なあお前ら。
…お前ら、女のあそこって見たことがあるか?
しかも海辺で。
俺はあるんだ。
今からするのは、そのときの話だ。
あれは、俺が14歳のときだった。
夏休みに、盆の帰省で息抜きも兼ねて、父方のばあちゃんの家に行ったんだ。
暑い夏の夜だった。
眠れなかったもんで、歩いてちょっとのところにある浜辺に向かったんだ。
満月がきれいだったなあ。
潮風も気持ちよかったし。
ばあちゃんとおじやおば、いとこたちは、夜中…特に、満月の夜には、お前みたいな若い男は絶対浜辺に行っちゃいけないって言ってたんだけど、俺はそのことを無視してたんだ。
浜辺のあちこちに、「夜間の立ち入りを禁ずる」と、漁協と村の自治体の記名入りの看板が立っていたりもしたのに。
若いときにはありがちなことだよな。
俺は、「こんなに穏やかな浜辺なのに、何でだろう」と思いながら、サンダル履きのままで浅瀬を歩き回っていた。
そしたら、そこに、それはあったんだ。
「うわあ…」
水深2〜3センチの海中にある岩場にくっついていたもの。
それは間違いなく、女のあそこだった。
しかも実物大。
いや、それよりちょっと大きめだったかもしれない。
とにかく、そこにそれは、あったんだ。
友達の家で、「父ちゃんが隠し持ってた」洋ピンのエロビデオで見たやつ、そのまんまだった。
それよりも、ピンク色が鮮やかで、ずっときれいだった。
月の光で、てらてらと輝いて、それはもう、凄くきれいだったんだ。
俺は、海水に指を入れた。
そして、まず、クリトリスっていうのかな、そこの部分を、指先で、ちょっと突っついてみた。
あそこ全体が、びくんっ!!って感じでうごめいた。
「反応するんだ、こいつ!!」
海の中なので、嘗め回すってわけには行かなかった。
もし、海の中じゃなかったら、俺は絶対そうしていただろうなあ。
次に、俺は、物欲しそうにパクパクしている穴の中に指を入れてみた。
そしたら…
そいつは、俺の指を締め付けてきた。
しかも、肉が絡みついてきて…
なんと言うか、こう、奥のほうへと吸い込むように、ひくひくと痙攣しながら蠢いてきたんだ。
よく、イソギンチャクに突っ込んじゃって、毒を持ってて腫れあがって…
なんて馬鹿話があるから、俺はそれだけが怖かった。でも、指がしびれてくるとか、痛痒いとか、そんなことは全然なかった。
俺は、しばらくその感触を楽しんでから、指を引っこ抜いた。
ちゅぽ、って音がして、抵抗を伴ってなかなか抜けないくらいだったんだ。
何でこんないいものがあるのに、「夜の浜には絶対行くな」なんて言ってたんだろう。
確かに、浜には誰もいない。
特に、俺と同い年くらいのやつは、誰一人としていなかった。
そうか、きっとそうだ。
誰かずるい大人が、これを独り占めしようと思ったんだ。
だから、そんなことを言ったり、念入りに看板まで立てたりして、夜の浜に近寄らせないようにしようとしたんだ。
きっとそうに違いない。
そうなったらもう、やることはひとつしかなかった。
もう、実を言ってしまうと、これを見つけたときから、俺のチンポはトランクスの中で痛いくらいにギンギンにおっ勃っていたんだ。
もうパンパン。
ちょっと触っただけで、ばん!ってはじけそうなくらい。
夏だったもんで、着てるものといえば、タンクトップとトランクスだけだったし。
俺は、早速トランクスをずり下ろした。
先っぽが引っかかって、腹を、ぺしっと打ち付けた。
仮性包茎だったチンポの先っぽは、半剥けになって、こっちもやっぱり口をぱくぱくさせながら先走りがだくだくと溢れてきていた。
引っかかってる皮を、剥き下ろしてみた。
そしたら、なんとチンポは、亀頭が立派にえらを張った、大人のそれと寸分変わらない形になっていた。
こんなに立派になっているのは初めてだった。
せめて、亀頭がピンクじゃなかったらなあ。
俺は、そう思いながら、チンポを握り締めた。
俺は、あそこの入り口に、亀頭を押し当てた。
そして、一気に腰を沈めた。
チンポは、吸い込まれるかのように付け根まで一気に中に入っていった。
「おおおっ!こ…これはっ!」
その中は、冷たいだけで思った以上に気持ちがよかった。
締め付け、絡み付いて吸い込んでくる。
しかも、小陰唇とか呼ばれてるあのビラビラが、薄く延びて玉袋を柔らかくすっぽりと包み込んできた。
「うおっ…タマが…タマがっ!!」
俺は、玉を袋越しに転がされながら悶絶した。
まさに「極楽穴」だ。
