昔昔ある所に人魚の王子がおりました。
名はセイル。
数十年ぶりに生まれた男の王族です。
人魚の王族は血筋も多少関係ありますが、基本的に角を持つ者を王族と言い、王族同士
の子供でも角があるとは限りません。またマーメイドが有名な様に男の人魚が生まれる事
自体極めてまれでした。
ある日セイルが夕暮れに沖に出ると一艘の小船が漂っています。
そこには人間のお姫様が泣いていました。
「どうしたの。」セイルが声を掛けるとお姫様は驚いて顔を上げました。
「あなたはだあれ?」
「僕はセイル。こんな所で何をしているの?」
「船で遊んでいたら流されてしまったの。」
セイルは陸まで送っていくことにしました。
途中で聞く陸上の話はとても興味深く、セイルは地上に憧れを抱くようになりました。
セイルは遂に魔女に人間にしてもらいに行く事にしました。
魔女は美形の王子に喜び、久しぶりの性交の相手とする事で人間にする事を約束しまし
た。
魔女から渡された薬を飲むとセイルは人間になりました。
逞しい体。股間には立派なイチモツがぶら下がっています。
魔女は久しぶりの上物に期待を膨らませます。
早速魔女はセイルに性交を要求しました。
セイルは射精しました。魔女の体に精液が掛かります。
魔女は予想以上の早漏ぷりに呆れながらも再度要求します。
セイルはまたすぐに射精しました。
魔女は触りもしないで直に射精してしまう、超早漏ともいうべきセイルに腹を立てました。
期待が大きかった分、怒りも大きかったのです。
魔女は手近にあったナイフでペニスを掴み根元から切り取ると股間を押さえてのた打ち
回るセイルを魔力で床に大の字に押さえつけ双玉を踏み潰してしまいました。
怒りの収まった魔女は自分がした事に呆然とします。
人魚が人間に似ている事もあり忘れていましたが、人魚の生殖はメスが卵を産んでオス
が精子を掛ける方式です。セイルはとても人気があり、毎日何十個もの卵に精子を掛けて
いました。
つ・ま・り、人魚達にとっては卵を見ただけで射精する、超早漏が一番良い性交であり、
魔女は理不尽にも人魚達の宝ともいうべき王子を去勢した事になります。
魔女は慌てました。
去勢した事がばれたらいかに魔女と云えども怒りに燃えた数十万の人魚には敵いません。
魔女の技術を持ってすれば一週間程度で切り落とした陰茎も潰した睾丸も元に戻せるで
しょう。
魔女は気絶したセイルから陰嚢も根元から切り取ると男性体を維持する為と居所を感知
する為の道具を股間に埋め込み、切り取った陰茎と陰嚢に応急処置を行うと地上に全裸の
まま送りました。
地上に気絶したまま送られたセイルはお姫様の声で気がつきました。
「こんな所で何をしているの?」
セイルにもなぜこんな所にいるのか、良くわかりません。去勢のショックで一時的に記
憶が飛んでいました。
お姫様はセイルを連れ帰る事にしました。お付の侍女がセイルに気付くと始めは見惚れ
次にお姫様に悪い虫を・・・と警戒するのですが、股間にはあるべきものがありません。
お姫様が手篭めにされる心配が無い事が分かるとしぶしぶながらお城に連れ帰る事に同
意しました。
セイルは城で服を着せられお姫様の側仕えをする事になりました。
その頃、魔女の元には人魚達が大挙して押しかけていました。
セイルが地上に憧れていたのは有名で魔女の所に人間にして貰いにいったのだと考えた
のです。
魔女にとっては正念場です。ここで上手く誤魔化さなければ命がありません。
魔女はセイルに熱心に頼まれ断りきれず、一週間の期限を定めて人間にして陸地に送り
出したと答えました。
人魚達は危険な陸地に向われた事に不満ながらもセイルの望みでもあり、しぶしぶ認め
ましたが、もし帰って来なかったら・・・と脅迫していく事も忘れませんでした。
数日後、魔女は潰れた睾丸を何とか修復に成功しました。多少精子の生産量に問題があ
るものの、人間に変化した影響で誤魔化せる程度です。
そこで魔女は何も言わずにセイルを陸地に置いて来た事を思い出しました。
魔女は水晶玉でセイルの居場所を城と突き止めると仕方が無いので自分で迎えに行くこ
とにしました。
地上に着いた魔女は占い師として城に上がりました。
魔女はセイルを見つけるとセイルが人間では無く、精霊の一種で仲間が探している、早
く返さないと精霊達の怒りに触れるので私に預けるように説得しました。
周囲の人達は納得しました。
人並み外れた美貌、水中で暮らしていた為に群を抜く体力。服を嫌がり、泳ぐのを好む
気質。そして何も無い股間を平然と人前に晒し、あまつさえ他人のペニスを不思議そうに
見る様は言われてみれば確かにと思いこそすれ、嘘だという根拠はありませんでした。
しかし、姫様だけは納得しませんでした。自分が見つけたお気に入りの美青年を取られ
まいと必死です。
一週間以内に無事にセイルを連れ帰る必要がある魔女も必死です。二人の言い合いは長
く続くかと思われましたが、王様の仲裁で後日改めて話し合う事になりました。
一時は大人しく引き下がった魔女ですがセイルを早く連れ帰りたい魔女はセイルに海に
帰る事を思い出させる事にしました。流石にセイルを抱えて帰る訳にも行きません。
セイル自身に帰る意思が必要です。
魔女はセイルに近づくと薬を無理やり飲ませました。あまりの味にセイルは気絶しました
が目が覚めた時には記憶が戻っていました。
セイルは痛い思いをさせられた事も思い出しましたが海に戻らなければと魔女と共に戻る
事にしました。お姫様の部屋に自分の宝物の真珠を残して。
こうして魔女は海にセイルを連れ帰り、ペニスと陰嚢を戻し、人魚に戻し無事海で暮らし
ていきました。
セイルを失ったお姫様は泣き暮らしました。
お姫様を心配した王様は思い切った手段を講じました。
お姫様の近衛騎士である美青年カインをお姫様の部屋に呼び出すと全裸になる様に強く命
じました。騎士であるカインは嫌な予感がしつつも姫様の為と王様に命じられるとしぶしぶ
ながら全裸になります。股間にはそれなりのモノがぶら下がっています。
王様はカイルに短刀を渡すと性器を自分で切り落とす様に命令しました。
当然カイルは渋りました。
王様は切り落とさなければ反逆罪で一族郎党皆殺しとまで云い始め、カイルは仕方なしに
自分の性器を切り落とし、お姫様の側仕えをする様になりました。
おしまい。
-
投稿:2007.09.26
人魚王子
著者 ふう 様 / アクセス 12393 / ♥ 1