武は慎重に校舎の中を進んでいた。今でも自分がこんな恐ろしいゲームに巻き込まれたことが信じられずにいた、当然だろう、彼は痴漢なんてしていないのだから。しかし、女性の旗が政権を握ってしまった今となってはおそらくたとえ弁解のチャンスをもらえたとしても無罪にはならないだろう。だからこそ自分はここにいるのだ。なんとか自分が助かる方法はただ一つ、この狂ったゲームから抜け出す以外にない。
なんとか自分を納得させ、武は慎重に校舎の中を進む。校舎の中ほどまで来たところで凄まじい男達の断末魔ともとれる声がこだました、一瞬ギョッとした武だったが、自分のいる校舎から少し離れた辺りからだったことで少し安堵した。どうやらグランド側に行かなかったのは正解だったようだ。どうやら大半の連中が向こうのコースを通っていったらしい、校舎には自分独りだった。武は少し自信を取り戻しながら再び校舎内を進もうとした、すると、
武は突然、膀胱に違和感を感じた。どうやらトイレがしたくなったらしかった。ゲームの途中は途中だが、おしっこを漏らすのはごめんだ、そう思った武は校舎の中を駆け出した、すると校舎の一番端に生徒用と見れるトイレがあるのを見つけた。その先はちょうど校舎の出口と見れるドアがあり、横には二階へと続く階段がある。武はこれ幸いとばかりにトイレにかけこんだ。トイレ内には小用便器が五つばかり奥に続いている。武は迷わず一番目の小用便器にとびついた。便器の前に立ってズボンのチャックをおろす。 小用を半分ほど終った所でふと誰かに見られているような感覚がして、辺りを見回した。しかし辺りには誰もいない、やはり気のせいだったかと思い、再び向き直ろうとした時、一瞬だが視線を洗面台の鏡に走らせた。すると今まで気が付かなかったのだが、奥の個室の便器だけ扉が閉まっていたのが空いている、そしてその中に等身大の人形がうつぶせになっているのが見えた、いやあれは人形じゃない、あれは、それが何か確認するのが遅れたら彼は早くもこのゲームを退場していたかもしれない。
武はとっさに横に飛んだ。そのすぐ横で少し大きな 「ジョキっ」という音がした。慌ててそっちへ向けて立ち上がり、見た。武の体に今まで感じたことも無い戦慄が走る。 そこに立っていたのは、
髪の長い女だった。黒いキャミソールで身を包み、まるで魔女のような格好だ。そしてその手には、
彼女の手に余るほどの巨大な鋏が握られていた。
武はおもわずそこにあった清掃用のホウキを構え身構えた。あの巨大な鋏をこんなもので食い止められるのだろうか。
一方女は鋏を開けたり閉じたりしながら不気味な笑みを浮かべた。
そして、「うふふ、かわいい子。ズボンから大事なモノはみだしちゃっていやらしいわ。」
そういって彼の股間に視線をはしらせた。女の色っぽい声に動揺しそうになったが今、チャックを閉められる余裕はない、何も言わず、女を見据えていた。
すると女は「ふふふ、かわいい、あなたには特別にいいものを見せてあげる。」
そういって女はキャミソールから覗く胸の谷間に手をいれた、そして
「これよ!」そういって何かを投げ付けた。 それはほうもつ線を描いて武のもとへ飛んでくる。
思わず反射的にホウキで叩き落としたそれに武は狂うほどの衝撃をうけた。
彼の眼前にあらわれたのは誰かのペニスだった。そう、女が切り取った誰かのペニスだったのだ。
その時、一瞬武に隙が出来た、そのチャンスを逃さんとばかりに女が前方に鋏を向けて突っ込んでくる。武は必死に足を前方に飛ばし、女の鋏を蹴り飛ばした。女の両手から鋏が離れ、トイレの奥に転がる、武は女が鋏を拾いにいく隙にホウキを構えなおそうと身構える、しかし女は鋏を拾い上げることはせず、武の懐に飛び込んだ。
この時、武の股間に今まで感じたことの無かった激痛が走った。
女はチャックを下ろしたままになっている剥き出しの武のペニスを蹴り上げたのだ。
「ウグッ」
あまりの激痛に股間をおさえてうずくまる武を横目でみながら、女は鋏を拾い上げる。
「あはは、抵抗しちゃってますます可愛いわ。そんな子にはご褒美あげる。」
そういって武の前で鋏を高く振り上げ
「そのチャックからはみだしている僕のおちんちん、この鋏でちょん切ってあげるわ!」
逃げようとする武だったが背中をヒールで踏みつけられ身動きがとれない。そして成す術のなく
強引にあお向けにされる、女の前に剥き出しの武のペニスが突き出される格好になった。
女は舌なめずりしながら鋏を武のペニスに近づける、その時である、どたどたとトイレの外で音がした。
「え?」
その音に気になったのか女はトイレの外の方をちらりと見た、その時である。トイレに男が乱入してきた、それと同時に女は
「ぎゃあああああ!」
甲高い悲鳴をあげトイレの床に転がりのた打ち回った。その光景を目にし、きょとんとしている武に男は近づき、こう言った。
「あぶないところだったな、怪我は大丈夫か?」
それに頷く武、それを見て安心したのか男は両手を広げて言った。
「俺の名前は柴木隆一、なあ、俺と手を組まねえか。このゲームには必勝法がある。」
彼柴木隆一は武の前で指を鳴らしてにやりと笑った。
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投稿:2010.05.03
Tゲーム3
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