■男性管理法
『男性用入国ゲート』
「男性用? こんなのあったっけ?」
僕は卒業旅行を兼ねた一年間の一人海外旅行から久々に帰国した。
しかし空港に設置されている見慣れないゲートを目の前にして少々戸惑っている。
周囲を見回すと男性はみな当然のようにそこを通り入国手続きを行っていた。
しかし、女性はみな今まで通りの入国ゲートへと進んでいる……。
バラエティ番組のドッキリか何かだろうかと散々悩んだあげく、僕は他の男性に倣って『男性用入国ゲート』を通過することにした。
(ピピピピピッ)
僕がゲートを通過した瞬間、甲高い警告音が鳴り響いた。
「そこのあなた、待ちなさい!」
「え? はい」
僕は空港の警備員のような制服を着た女性に強い口調で呼び止められた。
彼女は金属探知機のような器具を取り出すといきなり僕の股間へと押し当てた。
「ちょ、ちょっと……」
「あなた、ペニスリングはどうしたの?」
「ええっ!? ペ、ペニスリング?」
「あなたを男性管理法違反容疑で拘束します」
「男性管理法? 一体なんのことだか僕には……」
戸惑う僕の腕をつかむと彼女は他の女性警備員に合図をした。
その合図を受けた二人の背の高い女性警備員は僕をガッチリと拘束した。
「ちょっと待ってください! 僕は何もしていないっ」
「言い訳は後で聞きます。さっさと歩きなさい!」
僕はそのまま空港内の取調室のような部屋へと連行されてしまった。
荷物は全て没収され、両腕は後ろに回されて手錠をかけられた。まるで犯罪者のような扱いだ。
目の前には先ほどの女性警備員が席に着いている。
「あなた、ペニスリングを外すことは重罪よ! わかってるの?」
「そんなこと言われても、僕はペニスリングなんて知らない!」
「ハァ? 私をバカにしているの?」
彼女は怒った表情でゆっくりと立ち上がると、徐に警棒を取り出し僕の喉元へと突きつけた。
さすがに頭に来た僕は怒りを表した。
「こ、こんなことして許されると思ってるのか! 訴えてやる!」
「ハァ? ……あなたは一体何を言っているの?」
彼女が呆れた顔をしていると、取調室のドアが開きファイルを持ったスーツ姿の女性が現れた。
「お待ちなさい、彼は本当に何も知らないようね」
「緋村管理官、それは一体どういうことですか?」
「彼は男性管理法が施行されたことを知らないのよ」
再び出てきた男性管理法という法律。
僕は彼女たちの会話に驚きを隠せなかった。たった一年間の間にそんな法律が施行されるなんて……そんなバカなことがあるのだろうか?
「ええっと、あなたは皆本貴君ね。私は男性管理官の緋村陽子です」
「男性管理官……ですか?」
「あなたの事を全て調べさせてもらったわ、何の情報も得られないような秘境を旅するからこんなことになったのよ」
「そんなことを言われても……」
「そのまま亡命すれば良かったのにね……フフフッ」
緋村管理官は僕に男性管理法のあらましを教えてくれた。
・男性の社会的行動や活動は男性管理局の監視下に置く
・男性の性行為は自慰を含めて男性管理局の監視下に置く
・男性は男性管理局に逆うことを禁止され処罰される
・男性管理局の入手した男性の情報は個人情報を含めてすべての女性に供与される
その情報収集装置がペニスリングと呼ばれる装置で、それはすべての男性に強制的に装着されると言う……。
僕はこんな法案が存在することがとても信じられなかった。
「そんな……男性の人権が無いじゃないですか」
「そうよ、これこそが男女が本当に仲良く平和に暮らせる唯一の手段なのよ」
「仲良く平和にって……そんなの奴隷じゃないか」
「とにかく、あなたがどう思おうと法律は守ってもらうわ。連れて行って」
「はい。ほら立ちなさい」
僕は女性警備員に無理やり立たされると手錠に紐を繋がれ、そのまま空港の外に連れ出された。
そこには赤色灯が光る黒塗りの護送車が待機しており緋村管理官が助手席へと乗り込むと、僕はその後部座席へと無理やり乗せられた。
僕を乗せた護送車はゆっくりと走りだし、都内の道路を走行する。
窓の外にはごく普通の都会の景色が流れて行く。
去年までの街の様子と何も変わらず男性も女性も普通に歩いている。
こんなバカげた法律があると言うのに、なぜ男達は普通に過ごしているのだろうか。
「もうすぐ着くわ」
護送車の前方の小窓から助手席の管理官がそう言うと、窓の外に大きなビルが見えた。
そのビルのゲートには『総務省男性管理局』の文字が見えた。
■ペニスリング
護送車から降ろされた僕は管理官の先導で男性管理局ビル内を連行される。
「今からあなたにはペニスリングを装着してもらうわ」
「ペニスリング……」
「そう、ペニスリング……これであなたの全てを監視できるのよ」
「僕の全て……」
「そう、男性にプライベートなど必要ないの……ここでいいわ、ご苦労様」
『管理官執務室』と書かれた部屋の前で女性警備員は紐を管理官へと手渡して帰って行った。
管理官は指紋認証システムが付いたドアを開けると、僕をその部屋の中へと連行した。
「そこに座って楽にしていいわよ」
「……はい」
僕は管理官の言われた通りに金具の付いた黒く艶のあるソファへと腰かけた。
楽にしていいと言われたが、後ろ手に掛けられた手錠の紐をソファの金具へと固定され両足も金具に固定された。
僕は完全に身動きが取れなくなってしまった。
管理官は机の上に置いてあった箱を開き、中から金色に光るリングを取り出し僕へと視線を移した。
「これがあなたのペニスリングよ、綺麗でしょう?」
それは金色に輝く1センチほどの幅の腕輪のようなリングだった。
金属のようで柔らかい、とても不思議な材質のようだ。
「これが13歳以上の全ての男性に装着されているのよ、凄いでしょう」
「……」
「さあ、これをペニスに装着するわよ」
「えっ!? こ、ここでですか?」
「そう、ここで……私はあなたにこれを装着させる義務があるの」
「で、でも……見せたら逮捕されるんじゃないんですか?」
