ぼくはあんまりモテるほうじゃなかったけど、小嶋さんはときどき話し掛けてくれたりしました。
小嶋さんはクラスの中でもとてもかわいいほうだったんです。だから、ぼくとてもうれしかったです。
普通に話してるだけでうれしかったんです。
帰りに駅のホームで小嶋さんとばったり会ったんです。ぼくが一人でホームを歩いてたら、小嶋さんも一人で電車を待ってました。
ぼく思いきって声をかけてみたんです。そしたらなんていうか、いい雰囲気になれたんです。
だからぼく「これから遊びに行かない?」って言ったら「うん、いいよ」って。
これはいけるって思いました。それで、そのあとゲームセンターとか行ったんですけど小嶋さんも楽しそうで、横顔とか見てると笑顔がすごいかわいくて、ほんと最高に楽しかったです。
それからも時々二人で遊びに行くようになりました。友達は付合ってるのか?とか聞いてきたんですけど、別に付合ってくださいとか言ったわけじゃなくて、ただ放課後遊びに行くだけでした。手もつないだこと無かったし、キスなんて全然です。でも二人で遊んでるうちに、これって付合ってるって言っていいんじゃないかって自分でも思い始めたんです。だからぼくおもいきって小嶋さんに聞いてみたんです。
「ぼくたち付合ってるのかなあ?」って。そしたら「違うの?」って言ったんです。
それってぼくのこと好きってことですよねえ。普通そう思いますよね。
そしたらそのことがクラスでなぜか噂になって、ぼくと小嶋さんがクラス公認のカップルみたいになっちゃったんです。あんまり目立つのは嫌だったんですけど小嶋さんはすごいかわいいから、ちょっと気分よかったです。
でもそうなると友達は「どこまで行った?」とか「やったのか?」とか聞いてきて、ぼくはそのたびに「秘密だよ」とかいってとぼけてました。中には「小嶋さんって結構胸でかいよな」とか「こないだパンツ見えそうだったよ」とか言うやつもいて、なんかむかついたりもしたんですけど、ぼくも(そういえば結構胸大きいかも…)なんて今まであんまり気にしてなかったことが気になり始めたんです。普通なりますよね。それにいちおう恋人同士だから、なんてゆうかだんだん先に進むものだと思ってたんです…。
あいかわらず小嶋さんとは一緒に帰ってたんですけど、前は全然気にならなかったのにすごい気になってしかたがなかったです、小嶋さんのからだが。今日どんなパンツ履いてるのかなとか、胸のサイズはどれくらいなんだろうとか。もう頭の中がそればっかりになっちゃって、自分でも気がつかないうちに、小嶋さんの胸とかお尻とかをじいっと見ちゃってたんです。
まずいなって思って小嶋さんの顔を見たら、最初不思議そうな顔してたけど、あまり嫌そうじゃなかったと思います。ぼくは(やっぱり恋人同士だし、小嶋さんも望んでるんだ)って思って安心しました。それでそれからも時々小嶋さんのツンてした胸とかお尻をチラチラと見てたんです。
そうしたらだんだん小嶋さんの態度が変わってきたんです。なんていうかこう大胆になってきたんです。わざと胸の谷間を見せたり、パンツの見えそうなかっこうしたりするようになったんです。ぼくは最初ちょっとびっくりしたんですけど、あそこのほうはもうパンパンではちきれそうでした。
ぼくはすぐに(やっぱり小嶋さんもHしたいんだ!)って思いました。ぼくはHとかそういうことはまだ全然したことなかったからうれしかったし、もうとにかく早く小嶋さんとHがしたくてしたくてたまりませんでした。
それからは毎日小嶋さんとのHを想像して一人でしてました。でもまだキスどころか手すらつないだこと無かったです。だからぼく、早く先に進みたくて、気がつかない内にそればっかり考えてたみたいです。
