まことは小学校5年のころ、身長が130cmがやっと超えたくらいしかなく、色が白く目がギョロっと大きかったので、よくいじめられていた。いじめていたのは双子の兄弟で、勝也と正也という、浅黒くいわば運動能力だけはずば抜けていたガキ大将だった。その2人からみるとまことはじれったくて、よくちょっかいを出していた。まことは一見女の子に見えたので、まこと人形と呼ばれていた。
いじめは毎日のように行われた。例えば、もっと人形らしくしてやろうといわれて、マイネームペンでアイラインを書かれてしまったりした。アイラインは当然、バレエの化粧のように目立つように書かれ、乾くまで手を押さえられてしまったので、顔を水や石鹸で何度洗っても薄くもならなかった。目の大きなまことはさらに強調されてしまい、ますますお人形さんのようになってしまった。学校が終わるころやっと、保健室のアルコールで拭いてもらい、それでもうっすらあとが残る顔で帰らなければならなかった。もう、そろそろ、思春期の近づいたまことにとっては毎日が屈辱であった。さらに、体育の時間はブルマを強要された。そのころ小学校の体育では男子は白のショートパンツ、女子は紺色のブルマであった。先生もいつもの化粧よりはいいんじゃないかというくらいで、かまってくれなかった。
女の子のようにされないときは、大きな段ボール箱につめられ、非常階段の踊り場から転がり落とされたりした。その時、まことはひざで鼻をしたたかうち、鼻血が止まらなくなるほどであった。お人形さんは箱に入って運ばれるんだぜ、こんなことで傷物になったらいかんぞと笑われ、女子の保健委員に保健室に連れて行ってもらったりした。
まことはもう小学校に来たくないと休みがちになった。
勝也が家に来て、このままではだめだろう、明日の6時間目の体育が終わった後、放課後にまことが男に戻れるかどうかテストしてやるから来いと言われた。もし、合格したらまことをお人形さんだとか女子だとか絶対に言わない。これは男と男の約束だといった。
もし来なければ、一生お前を男の子として扱わないようにしてやるとも脅された。テストは男の子なら簡単な運動能力テストだということだった。
まことはどうせこのままでも、オカマ呼ばわりされるのだから、テストを受けることにした。次の日、小学校に行くと、勝也と正也がニコニコとして待ち受けていた。明日からは男の子になるんだから、今日だけはお人形さんでいてもらうよ。嫌だといっても、テストは放課後と言ったろうといわれ、力ずくで押し倒された。まず、マイネームペンでアイラインを上まぶたと下まぶたに書かれてしまった。暴れると変な顔になっちゃうぞと言われて、さらに押さえつけられ、今度は眉毛にガムテープを貼り付けられその上から、ごしごしと押さえつけられた。目を開ける正也の手が近づいてきて、一気にガムテープをはがされた。ガムテープにはまことの眉毛がしっかりと付いていた。お人形さんらしい眉毛をかかないといけないなと言いながら、細い眉を丸く書かれてしまった。ほっぺの赤い丸はかわいそうだから止めておいてやるよ。放課後には男の子に戻れるんだから、今日はそれでいいよな。と言われて仕方なく、授業を受けた。先生は特にかわいいなと言うだけだ何もしてくれなかった。一番嫌だったのは女子が集まってきて、こんなお人形私も欲しいといわれたことだった。
体育の時間はショートパンツは取り上げられ、ブルマをはかされた。
とうとう放課後になりテストをすることになった。
勝也と正也がニコニコしながら近づき、とうとうテストの時間が来たな。おれとしたらまことがずっとお人形でいて欲しかったんだがな。その方が遊べるしなと言った。
テストは何をするのかと聞いたら、鉄棒と言うことだった。鉄棒は好きではなかったが、逆上がりや、足掛け周りはできるので、ちょっとほっとした。
鉄棒のところに来ると、男は度胸だから度胸のテストだ。鉄棒の上を柱の間隔で2つ分歩いてわたれたら、まことは男子として認めてやる。失敗したら女子だからなと言われると、自信がなかったので、挑戦は何回できるのと聞くと、1回に決まってるだろうといいたいが、まことを男にしてやりたいから、3回許すと言われた。まず、練習をさせてもらった。鉄棒の上に上るのが難しく上でうまく立てない。普段ならできるのにと思い落ち着こうとした。最初に立つところは手伝ってやろうと、正也が言ったので、つかまらせてもらった。
練習は低学年用の低い鉄棒でうまくいきそうだったので、本番になった。スタートの位置に持ち上げてもらうのに、勝也も寄ってきた。ちょっと邪魔されるのではないかと不安になったが、向こうへ行っていてともいえずスタートすることになった。最初の一歩を踏み出したとき、「せーの」と言う声がしたと思ったら、鉄棒の下に勝也と正也が仰向きになってこちらを見ているのが見えた。次の瞬間からだが浮いた。勝也と正也がまことの足を片方ずつ持って、ぶら下がったのだった。
えっと、考える暇もなく、骨が折れたような激痛が股間を襲った。脚の骨が折れたと思ったが、結果はそれ以上のものだった。その激痛が頭に感じた瞬間、声が出なくなった。
悲鳴を上げることもできないで、両手で鉄棒を持つとまだ、2人がぶら下がって笑っているのが見えた。横に倒れることもできずに、前のめりになるとさらに激痛が襲った。そこで、やっと離してもらい、地面に下ろしてもらった。
「縄跳びで練習したせいかうまく言ったな。ちょっと後ろ向きに引っ張るとちょうどあそこがぶつかるんだよな。 まともだったな」
あまりの声も出ず痛がっているので、やばいと思ったか先生を呼びに行ってくれた。
股間の骨は折れていなかったが、落ちる角度が悪く、やや後ろに引っ張られるように落ちたので、鉄棒の柱の天辺のやや丸くなったところに、睾丸をぶつけたため、2つともつぶれてしまっていた。ショートパンツであれば睾丸がずれて逃げていたのであったかもしれなかったが、ブルマのためにしっかり固定されていたのが致命傷であった。救われたのは上向きになっていたペニスは無傷であったことぐらいであった。
学校も、いじめを見過ごしていたことを知られたくなかったので、勝也や正也が言ったまことが勝手に男として認めてもらうためにやって、足を滑らせたことになった。
男の子としては永久に認めてもらえない身体になってしまった。
家が裕福でなかったので、そのまま中学にいった。勝也も正也もそれ以来、お人形さんいじめはしなくなった。けれど、まことは中学卒業間近になっても、ホルモンの影響で声変わりもせず、ひげも生えず、髪の毛以外には体中つるっとしたままであった。
身長は小さかったのが普通並になっていたが、座高は小学生のように低く、手脚が異常に長くなっていた。筋肉や内臓の発育は妨げれれて、骨の成長だけが止まらなかった影響であった。まるでバービー人形のようになってしまったので、高校を卒業するとお人形さんモデルとして活躍することになった。男の子になりたかったのに。
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投稿:2010.12.12
鉄棒
著者 砂金魚 様 / アクセス 15175 / ♥ 0