強欲な長者にマラと愛しいお春を奪われた太助は“羅切足軽”として村を統治する武将の下に売られてしまった。
武家屋敷の広場には方々の村から色々な事情でマラを切り落とされた男衆が数十人ほど集まっている。
羅切足軽はこの世に思い残すことがない者と見なされ最前線で戦わされ武士の盾となるのだ。
さらに戦地においては女子の代わりに武士や兵の慰めもしなければならない、太助は覚悟を決めるしかなかった。
広場に集められた羅切足軽達は着物を捲り上げた状態で並ばされマラの無い事を証明をさせられた。
大勢が見る中で金玉だけになった下半身を見せる屈辱に涙を流すものも居た。中にはマラだけでなく金玉もない者も居る。
「すげーな、あいつら本当にマラがないぞ」
「ウチらみたいに座って小便するのかねぇ、クスクスッ」
そこに居る武士や兵士、家来や女中達の笑い声や心無い言葉が彼らの心に突き刺さった。
羅切足軽達は足軽大将によって品定めされ仕分けられる。
マラだけではなく金玉も無い者は女形にさせられ御館様の御側に就かされるという。
図体の大きい者やマラを絶たれてもせめて最後は男らしくと覚悟を決めた者達は次々と兵舎に連れて行かれた。
「マラ無し野郎のご到着じゃ、ワハハハ」
他の足軽、兵士達が笑いながら野次をとばす。その野次に太助はグッと怒りをこらえた。
「おい、お前はこっちじゃ」
太助のようにまだ少年の面影が残る者はまた別の場所に集められた。
少年達は屋敷の奥の一角にある庭へと通され整列させられる。そこには美しい女子達が待ち構えていた。
何もわからず呆然とする少年達に武士が大声を上げた。
「おまえら図が高い!夏姫様の御前なるぞ、跪かぬか!」
太助はあわてて跪いた。少年達は皆、まだ幼さが残りながらも美しい姫様の姿に心を奪われた。
姫様や女子衆の周りに多くの少年、青年兵が控えている。太助達の先輩になる羅切足軽達だ。
姫様を取り巻く女子衆が少年達を見定めて書状に筆を走らせている。
姫様自身も指をさし品定めをしている。そして太助も指をさされた事に気づいた。
やがて姫様と女子衆は屋敷の奥へと姿を消し、書状を受け取った武士が少年達を集めた。
「お前とお前はこっちに、お前はそっちに、お前はそこで待っておれ」
武士は一人残った羅切足軽の青年とともに少年達の組分けをしている。
太助はもう一人の少年と屋敷のさらに奥へと連れて行かれた。
「俺は十兵衛村の太助だ、お前は?」
「俺は庄助、北の八郎村から来たんだ。年貢の代わりにマラを落とされて売られちまったんだ」
「そっか…そりゃ大変だったな」
「ここは夏姫様の御屋敷の中ぞ!黙れ!」
青年羅切足軽に叱責されながら二人は一番奥にある夏姫様の住まう大広間に到着した。
「お前達は夏姫様を御側でお守りする大事な使命を受け賜ったのだ、有難う思え」
「そんな大層な使命を!俺に姫様をお守りする力なんぞありませぬ」
太助と庄助は恐れ慄きそう答えるしかなかった。
「日々鍛錬をすれば大丈夫だ、戦地に回される俺達の代わりに夏姫様の護衛を頼むぞ」
姫様の部屋の前で槍を構えていた青年が太助と庄助にそう話しかけた。
姫様をお守りする羅切足軽は一定の年齢になると戦地へと回される決まりになっているのだ。
それは姫様への配慮は元より、姫様の情により羅切足軽に権力を持たせない采配ともいえる。
マラが無い故に姫様の貞操は守られても恋心によって男女の仲にならないとは限らないからだ。
太助達は先輩に当たる二人の羅切足軽によって礼儀作法を教えられ武術の鍛錬を重ねた。
そして太助と庄助は昼夜の交代で姫様をお守りする任を正式に与えられた。
二人は姫様の御前に通され着任の挨拶を行うことになった。
「そなた達、名はなんと申すのじゃ?」
「ハッ、太助と申します」
「ハッ、庄助と申します」
姫様を間近にした二人は脈が早まり緊張に声が震える。間違って無礼でも働けば命は無いだろう。
整った顔立ちに長い黒髪、子供っぽい面影も消えはじめた姫様は諸国でも有名な美女である。
マラを失ったとはいえ太助も庄助も男としてその魅力に引き込まれる。
「そなた達、本当にマラが無いのかえ?」
「え?は、はい…有りませぬ」
「ではその証をわらわに見せてたもれ」
「そ、そんな無礼なことなど…」
二人は思いがけない姫様の言動に動揺した。
「ここにはわらわしか居らぬ、安心して見せてたもれ」
姫様は無邪気な笑顔で二人の傍へと擦り寄りマラの無い証拠を見せるよう懇願した。
二人は顔を見合わせると意を決して着物を下ろし金玉だけがぶら下がるその股間を姫様に見せた。
その股間を見た姫様は大きくため息をつき座へと戻った。
「ハァ…何かの間違いでマラが付いておらぬかと思ったが、せっかく良い男なにのとても残念じゃ」
悲しい表情の姫様に二人は何か申し訳なく思いお詫びを申し上げた。
「マラが無くて申し訳ございませぬ…」
「わらわは一度もマラを見たことが無いのじゃ、一度もマラを見ぬままいきなり嫁ぐなどイヤじゃ」
「は…」
その美しさからは思いもよらない姫様の大胆な発言に二人はおののいてしまう。
「どうして父上はわらわからマラを取り上げるのじゃ!」
