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私、片岡ススムが自分の出身校の学寮をご紹介したからもう10年以上の歳月が流れた。その間に寮の運営も変わり、寮生の生活にも劇的な変化があったので、ご紹介したい。
まず、最初に変わったのが貞操帯である。私の頃はペニスを切断するまでの繋ぎのようなもので、先輩が使い古したものからサイズが合うのを使い回し、当然着用中も違和感があって、正直こんなことなら早くペニスを取ってしまいたいと思ったものだ。
しかし、10年前に最新式の貞操帯が導入されると風向きが変わった。この貞操帯はその気になれば生涯着用が可能なことから「永久貞操帯」とも呼ばれる優れモノである。今までの貞操帯が褌型であるのに対して、前は前陰部全体を、後ろは臀部全体をスッポリ金属で覆うパンツ型をしていて、1人1人採寸が必要なオーダーメイドで高価なものだが、下腹部から股間全体を体のラインに沿ってスッポリと覆い、臀部も尻の形に添って流線型に型取られているスタイリッシュな外観と精巧な機能は、モダンな啓林大学生にふさわしいとして、たちまち新寮生を魅了してしまった。
翌年からは、この貞操帯を4年間決して外さないことを条件に、ペニスの切断をやめようということになったのだ。
新入生に自分用の貞操帯が配給されると、まず最初の3ヵ月は着脱可能で、身体の線にフィットしているかなどを確認する。続いて3ヵ月の連続着用で問題がないと、いよいよ卒業まで「半永久ロック」となる。
ただし3年半のうち、1年後と2年後に貞操帯を外してのチェックが入る。このときに最初の3ヶ月では処理しきれなかった永久脱毛の追加処置をする。これは股間部を清潔に保つとともに、後で触れる股間部の臭い対策のためにも重要であるが、寮生は結果として卒業後も一生涯パイパンの股間となる。
プラスチックの硬いラバーは、ペニスを格納する部分と陰嚢を格納する部分に分かれ、施錠後は貞操帯全体が股間に密着するので、貞操帯を動かすことはほとんど不可能。また、貞操帯は股間全体を覆っているので、指どころか細い物差しなどを入れてペニスに触れることもできなくなる。貞操帯全体が身体にきつく密着しているので、貞操帯を揺すったり壁にこすりつけたりしても、腹部の皮膚が動くだけでペニスに刺激は全く伝わらない。しかも、ペニスが専用のホール内で下向きに固定されるので、勃起することも不可能になる。
この貞操帯のステンレス鋼は特殊な材質で、ダイヤモンドカッタークラスの刃物でないと壊せない上、それを使うと身体を傷つけてしまう。一説によるとかなりの確率でペニスも切断してしまうとか。
真横から見ると新型貞操帯の前陰部のガードの固さがよくわかる。
ただし排尿には若干の問題がある。ホールに収まったペニスの締め付けは緩いので、排尿は今までの貞操帯より問題ないが、排尿に小水に勢いはなく、貞操帯下部の穴から下へ向かってぼとぼと落ちてくる感じとなる。もちろん小便器での排尿は不可能で、常に個室を利用することになる。
貞操帯の密閉性が高いので、普通にシャワーを浴びたり湯船に浸かったりするだけでは、ペニスはほとんど洗浄されない。そこで、専用の洗浄用シリンダーを穴から差し込み、ペニスを水噴射で洗浄する仕組みが備え付けられている。
しかし、これだけだと1週間程度の装着でも異臭はどうしても発生する。しかも密着している分だけ、今までの旧式の褌型貞操帯よりきつい臭いだ。そこで入浴時にホースなどで排尿穴から石鹸水を流し込んでペニスを洗うなどの対策を行うことになる。
しかし内部のペニスケースに染みついた臭いはなかなか取れない。その上に寮生の股間部自体が異臭の発生源となる。
その臭いは、便所の臭いと同じとか、水洗でない小便器の臭いみたいとか言われるので、常に香料を持ち歩く寮生もいるそうだ。
そこで貞操帯着用の寮生は股間を常にパイパンにしておく必要が出てくるが、貞操帯をメンテナンスのために外すのは1年に1回だけなので、単なる剃毛だけではなく永久脱毛の処置が必要となってくる。