「女性が許可を出したら見せても良いの。女性に命令されたら逆に見せないと処罰の対象よ?」
「そんな! 不条理だ……」
「そうかしら? 女性が見る見ないを決めるからこそ性犯罪が減るのよ。理にかなっているわ……フフフ」
「僕が恥ずかしくても?」
「あなたが恥ずかしいかどうかなんて私には関係ないわ」
管理官はニヤニヤと微笑みながら僕に近づくと腰を下ろし、ズボンのベルトを緩めチャックを下げ、下着をグイと引き下した。
その瞬間、緊張で縮み情けなく下を向いた僕のチンポが管理官の目の前に露わになった。
「クッ……見ないでください」
「フフフッ……見ちゃった。赤くなっちゃって、あなたカワイイわね」
管理官は意地悪そうな笑顔で僕の顔を見上げる。
そして視線をチンポへと戻すとその先端を摘み軽く引っ張ると、そのままペニスリングを滑り込ませた。
次の瞬間、ペニスリングはキュッと吸い付くように収縮してチンポの付け根へとフィットした。
「うわっ!」
「フフフ……ほら、素敵でしょう? 性能も凄いのよ」
そう言いながら管理官は机のタブレットを持ってくると僕のペニスリングの情報を表示した。
氏名:皆本貴
状態:萎縮,長さ:8.3cm,最大直径:2.3cm,精液残量:30cc,精巣容積……
「あら、結構溜まってるのに元気が無いわね……まさか年上の私じゃダメとか酷いことを考えてるのかしら?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「じゃあ、勃起させなさい」
「ええっ!?」
「さっき言ったでしょう? 女性の言うとおりにしないと処罰の対象よ?」
僕はもう何がなんだかわからなくなってしまった。
男性管理法という女性上位の厳しい法律の下で、なぜか僕はチンポを起たせろと命令されている。
「仕方ないわね、手伝ってあげるわ……」
「な、何を……あっ」
管理官は左手にタブレットを持ったまま右手で僕のチンポを握りしめ、そのまま上下に擦り始めた。
僕のチンポは女性の手でしごかれると言う初めての経験であっという間に勃起してビクンビクンと脈打っている。
管理官の持つタブレットの情報が更新された。
状態:勃起(99.9%),長さ17.5cm,最大直径4.2cm……
「ウフフ、いやらしいペニス……まさにチンポって感じね」
「……見ないでください」
「あなた、もしかして女性とこういう経験が無いの?」
「……はい」
「そう……今時珍しいわね、気に入ったわ」
「あっ!」
管理官はニヤニヤしながら再び右手を上下にいやらしく動かし始めた。
「ザーメンを大量に溜めたまま街に出るのは法律違反よ、だから全部抜いてあげる」
「そんな……ああっ! 出るっ! 出ますっ! 恥ずかしいですってば……」
「フフフッ、そんな情けない顔して我慢しなくてもいいのよ……チンポがビクビクしてるわ。ほら、出しなさい」
「アアッ!」
(ドクッドクッドクッドクッドクッ……ドクン)
いつも自分でオナニーする時とは全く違う。
年上の綺麗な女性の手でそこを握られ、シコシコとしごかれているという状況に興奮してしまいあっという間に射精してしまった。
大量の白いザーメンが執務室の床にボタボタと飛び散り、管理官の右手にもダラダラと流れ落ちた。
・精液残量:22cc……
「一度に8ccも発射って凄いじゃないの……私の手で興奮したのね、感じてくれて嬉しいわ」
「そんな……恥ずかしいです」
管理官は僕の顔を見つめながら顔を近づけ、そのまま唇を重ねた。
(チュ)
「!?」
「あら、キスも初めてなの?」
ファーストキスではないものの、エロティックなキスは生まれて初めての経験だった。
僕はその瞬間身震いしてしまった。
「ほら、言った通り男性管理法ってすばらしい法律でしょう?」
「……はい」
素敵な女性とのキスと大量の射精で得た快感の余韻に浸りながら僕は思わずそう頷いてしまった。
管理官は机のウェットティッシュで手を拭うとスーツを整え、再び真面目な表情に戻り、こう切り出した。
「あなたは男性の身勝手な快楽の為に、恋愛関係にない女性に射精の補助をさせましたね?」
「え、え? はい……でも」
「言い訳は許しません。あなたは男性管理法に基づき射精の補助をさせた女性の命令に従わなければなりません」
「え? え?」
「今からあなたは私のペットになりなさい、フフフッ」
「ペ、ペット!?」
僕は今からこの女性のペットになる……ペットという言葉が耳に響き僕は快楽に酔った情けない表情から一転して恐怖に慄いた表情になった。
「フフッ、そこまで心配しなくても大丈夫よ。今はペットはカレシという意味なのよ」
「ほ、本当に?」
「ええ、本当よ」
「で、でも初対面の僕なんかで……」
「しつこいわよ? 私が……女性が決めたことがこの国では全てなの、以後そう思いなさい」
「はい……緋村管理官」
「これからは陽子さんでいいわよ」
「……はい、陽子さん」
「フフフッ、イイ子ね……残りも全部吐き出しなさい」
陽子さんはまだ勃起したままの僕のチンポにスキンを被せ、そのまま口に含み甘噛みした……僕はその感触にビクンと体を反らせて再び射精してしまった。
射精した僕のチンポは解放されず、甘噛みと吸い込みで強めの愛撫を施され続ける。
「ひゃ! くすぐったいですっ! や、やめて下さい!」
僕はくすぐったい快感に身悶えしながら更に射精を続けた……。
・精液残量:1cc……
「これだけ吐き出せば大丈夫ね、薄汚い男の性欲は落ち着いたかしら?」
「は、はい……もうダメです、キンタマが少し痛いです……」
「そう……これからは私があなたの性欲を管理してあげるわ、その代り私への忠誠を絶対に守りなさい」
「はい……陽子さん」
「フフフッ、あなたが私への忠誠を絶対に守る限り、私もあなたを必ず守ってあげるわ」
一時はどうなることかと思ったけれど、僕は心のどこかでこういう世界も良いような気がし始めていた。
「向かいの部屋を自由に使いなさい、明日から下で働いてもらうからそのつもりで」
「そんな、そこまで面倒見て頂いても良いんですか?」
