「この人、痴漢です!」
電車から降りた女子高生が、サラリーマン風の男の手を掴んで叫んでいる。
「何すんだよー、俺は関係ねーよ!」
「待ちなさい!」
男の前に婦人警官らしき少女が立ちはだかった。
「警察庁性犯罪特捜班よ。あなたの行為は全て確認済みです。性犯罪の現行犯であなたの身柄を拘束します。」
「ちぇ、パンツの上から触っただけだから罰金ですむんだろ!」
「あなた、何も知らないようね。もう少し法律の勉強をすることね。あなたの選択肢は3つあります。ひとつめは自分の罪を認めて今すぐ無痛去勢装置にまたがること。ふたつめは私と真剣勝負をすること。3つめは通常の裁判手続きを希望すること。」
「な、何だって?」
「よく分かってないようだから簡単に説明するわね。まず無痛去勢装置にまたがること。これが一番のお勧めね。これによってあなたは刑が執行されたのと同じになるから直ちに釈放されるの。そうすれば今回のことは職場の人にも家族にも知られることはないわ。社会的な制裁がないのだから一番希望者も多いわ。」
「ば、バカなことをいうな!」
男は思わず股間を守るように押さえた。
「黙って聞きなさい!ふたつめは私と腕力で勝負すること。これは男子の尊厳を守るという趣旨から認められたもので、私に腕力で勝ったら無罪放免になるの。でも負けたときは容赦なくキンタマを蹴り潰します。これを選択した人は、ほとんど後悔することになるわね。三つ目は通常の裁判手続きを希望することで、通常半年間くらい留置場暮らし。職場にも家族にも事実が知れ渡り、社会的制裁の最も大きなものね。しかも性犯罪の有罪確定率は99%で、あなたの場合ほぼ間違いなく去勢刑が選択されるわ。時間をかけても報われないのがこれね。」
「???、な、なんのこと?」
「では、選択しなさい。」
「ところでお前と真剣勝負をして勝ったら無罪放免ってのは本当か?」
「本当よ。やってみる?」
「言っとくけど、おれボクシングやってんだけど、本気でやっていいの?」
「本気でやっても後悔するかもね。」
「なめるな、このあま!」
次の瞬間、男の体は宙を舞っていた。性犯罪特捜班の少女たちの訓練は過酷を極める。女性の人権を守るために命をかかけた少女たちの前に、アマチュアボクシングなど敵ではなかった。
「はーっ!」
渾身の前蹴りが股間に炸裂する。ミニスカートから高貴にして純白のパンツが見えたのが、この男にとってはせめてものお慰みだったかもしれない。
ぐちゃーーーー!
ぎゃーーーーーー!!
「この痛みをもって自分の罪の深さを思い知る事ね。去勢執行完了!」
政府は度重なる性犯罪の撲滅のために、警察庁に性犯罪特捜班を設置した。この捜査班の最大の特徴は、性犯罪の現行犯については逮捕状が無くとも犯人の身柄を拘束することができ、場合によってはその場で刑罰としての去勢を執行することができる点にある。
がんばれ、性犯罪特捜班。女性の人権を守り女性の社会的地位向上に資するために。
(おしまい)
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投稿:2009.01.01更新:2009.01.01
性犯罪特捜班
挿絵あり 著者 小学生の女の子 様 / アクセス 2709 / ♥ 0