初めての方は古城の中から◆PART1〜バブルの果て◆からお読みください
さて、博物館開設のための会議が開かれました。
博物館は展示だけではなくて、体験型を兼ねる画期的施設になるとか。
そして実際の拷問、処刑の研究も、実践を通じて行うことになるようです。
では、会議の様子を覗いてみましょう。
「ここにあるような刑具を世の人に広く見てもらうことには異存はございませんな。」
「同感ですね。場所はここしかないでしょう。」
「でも、今のままじゃあ、東京のどこかの大学にある刑事博物館とあまり変わらん。」
「あっちは全部復元模型。こっちには大枚をはたいて入手した本物もあるぞ。」
「見物客には区別つかん。」
「ちょっといいですか。復元模型でもいいから品数を増やしたらどうでしょうか。」
「それはそれで良いが、それだけで人は呼べない。」
「ホテルと温泉で売り込んではどうでしょう。」
「おニューのときでさえ経営破綻したんだ。我々趣味人ならともかく観光客に提供できる設備を再建するのにどれだけかかると。」
「人気テーマパークに学んではどうですか。機械や人形だけじゃなくて人間がパフォーマンスをすればうけますよ。」
「体験コーナーはどうでしょう。実際の刑具で体験できる場所はそんなにありません。」
「確かに潜在的需要はあると思います。他にないような変わったものも入れては。」
「先日の宮刑体験の希望者も多かったですし。」
「人件費が膨大だ。」
「ボランティア会員の協力を求めるんです。みんな好き者揃いですから無報酬でも来ますよ。」
「駅からの送迎ぐらいはしないとな。元々ホテルだから宿泊の心配はいらないな。」
「今のボランティア会員の数じゃあ、毎日開くのは無理だな。」
「男女比率も極端ですし。」
「平日やシーズンオフは刑具の展示だけで我慢しましょう。」
「ところで危険はないのか。」
「火傷や切り傷ぐらい気にする連中じゃないですが、外科医の私もチェックしましょう。」
「先月行った股裂き実験は公開するといいですね。」
「あれはやはり直前に性器切断して傷口を作っておくのがコツだな。」
「そうですね。去勢しておかないと、股が裂けずに失敗した例もありましたからね。」
「傷口はできるだけ大きくして、できれば縦長がいいようだ。」
「その点、先日は立木でも股裂きが見事胴体真っ二つだった。」
「橋から渓谷へのバンジージャンプ施設を利用した股裂きは成功率高いです。」
「本物の牛を使った牛裂刑も見事だった」
「女性の場合は股裂きになるより手足が外れることの方が多い。」
「男でも身体が真っ二つにならずに片脚だけ失って、松葉杖生活のボランティアも結構出ているな。
「彼らは彼らで片脚でもやれる仕事が、ここには十分にありますから。」
「やはり。事前に股間に切れ目を大きく入れておくのが成功のコツのようです。」
「バンジージャンプの去勢でうまくいっているので、宮刑体験も傷口の縫合はやめましょう。」
「手足を引っ張る四肢裂きでも、性器を切断して行うと迫力はなかなかのものです。」
そうだな。中国の宦官手術も傷口は縫わなかったし。」
「股裂きとか宮刑とか、こういう企画の一般公開についての法的問題はどうなの。」
「弁護士の立場からは、しっかり契約書を作れば問題ないかと。本人了承なら性転換や去勢はもとより、手脚切断や安楽死の実行も認められる時代ですから。」
「オープン前にボランティアの希望者の嗜好調査がいるな。」
「実際に体験させて納得したセクションに配置することになりますね。」
「ボランティアの体格に合わせて刑具を調整する必要もあります。」
「年に何回かはイベントもやりたい。そこで普段は出来ないこともやるとか。」
「事前研修も必要だ。博物館とはいえ一応接客業だし。」
「従業員は接客業でもいいけど、ボランティアはパフォーマーとかアーティストと位置づけた方が物事が進みやすいかな。」
「全国のボランティア会員も増やしたい、ネットで募集しよう。」
「ただし、企画内容の詳細はオープンまで秘密の方がサプライズが強力だと思います。」
「そこはIT担当に任せよう。他にアイディアはないか。」
「ボランティア募集というと仰々しくて踏ん切りがつかないかも。どうでしょう。いっそお客がその場で申し込める体験コースも作ってみたら。」
「規格化したコースにするには体格や年齢の問題がハードルかな。」
「遊園地の乗り物に乗って、そのまま拷問体験ができるというのは。」
「人間の形をして上から吊る檻、なんていったかな、そこにあるそれ、ああジベット、ジベットに入って運ばれるというのは。」
「いいねえ。コースの途中で水責とか灼熱地獄とかを通過する。」
「ハードコースとソフトコースを用意した方が良さそうな。」
「ダッキングストォールとかいう水漬椅子も乗り物になりますね。」
「服はどうします。それに第一採算取れますか。」
「でも、それでお客が呼べるならそちらも是非検討を。」
「次回は企画書、用意します。」
こうして長い会議も終わったようだ。
(PART3に続く)
-
投稿:2014.01.22更新:2023.02.25
古城の中から◆PART2〜プロジェクト始動◆
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 40128 / ♥ 219