新宿歌舞伎町にほど近い裏通りに建つ、薄汚れたオフィスビル。
その3階にある小さな事務所に俺は訪問、否、軟禁されていた。
「まだ足りないわね……残念だけど」
「足りないって、俺が持っているものはこれで全てだ」
「あと少し、ざっと2千万円といったところね、期限は明日の24時よ」
「畜生……(あのクソ親父め)」
俺の目の前に立っているのは、腰まである茶髪のロングヘア、淡いブルーのスーツが良く似合う美しい女性。
名刺にはミス・ブラウン法律事務所、代表弁護士、遠野恵美子と書かれているが、ただの債権取り立て屋だ。
踏み倒した当人である父と母は失踪、俺は一日でマンションから車、時計雑貨まで全てを処分させられたがまだ足りないと言う。
「仕方ないわね、妹さんに連絡を取りましょう」
「そ、それだけは待ってくれ!」
「待てないわ、それに女なら半年で返せるわよ?」
「嫌だ! 断る!」
「じゃあすぐに2千万円用意してもらうしかないわね、できるのかしら?」
「クッ……それは……」
「じゃあ、あなたと妹さんの身の安全は保証できないわね、結局同じことよ?」
柔らかくも厳しい口調で、彼女は俺を攻め立てる。
そういった裏世界のことを全く知らないわけでもなく、彼女の言うことは正しかった。
俺自身はともかく、幼いころから愛情を持って支え続けた妹だけは不幸にしたくない。
「そうだ、俺に2千万円貸してもらえれば……3年もあれば」
「調べたけれど、あなた……愛野修巳という人間にそんな価値はないわ」
彼女は、それなりの地位と年収がある俺をバッサリ切り捨てた。
「何か、何か方法が……」
俺は必死に考えたが、何も考えが浮かばない……そのままテーブルに突っ伏して頭を抱えた。
こんなことになるなら貯蓄しておけばよかった、真面目に生きていればよかったと激しく後悔した。
そんな俺の姿を見つめ、少し考え込んでから彼女が口を開いた。
「そうね、方法はあるかも」
「方法?」
「ええ、代償を払う覚悟があるなら……やってみる?」
「代償……それはどんな?」
「それはゲームの結果次第、どう?」
「そんな、具体的に聞かないと……」
「あなた、立場がわかってるのかしら? 返済に充てるのは妹さんでもいいのよ?」
「わかった! 俺がゲームに参加する!」
「ええ、それしかないでしょう?」
彼女は携帯を取り出すと、窓際に行きヒソヒソと話を始めた。
おそらく、そのゲームの参加を申し込んでいるのだろう。
とにかくそのゲームに勝てば全ては解決する、そう思うと少し気が楽になった。
「今申し込んだわ、ゲームは今夜よ」
「今夜……それで俺は一体何をすればいいんだ?」
「今から教えてあげるわ、出かけるわよ」
俺は彼女と共に事務所を後にし、そのまま繁華街へと向かった。
まだ明るい時間帯に新宿の繁華街を歩くのは、何となく後ろめたいものを感じる。
数分も歩かないうちに辿り着いたのは、ラブホテル街だった。
「ここに入るわよ」
「えっ? でもここって」
「何を動揺しているの? まさか、あなた童貞なの!?」
「いや、それは無い……」
「それならよかったわ、驚かせないで」
ホテルでは彼女の顔パスで、そのままVIPルームへと通された。
部屋に入るとありきたりのカップルのように、俺が先にシャワーを済ませベッドに入り彼女を待つ。
俺はその豪華なベッドの中で色々と考える。全く予想外の展開に俺は頭をひねった。
これがゲームに関係あるのか?