「勘違いしないで、私がやりたいようにしているだけよ……おやすみなさい」
陽子さんはそう言うと僕の束縛を解き、向かいの部屋に行くように即した。
ビジネスホテルの一室のような部屋には僕の荷物が置いてあり、即席ながら食事も用意してあった。
僕は今日一日の出来事に実感が持てないまま深い眠りに就いた……。
■チンポ狩り
陽子さんの好意で僕はこのビルの1Fにある『男性管理局特別遊撃隊』で働かせてもらう事になった。
正直、就職のことを何も考えずに旅行をしていた僕は陽子さんに感謝し切りだ。
ただ、上下黒色のスーツにピンクのリボンが微妙に可愛らしい女性用の制服しかなく、パンツルックなのは良いがやはり股間がキツイ……。
不本意な女装姿にギクシャクしながらも、僕は陽子さんに連れられて新しい仕事場へと向かった。
「おはよう真理、新人を連れて来たわよ」
「ちょっと陽子、あなた正気なの?」
「ええ、私は正気よ。彼にここで働いてもらうわ」
「でも……あの子、私達の任務を知っているの?」
「もちろん知らないわ、フフフッ……じゃあ後はよろしくね」
遊撃隊隊長の女性に僕を託して陽子さんは執務室へと戻っていった。
部屋の奥では数十人の女性隊員達が僕の姿を見てニヤニヤと笑っている。
その中でもキュートでボーイッシュな背の高い女性隊員が僕の肩に手を回しながら声を掛けてきた。
「おはよう新入りクン! 男の子のクセにカワイイ制服がよく似合ってるじゃない……でも股間がキツそうね〜」
彼女はそう言いながら空いた手で僕の股間を軽く撫で始めた。
「さっ、触らないでください……だって、これしか制服が無いって言われたから……」
「アハハハッ! 笑わせないでよ! これしか無いって言われて女の服着る〜? あんたマゾでしょ?」
「そ、そんな、違います」
「嘘つきなよ、みんな管理官様のお手手でチンポを弄ばれてザーメン全部抜かれてたの知ってるんだからさ〜」
そう言うと他の女性隊員達が一斉に携帯端末の画面を見せた。
その画面には揃って僕のチンポのステータス画面が表示されている……僕は恥ずかしくなって俯くしかなかった。
「あんたさ、私らがどんな仕事してるのか知ってて来たの?」
「いいえ、あの……命令されたから来たので」
「へぇ〜……あんたのご主人様は残酷ね」
「残酷? あの、一体どんな仕事なんですか?」
「心配しなくても私がみっちり教えてア・ゲ・ル」
「イタタタタ……や、やめてください!」
「男の子なんだからこれぐらいでガタガタ言わないの!」
彼女はニコニコと笑いながら僕の首を程よく筋肉のついた腕で締め上げる。
この少し凶暴な女性に僕は心底恐怖を感じた。
「あら、もうチームが出来上がってるようね。唯さん」
「ハイ、この子は私に任せてください。真理隊長」
「知っての通り、この件は緋村管理官の命令よ、みんなよろしくね……ほら、挨拶しなさい」
「は、はい……僕は皆本貴です、よろしくお願いします」
「……(クスクスクスクス)」
僕は真剣な表情で挨拶をしたけれど……女性隊員達はみな笑いながら顔を見合わせている。
真理隊長の表情も勝れない。どうも僕の事を本気で受け入れるつもりは無いようだ。
「ほら行くよ新入りクン! サッサとする!」
「は、はい」
とりあえず僕は、凶暴だけど僕のことを受け入れてくれている唯さんに従う事にした。
ビルの地下駐車場に着くと、黒塗りでドアにピンク色でMPと書かれたパトカーが数十台並んでいた。
「MPって何ですか?」
「Male Policeの略よ、男だけを取り締まる警察ってこと」
「へぇ……」
「あんたさ、マゾなのは良いけど男の子ならもっとビシッとしなさいよ」
そう言いながら唯さんは軽いジャブを繰り出す、正直とても痛い。
「す、すみません……って僕はマゾじゃありませんから、虐めないでください」
「あんたどう見てもマゾだから、マゾの自覚持ちなさい」
「そんなこと言われても……」
「ほら、さっさと車出しなさいよ!」
「は、はい……」
僕は不慣れな運転で久しぶりの都心に繰り出すと、数分と走らないうちに違和感を感じた。
信号で止まっても後続車は遠く離れて停まり近づいてこない……隣の車のドライバーも顔を反対側に背けている。
歩道を見ると、このパトカーが近づくと男達はみなササッと視線を逸らせるのがわかった。
中には逃げるように駆け足で路地に消える者も居る。
「もしかして……みんなに嫌われてる?」
「そりゃそうよ、MPは男の天敵だもの」
「天敵……」
「何も悪い事をしてない男までコソコソと逃げるんだもの、面白いでしょ」
「どうしてですか?」
「今にわかるわよ、フフッ」
『(ピピッ)MP本部より各局、表示ポイントにて陰部露出事件発生。容疑者を確保次第処分して下さい』
「ほら来た! ホント男ってバカよね、行くよ!」
「はい」
本部からの指示で唯さんと僕は露出事件現場へと向かう事になった。
ナビゲーションモニターには被疑者の氏名と容姿、現在地とチンポのステータスが表示されている……恐らくペニスリングからの情報なのだろう。
何より僕には「処分」と言う言葉が引っ掛かった……。
「私らMPから逃げることなんて不可能なのに、男ってのはつくづくバカだよね、もう存在そのものが病気って感じ」
「絶対不可能なんですか?」
「あんたもチンポリング着けてるでしょ? あれを着けてる限り絶対逃げられないからね」
「あの……リングって外せないんですか?」
「簡単よ、チンポごと切ればいいのよ。なんなら私が切ってあげようか?」
「えっ! 遠慮します!!」
「そりゃあそうよね、童貞のまま切られたくないでしょうし、アハハハッ」
「……」
ナビゲーションに表示された被疑者の現在地付近に到着すると唯さんの表情がさらに引き締まった。
僕達はパトカーから降り、現場の薄暗い路地を捜索しているとその奥から女性の悲鳴が聞こえた。
「キャアッ!」
悲鳴のした方へと向かうと、若い女性がしゃがみ込む向こう側にズボンを脱ぎ去り、勃起したチンポを露出した男が立っていた。