「そ、それは姫様の身を案じられてそのお体をお守りしようとされていらっしゃるのでは」
「わらわの身はわらわが守ることじゃ、それをいきなり知らぬ殿方のマラで貫かれるのはイヤじゃ。もう下がってよい」
「ハハッ」
部屋を後にした太助は複雑な気分だった。
マラを見たがる姫様の意外な姿。そしてその思いに応えられない自分はやはり男ではないのだと。
同じ日の夕刻、太助は昼番の庄助と交代するために姫様の部屋へと向かった。
「庄助、ご苦労様」
「太助…」
「どうしたんだ?元気ないぞ?」
「俺、姫様に嫌われちまったようだ」
「オイ、姫様に何かしたのか?」
「俺は何もしてないよ、後は頼んだぞ…」
庄助は少しうな垂れたまま詰所へと戻っていった。
「太助、これより姫様のお守りに就きます」
そう挨拶をし部屋の前で護衛に就こうとした太助に姫様が声をかけた。
「太助、入りたもれ」
「ハッ、しかし…」
「良いから早う入りたもれ」
姫様の命に逆うわけにもいかず導き通り太助は姫様の部屋に入った。
「先刻ははしたない姿を見せてすまなかったの、太助」
布団の上で白い寝間着姿の姫様が太助にそう声をかける。
「ハッ、そのようなことはございませぬ」
「太助はいつマラを切り落とされたのじゃ?」
「ハッ、十四のときでございます」
「太助はマラを…男の証を切られて悔しゅうないのかえ?」
「ハッ………それは、それは…クッ」
太助は長者とお春のことを思い出し悔し涙を流した。忘れたつもりだったあのことを…。
「辛いことを聞いてすまなかったの…許してたもれ。太助」
「ハッ、とんでもない、俺、いえ某は大丈夫です」
「そうか、ではもうひとつ聞いてもよいか?」
「ハッ、なんなりと」
「太助はマラを切られる前に、女子と交わったことはあるのかえ?」
「えっ?…そ、それは…その…」
「ないのかえ?」
姫様はまた悲しい表情を見せて軽くため息をついた。
「ハッ、御座います」
太助は姫様を悲しませまいと思いそう答えた。
「本当に?本当に交わったことがあるのかえ?」
「ハイ、御座います…姫様にはしたない事を打ち明けたことをお詫びします」
「謝ることはないぞ太助、わらわはとても嬉しいぞよ!」
そう言うと姫様は太助の傍へと駆け寄り大胆にもその股間へと手を伸ばした。
「ひ、姫様っ!」
「太助、ここにマラが無いのは残念じゃがかまわぬ。わらわに同じことをしてたもれ」
「そ、そんなことをしたら某は御館様に殺されてしまいます!」
その手をふりほどき逃げようとする太助を姫様はさらに抱き寄せる。
「わらわはずっと待っておったのじゃ。それなのにここに来る者は女子と交わったことの無い者ばかりじゃ…庄助もじゃ」
「し、しかし姫様…」
「ここには御館様も女子衆もおらぬ、そなたとわらわだけじゃ…男女の交わりを教えてたもれ」
紅潮した顔で迫る姫様の姿に太助は失ったマラの付け根が熱くなるのを感じた。
「ハッ…承知いたしました」
「ハッ、はもうよい太助。どうするのじゃ?どうすればこのわらわの狂おしい気持ちが収まるのじゃ?早うしてたもれ」
「姫様…」
太助は意を決して姫様の華奢な体を抱き寄せた。そしてその無邪気で無垢な唇に接吻をした。
「んぁ…ああ、太助、太助…」
姫様の体は崩れるように落ち、太助はその白く肌触りの良い寝間着を優しく脱がせた。
そして小ぶりで美しい乳房に優しく接吻をし、そこを愛撫し続けた。
太助のマラの切り株は勃起して脈動し、わずかに出っ張りそこが男だったことを主張している。
そのマラの切り株を姫様の大切な部分に押し当て優しく、そして激しく上下に擦り付けた。
そのヌルリと潤った姫様の割れ目にマラを入れたいという叶わぬ願いが太助に男失格を突きつけた。それを打ち消すように激しく擦り付ける。
「あぁっ…太助!太助!気持ちいい!気持ちいい!…手淫とは全然ちがうぞよ」
「姫様、某も男に戻れて嬉しゅう御座います、姫様!」
「ああっ、この日を待っておったのじゃ!太助っ…アッ…アッ…太助!」
姫様の体がビクンとなり絶頂を迎えたことがわかった。同時に太助は姫様の下腹部の盛り上がりに白い男の精を解き放った。
「太助、そなたはすごいぞよ…わらわは満足じゃ。交わるとは本当に気持ちよいものじゃ」
そう言いながら姫様は太助を抱きしめて接吻を求めた。二人が接吻すると太助はまたマラの切り株に熱を感じた。
その熱くなったマラの切り株を姫様の手がそっと包み込んだ。
「本当に残念じゃ…切り落とされたのに残りがこんなに熱くビクンビクンと動いておる。マラとは一体どのような物なのじゃ?太助のマラを切り落とした者は処刑じゃ…許せぬ」
姫様はそう言いながら太助のマラの切り株に優しく接吻をした。
「姫様…」
「太助…」
太助の夜番が続く夜明けまで二人は交われない交わりを続け愛し合った。
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投稿:2011.11.05更新:2011.11.05
羅切足軽と姫様
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