その日もいつもと同じでした。小嶋さんも普通だった思います。一緒に帰って、マクドナルドに入って、ゲームセンターで遊んで…。ほんとにいつもどおりだったんですけど、ぼくはそれが嫌だったんです。マンネリってゆうか、とにかく先に進みたかったんです。もう頭の中はHのことでいっぱいでした。キスもまだなのにHのことしか頭に無かったんです。今思うとほんと、バカみたいですよね。でもその時は他のことなんて考えられなかったんです。
小嶋さんが「プリクラ撮ろうよ」って言い出したんです。もう何度も二人で撮ってて、ぼくもいつもどおり「いいよ」って言いました。いろいろボタン操作してる間、ぼくはこうなんてゆうかムラムラしてしようがなかったです。それで小嶋さんがプリクラの画面に向かってちょっと前屈みになってお尻を突き出してるのを見てたら、こうあそこが熱くなるっていうかはちきれそうになって…、もうわけがわからなくなっちゃたんです。
それで自分でも覚えてないんですけど、気がついたら小嶋さんのお尻を撫で回しながらあそこを押し付けてたんです。しかも小嶋さんが悲鳴を上げてるのに気がつかないで、ぼく小嶋さんのお尻に何度も何度もあそこをこすり付けて腰を振ってたんです。ほんとになんであんなことしちゃったのかわからないんですけど、小嶋さんがぼくを思いっきり突き飛ばして始めて正気に戻りました。
気がついたら小嶋さんが走って逃げていくのが見えました。ぼくはもう頭の中が真っ白になって、ぼうっとその場に座り込んだまましばらくの間動けませんでした。
ぼくはとにかく小嶋さんに謝ろうと思いました。次ぎの日学校に行ってすぐに小嶋さんを見付けました。
「あの昨日の事なんだけど…」
そう話し掛けたら、ぼくの方を見もしないで友達とどっかに歩いて行っちゃたんです。
(やっぱり怒ってるんだ!)って思いました。
どうしようって思ってたら、なんかクラスのみんながぼくをじろじろ見ながら話してるんです。ぼくは昨日のことが知れ渡ったのかもしれないと思って、「あの、もしかして昨日のこと知ってる?」って聞いてみたんです。
そしたらなんかよそよそしいってゆうか、いつもと様子が違うんです。
「い、いや知らねえよ…」
「バ、バカっ!話しかけんなよっ!」
そんな返事しか返ってこないんです。男子はみんなそんな感じでした。女子のほうを見たらみんなぼくを見ながら、なんか嫌そうな顔したりクスクス笑ったりしてました。
もう何がなんだかわからなくなって(小嶋さんが昨日のこと言いふらしたのかも)とか(もしかしたら誰かに見られてたのかも)とかいろんなことが頭の中をぐるぐる回って、気がついたら既に先生が教室に入って来てました。そして先生はぼくのほうに歩いて来て小声で「あとでちょっと職員室に来なさいね」って言ったんです。
ぼくはすぐに(やっぱり昨日のことが知れ渡ってるんだ!)って思いました。(でもいったい誰が…?)ぼくは体中が熱くなって、今にも倒れそうでした。
職員室に行ったら警察の人が来てて、それでぼくほんとにわけがわからなくなって、もう気が変になりそうで、気がついたら泣きながら「違うんです…、違うんです…」って、もうそれしか話せなくなってたんです。先生と警察の人は「わかった、わかった」って言ってくれたんですけど、ぼくはほんとにわけがわからなくて、つぎに気がついたときには保健室のベッドの上でした。
裁判所でもぼくは小嶋さんに謝ったんです。とにかくぼくが悪かったし、もう二度としないって。小嶋さんは全然関係無い方を見たり、となりの人と何か話をしたりしながらぼくがしゃべるのを聞いてました。小嶋さんは自分がしゃべる番になって、始めてぼくの方を見ました。
「無理やり襲われました。
「別に付合ってはいませんでした。」
「セクハラだと思います、とても傷つきました。」
「二度とこんなことできないようにしてください。」
そう言いながら小嶋さんはぼくを睨みつけたんです。
(そんな、あのとき付合ってるって言ったじゃないか!言ったじゃないか!)