あるいはただ遊ばれているだけなのか? 男としては喜ぶべきシチュエーションなのだが素直に喜べない。
そうこうしているうちに、彼女がシャワーを済ませ目の前に現れた。
男慣れしているのだろうか、上も下も隠すそぶりが無い……せっかくの美人が台無しだと感じた。
「おまたせ、はじめるわよ」
「あっ!?」
寄り添うように横になる彼女の裸体を見て、俺はすぐに異変に気付いた。
スレンダーなボディに良く似合う小ぶりな乳房……しかしそこには両方の乳首が無かった。
「これが……代償なのよ……」
ほんの少し物悲しい表情で、指先を平らになったそこに指を這わせる彼女の姿に驚きを隠せなかった。
「男女でセックスをして先に絶頂を感じた方が負け、ルールはシンプルでしょう?」
「ルールはわかるけど、そんな代償って酷過ぎる!」
「ここは表社会とは違うの、人の不幸や絶望がお金になるのよ、それは知っておいて」
「俺の代償ってもしかして……」
「そう、男の代償はこれよ」
彼女はそう言いながら俺のチンポをゆっくりと握りしめ、その指先で刺激を与える。
「このゲームは二回勝負で終わるから、最悪でもタマが1つ、あるいはペニスが残るわ……フフッ、人道的でしょう?」
「人道的って……」
「あと、女がホストで男がゲストだから少し不利なのは覚悟して、女は大金を払って参加するのよ」
「そんな、わざわざ大金を払って代償を払うなんて理解できない」
「もちろん先にイかない自信があるからよ、勝てば男の宝物を奪えるわ、負けるリスクも最高のスリルになるわけ」
「……俺には理解できない」
「言ったでしょう? ここは普通じゃない、鬼畜の世界なのよ」
そう言い終わると、彼女はそのまま俺のチンポを口に含み執拗に刺激を続けた。
そんなゲームを経験しているだけあり、俺はその巧みな舌先の動きに逆らえず、瞬間的に射精しそうになりストップをかける。
「あら、しっかりしないと勝てないわよ? 私は別にあなたが負けても良いけれど」
「え? 負けたら借金が返せないだろう?」
「フフッ、もし切り取られてもコレの権利はこちらにあるの、そのままオークションにかけられるわ」
「オークション!?」
「そうよ、あなたのルックスとこのサイズならペニスで2千万、タマで500万といったところね……タマの売上から経費とペニスの防腐処理費を出すの」
「俺の……俺の男の価値が2千万? そんなバカな!」
「そう思うなら頑張って勝てばいいわ、勝てば5千万ぐらい貰えるわよ?」
「……君も払ったのか?」
彼女は俺の質問に、少し間を開けてから答えた。
「違うわ、私の飼い主が参加費を払っていたのよ」
「飼い主?」
「ええ、ゲームに使えなくなった私は乳首の代金を渡されて捨てられたの、それだけでも有難いと思ったわ……その時は」
「そうか……大変だったんだな」
「いいのよ、その代わりに色んな男のチンポを何本も切り落とさせてもらったから、とても快感だったわ……フフッ」
さっきまでペニスと言っていたのは猫を被っていたのだろう、堂々とチンポと呼ぶ彼女に少し親しみが沸いた気がした。
いや…それは間違っている。
彼女は何人もの男の人生を狂わせているのだ、そう気付くとチンポが硬さを失いそうになる。
「あら? どうして萎えたのかしら?……よく考えると、このまま切り落としてオークションにかけても良いのよね、このチンポ」
「ま、待ってくれ!」
「ウフフ……冗談よ、もう参加申し込みしたから違約金を取られちゃうわ、それに、万が一にでも勝てば利益になるもの」
「驚かせるなよ、フゥ……」
「冗談は置いといて、実力を見せてもらうわよ……乳首の跡は少し感じるから、お願いね」
「……わかった」
