「なんじゃ、往生際が悪いぞ?」
「いや、その…契りって何?」
「契りとは男女の営みじゃ、今風に言えば…えっちじゃ、わらわに言わせるでない!」
マキは赤い顔をして横を向いてしまった。
欲求に負け…いや、村の為に観念した僕はマキと契りを結ぶ覚悟をした。
可愛い女神様と死ぬまで共に過ごす、ずいぶんと幸せな生贄だ。
二人とも禊を済ませていよいよ契りを結ぶ。
「そなたは一生、わらわと一心同体じゃ…良いか?」
「それはわかってる、ただ…その、するの初めてだからよくわからないんだけど」
「当たり前じゃ、初めてじゃからこそ生贄の意味がある、それに…」
「それに?」
「それに…わらわも初めてじゃ、母様から記憶を継いでおるからわらわに任せよ」
マキはそう言うと後を向き巫女さんのような衣装を脱ぎ始めた。
(綺麗だ…)
吸い込まれそうなほど透き通った白い肌、美しい手足、そしてはじめて見る女性の身体。
御神体の薙ぎ鎌に反射した蝋燭の灯に照らし出されたマキの裸体に僕は思わず息を飲んだ。
「ハジメ…早う」
恥じらいながらも何も隠さずこちらを向き微笑むマキに諭され僕も服を脱いだ。
「あの時はかわいかったのに…硬くて立派で素敵なマラじゃ」
「マラ?」
「ちんぽのことじゃ、今風に言えば、確か…ぴーにすじゃ」
「え?あぁ、ペニスか…(なるほど)」
「ハジメ…身体が熱うなってわらわはおかしくなりそうじゃ」
「マキ…」
それから数時間、手や口と僕が知っている限りのエッチな行為をマキと営んだ。
とても至福な時間、まさに天に昇るような気分。
「ハジメ…契りの儀式じゃ、早う」
いよいよマキの女性器に僕のマラを挿れる…もしかすると大変な罰当たりなんだろうか?
とても美しい女性器、びしょびしょに濡れて灯りに照らされ輝いている。
「あぁ!ハジメ…」
「マキ…とても暖かい」
僕の頭は真っ白になった、なんて気持ち良いんだろう。
半時もせず僕は絶頂を迎えた。
「よいぞ、わらわに吐き出し全てを捧げるのじゃ」
「…愛しておるぞ、ハジメ」
「マキ、僕も愛してる」
絶頂の瞬間熱いキスを交わした…。
(チャリン…)
「え?」
御神体の薙ぎ鎌が音を立てた瞬間、僕の身体に激痛が走った。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
繋がっているはずのマキと身体がずれる…。
先ほどまでのマキとは違う雰囲気が漂う、全身が淡く光り輝いている。
恐ろしいほど美しい、まさにこの世のものとは思えない美しさだった。
そのか細い右手にはあの薙ぎ鎌が握られている、振り返ると祭壇には何も無い。
銀色に輝いていた薙ぎ鎌が真っ赤に輝いている、とても美しく真っ赤に染まっている。
「そんな、どうして…」
それは僕の血の色だった。
股間にちんぽが無い、断面からドクドクと出血してマキの身体を赤く染める。
ガクガクと全身を襲う寒気に僕は丸くうずくまる、ズキズキと痛む股間を手で押えながら…。
「案ずるでない、契りは果たされたのじゃ」
うずくまる僕をマキが抱き寄せ包み込んだ。
「マキ、僕は死ぬ…の?」
「死にはせん、わらわの胸で眠るが良い」
マキが切離された僕のちんぽを胎内に押し込む姿を見ながら僕は眠った…。
痛い…怖い…でも心地よい、あの時と同じように。
「うぅん…ん!?」
目が覚めた、痛みも無いし生きている…夢だったのか?
