[ プロローグ ]
なぜ、こんな事になっているんだろう?
五月晴れの中ボートの上で考える。
晴れて大学受験に合格して久しぶりのデート。
俺達は近くの公園でデートの最中だ。
で今の状態はと言うと・・・
ボートの中で俺がうつぶせになって彼女が俺の腰を跨ってボートを漕いでいる。
俺の今の役目は、悪戯で穴を空けられたボートが沈まない様にする事なのだ。
[ 本編 ]
「ごめんごめん。」
俺は謝りながら彼女に駆け寄る。
10時の待ち合わせに僅かに遅れていたのだ。
彼女は大体5分前には到着しているので俺も5分前には着くつもりだったのだが、
待ち合わせ場所が家に近い事もあり、油断していたのだ。
「もう、またぎりぎりまで寝てたんでしょう。私なんか朝5時に起きてお弁当作ってた
のに。」
「お弁当!!有難う、彩香先輩。楽しみだな。」
「また、『先輩』を付ける。もう付き合って一年だよ。」
「ごめん。つい癖で。」
俺、「榊 優(サカキ ユウ)」と「原 彩香(ハラ サヤカ)」は高校の先輩、後輩
の間柄である。
卒業式に告白してOKを貰い付き合い始め、初デートの1周年記念としてまたここで
デートする約束だったのだ。
俺の大学受験のせいもあって丸一日のデートは半年ぶりだ。
「懐かしいわね。優君」
「うん。変わらないね。少し散歩したらまたボートに乗ろう。」
「ええ、また乗りましょう。くすくす。」
ひさしぶりに会った優君は、ついに私の背を越えていた。
横に並んで歩いていると少しずつ遅れてくるのが何だか悔しい。
初めて会った時は頭一つ位低かったのに。
すっかり長身のイケメンになっている。
他の女の子と話していると嫉妬してしまう。
「優君、浮気してないよね。」
つい、口に出してしまう私。
「し、してないよ。全然。そんなもてないし。」
「女友達一杯いるのに?」
よせばいいのに余計な事を言ってしまう。
「友達だよ、と・も・だ・ち。」
更に、周りに人がいない事を確認しながらも耳元でこう囁く。
「えーっと、SEXしたいのは彩香さんだけ、だよ。」
「優君、ごめんね。」
私も周りを確認する。
少し住宅街から離れているこの公園は自然が多く、GWの始まりの今は人が少ない。
「今夜はたっぷりサービスしてあげるから許してね。」
布ズボンの股間を優しく揉むと直ぐに優君のペニスは堅くなる。
「さ、やかさん?」
「先に行ってボート借りとくね。ごゆっくりどうぞ。」
「どうすんだよ、これ。萎えそうに無いし。」
すっかり勃起してしまったペニスを見てため息をつく。
今日の夜を期待して昨日は抜いていないのだ。
結局、歩く時の刺激で暴発しない様に周囲を気にしながらゆっくりと彩香さんの後を追
う事にした。
ボート乗り場に着くと彩香さんが待っていた。
「優君、会計済ませてあるから早く乗ろう?くすっ、まだ勃起してるんだ。」
「そう簡単に収まらないよ。むしろ油断すると出ちゃいそうな位なんだから。」
「ごめんごめん。ボートの上でね?今日ボートに乗るのはまだ私達だけらしいから。」
「本当?早く乗ろう!それまで我慢するから。っっ!あぶねー。」
「ごめん、ごめん、湖の真ん中辺りで、ね?」
俺は射精を耐えながら湖の中心を目指す。
「はー、やっと着いた。うわっ。」
彩香さんが仰向けになって脱力する俺のズボンのジッパーを下ろす。
そんな刺激にも射精しそうになる。
「もう少しだから我慢して。たっぷり出してあげるから。」
ぷるん。
抑えていた下着が捲られると勢いよく俺のペニスが顔を出す。
「元気いいね。ぴくぴくしてる。最初は手と口どっちがいい?」
「口でお願いします。」
その時だった。
ボンっという音と共に俺の堅く勃起したペニスに木片が当たる。
