「序」
小学校6年生の男子児童が避けては通れない道、それが「ブルマ検査」です。この日を境に、男の子として残れるか、ブルマになるのか。大きく運命の歯車は動き出します。
「ブルマ検査前日」
ボクは北山ナツキ。海辺の小さな町に住む小学6年生です。今日学校から帰ってきたら、家に一枚の書類が届いていました。
書類には、「ブルマ検査のしおり」とあり、小学校6年生の男子を対象に「ブルマ検査」をとりおこなうことが書かれていました。内容をよく見ると、検査の内容と、おおむね合格となる理想のオチンチンのサイズが書かれた紙が入っていました。
(そうだ、明日はブルマ検査だ。これに合格して本当の男になるんだ。)
明日のブルマ検査の不安を打ち消すために、その日ボクは友人と磯釣りに出かけました。
みんな明日のブルマ検査が不安だということは言うまでもありません。そんな不安をかき消すために、釣りの終わりに一緒に行った仲間たちと岩場に隠れてお互いのオチンチンを見せ合いました。お互い、オチンチンの大きさは五十歩百歩といった感じで、とりたてて小さい子はいませんでした。このこともあって仲間同士、明日はみんな検査に合格して、本当の男になってまたここで再開することを誓いました。
気を紛らわすために行った釣りでしたが、ボクだけ思いのほか大量だったことが思い出されます。
でも、やっぱり不安はぬぐいきれず、寝る前こっそり自分でオチンチンを測ってみました。
「んーっと、5センチ・・・。」
(これなら、明日は絶対合格だ。)
その日の夜、ボクは自分のオチンチンを、何回も何回も測って、しおりに書かれていた理想サイズよりも大きく、ボクのオチンチンは合格間違いなしということを一人確信したのでした。
「ブルマ検査当日」
ブルマ検査の時間、ボクたち男子は「ブルマ検査のしおり」を持たされて、保健室に移動しました。
検査は一人一人順番に行われることとなり、保健室の中はカーテンで二つに仕切られており、カーテンの奥で一人が検査を受けていると、次の子がカーテンの前で待ち、それより跡の子は順番まで保健室の外で待機となりました。
次がボクの番となったとき、保健室の中のカーテン越しに前の子が検査を受けている様子を見ると、いくら自分に合格だと言い聞かせても、やはり不安になってきました。
待っている間に、少しでも不安な気を紛らわせようとして、保健室の隅に目をやると、そこにはいつもはない、ついたてで仕切られた部分がありました。ついたてには立入禁止とあったけど、ちょっとした出来心もあって、前の子がカーテンの奥で検査を受けている時、誰にもわからないようにそっと、そのついたての中を見たところ・・・。
「!!」
ついたての中には「施術用」と書かれた、恐ろしいほどに鋭く、そしてキラリと光っている刃物や、見たことのない器具が置かれていました。
(きっとあれは、ブルマにされる時オチンチンを切る道具だ・・・。)
直感でそう感じました。そのときから、もう刃物の姿が目に焼きついて、ゾクゾクとした恐怖にボクは支配されてしました。
(あんなので切られたくない・・・。でもボクのオチンチンは合格だ・・・。合格だ。)
昨日自分で計っていたときのことを思い出し、そう自分に言い聞かせて、とにかく今見てしまった器具のことを忘れようとしました。
「北山君、入ってください。」
不安が打ち消されないまま、ついにボクの番になりました。
カーテン奥に待っていたのは、ボクの母親くらいの年齢の女性医師と2人の若い看護婦さんでした。
「では、『放尿試験』からいきます。床に置かれたバケツにオシッコをしてみてください。」
「は、はい。」
パンツからオチンチンを出そうとしたけれど、さっきの刃物が脳裏に焼きついてオチンチンまでも恐怖でパンツの奥に引っ込んでしまっているみたいで、なかなか出てこない・・・。心なしか股間もムズムズしている・・・。
「恥ずかしいのかな?手も震えているわよ。・・・私たちしかいないんだから、パンツも脱いじゃっていいわよ。」
予想外の展開に戸惑いつつも、とにかくパンツを脱いでスッポンポンになった。
「どうしちゃったのかな。オチンチン萎んでいるみたいね。」
「・・・。」