こりゃ地元の大人たちが内緒にしておきたい、近づかせたくないと思うわけだ。
ところが、いざ腰を振ろうとしたときに…
「あ、あれっ!?」
岩場のあそこは、俺のチンポを付け根までくわえ込んだまま、抜き差しならぬ馬鹿力で締め上げてきた。
「な、なんだなんだ!?」
そして─
チンポと玉袋の付け根に、今まで感じたことのない衝撃が突っ走った。
俺の記憶は、いったんここで途切れている。
意識を取り戻したときは、俺は病院のベッドの上。
下半身にカテーテルを突っ込まれ、点滴を打たれていた。
「だから夜の海には行くなといったのに」
ばあちゃんのそんな声が聞こえてきた。
そしてそのまま、夏休み中ずっと入院する破目になった。
カテーテルは、ションベンを溜める袋につながってて、下半身…
特に、股の辺りがじんじんと疼いた。
そして、包帯をはずし、カテーテルを抜く日がやってきた。
包帯越しに、なぜか股間の膨らみがないことに気付く。
そして…
俺の股にあった物は、チンポはもちろん、キンタマも二つとも跡形もなくなっていた。
呆然としている俺に、医者はこう説明した。
「君は、股間を血みどろにして倒れているところをドライバーに発見された」ということ。
そして、俺がチンポを突っ込んだ「女のあそこ」とは、シャコガイによく似た大型の貝であるバンリキガイ、地元では通称「チンボクイ」と呼ばれるその地方特有の肉食の貝だということ。
その貝は、満月の夜には水の中で獲物を待ち構えて口を開いており、俺がクリトリスだと思って触った部分に刺激を与えると、魚を誘引する物質を海水に放出し、穴へとおびき寄せる。
穴に頭を突っ込みでもしたら、小陰唇みたいな部分が延びて、魚の全身を包む。
それからそのまま奥へと蠕動運動を開始し、一番奥まで入り込んで出られないようにしたところで、一気に殻を閉じた後、締め上げて全身骨折させてから、消化液を分泌して溶かしてしまうということだ。
一回魚を食ってしまうと、それからは次の満月の晩まで何も食べなくても平気らしい。
殻は、巧みに岩にカモフラージュされているし、貝殻の内側はバンリキガイ自体の肉で覆われている。
だから、魚たちは、まさかそれが地獄のバンリキガイだと思わずに手出ししては飲み込まれてしまうという。
ほかの肉食性の魚やタコ、ヒトデなども、バンリキガイを食べようとしたら、速攻でその地獄の殻を閉じて、一挙に体が寸断されてしまうということだった。
そして、寸断された部位は、バンリキガイの穴に飲み込まれ、やはり溶かされて吸収されてしまう。
昔はよく、バンリキガイに突っ込んでしまった若者が、チンポを丸ごと、チンポを半分といった感じで食われていたそうだ。
ちなみに俺は、50年ぶりの犠牲者で、「付け根まで入れていたために、男性器全体を切断されていた」ということだ。
…要するに、俺が突っ込んだあの穴は、極楽穴ではなく地獄穴だったというわけだ。
「貝を切り開いて取り出せないか」とたずねても、「もう消化液でどろどろに溶けている」と返されるだけだった。
その事件がきっかけで、俺は、童貞のまんまで、チンポをキンタマ諸共失ってしまう破目になった。
バンリキガイのあったあの浜はどうなってしまったかというと、俺がそうなったのは、もう20年以上昔だし、生活排水による汚染と埋め立てで、あの岩場も磯物もとっくの昔になくなってしまった。
だから、バンリキガイがどうなってしまったのかは判らない。
ひょっとしたら、生き残りがいるかもしれないが、きっと汚染のない深い海の底にいるのだろう。
でも…
時々、こう思う。
あの貝の中は、本当によかったなあ、と。
もし、今でもチンポと玉がついてて、女とやることがあっても、あれほどの物に巡り会うという事はないんじゃないか、って。
いや、ひょっとしたら、あの貝以上の女がいたのかもしれないと思わないこともないが、今の俺には、もう突っ込もうにも勃つものがないし、それ以前に玉もないので、正直女を見ても何も感じはしないんだ。
まあ、もし浜辺で女のあそこを見たら気をつけろ。
それは、チンボクイことバンリキガイだ。
俺みたいに下手すりゃ丸ごと食われちまうぞ。
…食われても構わないってんなら、突っ込んでみるか?
まあ、それはあくまでも自己責任だ。
俺のせいじゃないからな。
-
投稿:2013.09.12更新:2013.09.13
浜辺にて
著者 真ん中 様 / アクセス 13197 / ♥ 3