その顔は間違いなくモニターに表示されていた容疑者の顔だった。
「呆れた……あんた追われてる自覚あるの?」
「エッ! MP!?」
容疑者の若い男は僕と唯さんのMPの制服に気付くと、脱いだズボンを片手に持ったままフリチンで逃げ出した。
「逃げても無駄無駄無駄ッ!」
唯さんは携帯端末を取り出すと容疑者のモニター画面に表示された「精巣電撃」ボタンに触れる、その瞬間……。
「ウグッ……」
(ドサッ)
容疑者の男は突然低い声を上げて股間を押さえるとその場に倒れこんだ。
「オラオラオラ、私から逃げようなんて百年早いんだよっ!」
(ドスッ! ドスッ! ゴスッ! ……)
唯さんは蹲った男に駆け寄ると、間髪入れず思いっきり蹴り上げた。
そして固い特殊なブーツのつま先で横腹を乱打し続けている。男はその度にカエルのような低い呻き声を上げる
「ゆ……唯さん」
「うるさいわね! 黙って見てなさい!」
唯さんは一頻り蹴り終わると再び携帯端末を操作して「去勢止血モード」というボタンに触れた。
その数秒後、男の体がビクッと動き更に強く股間を抑えて蹲り痙攣している。
「きっ! 去勢!?」
「そうよ、ヘンタイ男の哀れな末路をよく見てなさい」
「そんな、露出ぐらいで……」
僕がそう言った瞬間、唯さんの顔色が変わりギロリと僕を睨み付けた。
「何を言ってるの? あんたも去勢するわよ?」
「す、すみません……」
「この国の全ての女性には去勢権があるのよ? よく覚えておきなさい!」
「去勢権……」
「ほら! こっちを向きなさいよ、このドヘンタイ野郎!」
唯さんはその男の首を掴むとそのままひっくり返し、股間を庇う手を無理やり引き剥がした……見た目の通りすざましい筋力だ。
その股間のチンポは隆々と勃起したままドス黒く変色し、電撃で焼けたキンタマは黒く変色して腫上がっている。
唯さんはその悲惨なチンポとキンタマに追い討ちを掛けるように一発大きく蹴り上げた。
「グフゥ……」
男は変な悲鳴を上げるが、唯さんに乱打されたせいで意識が朦朧としているようだ。
唯さんは左手でチンポとキンタマの付け根を握り締め、思いっきり引っ張り上げた。
「さぁ、これであんたもオシマイよ」
(シャキン)
右手で腰のホルスターから取り出したのは、弧を描いた不思議な形の折り畳みナイフだった。
そしてそのナイフを付け根へと当てる……僕は思わず目を背けてしまった。
「新入り、こっちに来なさい!」
「ぼ、僕ですか?」
「さっさと来る!」
「ハ、ハイッ!」
僕の目の前にはグロテスクな色になったチンポとキンタマを露にしたまま、ピクピクと軽く痙攣する男の姿が横たわる。
唯さんは僕の手にそのナイフを手渡し命令する。
「こいつのチンポを切りなさい」
「え!? そ、そんな! 無理です!」
「ダメよ、これがMPの仕事なの! ほら、切りなさい!」
「そっ! そんな……イ、イタタタタタッ」
容疑者のチンポを切ることを拒み続けていると、急に唯さんは僕の股間をわし掴みにしてギリギリと力を込めた。
「さっさと切らないと、あんたのチンポを切るわよ?」
「痛っ……そ、そんなっ……」
僕はその脅迫に勝てず、ナイフを受け取りその男の付け根へと近づけた……しかし、同じ男としてチンポを切り落とすなんて出来ない。
僕のブルブルと震える手に唯さんがそっと手を添える。
「本当に男ってのはどうしようもないわね……私が切るわ」
「ほ、本当ですか?」
(スパッ)
「あっ!?、うわああああっ!」
唯さんは僕の手を握りそのまま横にスライドさせてしまった……。
男のチンポとキンタマの肉を、組織をサクッ切り裂く感触が指先にダイレクトに伝わり、僕は顔面蒼白になり悲鳴をあげた。
「ちょっと、あんたが悲鳴あげてどうするのよ……ホント情けない男ね」
その場に膝を着いてブルブルと震える僕を見下しながら唯さんは呆れた顔をしている。
チンポとキンタマを切り取られた容疑者の男はその場で失神している……次に気がついた時は失ったモノの大きさに絶望して悲鳴を上げるのだろう。
「ほらしっかりしなさい! パトロールに戻るわよ」
「……は、はい……あ、でも……彼はこのままなんですか?」
「止血してるから死にはしないわ、男じゃなくなっただけよ。私の打撃が全治一ヶ月ってとこかしらね、フフフッ」
携帯端末のモニターには「完全去勢、性別抹消」の文字が表示されていた……。
「性別抹消?」
「ああ、それね。こいつは男性って名の付く権利は剥奪されたわけ」
「男性の権利……」
「そうね、例えば男子トイレ、男湯なんか使えなくなるの……当然、女子トイレも使っちゃダメだけどね、フフフッ」
「そんな……酷い」
チンポとキンタマを切られた上に日常生活でも追い打ちを掛けられる……僕は想像するだけで身震いした。
悲鳴を上げていた被害者の女性は唯さんの手を握りしめて涙を流しながらお礼を言っている。
僕達は本部に処分完了の連絡を入れると表通りへと向う、唯さんは切り取ったチンポの先端を摘みおもちゃのようにブラブラと振り回しながら歩いている。
「あの……切り取ったそれはどうなるんですか?」
「え? これ? フフフフッ……汚いチンポなんて最後はこうなるのよ、エイッ!」
「あっ!?」
唯さんは笑いながらスイングして切り取ったチンポを交通量の多い大通りへと投げ飛ばした。
(パンッ)
男のシンボルだったチンポとキンタマは通りかかったトラックのタイヤに轢かれ、小気味良い音を立てて飛び散ってしまった……。
僕は言いようの無い悲しい気持ちになり、顔を背けてしまった。
「また……どうして男ってのは他人のチンポに感情移入するのかしらね、よくわからないわ」
「それは、仕方ないです……」
「でしょうね、その辺のフツーの男達までMPの仕事をチンポ狩りなんて呼んでるのよ? ホント失敬よ!」
チンポ狩り……僕はその言い方は正解のように感じた、しかし当然言葉には出せなかった。
「ほら、パトロールに戻るわよ」
「はい」
「次はあんたが一人でチンポを切りなさい、わかった?」
「え……」
「ほら、返事をしないとあんたのチンポを切るわよ?」
