「困りましたね、アイル……ここにはもう、あなたの居場所はないのですよ?」
常に規律正しいシスター長のマリーが、僕にそう語った。
まだ幼いころ、親の居ない僕はこの教会に引き取られ、今日まで育てられてきた。
しかし少年から大人の男になりつつある僕が、いつまでも修道院に居るわけにもいかず、新たな人生を見出すように言われた。
もちろん身分の知れない僕は、修道士になることも許されなかった……。
しかし、教会を出て勤め先を見つけることは簡単なことではなく、今日もまた教会に戻って来てしまった。
僕と同じように教会で育てられていたジョンは、半年ほど前に教会を出て一人立ちしたというのに……僕は情けない気持ちになり、心が痛んだ。
「マリーシスター長、僕は一体どうすれば良いのでしょう……」
「アイル、もう一日だけ寝泊まりを許します、明日また街に出て職と宿をお探しなさい」
「はい、ありがとうございます。マリーシスター長」
僕は教会の外にある小屋に戻り、粗末なベッドの上に横になった。
しばらくして、ふと小屋の戸が開き僕を呼ぶ声が聞こえた。
「アイル、いる?」
「エミリー姉さん、どうしたの?」
シスター・エミリーは肩で切り揃えられた金髪が美しく、多くの街の人たちに愛される美人のシスターだ。
彼女は幼いころから僕と遊んでくれていた、とても優しくてしっかりした僕のお姉さんのような憧れの存在だった。
「新しい勤め先は見つからなかったの?」
「うん……僕は、ジョンのように上手くいかないみたい」
「そう……」
エミリーは僕の事を心配して会いに来てくれたのだ。そう思うと少し元気になった。
「アイル、ここに残りたくない?」
「え? だって、修道士にはなれないから、ムリだよ」
「修道士にならなくてもここに残れる方法があるの」
「え!? 本当に?」
「ええ、本当よ……どうする?」
「もちろん残りたいよ、どうすればいいの?」
「一緒に来て」
エミリーは僕の手を取ると、教会の数件隣にある石組みの立派な家へと連れて来てくれた。
幼いころからシスター達に、その家には絶対に近づかないように言われていた。
その家の周囲はひっそりと寂れ、誰も住んでいないように思えた。
「エミリーよ、アイルを連れてきたわ」
その家の玄関の前でエミリーが声をかけると、ゆっくりとその扉が開いた。
その扉の奥では数人のシスター達が僕たちを待っていた。
「アイル、来てくれたのね」
「嬉しいわ、アイル」
シスター達は次々に僕の手を取り、笑顔で歓迎してくれた。
ここは一体、どういう場所なのだろう。教会に残れる喜びと反面、言いようのない不安が頭をよぎった。
「エミリー、ここは一体何なの?」
「ここは、シスターがシスターであり続ける為の、秘密の場所なの」
「シスターがシスターであり続ける?」
「そうよ、シスターは処女でなければならないのは、知っているでしょう?」
「それは知ってる……だからシスター長が、僕は出て行かなきゃいけないって言ってた」
「でも……シスターも一人の女性なの、どうしても男性を求めて悩むシスターも居るの」
「うん、なんとなくわかるけど……」
そこまで会話を続けると、慌ただしく何かの用意をしていた他のシスター達がエミリーに声をかけた。
「エミリー、アイル。準備が出来ましたわ」
「準備?」
「そうよ、アイルがここに残るための儀式の準備よ」
「僕が?」
小さな祭壇の前に木と薄い布で作られたベッドが置かれ、その傍には金属の容器と器具が置かれていた。
「アイル、着ているものを脱ぎなさい、そしてここに横になるの」
エミリーは僕に裸になって、そのベッドに横になるよう促した。
「えっ? 裸で?」
「そう、神聖な儀式の為に……ここに残りたくないの?」
「残りたいよ、エミリー姉さん達とずっとここに居たい」
「そう、だったら早く……」
「……はい」
僕は言われるまま服を脱ぎ去り、上から下まで裸になった……。
シスター達に子供から大人へと変化している体を見られ、僕はとても恥ずかしい気分になった。