本当ならこの場から逃げ出したい、俺は現実なのか夢なのかよくわからない感覚に陥った。
しかし、妹だけは守りたい……その思いだけを頼りに、俺は彼女とゲームの前哨戦に挑んだ。
俺は必死で射精を堪えたが、数時間ののちに結局彼女に精液を吐き出すことになった。
「意外と粘ったじゃない……私、何度かイキそうになったわよ」
「そうなのか? 自分がセックスに強いのか弱いのかなんて、考えたこともないからわからないよ」
「でもゲームで通用するかどうかは不安が残るわね……覚悟はしておきなさいよ?」
「覚悟なんか出来るわけないだろ……聞くけど、タマを2個取られれば、チンポは残るんだろ?」
「そうね、でも私の知る限りでは居ないわ、こんなゲームに参加する女なら男のシンボルであるチンポを切るに決まっているでしょう?」
「……マジかよ」
「そうよ、女にとってチンポは男のシンボル……女を犯す憎たらしい器官……と同時に愛おしい部分なの、男にはわからないでしょうね」
「犯す……か」
そう言われて俺は、少しながら罪悪感を感じて俯いた。
「気にしなくていいのよ、あなたが私を犯すことを私が許したのだから、あなたは何も悪くないわ(チュ)」
「わかった、気にしない」
思いがけないキスに戸惑いながら、俺はそう答えた。
「じゃあ夕食にしてスタミナを回復しましょう、ゲームまであと2時間しかないわ」
ホテルを後にした俺達は、表通りの高級ステーキレストランで夕食を取り、彼女の呼んだリムジンでゲーム会場へと向かった。
いくつかの交差点を曲がり、リムジンは明るく煌びやかなビル街から一転した、暗く寂しい通りを駆け抜けていく。
「ここにこんな道があったなんて、知らなかった」
「そうね、普通の人はこんな所に用事はないでしょうね」
純白のリムジンがやっと通れるほどの路地裏を進むと、大きなビルの裏口へとたどり着いた。
そこには同じようなリムジンや高級車が何台も駐車され、その傍らでは高そうなスーツやドレスを纏った紳士淑女達が談笑している。
「こっちよ」
「あ、ああ……」
俺は彼女に連れられて、そのビルの傍に建つ別棟へと案内された。
警備員のボディチェックを受けエレベーターに乗り込むと、そのままゆっくりと地下へと降下し始めた。
「このエレベーター、ボタンも表示も何も無いんだな」
「ええ、もう引き返せないわよ」
「……そうか」
エレベーターの扉が開くと、すぐに執事のような男性が彼女へと近づいてきた。
その内部は高級ホテルのロビーのような雰囲気だった、大勢の男女がグラスを片手にその奥にある空間を見つめている。
「お待ちしておりました遠野様、こちらへ」
豪華なロビーから通路を進み、受付カウンターへと通され、俺は正式に挑戦者として登録された。
控室のような部屋に通された俺は服を脱ぐよう指示され、それに従った。
それを黙ってい見ていた彼女が口を開く。
「フフッ、改めて見ても良い体ね……チンポにも高値がつくわ」
「冗談じゃない、やめてくれ!」
「準備が良ければ会場に出てください」
「わかったわ、行きましょう、愛野君」
俺と彼女は眩い照明に目を掠めながら会場へと進む、同時に拍手と歓声が上がり、かなりの人数が周囲にいることが分かった。
「な……なんだここは……」
オペラ劇場のような豪華な内装を施された客席には、およそニ百人ほどの観客が席に着いている。
高そうな服を着た男女が、ニヤニヤと笑みを浮かべながら拍手をして俺を迎え入れる。
その中央には、ライトアップされた豪華な巨大なベッドが設置されている……なんと悪趣味な光景だろう。
そのベッドの傍らには、ガウンを纏った一人の女性が待ち構えていた。
金髪に染められたロングヘアを軽く手で横に流すと、彼女は恵美子に声を掛けた。
