西暦20××年、日本は女性の権利が異常な程高まり、
初の女性総理誕生後、男性にとって不利益な法案が次々と可決。
家族形体は変わり、結婚の概念も無くなり、女性は妊娠・出産・子育てといった労力から開放された。子供は国家の管理するところとなり、男女別の集団生活を経て、成人となることなった。
そして、ついに男性の悪行の全てに起因する根源を断ち切るため「去勢法」が可決された。
「男性は初精通を迎えてから、1ヶ月以内に去勢しなくてはならない」
*去勢前に最後の射精を行い、
その精子を冷凍保存する事により「種の保存維持」が認められる。
*公平を期すため、初精通後一ヶ月を超えても去勢を行っていないものには、厳罰が下される。
その結果、町を歩く成人は女性と元男性のみとなり、表面上の平和と繁栄は保たれた。
また、女性は苗字と名前があるが、男性はコード番号で管理されるようになった。
渡辺江美は看護大学を卒業し、給料の高さから、「去勢専門病院」への就職を決めた。
この病院は国営病院にあたり、医療スタッフは全て女性で、看護師が実際の去勢手術を次々と行い、何かトラブルのあった際に医師がサポートする体制となっており、看護師1人当たり1日平均3人の去勢手術を行うシステムとなっていた。
「渡辺さん、今日が初日ね、最初はとまどうかも知れないけれど、時期に慣れるから
頑張って下さいね」と指導担当の鈴木恵子医師が説明をはじめた。
「1週間は先輩の元で研修してもらって、2週目からは一人で去勢手術をしてもらいます」
「去勢手術自体は簡単なオペなので、すぐにできるようになるわ」
「ポイントは患者さんに同情しない事、よく泣いて懇願する子がいるんだけど、
かわいそうだと思わす、その子にとっても良い事を行っているという誇りを持ってね」
「注意点は、院内は必ずマスク着用、清潔管理の問題と、私達スタッフのプライバシーを
守るためなので、お願いします。去勢手術を施した元男性に町で気づかれたくないでしょ」
第14手術室とプレートのかかったドアを開けると
顔には大きな手術用マスク、頭には手術帽子、手術用のガウンを
身に着けた先輩看護士の加藤亜紀が「よろしく渡辺さん」と挨拶をしてきた。
手術室の中は前面白いタイル張りで、8畳程のスペースに開脚手術台を中央に据え、
天井には無影灯、壁際に様々な医療機器が並んでいる。
「まず、そこの更衣室で術衣に着替えてくれる。もう少ししたら
最初の患者さんが来るから。」
江美は更衣室の中に入り、手術着に着替え始めた。髪をアップにし、
手術帽子を被り、顔は大きな手術マスクで覆った。
「あら江美さん、マスク美人ね。大きな瞳がとてもチャーミングよ。
今日の患者さんはラッキーね」と亜紀はマスクの下の目で微笑む。
「すいません、どう意味ですか?」と江美が尋ねると
「去勢法の注釈文を知らないの?ちゃんと勉強してね、
患者さんは去勢前に最後の射精が出来るのよ。それを保存するのも
私達の重要な仕事なの。最後の射精を優しそうな瞳で見守られたら
その子にとって良い思いでとなるでしょ」
「えっ、射精の場面を見るんですか?」
「ふふ、違うはよ、私達が強制射精させるのよ、だって最後の精子を
きちんと保存しなければいけないでしょ」
江美はマスクの下の顔を赤くして
「そんな事もやるんですか」と俯く。
「大丈夫よ、大抵の患者さんは、やりたい盛りの14,5歳の子だから、
すぐに射精しちゃうわ、慣れると楽しいわよ」
反対側のドアがノックされ、屈強な警備員に手を引かれた14,5歳の男の子が
手術室に入ってきた。
元男性だと思われる警備員が、亜紀にカルテを引継ぎし始めた。
警備員にしっかりと手を握られている男の子は、不安そうに手術室内を
見回し、亜紀と江美の手術着スタイルに少したじろいでいる。
その後警備員に下着姿にさせられ、しっかりと開脚手術台に動けないように
固定された。その作業を終了すると警備員は手術室から出て行った。
「いやだ、やめて」と手術台に固定されてから、
男の子は恐怖がだんだん現実となってきたようだ。
「大丈夫よ、みんなやってる事だから、痛いのは麻酔注射だけだからね」