顔が真っ赤になり、耳まで熱く脈打つのがわかった。
「アイル、素敵だわ……男の肉体になっていたのね」
「そんな……ジロジロ見ないで、恥ずかしいよ」
「ううん、素敵よ……みんなも喜ぶわ」
エミリーはそう言うと、僕のペニスへと視線を落とし、右手でそこを優しく握ってくれた。
シスター達も興味深そうに顔を赤らめながら、僕のそこを見つめている。
「エ、エミリー姉さん!」
「気にしないで……これが最初で最後の導きだから」
「ダメ! そんなふうに触ると固くなっちゃうよ!」
「いいのよ、アイル……このペニスを硬くしなさい」
エミリーの許可を待たずに、僕のペニスは硬く起ち上がった。
その少し出かかった先端の肉を、ゆっくりとエミリーの指先が外へと導く。
「あ、ダメだよ、シスター長に怒られちゃうよ」
「いいから、お黙りなさい」
そう言うとエミリーは、僕の唇に唇を重ねた。
僕はシスターであるエミリーと、いつのころからか異性として憧れていたエミリー姉さんとキスをしている……とんでもないことをしてしまった罪悪感に襲われた。
「私が求めているのだから、アイルは気にしなくていいのよ」
「エミリー姉さん……僕……」
僕がエミリーへの想いを言いかけた時、背後から二人のシスターが近づき体の自由を奪った。
「ど、どうして?」
「ごめんなさいアイル、あなたが一線を越えないためよ」
そう言うとエミリーはシスターの服を脱ぎ、下着だけの姿になった。
とても美しく、魅力的なエミリーの体に僕は魅了されてしまった。自由を奪われているのも関わらず、僕のペニスは表面に鈍痛が走るほど大きく勃起した。
「私を見て、感じているのねアイル……嬉しいわ」
エミリーは優しく両手で僕の頬を撫でると、そのまま抱擁してくれた。
エミリーの白く、か細い腕が僕の背中を強く抱きしめる。自由を奪われ、抱き返せないのがとても辛かった。
僕の勃起したペニスがエミリーの下腹部に押し当たっている。エミリーはそれを意識しているように、わざと体を押し付ける。
「エ、エミリー姉さん! ダメだよ……当たってる」
「当たっているだけよ……問題はないわ、アイル」
そのまま更に熱いキスを交わしながらエミリーは僕のペニスを掴み、グイと下に押し曲げ、女性の大切な部分と太ももの間へと導いた。
そしてそのままゆっくりと腰を動かし始めた……。
「アァ……アイルのペニスが、動いてるわ……アイルも感じて」
「エミリー姉さんっ」
他のシスター達に見られながら、僕はエミリーといけない事をしている。
いけない事なのに、僕は興奮している……許されない事なのに、僕は衝動を抑えきれずに腰を動かしてしまった。
「アイル……あなたもやはりいけない子ね、アァ……ン、でも、凄くいいわ」
「エミリー姉さん、ごめんなさい…僕、気持ちイイ」
ペニスの皮膚越しに、エミリーの下着が湿っているのがわかった。
僕はもう何が何だかわからないまま、そこを感じ、強く擦りつけた。
「アァッ! アイル、いけない子……ダメ、アァン……アッ」
エミリーは一瞬、ビクンと仰け反ると、美しい表情を浮かべながら僕をギュッと強く抱きしめた。
強く締め付けられた太もものせいで、僕はペニスから大量の白濁液を吐き出した。そしてそれは、エミリーの後ろの床へと大量に流れ落ちた。
「アイル……気持ち良かった?」
「エミリー姉さん、僕、気持良かった」
「そう、良かったわね……」
グッタリと腰を落としたまま、エミリーが僕にそう言って微笑んだ。
僕はそのままエミリーを抱き締めたかった。しかし、二人のシスターはそれを許してくれなかった。
「さあアイル、こちらへ」
二人はそのまま僕をベッドに寝かせ、腕と足と胴を縄でギチギチに縛りつけた。
僕は何かをされる、直観的にそう感じて言いようのない恐怖に襲われる。
「エミリー姉さん、僕をどうするの?」
エミリーは服を整えると、僕の傍に立ちキスをすると口を開いた。
「アイルがここに残るための儀式よ」
