僕がここに連れてこられてから一体、どのぐらいの月日が流れたのだろう……。
帰宅途中に大勢の黒い制服姿の女性達に囲まれて……そこからパッタリと記憶が途切れている。
次に気が付いた時には、一面が薄いブルーに塗られた一畳ほどの広さの空間に閉じ込められていた。
今日が一体いつなのか、昼なのか夜なのかも全く分からない。
そして、僕のチンポには銀色の金属チューブが取り付けられており、その先は壁のバルブへと繋がっている。
僕はそのチューブを引き抜こうとしたが、金属のボルトが何本もチンポを貫通して固定されており、それを取り外すことは不可能だった……。
「あっ!」
そして、そのチューブからは一定の時間ごとに僕のチンポに刺激が与えられる。
再びその時間がやってきた。
刺激と同時に正面のモニターにアダルトビデオの映像が流れる……おそらく条件反射で興奮すると思っているのだろう。
まるで実験動物のような扱いに屈辱を感じる。
「んっ……!」
機械的な刺激で定期的に精液を搾り取られ続けている……そこに僕の意思はない。
人間扱いされないこの状況にいくら刃向おうとしても、チンポに与えられる刺激には打ち勝てない。
(ドクッ……ドクンドクンドクン……ドクンッ)
僕はまた同じように果てるしかなかった……。
僕は一体何のためにこんな所に閉じ込められ、精液を絞られ続けなければならないのか全く分からなかった。
僕の精神はもう限界を超えていた。
僕の心は起きているのか、寝ているのかも判らなくなりつつあった。
「食事よ」
いつもと同じ女性の呼びかけに、僕はゆっくりと頭を持ち上げる。
正面の壁に小さな窓が開き、宇宙食のような固形物とパックに入った液体が中へと入れられた。
しかし、僕はもう食欲すら湧かなくなっていた。
「何をしているの? 早く食べなさい」
「……」
「情けない顔してないで、早く食べなさい!」
「ボクを……ここ、から……だ、し、て……」
僕は精神力を振り絞って、壁の外にいる女性に助けを求めた。
「ここから出たいの? どうして?」
「もう……い、や、だ……」
「おかしなことを言う子ね、男の子はチンポを弄られていっぱい射精するのが最高の幸せなはずよ?」
「ち……が、う、違うっ!」
僕は久しぶりに怒りの感情を覚えた。
そのせいか、ようやく普通に声が出せるようになってきた。
「あら、元気が出てきたじゃない。でも違わないわ、さっきも情けない顔してドクドクって白いのをいっぱい出してたじゃない、フフフッ」
「もう嫌だ。僕をここから出して……」
「男の子なのに射精するのが嫌になったの? 病気かしら……」
壁の向こうの女性は足音を響かせながらそこから立ち去ってしまった。
僕は食事をそのままにして、再び起きているのか寝ているのかわからない状態でウトウトとした……。
「全然食べてないじゃない!」
壁の向こうから聞こえたいつもと違う女性の声に僕はハッとした。
「僕をここから出して……出して」
僕は再び必死に助けを求めた。
「やれやれだわ、他の男達は頑張っているのに……情けない子ね」
「他の男?」
僕の他にも閉じ込められている男がいる……その悍ましい現実に寒気が走った。
「選りすぐりのネクストY−DNAを持った男のはずなのに、欠陥品が混ざっていたようね」
「僕は欠陥品なんかじゃないっ」
「いいえ欠陥品よ、優れた精液を出さない男に存在価値はないわ。ただのジャンクよ」
「そんな……いつもいっぱい出してるじゃないかっ」
僕は必至に欠陥品じゃないと言い返した。
「だって、もうギブアップしてるじゃない。まだ死ぬには早いわよ?」
「しっ、死ぬって!?」
「死ぬまで何十年も精子を吐き出すのがあなた達の使命よ、まだたったの1年しか経ってないじゃないの」
「なっ、何十年もここで!? 嫌だ! ここから出して!」
「うるさいわね! いくらY−DNAでもあなたのような弱い男のDNAは必要ないわ、経費の無駄よ。お望み通りそこから出してあげる」
「え!? 本当に?」
「ええ、本当よ」
全く予想外の展開に僕は歓喜した。
ここから出られる……元の生活に戻ることができる。
