいい。だんだん嗜虐的な気持ちが膨らんでくる。
明美がタガネを打ち付けるたび、陰嚢内では睾丸に繋がっている動脈が、静脈が、そして大切な精子を運ぶ精管が押しつぶされ、組織は挫滅し、その機能を失っていったのだった。
10分ほど打ち続け、結局、精管は繋がっているが、その内側を精子が通ることは未来永劫できなくなってしまった。
睾丸につながる動脈も静脈も同様に、血管壁は腫れ上がり、攣縮し、いよいよ血液が巡らなくなっていた。睾丸は徐々に壊死を起こし、小さくなって吸収されるのだろう。
ガーゼを解いてみる。
少しだけ内出血を起こしている様だが、見た目に大きな変わりはなさそうだ。陰嚢を軽く揉み、様々な管が縮み上がった部分を伸ばして自然にしておく。
道具を片付け、夫の下着を戻す。ついに夫に対する静かな去勢は、完了したのだ。
明美はこの時、自分の股間が今までにないほど濡れていることに気づいた。
夫を去勢した感触を思い出しながら自分の陰核を擦り付けると、夫とのセックスでは感じることがなかった絶頂をいとも簡単に迎えたのだった。
その後2回ほど絶頂を迎え、疲労感と達成感の中、眠りに落ちた。
翌朝起きてみると、特に夫の様子にも変わりはない。
はて、失敗した?とりあえず、怪しまれない様に、様子を見てみることにした。
しばらく経ったのち、夫の性機能がどうなったのか、確認することにした。
とはいっても、夫に抱かれるのは辛抱ならないので、寝る前に後ろから夫を抱き締めるふりをしつつ、局部を触れてみた。
これまでであれば夫は、明美が局部を触れると喜んで局部を突き出してきた。だが、なぜか腰を引いて回避しようとした。
ペニスをいじってみたが、どうも以前より勃起しにくい。その上、大きさが一回り小さくなっている様だった。
睾丸を触れてみると、明らかに萎縮している。去勢の効果は表れている様だった。
手でさらにペニスを擦り付けると、人差し指ほどの大きさにまで膨張したのち、力無く、情けない射精をした。
精液の量は驚くほど少なく、どことなくサラサラしていた。
あぁ、夫の子種は絶えたのね。こんな情けないペニスじゃ、不倫相手の女も満足に抱くこともできないでしょうね。
いい気味だった。もともと夫との営みはなくていいと思っていたので、誘われることもなく過ごせるだろう。
それにしても、あの雄の機能を奪う瞬間、男としての生を終わらせる瞬間に沸き起こった感情が、忘れられないの。
性機能を奪ったあの瞬間の感触を思い出しながら、オナニーをすることをやめられない。
学生時代に付き合っていたイケメン先輩とのセックスを思い出しながらするオナニーよりも、ずっと気持ちい!
去勢したい。もっとオスを終わらせたい。
明美の中で、ドス黒い感情が膨らんでいたのだった。
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投稿:2025.01.21
静かな去勢
著者 吉田 様 / アクセス 2155 / ♥ 20