特に包茎の場合、仮性包茎であっても包皮の中が全く洗えなくなるので、永久脱毛とともに、あらかじめ包茎手術を受けて亀頭を完全に常時露出されておく必要がある。
これは仮性包茎はもちろん、完全に露茎であっても、萎縮時も亀頭冠より先端に包皮が存在しないように、亀頭冠ぎりぎりから包皮を切除する。
永久脱毛と違って、卒業後の股間の形状が異様になるわけではないが、最初のうちは勃起時に皮膚が引っ張られる感覚が残る。
なお、用便でも大の方は貞操帯の排便口が大きく、肛門が直接拭けるので、全く問題ない。
実はアナルオナニーや同性愛的行為の防止のために、排便口に金属バーを取り付けたタイプも用意されている。
しかし、排便時に肛門直下のバーが支障してあまりにも不便であるとともに、バーに便が当たって不衛生なので、希望する寮生はほとんどいないのが現実だという。
4年間の貞操帯連続着用の間に、圧迫され続ける陰茎は相当に萎縮する。
入学時は巨根を誇った新入生も、4年後の卒業時には、みじめな短小包茎の陰茎に変わっている場合がほとんどで、中には徹底した包茎手術を受けているはずなのに、卒業時に貞操帯を外したら真性包茎になっていたというケースもある。
それから、衛生のために最初の貞操帯着用前と、1年に1回の股間部点検時に、相当念入りに陰毛の医療的永久脱毛の施術を行うので、卒業してからも陰毛は永久に生えてこず、生涯をパイパンで過ごさなければならない。
貞操帯着用でも立小便はできないので、小用でも大便器にしゃがんで行わなければならないのは変わらない。
そこで時間短縮のため、大便器も個室化されていないのは、以前と同じである。
大便器の周囲には、扉はもちろん仕切りもないオープンな構造は変わっていない。
陰茎切断の代わりに始まった貞操帯着用であるが、臭いの問題、小用の不便さなどが付いて回る。
そこで、3年半の間には、不自由な貞操帯から解放されたいという希望者も出る。
しかし、貞操帯の内部にはICチップのタイマーが入っていて、何があっても貞操帯を壊さない限り着脱することは不可能である。
このICチップには無線操作のパスワードがあって、緊急時に開けることができるはずであるが、現役寮生は誰もその方法を知らない上に、パスワードを3回間違えるとそれこそ「永久ロック」になってしまうらしい。
なお、GPSの位置情報が仕込まれているとか、排尿や射精を感知するセンサーがあるとか、パスワードを間違えるとペニスを切断する装置が仕込まれているという噂が、まことしやかに流れたこともあったが、現在のところそこまでそれはないそうだ。
また、この新型貞操帯着用中はパンツを穿く必要がないので、4年間ずっとブリーフもトランクスも不要である。
また、寮の名物であった入寮記念の切断ペニスの展示は、正確に型取りしたレプリカが作成されることになった。
こうして厳重に監理された貞操帯を、卒業前にを外す場合は、ペニスを根元から切断する手術を受けることが在寮条件となっている。
つまり、昔の陰茎切断時代の制度に戻るわけだ。
希望者はかっての寮生のように大学病院に行き、陰茎は骨盤との付け根から切断、尿道も会陰に移すことになる。
寮生がそれを覚悟で希望するのは、まず、快適さが今までの貞操帯より抜群に良くなり、外観も優れているとはいえ、やはり排尿と衛生問題を中心に貞操帯着用は苦痛だと思う寮生が出るためである。
それからスポーツをやっていて、貞操帯が支障となるからという場合もある。
新型貞操帯でもさすがにスポーツにはハンディが大きすぎるわけだ。
そして最後に性器の疾患や下腹部の皮膚炎などを起こして貞操帯生活に耐えられなくなった寮生が申し出ることもある。
これはちょっと気の毒な気もするが、決まり事だから仕方がない。
切断されたペニスは、昔のようにプラスチネーション加工で固められてから、入寮記念の股間を型取ったレプリカのペニス部分と差し替えられて展示される。
