俺は山々に囲まれた林道を自慢のオフロードで軽快に飛ばす。
国道から逸れて一時間。ようやく目的の集落が見えてきた。
俺は思いつきでシングルキャンプを兼ねて十数年振りに母の故郷であるこの地を訪れたのだ。
母の実家や近所の家は木々に覆われた廃墟になっており人の気配もない。
少し寂しい気分に浸りながらバイクを奥へと進めて川の源流にある池へとたどり着いた。
俺は子供のころ泳いでいた池の畔に立つとふとある事を思い出した。
「河童……いたっけ?」
確かにここで河童の少年と相撲を取った記憶がある。
きっと近所の友達を河童と思い込んでいたのだろう、そう思った。
河童など気味の悪いモノが出そうな雰囲気でもなくさわやかな日差しを受けながら俺はテントを張り独り自然を満喫する。
海水浴場やプールで男一人りは目立つがここなら誰にも遠慮は要らない。
俺は童心に帰り真っ青な池に飛び込みひと泳ぎするとそのまま仰向けに浮かび青空を眺めた。
「気持ちいいな」
(にゅっ)
「!?」
仰向けに浮かぶ俺のお尻から太ももにかけて何かが触った。
ふと水の中を見ると人ほどの大きさの何かの陰が動いた。
「な、なんだ? 魚か?」
俺は驚いて畔へと戻り池から上がろうとしたその時、誰かが俺の名を呼んだ。
「ケンじゃないか?」
「えっ!?」
驚いて振り返ると池の中に一人の女の子が立っていた……否、何かがおかしい。
青い水着を着ているが良く見ると肌が緑で頭には小さいながら皿がある。
俺は瞬間的に鳥肌が立ち驚きの声を上げ腰砕けになる。
「うわっ!? かっ、河童!?」
「やっぱりケンなのか?」
幼いころ見た河童は本当に居た。
しかしそこに立つのはどう見ても若い女の子の河童で俺には見覚えが無い。
「ボクだよ! リンだよ! 」
「リ、リン? 」
「いっしょにスモーしたじゃないか」
「……じゃあ、あの時の河童なのか?」
「ウンウン、そうだよひさしぶりだなっ」
河童はそう言いながらしゃがみこむ俺の両手を取って振り回し喜びを表現した。
目の前で無邪気にはしゃぐ女の子の河童はあのときの河童だったようだ。
確かにその口調はあの時と変わっていないような気がした。
「お、女の子だったのか?」
「そうだぞオンナノコだぞっ、おどろいたか?」
「ああ、色々と驚いたよ」
「おおきくなったなケン」
「リンこそ大きくなったんだな」
まるでにほんむかしばなしのような状況だが現実を受け入れるしかなかった。
俺はリンと一緒に池の畔に座り会話を続ける。
「みんないなくなってさびしかったんだぞ?」
「そうか……そうだよな」
「ケンはここにかえってきたのか?」
「いや、そういうわけじゃないんだ」
「またいなくなるのか?」
「……ああ」
「……そうなのか」
見た目とは違い無邪気で子供のようなリンだが少し落ち込んだようだ。
気まずい雰囲気に俺は話題を変えた。
「その水着はどうしたんだ?」
「ミズギ? これのことか?」
リンはそう言いながら水着の胸の部分をギューと引っ張りその下から乳首が見えた。
彼女は人間ではなく河童なのだが一瞬ドキっとしてしまった。
「これはケンのオババからもらったんだ」
「えっ? そうなのか?」
「ムネがふくらんだらオンナノコはハダカをかくしなさいっておこられたぞ」
「そっか、ばあちゃんと知り合いだったのか……」
俺は祖母を思い出し少し涙ぐんでしまった。
「どうしたケン? どこかイタイのかっ?」
「いや、大丈夫だよ……心配してくれてありがとうな」
「ケンもオババいなくなってさびしいか?」
「ああ、寂しいよ」
「じゃあボクがヨシヨシしてやるぞ」
リンは水かきの付いたその手で俺の頭をヨシヨシと撫でてくれた。
まさか河童に慰めらることになるとは思わなかった。
「ゲンキになったか?」
「ああ、元気になったぞ。ありがとう」
「ヨシ! じゃあスモーするぞっケン!」
「えっ? いやもう俺たち大人だぞ?」
リンは河童だから相撲をしたいのだろうか?