「あら? 恵美子じゃないの、久しぶりね」
「はい、お久しぶりです……春香様」
「ふぅん……ずいぶんと出世したのね、今日は私の為にその子を用意してくれたの?」
「はい、春香様」
対戦相手と淡々と会話をする彼女に、俺は不安を感じながら尋ねた。
「知り合いなのか?」
「あの人が私を飼っていたのよ……」
「俺を嵌めたのか?」
「それは違うわ……」
『レディースアンドジェントルマン! 本日もこのセックスバトルゲームにようこそいらっしゃいました、ウェルカーム!』
二人の会話を塞ぐように館内放送が流れ、ゲームの開始を伝えた。
同時に沸きあがるような拍手が響き、口笛を吹く者までいる……俺は思わず怒りを覚えた。
『本日の挑戦者は品川区在住の愛野修巳26歳、参加理由は父親の借金! なんと参加申し込みはフィアンセである遠野恵美子さん!』
『これはこれは、なんという不幸なのでしょう!』
司会者からのふざけたプロフィール紹介に、会場からドッと笑い声が沸き起こる。
「なっ、ふざけるなっ! なんだこれはっ!」
「言ったでしょう? ここでは人の不幸がお金になるの」
「しかし……フィアンセって?」
「実の親に捨てられ、フィアンセに売られる可哀想な男……その方が面白くて不幸でしょう?」
「畜生……」
「そうよ、ここにいるのはみんな畜生よ、私も……」
「……」
『それでは両者ベッドに入ってください! ルールは簡単イったら負け! ファイトッ!』
心の準備も何も無くゲームは始まってしまった、俺は審判と思われる筋肉質な女性にベッドへと連れて行かれた。
ガウンを脱ぎ去った春香がベッドに座り、余裕の表情で俺を手招きをしていた。
「あなた恵美子のフィアンセなの? それを売るなんて笑っちゃうわ……なかなかやるじゃないのあの子」
「うるさい」
「フフフッ、口だけは偉そうね、それよりさっさとソレを起たせないと始まらないわよ?」
そう言い放つと、春香はいきなり俺のチンポを咥えこみ、思い切り吸い上げた。
信じられない勢いで吸い込まれると同時に舌先で愛撫をされ、油断した俺は萎えたまま射精しそうになる。
「あっ!?(マズイ!)」
「んはっ……何やってるの? もっと楽しませてくれないと噛み切るわよ?」
春香の口から解放された俺のチンポは、その刺激から硬さを得て勃起した。
その勃起した俺のチンポを、春香はマジマジと観察しながら粘液を舌先で舐め取る。
「あら、良い形じゃないの! 大きさも丁度いい感じ……一応は逸品ね」
「じゃあ今度は俺の番だな」
「いいわよ、私を楽しませてちょうだい」
俺を招き入れる体制を取るその肉体に程よく鍛えられた筋肉が見て取れる。
女らしいプロポーションの下に隠された、とてつもない力が秘められているのだろうか……。
俺は舌で春香の下腹部に愛撫を施すと、軽く吐息を吐く、そしてそこには愛液が溢れだした。
「あぁん……もういいわ……いらっしゃい……試してあげる」
「(もしかして、いけるか?)」
俺はそう思いながら、ゆっくりとチンポを春香のソコへと挿入した。
鍛えられた腹筋を見たときの予想よりも、簡単に俺のチンポは飲み込まれた。
「ああっ、いいわ……イイ感じ」
「絶対イかせてやるよ」
ここまできて恥じらいも何も感じなくなった俺は、衆人環視の下で一生懸命春香を犯し続ける。
会場は静まり返り、俺と春香が交わる音だけが響き渡る。
「ああん、イイわ、イイわよ……頑張りなさい、フフッ」
「あ、あれっ!?」
さっきまでスムーズだったソコが急にキツくなった感触を感じた瞬間、俺は身動きが取れなくなった。
「あら? どうしたのボウヤ、もっとオチンチン動かしなさい?」
「う、動かない……クソッ」