唯さんはそう言いながら再び僕の股間を握ると軽く引っ張り、腰のホルスターに手を掛ける。
「……ハイ」
「アハハハッ! よろしい! 恨むならあんたにこの仕事をさせるご主人様を恨みなさい」
僕は唯さんの言うように、残酷な陽子さんを少し恨んでしまった……。
男性管理法が施行された女性上位の国において勿論それは僕の身勝手な逆恨みに過ぎなかった。
■ペット制度の真実
一人の露出狂の処刑を行った後、幸いなことに事件は起こらず唯さんとのパトロールならぬチンポ狩りは終了した。
「残念! 明日こそはあんた一人でチンポを切らせるからね、覚悟しときなさい」
「……はい」
僕は唯さんに押し付けられ事件の報告書を作成する。どうしてもあの肉を切り裂く感触が忘れられず気分が沈む……。
強制的とは言え、僕は一人の男から男としての人生を奪い取ってしまったのだ、冷静になり思い出すと軽く吐き気を催す。
「ちょっと君、大丈夫?」
真理隊長が気分の優れない僕を見かねて声をかけてくれた。
「は、はい……何とか」
「一応は私の部下だから心配はしてるのよ……ハッキリ言って男にさせるべき仕事ではないし」
「ありがとうございます」
「でも陽子のペットになった君が悪いのよ、私を恨まないでね」
「でも、ペットってただのカレシと同じだと聞いたので」
「えっ? そんなわけないでしょ……これで男性管理法を勉強しておきなさい」
真理隊長はそう言うと僕に冊子を手渡し、デスクへと戻って行った。
『わかりやすい男性管理法要点』
その冊子の目次を開くと、すぐにペット制度の文字が目に入った。
『ペット制度』
・女性は男性が同意した場合に対象をペットとして飼うことが許可される
・ペット制度は恋愛対象や配偶者以外でも適用可能
・ペットは忠誠を誓い、飼い主である女性の命令に背いてはならない
・ペットが忠誠を守らず不貞を働いた場合は処刑しても良い
「そんな……」
僕は女性上位の国になったのだから、陽子さんの言うとおりペットにされるのは普通の事だと思い込んでいた。
なのにペット制度は恋愛対象以外でも適用される……僕は陽子さんのカレシではないのだろうか?
僕は報告書を作り終わり、陽子さんの居る執務室へと急ぐ。
通路の角を急いで曲がるといきなり悲鳴が上がり、そのままみぞおちを殴られた。
「キャアッ!」
(バスッ)
「ぐふっ……」
僕は強烈な痛みが走るみぞおちを押さえ、その場に倒れこんでしまった。
「あ! ごめんごめん、大丈夫?」
「イタタタ……いきなり殴るなんて酷い!」
「あんたが急に目の前に飛び出すから悪いのよ、痴漢かと思ったわ! 女の子をビックリさせるのは犯罪よ!」
いきなり僕を殴りつけたのは私服に着替えた唯さんだった。
殴られたことに加え、僕が報告書を作る間にもう着替えていたのかと思うと少し腹立たしかった。
「ったく、そんなに急いでどこに行くのよ」
「そ、それは緋村管理官の所に……イタタタ」
「あら残念、管理官様は執務室に居なかったわよ」
「そんな……」
僕は取りあえずゆっくりと立ち上がった。
「へぇ……私のボディ喰らったのに、もう立てるんだ」
「……え?」
唯さんはニヤニヤと笑みを浮かべながら僕をジロジロを見つめる。
「ちょっと私と付き合いなさい」
「ええっ!?」
僕は唯さんに腕を掴まれ、そのまま同じフロアの休憩室へと連行された。
唯さんは壁側に立ち、僕を正面に立たせた状態で口を開いた。
「私を襲ってみなさい」
「ええっ!」
「言われたら早くやる!」
「は、はい……でも」
(ギュウッ)
「痛ッ!」
「さっさと襲わないと本当にキンタマ潰すわよ」
「クッ……畜生!」
僕はついカッとなってしまい、唯さんの腕を掴むと全力で壁に押し付けた。
唯さんの体がドスンと壁に押し当たると、軽く苦痛の表情を浮かべる。
次の瞬間、唯さんの瞳が見開き、その腕に力が入ると僕の腕を押し戻そうとする。
「(しまった!)」
僕はとんでもない事をしてしまった事に気づき、怒った唯さんに反撃されることを恐れそのまま全力で押し付けた。
しかし唯さんは怒った様子でもなく、普通に喋り始めた。
「やるじゃない……それが男の子の力なのよ」
「ち、力?」
「言っとくけど、私は全力で押し戻してるのよ」
「……ウソだ」
「ウソって失礼ね! 男は女を犯せる生き物なのよ……だから」
「……だから?」
(ドスッ)
次の瞬間、唯さんは僕のキンタマに膝蹴りを入れた。
その膝蹴りは手加減……否、足加減しているのがわかったがそれでも激痛が走り吐き気を催した。
そして間髪入れずに全身の力が抜けてそのまましゃがみ込む僕をひっくり返すとドスンと馬乗りになった。
「フフフッ、だから女の子にはキンタマ蹴りが許されるのよ」
「クゥゥゥッ……痛タタタタッ……酷い……」
「酷い? あんたは私を襲ったのよ? 処刑されても文句言えないから」
「でっ、でもそれは唯さんが命令したから」
「あんた命令されたら何でもするわけ? 自分が無いの? だから管理官様のペットになったのね」
「クッ……」
確かに陽子さんのペットになることを快楽に負けて何も考えずに了承したのは僕自身だ。
女性上位の国になってしまったから仕方ない……それは主体性が無い僕の言い訳に過ぎなかった。
僕の頬に一筋の涙が流れた。
「図星? ホント情けないわね」
「……」
「フフッ、まあいいわ。取りあえず襲った仕返しはさせてもらうわよ」
そう言いながら唯さんは両腕で僕の首を絞め始めた。
不意に首を絞められた僕は頭がボーッとしてホワイトアウトした。
「がっ……ゆ、唯さん……ま、待って……」
(……バシッ、バシッ、ベシッ)
「……はっ!」
頬を殴られる感覚で目が覚めると、僕は両腕両足を紐で縛られ下半身を丸出しにされていた。
そして唯さんはマウントポジションで僕の頬を軽く殴り続けている。
「あ、起きた?」
「こ、これは……」
「フフフッ、私を襲ったお仕置きよ」
何かがおかしい……下半身、チンポに違和感を感じた僕はそこへ視線を移す。
「ゆっ! 唯さん!」