「怖がらなくていいのよ。男の子なら必ずこの試験は経験するんだから。・・・じゃあ早速、その位置からバケツに放尿してみて。」
バケツにオチンチンの先を向けてオシッコを出そうとしたけれど、恐怖のあまりオシッコが出ない・・・。このままだと、バケツに届きそうにないから仕方なくバケツのそばまで行ってとにかくオシッコを出すことに集中した。
(出ろ、出ろ、頼む出てくれ。)
しかし、出ろ出ろと思えば思うほど、オシッコが出ない。オシッコがオチンチンの先端まで来ているような気はするけど、そこからの後一歩が遠い・・・。
ようやく3分ぐらいして、わずかにチョロっとだけオシッコが出て、ポタタッという音がバケツの底を打ちました。
「んー、それだとチョロチョロとしか出ていないから、しっかりと放物線を描いて出るかを判断することは難しいわね。正直疑問は残るけど、一応立ちオシッコにはなっていたから『放尿検査』はバツじゃないけど、マルはあげられないわ。でも、知らないおばちゃんの前で立ちションするなんて恥ずかしいものね。でもこれまでの子達は恥ずかしくても堂々とオシッコをしているわよ。」
ボクの『放尿検査』の欄には三角が付けられてしまった。
「次に『通常状態検査』に行きます。そのまま気を付けをしてください。」
何とか平常心を取り戻そうと努力をするけど、こんな時に限ってなかなか思うようにならない。オチンチンも萎んだままだ。
「北山君、ちょっとごめんね。」
先生はそう言うと、ボクのオチンチンの先端を両手で摘んでグイッと引っ張ってきた。
「あうっ。」
「ごめん、ごめん痛かった。オチンチンが縮んでいたもんで、長さを見せてもらおうと思って。」
「・・・。」
「引っ張った時のオチンチンの長さは規定より長いんだけどね・・・。いつもキミのオチンチンはそんなに縮んでいるの?」
「いえ、そんなことはないです。緊張しているもので・・・。」
(あの刃物が怖いなんて言えない・・・。)
「じゃあ、そこでゆっくり深呼吸を3回してみて。」
「さっきよりは少し伸びたかもしれないけど、まだ縮んでいるわね。・・・そこの物差しを貸して。」
看護婦が持ってきた計測用の物差しがボクのオチンチンにあてがわれました。黄色い印のある場所まで長さがあれば合格です。
「んーっ。惜しいわね。」
(嘘っ!!)
「引っ張って状態なら十分合格なんだけど、何もしていない状態だとちょっと足りないかな。」
「もう一回測ってくれませんか?」
「いいわよ。・・・ほら、ちょっと足りない。緊張しているといっても、もう検査が始まってかなりの時間が経っているから、この結果を採用するしかないわ。」
「そんな・・・。」
「引っ張った常態なら合格ラインにいっているけど、これは『通常状態検査』だからね・・・。今は保留にして、次の『膨張率検査』の結果を見て判断するわ。ここでバツが付いたら、次の検査に影響が出ちゃうと困るからね。」
(それって、この時点でもうあぶないってこと・・・。)
ボクの『通常状態検査』の欄は空欄になりました。
「ねえ、この子アブナイ?」
「ヤバいかもね。」
看護婦さんたちのヒソヒソ話がボクの耳に入ってきました。そればかりでなく、ボクのブルマ検査があまりにも長いので、保健室の外で待っていた子達がシビレを切らしたのか保健室に入ってきていました。
「北山、ブルマになるのか?」
「きっと、昨日北山に釣られた魚たちの呪いだ。」
「昨日の男同士の約束守れよ。」
「こらっ、静かに外で待っていなさい!」
外野たちの騒ぐ声で、焦りと心臓の鼓動は最高潮になっていました。
「やっと静かになったみたいね。北山君、では膨張率を測りますので、オチンチンを大きくしてください。」
(今度こそ・・・。)
オチンチンを勃起させようとして、股間に力を入れているつもりだけど、さっきの失敗の焦りもあってか、自分の意思に反してオチンチンが大きくならない・・・。
「なかなか大きくなりませんね。ねえちょっと、この子のオチンチンしごいてあげて。」
先生がそう言うと、1人の看護婦さんが優しくボクのオチンチンを摘むと、シコシコとしごき始めました。しかし、妙な気分になるだけで、オチンチンは大きくならない・・・。
「恥ずかしいのかな。じゃあ、自分でやってみて。」