「いってぇー。なんだよ。」
「え?穴?」
「穴?うわっ。」
性質の悪い悪戯で誰かが夜の内にボートに穴を空けていたらしい。
ご丁寧にすぐに分らない様に穴を空けてから軽く接着剤で固定して。
「ど、どうしよう。すぐ塞がないと沈んじゃう。」
「でも、塞ぐものって?」
勢いよく飛んだ木片は何処かに行ってしまい、代わりになるようなものも見つからない。
手で必死に塞ごうとしても水は容赦なく漏れ出す。
俺は勃起したペニスを仕舞う事も出来ず少しでも水が入らない様に必死で穴を抑えてい
た。
「あっ、いいもの見つけたかも。」
「本当、彩香さん。それ頂戴。」
「え、えっとぉ。」
「彩香さん。早く、早く。」
「えっと、えっとね。優君のペニス、なの。」
「俺のペニス?」
「うん。優君のペニスが穴と同じか、少し太い位でしょう?だから上手く塞げるんじゃ
ないかな?と。」
「う、うーん。そうかも?」
大事なペニスを何がいるか分らない湖の中に入れるのも怖いが・・・。
正直船が沈んだら彩香さんをきちんと守れるか自信が無い。
俺は覚悟を決める。
「分った。やってみる。」
「優君?」
俺は勃起したペニスをボートの穴にあてがい、ゆっくりと腰を沈める。
亀頭がゆっくりと穴に沈み、水が入る心配が無くなると俺は更にペニスを押し込み、
ボートの中でうつ伏せになった。
「彩香さん。船沈む心配は無くなったけど、どうしよう?」
「そうね、優君の上に乗って私が漕ぐしかないか。優君は大丈夫?私重くない?」
「うん。大丈夫。ペニスが水で冷たい位だから。陸に着くまで我慢するよ。」
「うひゃっ。」
「優君?大丈夫?」
「ごめん、ごめん。何かがペニスに当たった。ビニール袋かな?」
「優君、やっぱり怖いよね。」
「う、うん。でももう少しだから。」
この時の俺は俺を待ち受ける悲劇がすぐそこまで来ている事に気付かなかった。
「優君。もうすぐだからね。頑張って。」
その時だった。
ぱくっ。
何かが俺のペニスを咥えると凄い力で食い千切ろうとする。
「がっあああっ。」
「ゆ、優君?」
ぶちっ。
「ああっ。」
喪失感と共に強烈な痛みが和らぐ。
俺のペニスは、不法に放棄されたワニガメに半ば程を食い千切られてしまったのだ。
[ エピローグ ]
痛みで気絶した俺は、すぐに病院に運ばれた。
「大丈夫、目は覚めた?私は竜ヶ崎沙織。貴方を担当します。」
「は、はい。」
「ええと。貴方自分の状態は分る?」
「すみません。良くわかりません。」
「まあ、そうよね。気絶してたんだし。うーん、しょうがないか、単刀直入に言います。
貴方のペニスは、半ば程が食い千切られて無くなってます。つまり、亀頭部が無くなり、
生殖器としての役割の大半を失った状態です。」
「っ、あの、俺のペニスは?」
「元々のペニスの状態が分らないけれど、日常生活には問題無いと思います。一応性交
も出来ますが、そちらの方は、男女共にあまり性感は期待できません。」
「そ、うですか。」
予想は出来ていたが、ショックは大きい。
「治療の方針を決めたいのだけど男の子でいたい?男の子をやめる?」
「どういう意味ですか?」
「男の子でいるというのは、止血しただけでこのまま。男の子をやめるというのは男性
器を切除して女の子として生きる事よ。」
「男のままでいます。」
「そう、わかったわ。何かあったら相談してね。止血は済んでるからもう少ししたら退院
出来るから。」
「は、い。」
こうして俺はペニスの半ばを失ったのだ。
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投稿:2011.09.11
公園デート
著者 ふう 様 / アクセス 10923 / ♥ 0