期待して布団をはね退ける。
無い。
タマを残しちんぽ、いやマラは消えてしまった。
薄いピンク色の断面が覗いている。
「これは一体…ちんぽ無しでこれからどうすればいいんだよ!」
悲しみと怒りで声をあげた。
「何を騒いでおる、そなたのマラはちゃんとここにあるぞ」
僕の声で目を覚ましたマキが下腹部を撫でながらそう答えた。
「わらわとそなたはこれで繋がっておる、まさに一心同体じゃ」
「繋がってるって?」
「こういうことじゃ…」
そう言うとマキは僕を抱きしめ身体を押し付ける。
熱いキスと柔らかい感触に興奮すると股間に違和感を感じた。
「感じる…立ってる…のか?」
「あぁ、固くなっておるぞ…ハジメ」
何がなんだかわからず、ただ欲望のままに身体を重ね動かした。
昨夜と同じように感じ、そして果てた。
しかし、射精したはずなのに断面からは何も出ない。
「これって…」
「そなたの精は全てわらわの胎内に注がれるのじゃ」
「本当に繋がってるんだ」
「そうじゃ、わらわとそなたの命果てる時、この精から新たなわらわが産まれるのじゃ」
想像すら出来ない世界観に言葉が出なかった。
僕のマラと血と精、それが生贄だったわけだ。
「今日からわらわとそなた二人でマラキリノカミじゃ」
昨夜の時とはまるで別人のように僕に抱きつき、はしゃぐマキに唖然とした。
「これでわらわの力は完全じゃ、村は栄え守られるぞよ」
「本当に?」
「ハジメ、気付いておらぬのか?」
言われて見てハッと気付いた…祖母の実家とまるで様子が違う。
外に出て驚いた、祖母の実家は大きな社殿に変貌していた。
「ここここ、これは…そんなバカな!?」
「バカとはなんじゃ、民にはわらわとハジメは神職ということにしておる、先々は村長じゃ」
「食事の用意が出来たわよ」
聞き覚えのある声に振り返るとそこには祖母が立っていた、もう何も驚かない。
元気になった祖母の作った朝食を食べ学校へと急ぐ。
当たり前のように制服姿のマキが連れ添う。
「いつも心眼で学校を覗いておったのじゃ、そこに通えると思うと嬉しいのぉ」
「…」
本当に神様なのだろうか?
呆れるような、可愛いような…思わずさらに惚れてしまった。
「村ではわらわはハジメの許嫁という設定じゃ、浮気心は禁物じゃ!」
「わかったよ、そこまでしなくてもマラが無いから安心だろ?」
「そうじゃ、わらわもハジメのマラで塞がっておるから安心せい」
「授業中で離れておってもいつでも契れるからの、ハジメ…」
「わかったよ、いつでもいいんだな?」
「ハジメは以外といやらしいのぉ」
顔を赤くして照れる制服姿のマキにドキドキしてしまった。
立ちションが出来ない分ぐらいイイ思いをしないと割が合わない。
マキの胎内には精液しか届かないらしい、よく出来てる。
座って断面からオシッコをするのは悲しいがマキは理解してくれない。
「わらわはずっと座ってしておる、立ってしたいなど贅沢じゃ」と…。
その後閉鎖されていた希少金属鉱山が復活。
村には人が集まり学校にも続々と転入生が入ってきた。
村は賑い無人駅も栄えて駅舎が建ちコンビニまで出来た。
アミューズメントパークのような物まで建った。
マキが都会の神様から噂を聞いていた施設がどんどん出来る…無邪気な神様だ。
「ここまで栄えるのはハジメのマラが立派な証拠じゃ」
そう言われて悪い気はしなかった。
それに…マキの舌でマラの断面を愛撫されるのがこの世のものとは思えない快感だ。
ちんぽ、いやマラを切り離されて本当に良かった。
(完)
-
投稿:2009.05.09更新:2011.08.30
マラキリノカミ(後編)
著者 いち 様 / アクセス 10049 / ♥ 4