今度失敗したらそれこそ大変だ。自分の「男」をかけて、とにかくしごいた。もうこの場から逃れたい。目に涙が浮かんできた。焦りのためか、体中から汗が吹き出てきて、オチンチンをしごく手も汗でヌルヌルしてきてしまった・・・。
(大きくなれ。大きくなってくれ。なんでなんだ。ヤバイ、ヤバイ。)
オチンチンを必死でしごく情けない姿を晒しながら、時間だけが過ぎていった。
「だめですね。時間切れです。残念だけど北山君は『膨張率検査』、不合格です。」
(そ、そんな・・・。)
「こうなると、中途半端な結果だった『通常状態検査』にも合格はあげられないわ。もう仕方ないわね。北山ナツキ君にブルマを宣告します。」
それは、あまりにも予期していない結果だった。
(ちょ、ちょっと待ってくれよ。)
「彼を隣の部屋に連れて行ってあげてください。」
看護婦さんに腕をつかまれたとき、ボクは渾身の力で抵抗しました。
「もう一度・・・、もう一度測ってくれよ。昨日自分で測った時は十分合格の大きさだったんだから。」
「あなたに対する検査はもう終わりました。それに、キミに限らず結果に納得できない子はそうやって抵抗するものです。」
この理不尽な結果を受け入れられず、ボクは保健室の柱にかじりついて必死に抵抗をしました。
「嫌だ、嫌だ。ブルマなんて嫌だよ。ボクはこれからも男でいるんだ。」
「自分が男だと言うのなら、最後ぐらい男らしく結果を受け入れなさい。」
必死に泣いて抵抗をしたのですが、最後は1人の看護婦さんに両脇を、もう1人に両脚をかかえられ、隣に設けられた施術室になっている保健準備室へ連れて行かれてしまいました。
「ブルマへ」
施術室に入ってからも結果に納得できないボクは、施術室から脱走しようと部屋の中を逃げ回りました。しかし、女性医師と看護婦さんの3人にあえなく捕まってしまいました。
「仕方がないでしょ。あなたのオチンチンは不合格なのよ。」
「嫌だ、嫌だよ。お願いだからもう一回測ってくれよ。」
「ダメです。でも私たちも鬼じゃないからね。このまま施術をするにはかわいそうだから、施術の前にトイレに行かせてあげます。最後の立ちオシッコですからしっかりとやってくるといいわ。」
仕方なく、看護婦さんに連れられながらしぶしぶトイレに入りました。さすがに看護婦さんはトイレの中までは入ってこなかったけど、しっかりと入り口で待っているため、逃げられない・・・。
今はトイレの中にボク一人だけだ。緊張も解けたせいもあってか、急にオシッコがしたくなってきた。小便器に向かうと、いつものように普通に勢いのあるオシッコがオチンチンから出てきた。
(何で今になって・・・。)
もしかしたらと思い、オシッコが終わってから看護婦さんが見ていないことを確認して、オチンチンをしごいてみた。するとムクムクッっと、さっきの検査の時が嘘のように大きくなった。
(この状態を見てもらおう。そうしたらきっと。)
急いで外にいる看護婦さんを呼ぶと、今の勃起したオチンチンを見せました。看護婦さんは少し赤面しましたが、すぐに先生を呼んでくれました。
「先生、ボクのオチンチンちゃんと大きくなります。見てください。」
さっきの『ブルマ宣告』が撤回されることを祈りながら、勃起したオチンチンをとにかく見せ付けたのですが・・・。
「わかりました。ちゃんと大きくなることは認めましょう。しかし、本番に弱いオチンチンには合格点はあげられないわ。残念だけど諦めてもらうしかないわね。」
「そんな、せめて再検査・・・。」
「もうキミの結果はすでに本部に送信してしまったの。だから今さら撤回はできないわ。」
この冷淡な結果にボクは声を上げて泣きました。幼児がほしいものを買ってもらえないときのように、とにかく泣きながら暴れて、必死に抵抗をしました。
しかし、ボクの抵抗は最後まで聞き入れられることはありませんでした。
「聞き分けのない子ね。だったら、少しおとなしくしていてもらうしかないわね。」
そう言って女医さんが持ってきたものは太い注射器でした。
「悪い子のオチンチンには、お注射をします。」
2人の看護婦さんに押さえ込まれた姿勢のまま、女医さんはボクのズボンを脱がすと、オチンチンを摘んで素早く消毒を済ませて、注射器の針をオチンチンに刺しこみました。