唯さんも履いていたタイトジーンズを脱ぎ去り、大事な部分を僕の萎えたチンポへと押し当てている。
「フフフッ……ほら、早く起たせなさい。童貞もらってあげるから」
「でっ、でもそんなことをしたら……僕は陽子さんに」
「女の子が起たせろって言ったら起たせるの! さもないと……ちょん切るわよ?」
「そ、そんなっ!」
唯さんは右手に小型ナイフを持ち、それを僕のチンポの付け根へと押し付ける。
「ほら、良く見なさいよ……男の子ならこの状況で起たないわけないでしょう? フフフッ」
僕のチンポが唯さんの大事な部分に触れ、その体温がダイレクトに伝わって来る……その状況に興奮して僕のチンポはムクムクと起ちあがった。
「よろしい! まぁまぁ大きいチンポクンじゃない、ご褒美をあげなきゃね」
「ま、待ってください唯さん!」
「何よ、ムード壊すなんて最低よ?」
「だって、僕は陽子さんの……」
「そんなの知らないわよ、私がしたいことをするだけよ……あんたはどうしたいのよ」
「ぼ、僕は……」
「チンポクンは私とエッチしたいって言ってるみたいだけど?」
唯さんは僕の反り起ったチンポを大事な部分へ押し付け軽く吐息を漏らす。
唯さんとエッチがしたい……見知らぬ快楽への期待で本気でそう思ってしまった。
僕の陽子さんへの忠誠心はウソだと感じた……僕はただの最低な男だ。
「ほら! 早く私とエッチするか、童貞のままチンポちょん切られるか選びなさい! 私が平気でチンポを切るって知ってるでしょ?」
そう言いながら携帯端末に僕のチンポのステータス画面を表示させ「ペニス切断止血モード」のボタンを押した。
その瞬間、鈍痛が走ると僕のチンポはゴムの玩具のように硬く変質した。
「痛い……やめてください、お願いです」
「やめるの? じゃあちょん切るわね……可哀想なチンポクン」
唯さんは僕のチンポを撫でながらナイフの刃をペニスリングの付け根側へと押し付ける。
「ち、違います! 切るのをやめて! お願いです!」
「そう、じゃあ私とエッチしたいのね?」
「……エッチしたいです」
「フフフッ、よろしい!」
(チュ)
唯さんは僕に軽くキスをすると、そのまま一気にそこで僕のチンポを咥えこんだ。
僕は快感を感じられない止血モードのまま、唯さんに激しく逆レイプされ続ける。
僕は生まれて初めて女性と結ばれた喜びよりも、生きたディルドの様な扱いに少し寂しい気持ちを感じた……。
「あんたイイ感じよ新入りクン……あぁん、最高!」
(ドクッ!!)
「痛いッ!! アァッ! 気持ちイイ……」
満足した唯さんが止血モードを解除すると、一気に血液が流れ始めたチンポに激痛が走り抜けた。
同時に今まで味わったことのない快感にチンポがドクンドクンと脈動を続けて一晩かけて溜まった10ccのザーメン全てを吐き出し続けた……。
■処刑
「ところで新入りクン、初めてのエッチはどうだったかしら?」
「すごく気持ち良かった……です」
「そう、私が初めての女の子で良かったわね……」
「はい……」
「そんなに素直だとこっちが照れるでしょうが!」
「イタタタタタ……」
唯さんは照れ隠しに上腕で僕の首を締め上げる、こんな状況でも凶暴なのは変わらないようだ。
二人はしばらく余韻を楽しんだ後、衣服を整え休憩室を後にした。
「クスクスクス……」
通路の奥で同僚の女性隊員達が携帯端末を片手に笑いながらこちらを見ていた……僕のチンポの状態は全て筒抜けだという事を忘れていた。
唯さんは何も気にせず平然とエレベーターホールへと歩いて行く。
僕も逃げるようにエレベーターホールへと向かうと、その傍のソファに座っている陽子さんの姿を見つけて心臓が止まりそうになった。
その表情はいつものクールな陽子さんとは一変しており、一目で怒っているのが分かった。
「あなたはあそこで何をしていたの?」
「そ、それは……その……」
陽子さんを前にして焦る僕を気にもせず、唯さんは何事も無かったようにそのままエレベーターに乗り込むとこの修羅場から立ち去ってしまった……。
陽子さんも唯さんのことを気にもせず更に僕を攻め立てる。
「早く答えなさい!」
「唯さんと……してました」
次の瞬間、陽子さんはハンドバッグから何かを取り出すと、いきなりそれを僕の顔に向かって振るった。
(バシッ)
「痛っ!!」
「ペットの分際でそんな事が許されると思ってるの?」
陽子さんの右手に握られているのは一本の鞭だった……僕は激痛で痺れる頬からポタポタと血が流れ落ちているのがわかった。
陽子さんは本気で怒っている……僕は恐怖で全身が震えた。
「すっ! すみません! すみません! 許してください!」
「許してください? あなたは謝らないといけない事をした自覚があるのね……絶対に許さないわ」
僕は本気で許しを懇願したが陽子さんは構わず僕の顔面へと鞭を振り下ろす。
僕はジンジンと痛み血まみれになった顔面を手で庇う。
それでも容赦なく陽子さんの鞭が襲いかかり、手の甲からも血が流れ落ちた。
「痛っ、痛いっ! ヤメテ下さいっ!!」
それでも鞭は止まらず、僕はその場から逃げ出した……しかし次の瞬間、僕のチンポに刺すような激痛が走った。
「ウグッ!」
僕は堪らずその場に崩れ落ち、股間を押さえながら床を転がった。
「チンポ電撃のお味はどうかしら?」
「グアッ! ギャアアアッ!」
陽子さんがタブレットの画面に触れると、幾度となくチンポに刺すような激痛が襲いかかり、僕は悲鳴を上げながらその場でゴロゴロと転がり回るしかなかった。
陽子さんのチンポへの電撃攻撃は数分間続いた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
「ほら、何か言い訳を言ってごらんなさい」
「ゆ……唯さんが……エッチしないとチンポを切るって脅したから……」
「それだけ? 唯にチンポを切られれば済んだことじゃないの」
「そっ! そんなっ!」
陽子さんは当たり前のようにそう言うとこう続けた……。
「あなたはペットとしての私への忠誠よりもチンポを選んだのよ、絶対に許さないわ」
