カイロ博物館奇談◆PART1〜逃走と捕縛◆はこちら
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僕たち捕虜仲間が素っ裸で背中の丸太に縛り上げられてしまうと、暴れても脱走の心配がなくなったというわけか、エジプト兵の動きがゆっくりになった。兵士のその落ち着きやニヤニヤした表情がまた僕たちの恐怖を増加させた。
僕たちは角度が70度ぐらいで崖に立てかけられた丸太を背にして、両手首と両足首は丸太の裏側で縛られているので、自然に胸を張った姿勢で、両脚もガニ股になっている。遮るものがない下腹部を一番前に突き出している格好だ。
やがて捕虜1人の両側に兵士が2人づつ立った。これで100人以上いた兵士も、前に残っているのは指揮官のほかは数人だけだ。
指揮官は短い棒を持っている。その棒が振り上げられた。
すると僕の右にいた兵士が僕の股間のものを掴んだ。他の50人も同じようにされている。捕虜仲間の中には声をあげて抵抗しようとする者もいた。
続いて左の兵士が、毛糸のような細くて強い糸を、僕の性器の根元に巻き始めた。ペニスとフクロが一括りにされて、ぎゅうぎゅう締め上げられた。捕虜仲間の叫び声が大きくなる。
しかしあまり強く締め付けられたので、僕の性器の感覚は段々なくなっていった。周囲も徐々に静かになった。
指揮官の棒が今度は横に振られた。左の兵士が根元で血流を止められてギンギンに勃っている僕のペニスの先端を掴んで持ち上げた。
すぐに右の兵士が腰の短刀を抜いた。一瞬黄金色に光ったので鉄製ではなくおそらく青銅製だろう。短いけど鋭利な刃物だ。
それを僕の性器の根元、ちょうど糸が巻かれたすぐ下に潜り込ませるように当てた。
「こいつら、おれの男根を切り落とす気だ!。女にするというのはこういうことだったのか。」
僕はようやく気付いたがどうにもならなかった。
指揮官の棒が上下に激しく振られると同時に、僕の下半身に激痛が走った。僕だけではなく50人の捕虜が一斉に大声を上げた。青銅の刃物の切れ味を良くない。兵士は刃物を何回か前後させて、ようやく僕の男性器を身体と切り離した。
僕は自分のペニスとフクロが左の兵士の手の中に残っているのを見た。かろうじて見える股間からは大量の血が吹き出して、僕の太腿を赤く染めている。
すぐに右の兵士が、長さ20センチぐらいの細い青銅製らしい金属棒を持ってきた。どうするのかと思っていると、手で僕の下腹部の傷痕を探ってから、その棒を僕の尿道に一気に突き立てた。
金属の棒は半分以上が外に出たあたりで、それ以上入らなくなって止まった。先端はおそらく膀胱付近まで達しているのだろう。
ここで左右の兵士が一旦離れたので、僕は痛みをこらえながら左右を見た。捕虜仲間の股間からはさっきまであった男の象徴が消えてなくなり、代わりに細い金属棒が頼りなさげに突き出ている。
下半身は全員血で真っ赤だ。あの柱の下の方が黒かったのは血の乾いた跡だったのか。
まだ叫び声を上げ続けている者、中にはうつむいたまま泣いている者、ぐったりと気絶している者もいた。
左にいるヌンは、気丈にも歯を食いしばってこらえている。
「みんな大事なものを切り落とされたんだ。もちろん僕も。これからどうなるんだろう。」と思うまもなく、指揮官の棒が円を描くように丸く回された。
兵士2人が再び駆け寄ってきたが、今度は左右ではなく丸太の上と下についた。
それから2人で丸太を持ち上げて、僕たちを縛り付けたままの丸太を担ぎ上げた。そのまま僕たちを砂地に掘られた穴の方に運んでいった。穴の前らしき所で止まると、足元の兵士だけが腰を下ろした。手間取っている兵士もいるらしくそこで全員が揃うのを待っているようだ。
丸太の柱は相変わらず背中にあって、僕たちは斜め前の空を仰いでいる形だ。
指揮官の棒が振り下ろされた。僕たちは柱に縛られたままあの直径1メートルの穴に突き落とされた。穴の入口は漏斗状で、下の方は直径50センチぐらいになっていて、僕たちは柱ごとその細い部分にまで落ちていった。
砂地に掘られた穴といっても、落下と着地の衝撃は結構なものだった。細い部分は身体との間にあまり余裕がなく、僕はそのまままっすぐに立たされている感じだ。
ちょうど首のあたりから上が漏斗状に拡がっていて、頭の周りはゆとりがあった。ただ穴そのものが深いので、もはや左右の捕虜仲間の姿は見えず、目に入るのは空ばかりだ。
その穴の上から、兵士がスコップのような物を持って顔を覗かせた。僕の身体の周囲に砂を落としてくる。どうやら穴と身体の隙間を埋めるらしい。
「傷口の血も止まっていないのに。」と抗議しようと思ったが、それより早く兵士がエジプト語で「心配するな。消毒と血止めになる熱い砂だ。といっても言葉が通じないだろうがな。」と言った。僕がエジプト語が分かるとは気付いていないようだ。
こうして僕は首まで熱い砂に埋められて、一人傷の痛みに耐えることになった。
と、そのときざわめきが起こり、足音からあの千人の見物人が動き始めたのが分かった。
「何が始まるんだろう。」
僕は、時々遠くなる意識の中で何か嫌な予感に震えていた。
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投稿:2011.07.10更新:2022.09.18
カイロ博物館奇談◆PART4〜緊縛と切断◆
著者 名誉教授 様 / アクセス 22846 / ♥ 71