「ギャア!痛い、痛い。」
「まだあなたの後には検査を控えた子達が待っているんだからね。しばらくおとなしくしていなさい。」
針がオチンチンから抜かれてしばらくすると、全身の力が抜けてその後の記憶がありませんでした。
下半身に感じる違和感で気が付くと、ボクは台の上に寝かされていました。顔の横の何か光る物に気が付いてそれに目を向けると、それはブルマ検査の前に見たあの刃物たちでした。
(やっぱりあれはオチンチンを切る道具だったんだ。・・・ということは今ボクが寝ているところは・・・。)
「うわあああぁぁぁぁ!」
「あっ、気が付いたの。さっきオチンチンとタマタマを取ったところだから、今仕上げをやっているからもう少し待っていてね。」
足元のほうに目をやると、ボクにブルマ検査をした女医さんと看護婦さんがボクの股間を包帯でグルグル巻きにしていました。
「終わったわよ。このまま2時間ほど横になって休んでいるうちに新しいお股があなたの体になじむわよ。」
このあと、しばらくは放心状態のまま保健準備室の天井を眺めていましたが、さっきの、先生の「オチンチンとタマタマを取った」という言葉にだんだんと恐怖がこみ上げてきて、包帯の上から股間をさわってみると・・・。
(ない、ない。なくなっちゃった・・・。)
急いで包帯を解いて中を確認すると、ボクの股間には一本の線しか付いていませんでした。
「うわああぁぁぁん。」
自分の股間に女性器が付いたショックと、どうしていいかわからない気持ちで声を上げて泣きました。
「ああ、もう見ちゃったのね。いきなり女の子になって北山君も辛いだろうけど、先生たちもブルマを宣告するのは辛いのよ。でもこれはもう決まったことなんだから、早く心を入れ替えてブルマとしての道を歩むの。」
「嫌だよ!オチンチン返せよ!ブルマなんて嫌だよ!切られなくていいはずのオチンチン切りやがって。男に戻せよ!再検査ぐらいしてくれたってよかったじゃんか。」
再検査もしてもらえず、オチンチンを切られたことの怒りをボクは力の限りぶつけました。
「そんなこと言ったって、仕方がないでしょ。もう切っちゃったオチンチンは元に戻らないんだから。いい加減に観念しなさい!」
「絶対嫌だからな!誰がなんと言ってもオレは男なんだ。これからも男でいるんだ!」
このボクの態度に、先生の態度が一変しました。
「あらそう。どうしても結果を認めないのね。あなたは男なのね。わかったわ。この子のところに検査用のバケツもってきてあげて。・・・男ならもう一度検査してあげる。『放尿検査』よ。このバケツにオシッコしてみなさい。」
「・・・!?」
「あなたが結果を認めないなら、私たちもあなたがブルマになったこと認めないわ。さあ、立ちオシッコやってみなさい。できなかったらおしおきよ。」
「・・・。」
「さあ、やるの?やらないの?」
先生を本気で怒らせてしまった。もうオチンチンもないのに立ちオシッコなんてどうやったらいいのか・・・。
「バケツを見ているだけじゃ、いつまでも終わらないのよ。こっちだって忙しいんだからやるなら、さっさとやりなさい。」
(そんなこと言ったって・・・。)
とにかく、右手をチョキにして何もついていない股間にあてがった。オチンチンを摘むイメージを持って。でも、余計にオチンチンがなくなったことを思い知らされ、情けなくなる。
「ふーん。そうしたらできるの?じゃあ早くやってみなさい。でも、今度も失敗したら本当におしおきよ。」
(もうどうにでもなれ。)
もうヤケクソになっていた。先生たちを困らせてやろうと、後のことを考えずに、思いっきり放尿してやった。
しかし、ボクの思惑とは反対に、先生を困らせるどころか、真下に垂れたオシッコで足はずぶぬれになり、自分の足元に、オシッコの水溜りを作っただけだった。
「あらあら、たいした立ちオシッコだこと。本当にやるとは思わなかったわ。ほとんどのブルマの子は、わがままを言っていても、バケツを前に出されるとおとなしくなるのにね。無理やり立ちオシッコをして抵抗したつもりかもしれないけど、オシッコはバケツにとどいていないし、どっちにしても『放尿検査』は失格ね。約束どおりおしおきを受けてもらうわよ。」
(おしおき?)