優しく、男の子の顔を覗き込みながら、亜紀はマスクの下の瞳が笑っている。
「でも、やだ、やだ、やだ」男の子が叫ぶので、
「しょうがないわね」と言いながら、亜紀は患者の口に猿轡を嵌めた。
「ううう、ううう」と声にならないうめき声が聞こえてくる。
亜紀は手洗いを済ませ、手術用手袋をピッチリと嵌め、
「江美さんは手洗いはいらないけど、グローブは着けてね」
亜紀は滅菌覆いを外し、メスやハサミが並べられた手術器具が並べられたトレイを用意した。
「じゃあ始めましょう、最初は精液の採取よ」
亜紀はトレイから、採血用のシリンジに似たものを取り出し
「このシリンジにこの子の最後の精子を入れるの、江美さんは射精を
見た事がある?」
「いえ、ないです。はじめてです」
「そう、じゃあまず最初は横で見ていて」
亜紀は素早く、ハサミで患者のパンツを切り裂くとペニスを露出させた。
「まあ、かわいい、怖くて縮み上がってるのね。先生が気持ちよくさせてあげるわ」
亜紀は手術用手袋の上にゼリーを垂らし、少年のペニスを手袋越しにしごき始めた。
「ほらだんだん気持ちよくなってきたでしょう」
男の子のペニスがゆっくりと膨らんでいく。「うう」と猿轡の声にならないうめきも
先ほどとは違う音域に変わってきた。
「江美さん、患者さんの目を見つめてあげて、優しく包み込むような視線でね」
江美は言われた通り、手術用マスクで強調された大きな瞳で、
男の子の切なげな瞳を見つめた。
「もうイキそうね、江美さん顔を近づけて安心させてあげて」
一段と高い、くぐもった声が聞こえると、素早く亜紀はシリンジに
精子を採取した。
「どう、気持ち良かったでしょ。もう叫ばないと約束するなら
轡を外してあげるけど、どうする」
うんうんと男の子はうなずく。猿轡を外すとため息をつきながら
「凄い気持ち良かったです。もうこれで思い残す事はありません」
「そう、では去勢手術を始めます」
亜紀はトレイから薬剤が充填された注射器を取り出し
陰嚢の周りをチクチクと数箇所に注射をした。
「大丈夫よ、最初に2,3箇所だけ痛くて後は麻酔が効いてくるからね」
「これは痛い?」とかなり深く注射器を陰嚢に突き立てながら
亜紀が患者に尋ねる。
「大丈夫です痛くありません」
亜紀はトレイからメスを取り出し、無影灯の光にメスがキラッと煌き
そのメスをさっと陰嚢に宛がう。
サクと嚢は切開され、血が溢れ出してきた。
亜紀は素早く止血綿をあてがい、更にメスを進めていく。
「ちょっと患者さん不安のようね。江美さん、さっき見たいに
患者さんの顔を覗き込んであげて」
江美のマスクの下の大きな瞳が優しく男の子を見つめる。
「はい一つ採れたわ」と亜紀はピンセットに血まみれの
物体を掴んでいる。
・・・・・・・・・・・
「さっきの患者さんは素直なよい子だったわね」
血まみれの手術用グローブを外しながら、亜紀は言った。
「あういう子ばっかりだと、こっちも楽なんだけど、
次の患者が問題なのよ、去勢法違反の患者で」
「え、違反ですか?」
「そうなの、初射精から、3ヶ月たってたらしいのよ」
「たしか、厳罰があるって」
「そうその通り、その部分は勉強してるのね」
「厳罰って何なんですか?」
「これは秘密事項に類するものだから、一般には知られてないけど、
実は、麻酔無しで去勢手術されるの」
「えええ、そうなんですか、痛そうでかわいそう」
「そうね私もそう思うけど、去勢法の法律違反は厳しいみたいね」
「亜紀さんが手術するんですか?」
「違うわよ、無麻酔去勢手術は医師がするの、私達はお手伝い
しかも半分医学実験ぽくて、本当に拷問ね、あれわ」
「だって、わざわざ苦痛が長引くように手術するの、苦痛でけっこう失神しちゃう
子とか多いのよ」
スタッフ用ドアが開き、手術スタイルに着替えた鈴木恵子医師が入ってきた。
「そろそろ患者が来るわよ」
「今日の患者は、苦痛を与える時間が長いから、バックアップの体制をしっかりとってね」
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投稿:2007.03.16
西暦20××年
著者 harada 様 / アクセス 26908 / ♥ 9