しかしもう大人だし、ましてや体が成熟した女の子と相撲を取るなんて気が乗らない。
「ボクのクニだとオトナでもスモーしてたぞ」
「クニがあるのか?」
「あったぞ……でも、もうかえれないぞ」
「そんな、どうして」
「……もうみんないなくなったんだ、ケンとおなじだ」
「そうなのか」
事情はわからないが河童のクニは無くなってしまったようだ。
今度は俺がリンをヨシヨシしてやるとリンは笑顔になり喜んだ。
頭の皿のさわり心地はかすかに憶えがあった。
「ヨシ! スモーだスモーだ!」
「わかったわかった」
テントの横の広い場所に土俵を描き俺はリンと相撲を取ることにした。
河童なのはわかっているがその胸やプロポーションは人間の女の子とほぼ同じで正直気恥ずかしい。
「ハッケヨーイ、ノコッタ!」
リンの掛け声で相撲は始まった。
リンは遠慮なくがっぷり四つになり俺の水着を握りグイグイ引っ張り上げる。
しかし俺はリンの水着のそこを引っ張り上げる気分になれなかった。
仕方なくその腰に手を当てるが俺はどうしても興奮してしまいグイグイと押される。
「どうしたんだケン? がんばらないとたおしちゃうぞっ」
「わ、わかってるよ」
俺は思い切って水着のモモの部分に手を入れグイと上に引っ張り上げた。
水着が一気にくい込むとリンが思わぬ声を上げた。
「ひゃんっ!」
「ご、ごめんっ!」
「あ、あやまらなくてもいいぞっ」
無邪気で子供のようでもリンのそこは大人だとわかると妙な気分になりチンポが勃起し始めた。
この状況に俺は更に気まずくなり相撲どころではなくなってしまった。
しかしリンの勢いは収まらない。
「ケンよわくなったんだなっエイッ!」
「ま! 待った待った!」
「またないぞっ!」
(ドサッ)
股間を庇う俺は土俵にあっけなく倒されてしまった。
この年になって相撲を取り膝を擦りむくとは思わなかった……。
「ヤッター!! ケンにやっとかったぞーっ」
リンはピョンピョン飛び跳ねて大喜びだ。
そう言えば子供の頃は俺がいつも勝っていたような気がする。
あまりの喜びように俺まで嬉しくなってしまった。
「おめでとうリン」
「ボクはじめてケンにかったぞ」
「だな、いつも俺が勝ってたっけ……」
「じゃあケンのキューリとシリコダマもらうぞっ」
「え? な、何だって?」
リンの口から思いがけないセリフが出て俺は焦った。
大体シリコダマなんて迷信だし、俺は困惑した。
「おいおい、シリコダマなんて無いしキューリなんて持ってきてないぞ」
「そんなことないぞっ、ケンはオトコノコだからちゃんともってるぞ」
「お、男のってまさか!」
「コレだぞ、むかしよりすっごくおおきくなってるぞ」
リンは俺の股間を水着越しにムンズと握りしめた。
その瞬間俺はゾゾッと背筋に寒気を感じた。
「そっ、それはキューリじゃない! チンポとキンタマだからやめろっ!」
「ケンはしらないのか? キューリとシリコダマはオトコノコのシルシだぞ」
「たのむからやめてくれ」
「だってボクがかったらコレくれるってあのときヤクソクしたじゃないか」
「あ……あの時は……」
確かにそう約束した気がした。俺はなんて浅はかだったのだろう、心底そう思った。
とにかくこの場を逃れようと必死にもがくがその手がチンポとキンタマから離れず身動きが取れない。
もがく俺をリンは空いた手足でさらに抑え込んだ。
「ヤクソクをまもるのがオトコノコだぞ」
「待ってくれ! 男はチンポを取られたら死んでしまうんだ」
「ボクはキューリとシリコダマついてなくてもいきてるからだいじょうぶだぞ」
リンの思考は幼いままなのだろう。あまり深い意味は通じないようだ。
リンはそのまま俺の水着を脱がしチンポとキンタマを露わにした。
この恐ろしい状況の中なぜかそこは勃起したままだ。
「ケンのキューリもおおきくなったんだな、ボクのムネとおなじだなっ」