ぼくはまるで違う人がしゃべってるんだと思いました。全然違う人がぼくに向かってあることないこと言ってるんだって。それくらいそのときの小嶋さんはまるで別人に見えました。それからも小嶋さんは自分がどんなにひどい目にあって、どんなに傷ついたかをしきりに説明してました。そしてついに泣き出したんです。
ぼくは気が遠くなって、裁判長が判決を言っているときもうわの空でした。でもとぎれとぎれに聞こえてきた声が、今でも夢に出てくるんです。
「被告はまだ幼く、また反省もしており…――――行為は許されることではなく…――少女の心の傷は深く…――よって有罪と見なし…――の刑に処す…。」
刑の日のことはあまり話したくないです。(なんでぼくがこんな目にあわなきゃならないんだろう)とか(なんでこんな法律があるんだろう)なんて言葉が頭の中をぐるぐる回って、とにかくぼくのおちんちんが切られちゃうってことが信じられなくて、手術の検査を受けてるときもずっと泣いていました。
上着もパンツも脱いで手術用の白衣を着せられると、急に逃げ出したくなって手術室の前で「やだ、やだよお、やだー」って泣きながらしばらく座り込んで動けませんでした。看護婦さんたちが来て引きずられながら手術室に連れて行かれたんです。
だって、ほんとに嫌だったんです。だって、だってちょっと女の子のお尻を触ったくらいでおちんちんを切っちゃうなんてひど過ぎじゃないですか。ほんとひど過ぎですよ。
手術室は一面真っ白で、しかもどういうわけか女の人しかいませんでした。手術をする女医さんが一人とピンクのナース服を着た看護婦さんが大勢いました。ぼくはこの人たちにおちんちんを見られて、しかも切られちゃうんだって考えたら、なんだか急に恥ずかしくなってまたその場に座りこもうとしたら看護婦さんが「大丈夫こっちですよ」ってニコニコしながら言うんです。やさしそうだけど力はすごくて、無理やり引っ張られて行くと、ちょうど女の人が赤ちゃんを産むときにつかうようなベッドと足を固定する金具が用意されてました。
たくさんの看護婦さんたちに押さえ付けられながら、ぼくはその手術台に乗せられました。すぐにぼくの横にいた看護婦さんがぼくの両手をベッドの金具に固定してしまいました。ぼくは体をねじって両足をバタつかせてたんですけど、あんな大勢の看護婦さんたちにかなうはずなくて、両足を持ち上げられてがっちり固定されてしまいました。
ぼくはついに動けなくなって、それでもう終わりだって思いました。もうだめなんだって思いました。看護婦さんがぼくの白衣をめくって隠れてたおちんちんを見ました。ぼくのおちんちんはいつもよりずっと小さくなってて、どうせ切られちゃうのにそれが恥ずかしくて嫌でたまらなかったです。知らない女の人におちんちんを見られるのは始めてだったんです。
看護婦さんが「タマのほうは残るから赤ちゃんは作れるのよ」と言って笑ってました。人工授精のことみたいなんですけど、ぼくはそんなことより看護婦さんたちがみんなニコニコしてるのがとても気に入らなかったです。
(おちんちんを切られるってことがどんなだかわかってやしないんだ。女だからわからないんだ!)って思いました。
看護婦さんはぼくの足の付け根に麻酔をしました。ぼくは全身麻酔で眠らされるのかと思ってたんですけど違ったんです。切られるところを見なくちゃいけないみたいなんです。それが決まりみたいなんです。ぼくはなんだか裏切られた気持ちになって、それでとてもこわくなりました。ほんとにとてもこわかったです。
看護婦さんともう一人手術をする女医さんがぼくの横で銀色の手術用具をいじっていると、誰かが手術室に入ってくるのが見えました。
その人は小嶋さんでした。小嶋さんが入って来たんです。ぼくは小嶋さんが来て、おちんちんを切られるところを見られるなんて知らなかったんです。しかもそのときぼくは両足を大きく開かされて金具に固定されて、おちんちんを丸出しにされてたんです。こんな情けないかっこう見られて、おちんちんも見られて、もうぼくは死にたいって思いました。死んだほうがましだって思いました。もうほんとに死にたかったです…。
小嶋さんは入り口のほうで看護婦さんと何か話をしてました。小嶋さんは真っ白なシャツにチェックのかわいいミニスカートを履いていました。シャツはブラジャーが見えそうなくらいまでボタンが外されてて、スカートはぼくが前に見たのよりずっとずっと短くて、スカートのすそから白くてきれいな足が見えました。もうパンツが見えそうなくらい短いスカートでした。ぼくはそれがおちんちんを切られちゃうぼくへのあてつけのように思えて胸がつぶれるようでした。
(ぼくは小嶋さんのパンツすら見ることもなく、しかももうHをすることもできずにおちんちんを切られちゃうんだ…)
ぼくは大きく開かされた足のあいだから、そんな小嶋さんのかわいいミニスカート姿を見て思い知らされました。ほんとにつらくて苦しくて胸がつぶされそうでした。
しばらくして小嶋さんがぼくのほう近づいてきてぼくの顔を見ました。小嶋さんはとてもやさしそうに笑ってました。裁判のときはずっと恐い顔をしてたのに、そのときは前みたいにかわいい笑顔で微笑みかけてくれたんです。ほんとにすごいやさしい笑顔だったんです。
ぼくそんなの思っても見なくて、なんだか胸が軽くなって気持ちがあったかくなってそれで、それでぼくとっさに「許してくれるの?」って聞いてたんです。思わずそう聞いちゃったんです。そしたら小嶋さんはちいさくうなずいたんです。やさしい笑顔でうなずいたんです!
「安心して、もう大丈夫だよ」って小嶋さん、そう言ったんです!
(許してくれたんだ!小嶋さん、ぼくのこと許してくれたんだ!やった!おちんちん切られなくてすむんだ!やった!やったあ!ぼく助かったんだ!やったあ!)