「そんな……酷い、酷過ぎる……チンポを何だと思ってるんだ!」
「ただのオスの生殖器よ。まぁチンポが付いてるおかげで男を管理出来るのは認めるわ」
「ふざけるなっ! 生殖器だから大事なんじゃないか!」
(バシッ)
「痛っ!」
「口のきき方に注意しなさい! 調子にのるんじゃないわよ?」
「ううっ……畜生……グスッ、グスッ」
陽子さんの容赦ない攻撃による痛みと歯向えない敗北感で僕は涙を流してしまった……。
「男の身勝手なチンポなんか無くても、キンタマがあれば子孫は残せるのよ……」
(シャキン)
「ヒッ!?」
そう言いながら陽子さんがバッグから取りだしたのは、あのチンポ狩りに使うナイフだった。
僕の脳裏に容疑者のチンポを切り取ったあの瞬間が思い出される。
僕は必死に立ち上がり逃出す、しかしそれは無駄な抵抗だった。
「あなた達、見ていないで取り押さえなさい」
陽子さんが通路で見物していた女性隊員達にそう命令すると、僕はあっと言う間に数人の隊員に羽交い締めにされてしまった。
そしてそのまま成す術もなく制服を脱がされてしまった。
「や、やめろ! 離せっ!」
「クスクスクスッ……怖いの? チンポ縮んでるよ?」
「アハハハッ、ホントだ〜」
「見るな! 畜生っ!」
今から同僚がチンポを切られると言うのに平然と笑っている女性隊員達に憎悪を感じた。
「諦めなさい、今からあなたのチンポをペットとしての不貞行為で処刑するわ」
「嫌だっ! チンポ切られたくない! 嫌だーっ!!」
僕は全身に力を込めて拘束を振りほどこうと暴れた。
「大人しくしなさい!」
(ドスッ)
「ウグッ……」
陽子さんの膝が暴れる僕のみぞおちに決まる。
次の瞬間、そこに激痛が走りどうしようもない吐き気が襲う……僕は一瞬で戦意を喪失した。
「痛っ……うぐぅっ……お、お願いします、僕のチンポ切らないでください……うぐぅっ」
僕の声など聞こえないように無視して陽子さんはタブレットを操作する。
「切りやすいように強制勃起させるわよ」
僕のチンポは意思に反してピンッと反り起ってしまう……ペニスリングの支配からは決して逃れられない。
僕を羽交い締めにする隊員達がそれを見て笑う。
「クスクスクス……早くチンポ切られちゃえ、あんた目障りだったのよ」
僕はグイッとお尻を膝で突きだされ、陽子さんに勃起したチンポを差し出す格好にされた。
陽子さんはしゃがみ込むと、ゆっくりとナイフをチンポの付け根へと近づける。
「止血はしないわ……じゃあ切るわよ、覚悟しなさい」
「まっ! 待って切らないで!」
「いっそ唯に切られれば一生可愛がってあげたのに……バカな男ね」
「イ、イヤだっ!!」
陽子さんの持つナイフに力が入るのがわかると、僕は全身の筋肉が硬直してガクガクッと震えた。
次の瞬間、ナイフの刃が肉を切り裂きチンポの中へと入って来るのがわかった……。
「ウワァアアアッ、イヤだっ! イヤだっ! イヤだ! ウワアアアアッ!!」
(サクッ)
「ウグッ!! ウワァアアアアアアッ!!」
陽子さんの手によってあっけなくチンポを切り落とされてしまった僕は、全身の力を込めて悲鳴を上げた……。
鈍く輝くチンポリングごと切り取られたチンポは陽子さんの掌で血液を吐きだしながらゆっくりと硬さを失って行った。
僕のチンポがあった部分に視線を下ろすと残された錐円形の断面から脈拍に合わせて沸々と出血している。
「(熱い……)」
激痛が消えて熱を感じた次の瞬間、快感を感じないのにその断面から白いザーメンが吐き出された。
(ドクッ、ドクッ、ドクッ……)
情けなく発射された精液が血だまりになった床にこぼれ落ちる。
「うわっ! こいつチンポ切られたのに射精してる!」
それを見た女性隊員がまるで汚いモノを見下すように罵声を上げる。
陽子さんは指先で断面から垂れる精液をぬぐい、それを見つめる。
「あなた、生粋のマゾだったようね……気持ち悪い」
「あああ……僕の……僕のチンポ……返して」
僕はうわ言の様にチンポを返してと伝えたが、陽子さんはそれを無視してこの場を立ち去って行く。
「あーあ、汚いチンポの血で汚れちゃったわ……シャワーを浴びないといけないわね」
「管理官、こいつはどうするんですか?」
「もう要らないわ、裏通りにでも捨てておいて」
陽子さんは振り向きもせず僕を捨ててこいと命令する。
そして通路にあるダストシューターに僕のチンポを投げ捨ててしまった……。
「ああっ! そんなっ!」
それを取り戻そうと駆け出す僕を女性隊員達は更に羽交い締めにして拘束した。
「ほら、あんたはこっち!」
「イヤだ……僕のチンポが……陽子さん……待って……」
チンポの断面からの出血のせいか、僕はそのまま気が遠くなり意識が朦朧とし始めた。
僕は抵抗することもなく隊員達に通路を引きずられ、管理局ビルの裏通りに素っ裸のまま放り出されてしまった……。
必死に体を動かしてなんとか壁を背中にして座ったまま、僕は出血の止まらないチンポの断面をボーッと見つめる……。
「(僕は……このまま……死ぬのか……そんなの嫌だ)」
時々途切れる意識の中、この不条理な女性上位の世界を恨んだ。
やがて目の前が完全に暗くなると全身に寒さを感じる。
言いようのない死の恐怖に一人震えていると、目の前に一台の車が止まったのが分かった。
「(誰かが僕を抱えている……嗚呼、処分されるのかな……)」
僕の意識はそこで途切れた。
■新たな忠誠
「(温かい……)」
僕は体温を感じて深い暗闇から再び目を覚ます。
どうやら生きていたようだ。
「痛っ!」
目を覚ますと同時に股間にズキズキッと痛みが走る。
そこに手を入れ弄る、当然チンポは存在しなかった……。
僕はチンポを切り取られた事を思い出し、大きな絶望感に襲われた。
そして生きていた事を恨んでしまった。
「ここは……どこなんだろう?」
まだハッキリとしない頭を動かし、ゆっくりと周囲を見回すとそこはマンションの寝室のように見えた……可愛らしい装飾を見ると女性の部屋の様だ。