俺のチンポは、完全に春香のそこで強く握りしめられ固定された。
そしてソコはさらに強くギリギリと締め上げてきた。
「アッ……」
「あら……意外とあっけないのね、つまんないわ」
そのままソコは脈動を始め、俺のチンポの全てを刺激しはじめた、こんな快感は初めてだ。
もはや犯し続けることも、引き抜くことも出来ない。
春香の人間離れしたテクニックに、俺は成すすべが無かった。
「あっ……あっ……ダメだ! クソッ……あぁっ、クッ」
「アハハハッ、情けない声だしてカワイイわね、あなた」
「クッ……畜生っ!」
「終わりよ……」
春香のその言葉と同時に、俺は射精してしまった…。
「勝者、春香嬢!」
俺の腰の脈動と反応を見て、審判の女性がジャッジを下した、俺は負けた……。
会場ではあっけない結末へのブーイングと春香への歓声、拍手が沸き起こっている、恵美子は無表情のまま俺を見つめていた。
「じゃあ恵美子、あなたの大事な大事なフィアンセのオチンチン、切らせてもらうわよ?」
「はい……どうぞお切りください、春香様」
「ウフフッ、素直で良い子ね」
ようやく春香のソコから解放された俺は、そのまま審判の女性に抑え込まれる。
その束縛から逃れようと必死に抵抗したが、鍛え上げられた肉体に全く歯が立たなかった。
目の前には、注射器を手にした春香が迫っていた。
「さぁ、お注射しましょうね〜」
「や、やめろっ! やめてくれっ!」
「あら、麻酔も入ってるのに、ホントにお注射やめても良いの? オチンチン切ったら痛いわよ〜?」
「クソッ……畜生」
「それに、男としての最後の晴れ舞台だから、立派にしないとつまんないでしょ?」
春香は俺のチンポに何か所もその注射を刺し、何かを注入した。
同時に俺のチンポは完全に勃起して天を向いた。しかしその感覚は俺には伝わらず不思議な気分になった。
「さぁ、男としての最後のシーンを皆さんに良く見せてあげましょうね〜」
「や、やめろっ」
俺はそのまま立たされ、観客席に向かってチンポを突き出す体勢を取らされた。
春香は傍の係に注射器を渡すと、今度は大きな剣を手渡された。まるでRPGゲームに出てきそうな悪趣味なデザインの剣だ。
観客席の連中はみな目を輝かせ、俺の姿を見て笑みを浮かべている。
まだ高校生のような女の子まで、次に起こることに期待に胸を膨らませながら俺のチンポを凝視しているのがわかった。
そして俺は全てに絶望した。
「切れよ」
「あら、カッコイイ」
(ザンッ……ボトッ)
何の躊躇もなく、いきなり剣は振り下ろされた。
俺のチンポは体から切り離され、隆々としたまま床に転がる…。
同時に観客席からは怒涛のように拍手と歓声が上がり、春香はまるで勇者のように格好を付けながら頭を下げる。
「あっ……あっ……俺の……チンポが……」
「アァン最高っ! 私はこの瞬間の為に戦ってるのよ!」
「畜生……ふざけるな……」
「フィアンセが居るのにオチンチン切られるなんて可哀想〜、悪いのは私じゃないのよ? 恵美子を恨みなさい、フフフフッ」
春香はニヤニヤと笑みを浮かべながら俺の顔を覗き込んでそう語ると、切り落とされたチンポを俺に握らせた。
注射のせいなのか、断面からの出血は少なく激痛は感じない。
不思議なことにその断面は勃起したまま脈動を続けていた。
俺は審判の女性に抱えられ、恵美子の傍の小さなベッドに横にさせられた。
「……残念だったわね」
「……」
「もういいわ、楽にしてて……今からタマを一つ取ってもらって、それで終わりよ」
「ふざけるな……二回勝負だろう?」
「え?……あなた、何を言っているの?」
「二回勝負だろっ! やってやる!」
俺の発した声に会場が静まり、どよめきに変わった。