小嶋さんはぼくの開かされた足のあいだに来て、女医さんと楽しそうに話をはじめました。ぼくは「は、早く!早く外して!」って言いました。とにかく早くこんなみじめなかっこうから開放されたかったんです。聞こえてるのか聞こえてないのか女医さんと小嶋さんは小さな声でまだ何かを話してました。
「何してるの!早く!早く外して!」
ぼくはからだをよじって逃れようとしました。そしたら女医さんはぼくのふとももの間に銀色の金具をつけて、さらにぼくの震え上がって小さくなったおちんちんをつまみあげてその金具に固定したんです。
(えっ!?)
ぼくはからだが凍ったみたい固まりました。
(なんで!?なんで!?)
ぼくがあっけにとられてるのに気付いた小嶋さんがニコッとやさしく微笑んで、ぼくの小さくなって情けなく固定されたおちんちんを見ながら言ったんです。
「おちんちん切られちゃうなんて、ほんとかわいそう…。でもこれもあたしにひどいことした罰だからね。」
それを聞いたとなりの女医さんが「クスッ」っと笑いました。
小嶋さんはぼくを助けに来たんじゃなかったんです。小嶋さんはぼくのおちんちんを切るために来たんです。始めからそのつもりだったんです。ぼくはそんなことも知らずに小嶋さんが前みたいに笑ってくれたから、やさしく微笑んでくれたから助けてくれるんだって勝手に思って、一人で舞上がっちゃって…。今考えればそんなのあるわけないんですけど、そのときは助けてくれるんだって思ったんです。ほんとにバカみたいですけど、そう思っちゃたんです…。
ぼくはもう恥も忘れて、泣きわめいてました。
「うああ、やだっ、やだよ、やめて、やめて、うああぁぁぁん」
そしたら小嶋さんはそんなぼくを見て「うふっ、うふふっ」って笑い始めたんです。女医さんはニヤニヤしてます。まわりの看護婦さんたちもクスクス笑い始めました。
全部決められたことだったんです。手術が看護婦さんと女医さんだけなのも、小嶋さんが助けるふりをするのも、パンツの見えそうなスカートも全部。女の人の存在を思い知らしめて、ぼくにおちんちんを切られる屈辱をよりいっそう与えるために全部仕組まれたことだったんです。それがこの刑の決まりだったんです。
小嶋さんは女医さんに大きなペンチのような道具を手渡されました。ぼくのことなど気にもせず、楽しそうに笑ってます。女医さんも看護婦さんたちも笑ってます。
「ああぁぁ、うああぁぁ、やだよおぉぉ、いやだぁぁぁ。」
ぼくはもう泣きわめくことしか出来ませんでした。
「男って哀れね。」
小嶋さんがぼくを見ながらつぶやきました。それからまた「クスッ。」っと笑いました。
ぼくもう頭が真っ白になって、何も考えられなくなって、目をつぶろうとしたんですけどなぜか出来なかったんです。泣き叫びながら、大きな銀色の刃がおちんちんに当てられるのを見てました。なぜか目をそらせなかったんです。
「じゃ、切るよ。」
嶋さんが銀色の大きなペンチに力を込めようとしてました。
「あああぁぁぁぁぁぁ、わぁああぁぁぁぁぁぁ。」
「よいしょっと。」
「わあぁぁぁぁ、ああぁぁぁぁぁ」「ガチンッ!」「ぁぁ…っ!?……………。」
気がついたら小嶋さんがぼくの横に立っていました。ぼくはぐったりとして、ただぼう然と白い天井を見つめていました。小嶋さんがぼくに手のひらを差し出しました。手のひらにはぼくの切られたおちんちんが乗っていたんです。
「…………。」
ぼくはもう何も言えずに、口をぼんやり開けたままそれを見てました。小嶋さんはぼくが自分の切られたおちんちんを見て、口をパクパクさせているのを見ると安心したようにニッコリ微笑んで、ぼくのおちんちんをポイッと銀色のトレーにほおり投げました。
そしてぼくの耳元でささやきました。
「あたしね、男の子のおちんちん切るのが夢だったの。ありがとね。」
そう言ってまたうふっと微笑みました。それは放課後一緒に遊んでいたころの、とても楽しそうなあの笑顔と同じでした。
これでぼくの、一人の女の子の夢の犠牲になった、哀れなピエロのお話はおしまいです。でも、あなたも気をつけてくださいね。かわいい女の子があなたに近づいてきて、やさしく微笑んでも、その笑顔の裏では――――あなたのおちんちんを切る瞬間を想像しているかもしれないですよ。
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投稿:2003.11.10
微笑み
著者 LongLongTimeAgo 様 / アクセス 18480 / ♥ 4