そう言うと金属の入れ物から黄色く太いゴムを取り出し、僕のペニスの根本を縛りあげた。
「痛い! 痛いよっ!」
「我慢しなさい。さっきは、気持ち良いことをしてあげたでしょう?」
「でもっ!」
「お黙りなさい! アイル」
「エ、エミリー姉さん……何をするの?」
「アイルはいけない子……だからさっきのように激しく腰を動かしても、アイルが良い子で居るために、このペニスを切ってしまうのよ」
「そっ! そんなの嫌だ! 嫌だよ!」
「アイルがここに残るためよ。それに、これはあなたが決めた事よ? 諦めなさい」
「酷いよ……エミリー姉さん、やめて、お願い、嫌だよっ、ワァァァン」
「……」
エミリーは無言のまま、僕のペニスを切り取る作業を続けた。
泣きじゃくる僕に、一人のシスターが僕に薬草のようなものを嗅がせた。すると気分が落ち着いて泣き声も出なくなってしまった。
僕はまるで夢を見ているように、その光景を見続けた。手も足もフワフワする心地よい気分で……。
エミリーは右手に鈍く輝く小刀を持ち、僕の目を見つめた。
「アイル、今からあなたのペニスを切るわ」
「(や……め……て……)」
「これであなたも、私たちも幸せになれるのよ」
(サクッ)
「(僕の……ペニス……)」
エミリーは切り取った僕のペニスを左手でそっと持ち上げ、名残惜しそうに弄りながら小さな銀の皿に乗せると、祭壇の前にそれを捧げた。
他のシスター達もその横に並び、祭壇に祈りを捧げている。
その奥に燭台が置かれた棚が見え、その上に銀の皿が並んでいるのに気付いた。
そこには剥製のようになった無数のペニスが飾られていた……僕はそのまま気を失ってしまった。
「アイル、起きて……起きなさい」
「エミリー……姉さん?」
僕はハッキリしない意識のまま、ボンヤリと数々の出来事を思いだした。
そして、ゆっくりと布団を避けると、着せられていた肌着を降ろし、そこを確認した。
「無い……僕のペニスが……無い……ウウッ」
僕の男のシンボルであるペニスがあったそこには、平らで薄い肌色の断面しかなかった。
そして、その下には情けなく横たわる二つの睾丸だけが残されていた。
僕は、男ではなくなってしまった……僕の頬に大粒の涙が流れ落ちた。
「アイル……」
エミリー姉さんは、涙をポロポロと流す僕を優しく抱きしめてくれた。
僕の大切なペニスを切り取ってしまったエミリー姉さん。しかし、なぜか僕は彼女を恨む気持ちになれなかった。
そして、ふと周囲を見渡すと、奥のベッドで抱き合う男女の姿が見えた。
「ジョン!?」
「そうよ、ジョンもここに居るのよ」
「じゃあ……ジョンもペニスを?」
「ええ、ジョンに最初で最後の導きをして、そのペニスを切り取ったのはマリーシスター長よ」
ベッドの上で抱き合い、愛し合っているのはジョンとマリーシスター長の二人だった。
僕は激しく擦りつけているジョンのそこを凝視した……確かにペニスは失われていた。
僕は驚きを隠せず、頭が混乱した……職が決まって出て行ったというのはマリーシスター長の嘘だったのだ。
「ペニスを切ってしまえば、体を重ねても処女で……シスターでいられるのよ……抱かれることで女としての欲求を満たしながら」
「そんな……」
「全ては神の御心、アイル、今日から全てのシスター達を愛しなさい」
「……」
神の御心と言われ、僕はエミリー姉さんだけを愛したいとは言い返せなかった……。
「さぁ、私たちも愛し合いましょうアイル、もう傷は癒えているわ」
「エミリー姉さん……」
僕は大切な物を失った傷跡をエミリーのそこに重ね、愛し合った。
しかしその快感は、エミリーの最初で最後の導きによってペニスで得た快感には到底かなわなかった……。
(END)
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投稿:2012.12.09
シスター
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