それはやがて嘲笑に変わり、チンポが無い俺をバカにする会話が聞こえた。
「チンポが無いのにどうやってセックスゲームをするのよ……落ち着きなさい」
「嫌だ……」
「もういいのよ、このチンポで借金はチャラになるのだから」
恵美子は本気で俺をなだめようとしているのがわかった。
もちろん醜態をさらすだけかもしれないが、俺は春香を許したくなかった。
「チン無しクンとセックスゲームって面白いじゃない、私は受けて立つわよ?」
「春香……様」
「その代わり、私が勝ったらタマ一つ握り潰すわよ?」
「ああ、わかった」
観客達も以外な展開に盛り上がり歓声が沸き起こった。
チンポを切られたチン無し男の自虐ゲーム、これはこれで楽しめるのだろう。
『えーっ、前代未聞ですがペニスを切断された挑戦者による二回戦に突入しまーす!』
確かに俺のチンポは失われた、歩くたびに、何か体のバランスが違うのを感じ取った。
しかしそこはまだ固く勃起し、出血も痛みもほとんど無い。
「あきれたわね……その体で私にナニか出来ると思ってるの? あなたはもう男じゃないのよ?」
「俺は……俺は男だ!」
「アッハハハハハ! おかしいわ〜あなた! 早く私を犯してみなさいよ!」
観客席からもドッと笑い声が上がる。
それを無視しながら、俺は先ほどと同じように春香のソコに顔を埋め、舌先で執拗に愛撫を始めた。
「ンッ……いいわよ……私を感じさせなさい」
「絶対イかせてやる」
「ンアッ……イイわ……あなた、愛撫だけは一人前ね……ん」
余裕を見せるが確かに春香は感じている、このまま行けば勝てる、俺はそう確信した。
「アッ!……ンッ……ダメッ……レ、レフリー……ダメよっ」
春香に呼ばれた審判が、愛撫を止めず攻め続ける俺をいきなり引き離した。
「なっ! 何をするんだよ!」
「愛撫での絶頂はルール違反です」
「えっ!?」
クールな表情のまま審判の筋肉美女はそう説明した、間髪入れずに春香が口を開いた。
「ハァ……ハァ……あなた、ルールを聞いていなかったの? これはセックスゲームなのよ?」
「そんな、さっきだってOKだったじゃないか」
「スムーズなセックスへの誘導としての愛撫はいいのよ、愛撫は挿れるため、セックスゲームは性器同士の戦いなのよ?」
「そんな……なんだよそれ」
「ちょっと恵美子! このバカにしっかりルールを教えときなさいよ!」
恵美子は無言のまま俺を見つめているだけだった。
春香はベッドに戻り、その女性器を指で開き俺を挑発した。
「もうこんなに濡れてるのよ? 早くあなたのオチンチンをイ・レ・テ」
会場から再び笑い声が上がる。
俺は頭に血が上り、わけもわからず春香の上に圧し掛かると、ソコに失ったチンポを差し込もうとした。
「チ、チョット落ち着きなさいって……アッ……チョット……アン……」
「……」
俺は無言で春香のソコを犯そうとするが、チンポが無い股間が空しい音を立てて突き当たるだけだった。
もう俺に出来ることは何もなく、そのまま延々とチンポの残りをソコに強引に押し付け続けた。
「アッ……バカッ……やめ、やめなさいよ! アァ…アン…」
「……まさか感じてるのか?」
「う、うるさいわね……感じてなんか……アッ……こっ……こんなの、イン……チキ……よ……アッ」
春香は明らかに感じていた。
チン無し男に腰を振られて感じる春香嬢の姿に、観客達も動揺を隠せないようだ。
「なんなんだありゃ」
「こんなことってあるの?」
「意外と面白いじゃないか、あのチン無し」
そのような会話があちこちから沸き起こっている。
「このままイカせてやる」
「な、何をボヤっとしてるのよレフリー! アッ……」
審判の筋肉美女は反応しない。