「悪いけど、この子もう一度台の上に寝かせてやって。」
助手の看護婦さん2人にまた捕まり、足を開いた状態で押さえつけられるように寝かされてしまいました。
「放せ、放せよ。」
「悪い子にはお灸をすえます。これに懲りてもう男の子に戻りたいなんて思わないことね。」
そう言うと、先生はボクの拳ほどもある蓬の塊を持ってくると、それを、ボクの股間のスジの間に押し込みました。
「ごめんなさい。嫌だよう。お願いだから止めて。」
「今度は哀願?でもダメよ。しっかりと反省してもらうわよ。」
「熱い、熱い、消して。もうやめて。」
股間の熱さに耐えながらもう泣くしかありませんでした。
お灸が終わるとようやく「お解き放ち」になりました。
しかし、ボクはしばらくの間は股間のジンジンという痛みに耐えながら、ひとつのことに気がつきました。
(今までこの保健準備室(施術室)にボク一人だけだったということは、みんな合格したんだ。何でボクだけ・・・。それに昨日の磯釣りの時の男同士の約束はどうなるんだ・・・。)
そう思うと、また涙が出てきました。
家に帰ると、学校から連絡が行っていたのか、もう家族はボクがブルマになったことを知っていました。しかし、心の整理がつかないボクはその日、できるだけ家族と顔をあわせないようにして早めに寝ることにしました。
「ブルマ検査の翌日」
次の日から、本格的にボクに対するブルマの教育が始まりました。今日からしばらくの間、登校してもボクだけ別教室になっていましたが、心の切り替えができていないボクはいつもどおりの男の子の格好で登校しました。
個別の授業が始まる前に、そっと自分のクラスに行ってみると一時間目が体育のせいもあってだれもいませんでした。しかし、席替えが行われたようで、ボクの机は女子の列に並べられており、壁に貼られた名簿を見ても男子のところにあったボクの名前は黒く塗りつぶされていて、今は女子の一番最後に書かれていました。
(本当に女の子になっちゃったんだな・・・。)
「ここにいたのね。早く指定された教室にいらっしゃい。」
ボクに声をかけてきたのは、今日からの教育担当の先生でした。
「ブルマになってまだ心の整理ができていないと思うけど、ちゃんとキミの帰るクラスはあるんだから、今日からしばらくの間がんばるのよ。」
(心の整理なんて言われても、本当は切られなくてもいいオチンチン切られちゃったんだから整理なんかできっこない。)
そう思いながら、その先生にひとつの疑問をぶつけてみた。
「ボクの・・・、ボクの切り取られたオチンチンとタマタマどうなるんですか?」
「そうねえ、確か研究のために解剖されるとか・・・。」
「解剖!!」
「切り取られたすべてのオチンチンとタマタマが解剖に回されるわけじゃないけど、とにかく最後には廃棄されてしまうはずよ。どっちみち、今日中には保健室に回収業者が引き取りに来るはずよ。」
先生の「待ちなさい」の声も無視して、とにかくボクは保健室に走りました。外を見ると、先生の言っていた回収業者のものと思われるトラックがやって来ていました。
(待って、ボクのオチンチン。解剖されちゃうなんてイヤだ。)
無我夢中で保健室に飛び込んだところ、幸か不幸か保健の先生は不在でした。
(ボクのオチンチン、ボクのオチンチンどこだ、どこなんだ・・・。)
仮に見つけられたとしても、元のように体にくっつく保証なんてありません。でも、とにかくオチンチンを見つけたくて必死に探しました。
戸棚、机、引き出し。どこを探しても見つかりませんでした。最後に、一番探したくないところだったのですが・・・。部屋の隅にケガの治療などで使った脱脂綿などを入れる「汚物入れ」の中。
(もしかして、この中・・・。)
泣きたい気持ちをこらえて汚物入れのふたを開けると、ガーゼや脱脂綿の中に北山ナツキと書かれた小さなビニール袋に入れられた見覚えのあるものが。
「あった、ボクのオチンチンとタマタマ。」
オチンチンの入った袋を持って保健室を出ようとしたのですが・・・。
「やっぱりここにいたのね。あーあ、こんなに散らかしちゃって。」
教育担当の先生と保健の先生に見つかり、オチンチンを取り上げられてしまいました。
「いい?何度も言われたと思うけど、あなたはもうブルマなの。もう決まってしまったことなんだから、いい加減に諦めなさい。」
「・・・・。」
「業者さんお願いします。」
保健の先生はボクのオチンチンを業者の人に渡すと、ボクをトラックのところまで連れていきました。
