「はぁ~~~、どうしたらいいんだろう…」
家に帰るとソファに座りうんうん悩んでいた。明日会社に行くのが憂鬱だ。
「どうしたの?」
心配そうな顔をして姉が聞いてきた。
「ううん。なんでもない」
そういってその日は部屋に戻った。
翌日。
会社に行くと婦長から給湯室に呼び出された。
「ねぇ考えてくれた?あたしたちのこと。貴女にとってもいい話なのよ」
「うん…」
その日は落ち込んで家に帰ったら姉に問いただされた。
「ねぇ何かあったの?何でも聞くから」
「実は…婦長さんからお嫁にほしいって…」
それを聞いた姉はえーーーとかわぁ素敵とかきゃあきゃあ騒いでいた。
「確かにお嫁に行きたいけど、でも女になっちゃう…」
「あら?女だっていいじゃないの」
姉はあっさりとそう言った。
「なんか男って女より偉いとか思ってそうだし」
「そんなことないよ」
僕は首を横に振って否定した。
「私は女性に尽くすお嫁さんになりたい」
「まぁ献身的ね」
そしてその日は来た。
会社から一週間有給を取り心も体もお嫁さんになった。そして婦長の苗字である「山岸」に変わった。婦長が私を見て優しく抱きしめた。
「いいお嫁になるにはいい女でいなくちゃね」
私はうんうんと頷いた。
「さぁ今日から山岸家の娘よ。可愛がってあげるわ」
「はい。よろしくお願いします…」
こうして温かく迎えられ幸せに暮らしましたとさ。
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投稿:2023.07.12更新:2023.07.13
お嫁さん
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