例えチンポの切り株でも、性器同士の戦いには違いないからだ。
ものの数秒もしないうちに彼女の体はピクンと震え、その腕が俺の体を強く抱きしめるとそのまま果てた……。
「俺の勝ちだ」
俺はそのまま立ち上がり、その情けないチンポの切り株を観客席に晒した。
緊張が解れたせいか、充血し熱を帯びた切り株から快感を感じ、俺は断面から勢いよく射精した。
予想外であっただろう俺の勝ちに、観客席は沸き立ち拍手も鳴り響いた。
そして軽く興奮状態の俺に、係の者がカミソリを手渡し勝者の権利行使を則した。
「あなたは春香嬢の乳首、あるいはクリトリスを切除できます」
「俺が……」
「はい、観客の皆様もお待ちになっていますよ?」
観客席に目を向けると、目を輝かせる観客たちの姿があった……それは先ほど俺のチンポが切り落とされた時と同じ輝きだった。
「イヤァアアアアアアアアアアアアッ! イヤッ! イヤッ! イヤァアアアアア!」
正面に視線を戻すと、筋肉美女に抑え込まれた春香が狂ったように泣き喚いていた。
「イヤッ! やめて……お願い、お願い……止めて……こんなのイヤッ」
「ふざけるな! 躊躇いなく俺のチンポを切ったクセに!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……お願い切らないで……イヤァ……ウワァァアアン」
涙を流しながらひたすら許しを懇願するその姿には、先ほどまでの高飛車な春香嬢の面影はなかった。
このやりとりを恵美子は無言のまま見つめている……一体どのような心境なのだろうか?
俺はチンポの代償として、クリトリスを切ってやろうと思っていたが……ふと恵美子の乳首の事を思い出した。
そして徐に、春香の右の乳首へとカミソリを近づけた。
「や……止めて、ね? お願い……やめて……え、恵美子! やめさせなさいよっ!」
「お前が恵美子にそんなお願いができるのかよ」
「う……うるさいわね、止めないと、あとで殺すわよ?」
「ああ、もう俺はチンポがないんだから死んでもいいよ」
そんなやり取りを見てじれったいと感じる観客が、切除を急げとヤジを飛ばし始めた。
「そのいけ好かない女の乳首なんかさっさと切っちまえよ!」
「早く切りなさいよー、チン無しー! キャハハハッ」
「なんなんだ……こいつら」
俺はなんだか全てがバカバカしくなり、その場にカミソリを投げ捨てた。
「おい! お前ふざけんな!」
「カッコつけてんじゃねーよチン無しのくせに!」
会場は大ブーイングに包まれた……そんなことはもうどうでもいい。
俺は一刻も早くここを去りたかった。
審判の筋肉美女が俺に問いかける。
「乳首の切除を放棄しますか?」
「ああ、放棄する……ダメなのか?」
「いいえ、可能です、その代りあなたが代償を払うことになります……タマを一つ」
「ムチャクチャだな……もう好きにしてくれよ」
「わかりました」
春香嬢は醜態をさらしたまま会場を後にし、そのまま俺のタマ抜きショーが始まった。
執刀はあの筋肉美女だったので不安だったが、さして痛みもなく、サクサクと俺のタマ袋を切り開いた。
その中から俺のタマを取り出し、そこに繋がる管を切り離した。
観客はそこそこ盛り上がり、俺の右のタマが切り離される瞬間、歓声を上げて喜んでいた。
それを切り離した筋肉美女が、そっと耳元で「ごめんなさい」と漏らしてくれたのが俺には救いだった。
自分のチンポとタマのオークションなど見たくもなかったので、後は恵美子に任せて俺は控室で休み、ウトウトと眠りについた。
「起きて……全て終わったわよ」
「……全て?」
「そう、終わったのよ、帰るわよ」
「帰る……」
恵美子に起こされ、俺はこの忌々しい鬼畜の宴会場を後にした。