「いい?よく見ておきなさい。」
トラックの荷台の中は、ゴミ収集のパッカー車のようになっており、ボクの見ている前で、オチンチンとタマタマはその中に投げ込まれてしまいました。
「ボ、ボクのオチンチン。」
パッカーの回転板が容赦なく投げ込まれたボクのオチンチンに噛み付くと、タマタマもろとも板と鋼鉄の床に挟まれて押しつぶされながら荷台の奥に消えていってしまいました。
「うわあああぁぁん。」
もう泣くしかありませんでした。
「これで諦めがついたでしょ。ひとつしかないオチンチンはもうないの。」
この後、ボクは保健の先生から教育担当の先生に引き渡され、教室へと向かいました。
教室に入ると、ボクにとっての辛い儀式がありました。
「もうわかったでしょ。いつまでもオチンチンに未練を持っているからさっきみたいに辛い思いをするハメになるの。これからキミに対するお教育を始める前に、ブルマとしての自覚を持ってもらうために着替えてもらうわ。今はあなたのクラスは体育だから、一応ここでも体操服になってもらうわ。」
ボクの使う机の上には女子用の体操服が置かれていました。もちろん下は短パンではなくブルマーでした。
「これから、あなたが毎日のように着る服よ。この教室には私とあなたしかいないんだから、すぐに着替えちゃって。もう今は女同士なんだから恥ずかしくはないでしょ。」
オチンチンが完全になくなってしまった今となっては、もう暴れて抵抗することもできませんでした。ブルマになって初めての女の服でしたが、もう素直に着るしかありませんでした。
体操服の上は今までと変わらないけど、隙間のあるダブついた男子用の短パンとは違った、下半身をピッチリと直に包み込むような感覚のあるブルマーは、穿くと当然ながら体のラインをそのまま表しており、自分がうつむいた視線から下を見ると、体のラインはへその下あたりでわずかにまるい、なだらかな盛り上がりを見せながら、そのまま両足の間に吸い込まれるように消えていました。
「初めてにしては結構似合っているわよ。」
そう言う先生の言葉にどう答えてよいのかはわかりませんでした。ボクにとって、ブルマーを穿くということは、自分がもう女であることを完全に認めたこと、それにブルマーが描くボディーラインから、常にオチンチンはもう付いていないということを見せ付けられること、つまりこの時点で男を「敗北宣言」したことにほかなりませんでした。
この「敗北宣言」の着替えが終わると、ボクのブルマ教育が始まりました。
「その後」
ブルマになって一ヶ月、ブルマの教育も一段落した頃、久しぶりに仲間と磯釣りをした岩場に向かいました。岩場では以前のように仲間たちのはしゃぐ声が聞こえてきました。
(今すぐにあいつらのところに行きたい。でも・・・。)
久しぶりに会うこと、女の子の格好のボクを見て、仲間たちがなんと言うか心配でしたが、思い切って声をかけてみました。
「おーい。釣れているか。」
しかし仲間たちは、ボクを見ると冷たい視線を投げかけてきました。
「何が釣れているかだよ。」
「お前だけ、男同士の約束破ったじゃんか。ブルマになんかになりやがって。」
「そんなこと言ったって・・・。」
「北山とは遊べても、北山さんとは遊べないな。」
「・・・。」
「俺たちが釣れていなくても、お前はもう大漁じゃんか。」
(えっ!?)
「お前の股にはアワビがついているもんな。」
「そーだ。いつでもお前は大漁だ。大漁だ。」
「裸になって股間見せてみろよ。」
「お前のアワビ釣り餌食うかな?」
一人が、釣り餌のついた針をボクの股間に近づけてきた。
仲間たちの非常な態度に、悔しくて涙が出てきました。
「もうやめようぜ。こいついじめて俺たちまでブルマにさせられたら嫌だからな。アワビ男はほっといて行こーぜ。」
笑い声がしたかと思うと、ボクを残してみんな行ってしまった・・・。
一人なじみの岩場に取り残され、涙が枯れるまで泣いた。
でもこれからは彼らは男の道、ボクは女の道を行くことになる。仕方がないことだ。そう考えて諦める他なかった。
しかし、これまでのすべての出来事は、ブルマ検査の日、自分のちょっとした出来心から始まったことだと考えると、悔やむに悔やみきれないあまりにも大きすぎる代償だった。
(おしまい)
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投稿:2012.06.08
ブルマ検査の日 出来心の代償
著者 やかん 様 / アクセス 28327 / ♥ 7