「やめてくれリン、チンポが無くなったら俺は生きていけない」
「ケンのいうことはよくわからないぞ」
リンは首を傾げそう言うと俺のチンポとキンタマの付け根をギューっと握りしめた。
その力はどんどん増してきて締め上げる。
「イタイ! イタイ! やめてくれリン!」
「スグとれるからガマンすればだいじょうぶだぞ」
「嫌だ取らないでくれっ! アアアアアアアアッ」
「ケンみろみろ、キューリとシリコダマとれてきたぞっ」
(ズパッ)
「アアアアアアッ……」
「とれたぞっ! でかいぞっ!」
俺はスパーンとチンポとキンタマが千切れる感触と激痛に顔を歪め苦悶した。
リンは俺のチンポとキンタマを握りしめてニヤニヤしている。
俺は全ての気力を失いうな垂れながら失われた部分を確認した。
「な……なんにもない!」
確かに引きちぎられるような感触を感じたがそこはツルンと平らになってしまった。
恐る恐るそこを指で確認すると尿道と思われる小さな穴と陰毛だけが残っている。
チンポとキンタマを引きちぎられた痛みもすっかり消えてしまった。
「ケン、だいじょうぶか?」
「……」
リンは俺の大切なチンポとキンタマを握りしめたまま本気で心配している。
なんて残酷な光景なんだ……俺はそう感じて何も言葉が出なかった。
「ケン……そこでボクをみててくれるか?」
リンはポツリとそう言うと池に潜りあっという間に真中の島へとたどり着いた。
そこには昔からカメの形をした甲羅石と呼ばれる石像のような石があった。
リンは俺のチンポとキンタマをその石に当てるとその前に座り両手でそれを握りしめる。
「なっ……そんなバカな!?」
甲羅石に取り付けられた俺のチンポが一瞬ビクンと大きく脈動し一気に勃起した。
するとリンは甲羅石と会話をしているように見えた。そしてチラリと俺に視線を向け口を開く。
「ボクのクニのかみさまがさいごまでケンがみててくれないとダメだといってるぞ」
リンは水着を脱ぎ素っ裸になると甲羅石に抱き着き甘い吐息をついたのがわかった。
肌の色が違い甲羅を持っているがその裸体はとても美しくエロティックだ。
そして生きているように脈動する俺のチンポを先ほど水着がくい込んだリンの大人の部分へと導き、ゆっくりとそこに差し込んだ。
興奮状態になったリンは甲羅石の上で喘ぎ、そして腰を動かす。
リンは甲羅石とセックスをしている……ありえない光景だがそれが事実だ。
リンは恐らく河童の本能で行動しているのだろう、そう感じた。
「リンが俺のチンポでセックスしている……」
不可思議でエロティックな光景に男として興奮するが俺の平らなそこはピクリとも感じることが出来ず気が狂いそうだった……。
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あれから俺はこの村に住み続けている。
荒れた集落から適当な廃材を集めて池の畔に家も建てた。
「とうちゃんスモーだスモーだ!」
「ああ、わかったわかった」
甲羅石とセックスをしたリンは半年の後に3人の河童の子を産んだ。
俺は成り行きでこの子たちの父親として生活している。
この子たちが俺の子供なのか甲羅石の子供なのかはわからない。
やがてここが新たな河童のクニになるであろう予感はしている。
俺とチンポとキンタマは河童たちの繁栄の為の生贄のようなものなのだろう。
しかし元々都会の喧騒が好きではなかった俺にとっては幸せな人生だ。
「あん……ちゃんとみてるか? ケンのキューリきもちいいぞっ……アッ」
毎晩のように甲羅石と激しく愛し合うリンの姿を見なければならないこと以外は……。
(終)
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投稿:2012.11.13更新:2019.05.16
河童
著者 いち 様 / アクセス 12002 / ♥ 2