チンポを失い、右のタマも失なった俺の男としての自我は崩壊寸前だった。
リムジンの中で俺は、無意識のうちに唯一残された左のタマをズボンの上から撫で続けていた。
そんな俺の姿を見つめながら、恵美子が口を開いた。
「ごめんなさい……」
「そんなの……今さらやめてくれ」
「そうね……わかったわ、とりあえずこれで借金の件は終了よ」
「ああ、わかった」
「これからなんだけど……どうするの?」
「もう人生なんてどうでもいいよ、俺はもうチンポが無いんだぜ?」
「……そうね、もう二度と女を犯せないわね……私のことも」
「ああ……犯せないよ」
「どうしてあの時、春香様の乳首を切らなかったの?」
「切って復讐して欲しかったのか?」
「いいえ、わからないわ……でも乳首を切らなかったあなたに、私は救われた気がするの」
「なんだよそれ、意味が分からないよ」
「私もよくわからないわ……もしあの時の私の対戦相手があなただったら、私の乳首は切られていなかったのかなと思ったの」
「そういうことか」
あの女を春香様と慕っていることもあり、恵美子の真意はよくわからないが、何か救われた気がするのは本当なのだろうと思った。
「ねぇ、私のパートナーにならない?」
「なんだよいきなり」
「今の仕事よりは遥かに報酬は増えると思うわ、どうかしら?」
確かにこんな体になって元の職場に戻っても、普通の男の幸せを手に入れられるなんて思えなかった。
現実逃避の思いもあったのかもしれないが、俺は恵美子の提案にOKと答えた。
「よかったわ、やっぱりあなたは賢明ね」
「やめてくれ、本当に賢明ならチンポを失うような人生は送ってないよ……」
「そうね……じゃあそういうバカな生き方は、今日で終わりにしてくれる?」
「わかったよ」
「じゃあこれをプレゼントするわ」
恵美子は抱えていた大きいバッグから、革張りのケースを取り出しそれを開いた。
そこに入っていたのは、紛れもなく切り落とされた俺のチンポだった。
驚いたことに、切り落とされた時の状態のままの色艶で勃起した硬さもそのままだ。
「こ、これは俺のチンポ!?」
「そうよ、3千万円で落としたのよ、春香様を打ち負かせたプレミアが付いたから大変だったのよ? タマは経費分だから諦めてね」
「そんな、一体どうして?」
「私は鬼畜だけど……まだ少しは人の心が残ってるのかしらね、私費だけどバカバカしい出費しちゃったわ」
「……ありがとう」
「お礼なんて言わないで、あなたがもう男として女を犯せないことには変わりないのだから」
「いいよもう……どうでも」
「でも、元は取らせてもらうわよ?」
「えっ?」
「そうね……例えば負債者にあなたの股間と、この切り取られたチンポを見せたら、きっとすぐにでも支払うでしょうね……フフッ」
「……鬼畜だな」
「ええ、鬼畜よ……それに」
「それに?」
「このチンポ、使えるのよ?」
「使えるって、君が勝手に使うんだろ?」
「違うわ、一緒に楽しみましょう……あなたはプライベートでも私のパートナーよ」
「でも俺はもう男じゃない……」
「あなたは私の男よ、ここにあなたのチンポがあるもの、それにさっきのアレ……春香様をイかせたのを私にもオネガイ」
「ああ、わかった……ちゃんと俺もイかせてくれるのか?」
「もちろん、頑張ってイかせてあげるわ」
タマ一つだけになった俺が普通に射精できるのか不安は残るが、裏社会の美人弁護士と一緒になれるなら悪くない話だ。
熱いキスを交わす二人を乗せたリムジンは、そのまま恵美子のマンションへと向かった。
(終わり)
-
投稿:2012.10.17更新:2023.12.03
ゲーム
著者 いち 様 / アクセス 17100 / ♥ 5