ちょうど同じ年度の寮生の入学時と卒業時の展示レプリカを比較してみると、16人の入寮生のうち5人が卒業までに陰茎切断していることが分かる。
貞操帯で押さえつけられていた陰茎は、ほぼ例外なく萎縮短小化したり、包茎化していることもよくわかる。
なお、中には、貞操帯生活に何の不都合もないのに、去勢にあこがれて手術を受ける寮生も出ている。
昔の伝統に憧れるのか、元々去勢願望があったのかそれは分からない。
こういう寮生も年に1人ぐらいは現れるとのことで、中には睾丸と陰嚢の除去も希望する場合があるそうだ。
なお、貞操帯側の排尿機構や洗浄装置の不都合で途中リアイアは幸い今のところないそうだ。
ここで、2年間我慢したがついに貞操帯を外す寮生がいるので、その様子をご紹介しよう。厳重に保管されたパスワードが開かれ、貞操帯が外されると、いくら洗浄装置付とはいえ、股間部は皮膚が荒れて結構ひどいことになっている。これは卒業時に外す場合でも同様で問題になった。
そこで6年前の新入生から、最初の6か月間に、包茎手術に加えて、股間の毛をレーザー脱毛や針脱毛によって、できるだけ永久脱毛しておくことが決められている。
その結果、私の頃の明誠学寮の卒業生はペニスが無いのですぐわかったが、今は股間がツルツルに近いのですぐ分かるわけだ。
手術はOBも集まって公開で行われるのは変わらない。でも今は年2〜3人しか去勢手術がなく、しかも不定期なのでかってのお祭り騒ぎの賑わいはなく、今回集まったのも10人。静かに見守るといった感じだ。
全裸の寮生仰向けに寝かされ、太ももを持ち上げた姿勢で固定される。ここまでは私の頃と同じだ。股間は入念に消毒されてから、ペニスに何本かの麻酔注射が打たれる。医学の進歩でかってのような腰椎麻酔は必ずしも必要ではなくなったそうだ。
次に寮生のペニスと腹部の境目の皮膚が輪のように切り取られる。亀頭から陰茎海綿体は全切除し、尿道海綿体だけが尿道とともに会陰に新しく作られた尿道口に誘導される。
私たちの頃は前立腺まで取るのは特殊な場合だったが、今はアナルオナニー防止のため、前立腺も全摘するそうだ。
これはもちろん新型貞操帯にはアナルが露出していうものの、貞操帯の厚みで指を突っ込んでのアナルオナニーをガードする機能を備えているので、これとバランスを保つためである。
摘出が終わると傷口の縫合である。陰嚢と睾丸はそのままなので、陰嚢の上に横に一筋の縫い目が残るだけで、これも最近の形成外科の進歩で、殆どわからないツルツル状態になるということだ。
すべての処置が終わって、寮生が運び出されていくと、説明があった。彼は、硬式テニス部からスカウトされ、将来はプロを目指すそうだ。スポーツをするのに男性ホルモンの元の睾丸は不可欠だが、陰茎ははっきり言って邪魔者なのだろう。
こうして寮生がペニスを完全に切除されると、昔は「eunuch(宦官)」の略称から、学内では誰からともなく「EU君」と呼ばれていた。今は、貞操帯着用の寮生は「chastitybelt(貞操帯) 」から「CB君」、陰茎切除済の寮生は、「penectomy(陰茎切断)」の意味の「PY君」と呼ばれているそうだ。
そういえば1年前には陸上競技部にスカウトされた寮生がいたのを思い出した。久々に母校が出場した新春の箱根駅伝では、5区の山登りを全国の注目のもと、最下位のリタイア寸前で走り切った。
テレビの画面では彼の股間に膨らみがなく、全然揺れていなかったのを思い出した。全国の駅伝ファンのうちどのぐらいの人がそれに気づいただろうか。
「それからの学寮(Part2-墨田大学経友寮編)」につづく
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投稿:2015.11.23更新:2024.10.31
それからの学寮(Part1-啓林大学明誠学寮編)
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 47864 / ♥ 266