僕は体を起こし、素っ裸のまま少しふらつきながら高級そうな柔らかいベッドから立ち上がる。
「嗚呼……そんな……」
露わになった自分の股間に視線を落とすとチンポの断面は綺麗に縫合されており、小さく尿道口が開いていた。
その下には情けなくブランとキンタマがぶら下がる……その絶望的な現実に悲鳴すら出なかった。
「気が付いた?」
後ろから聞こえた声に振り向くと、そこに立っていたのは唯さんだった。
「唯さん……一体どうして」
「あんたさ、助けてあげたんだからお礼ぐらい言いなさいよ」
「あ、ありがとう……ございます」
唯さんは息も絶え絶えな僕を見つけて病院へ連れて行き、処置をしてくれたようだ。
「管理官様にチンポは切られちゃうかなって思ったけど、まさか止血しないで捨てちゃうなんて思わなかったから驚いたわよ」
「そんな……僕がチンポを切られるとわかって誘ったなんて」
「あら、私とエッチしたいってあんたが言ったのよ? 人のせいにしないのっ!」
あの時、確かにエッチしたいと言った僕は何も反論出来なかった……。
ここはもうチンポが大事なモノだという常識の通用する国では無い事を思い出し、現実を受け入れるしかなかった。
「あんた、これからどうするの?」
「これから……」
「キンタマがあるから一応男性の権利は残ってるわよ。男子トイレも使えるから良かったじゃない、立ちションはムリだけど。フフフッ」
チンポが無いのに男として生きる……僕は再び絶望と不安に襲われ気が遠くなりそうだった。
「どう? 私に飼って欲しい?」
「えっ!?」
「嫌ならそのまま素っ裸で出て行っていいわよ、あんたが決めなさい」
「……良いんですか?」
「もう! 良いんですかじゃなくて、男らしく自分の口でハッキリ言いなさいよ!」
僕には他の選択肢は無いも同然だ、迷いなくこう答えた。
「僕を飼ってください」
「良いわよ、飼ってあげる」
唯さんはそう言うと嬉しそうにベッドの引き出しから取り出した木箱を開く。
その木箱の中から取り出したのは、見覚えのあるチンポだった。
「そのチンポは!」
「あんたのチンポよ、頑張って探してあげたんだからね。でも、もうダメになってるわ」
「そんな……」
僕のチンポはまるでゴムの玩具の様になってしまっていた……。
唯さんはその僕のモノだったチンポからチンポリングを抜き取る。
「またチンポリングを着けるわよ」
「でも、僕にはもうチンポが無い……って痛っ!」
唯さんはまだ傷の癒えていないチンポの断面にチンポリングをグイグイと押し付けて装着した。
「ほら、着いたじゃない! チンポリングって言うか、キリカブリングね、アハハハッ」
「キ、キリカブ……」
唯さんは笑いながら携帯端末を取り出すと、僕のチンポのステータスを表示させた。
氏名:皆本貴
状態:萎縮,長さ:0.5cm,最大直径:2.3cm,精液残量:10cc,精巣容積……
「そんな、0.5cmだなんて……」
「私は気にしないわよ、男はサイズじゃないから元気出しなさい」
唯さんは僕の肩をドンッと思いっきり叩き元気づけてくれた……その痛みが心に染みた。
「ありがとう……唯さん」
「フフフッ、じゃあお礼は体で払ってもらうわよ」
「ええっ!? ってうわっ!」
(ドサッ)
僕はそのまま唯さんにベッドに押し倒されてしまった。
童貞を奪われたあの時のように唯さんが僕の上にドシンと座る。
「これからずっと楽しませてもらうわよ〜、フフフッ」
「でっ、でもチンポが無いのに……僕はどうすれば」
「心配ないわよ、ほら」
唯さんはベッドの引き出しに手を伸ばしてまた何かを取りだす……。
「ジャーン! あんたの新しいチンポよ」
「そ、それってもしかして!?」
それは紛れもない大人の玩具、黒光りしたゴム製のディルドだった。
唯さんがそれを僕のキリカブリングに近づけると、そのままカチッと吸い付くように装着されてしまった……。
「なっ!?」
「うーんイイ感じ! 男らしくてカッコイイわよ、フフフッ……超強力マグネットでくっついてるから激しくしても大丈夫よ」
僕はそこに装着されたディルドを握りしめるが何も感じない……。
「あのっ……僕は何も感じないんですけど」
「当たり前でしょ? ゴム製なんだから」
「そんなぁ……」
「フフフッ、後であんたにも入れてあげるわね」
「えええっ!?」
逆にディルドを入れられる、その恐怖で思わず逃げ腰になると唯さんは両腕をクロスさせて僕の首を押え付けた。
そして意地悪そうな表情で僕に語りかける。
「逃げたら管理官様みたいにキンタマ処刑するわよ? 男の子やめたいの?」
「……男やめたくないです」
「じゃあ観念しなさい! えいっ!」
「ああっ!」
僕は再び唯さんに激しく暴力的に犯されることになった……。
しかし、それはあの陽子さんの冷酷で容赦ない暴力に比べれば優しいものだと感じた。
唯さんはMPで率先して僕の面倒を見てくれた、最初で最後になったけれどエッチをしてくれた……そして何より僕の命を救ってくれた。
愛情表現は暴力的だが実はとても優しい女性なのだと気付いた。
いくら女性が強くなろうとも、僕の様なチンポが無い男を構ってくれるような女性は多くは居ないだろう。
「唯さん……」
「アァン……何よもうっ! またムードを壊すの?」
「愛してます……これからもずっと愛してください」
「バ、バカ! ペットの分際で一人前なこと言うんじゃないわよ……」
僕はもう唯さん無しでは生きていけない、だから身も心も支配されても構わない……心からそう思った。
女性が男性を支配して管理するこの国で、少しでも良いから幸せになりたい……心からそう願った。
(END)
イメージイラスト byなまけものX様(「CFNM万歳!」ちょっとエッチなCFNMコラムより頂きました)
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投稿:2013.03.08更新:2014.01.24
男性管理法とペニスリング
挿絵あり 著者 いち 様 / アクセス 38872 / ♥ 4