(ヴィン)
低い電動音が響くと、正面の壁に大き目の穴が開いた。
「そこからこちらに搾精チューブを出しなさい、チンポを外してあげるわ」
「はい……」
僕はチューブが繋がれたチンポを壁の外へと突き出した。
ここから解放される……その思いのせいか、いつの間にか僕は涙を流していた。
「ほら、もっと突き出しなさい」
「痛いっ!」
壁の向こうの女性が僕のチンポとキンタマをグイと引っ張り、そこに何かの金属の輪っかをはめ込んだのが分かった。
そして、カキンと何かの工具が擦れるような金属音が聞こえる。
「じゃあ外すわよ、いい?」
「はい、お願いします」
「本当に外していいの? まったく、あなたは男としてのアイデンティティにも欠陥があるようね」
(ジャキン)
「えっ?」
はめ込まれた金属の輪っかの部分に冷たい何かが走った……。
先ほどまで脈と体温を感じていた部分、チンポが急激に冷たく感じた。
次の瞬間、いつもと同じ快感が込み上げ、そこから大量の精液を吐き出した。
「あぁっ……んっ!」
(ドクッ、ドクッ、ドクンドクンドクン……)
しかし、いつもと何かが違う……快感の余韻が少ない。何かがおかしいと感じた。
「フフフッ……最後の欠陥品のDNAを吐き出したわね。お望み通り外してあげたわよ」
「えっ! えっ! ええっ!?」
「何を驚いてるのよ。チンポを外してってお願いしたのはあなたよ?」
穴の向こうに見える女性の手には、チューブに繋がったままのチンポの断面が見えた。
その断面の下には、袋ごと二つのキンタマがぶら下がっていた。
「……僕のチンポとキンタマ?」
「そうよ、チューブを付ける手術の時に痛覚は性感神経に繋いであるから気持ちよかったでしょう?」
僕は全身に鳥肌が立てながら、おそるおそると股間へと視線を落とした。
そこはチンポとキンタマの袋を切り落とされ、赤く大きな切断面が覗いていた。
僕はチンポとキンタマを失ってしまった……もう二度と勃起も、射精も出来ない。
「そっ……そ、そんな! そんな! そんなっ! イヤだ! うわぁあああああああっ!!」
僕はその場で膝を着き、大声で悲鳴を上げた。
僕は大事なチンポを、キンタマを、男のシンボルを奪われた怒りで暴れ続けた。
部屋に何かのガスを注入され、気を失うまで……。
「うっ……ここは?」
次に気が付いたとき、僕はどこかの街角に裸で転がされていた。
どこかのスラム街のような、荒れ果てた街。
少し先にはカジノのようなネオンが輝く大きなビルが見える……。
僕は改めて自分の股間を確かめた……。
「……ない」
しかし、やはりそこにはチンポもキンタマも無く、ただザクザクと皮膚が縫合してあるだけだった。
男のシンボルは跡形もなく消え去り、ポツンと小さな穴が空いているだけだ……僕は絶望するしかなかった。
僕は放心状態のまま涙を流し、そこに座り込んでいた。
しばらくすると、一台のトラックが近づき、僕の傍に停車した。
その助手席には銃を持った黒い制服姿の女性が乗っていた。
「ほら、乗りなさい。逆らっても無駄よ」
「……」
僕は無言のまま指示通りにトラックの荷台へと上がった。
そこには僕と同じように裸のままの男が何人か乗せられていた。
その股間は……僕と同じくチンポもキンタマも付いていなかった。
驚きを隠せず、ただ茫然とする僕の首を背後から誰かが掴んだ。
(ガキン)
「なっ、何を!」
「プレゼントよ、似合ってるじゃない」
「く、首輪!?」
僕は鈍く輝く金属製の首輪を取り付けられてしまった、他の男たちも同じような首輪が取り付けられていた。
「ジャンクヤードへようこそ! ここから逃げたらその首、ちょん切れちゃうからね……チンポみたいに、フフフッ」
「そ、そんなの酷過ぎる!」
「あら、チンポもキンタマも無い生き物に仕事をあげるんだから感謝してよね」
「仕事?」
「そうよ、あそこで死ぬまで雑務をするのよ。私たち女性の為に一生尽くしなさい」
「そんな……」
「チンポもキンタマも無いんだから仕方ないじゃない、他に女性の為に何ができるの? フフフッ」
僕達はそのままネオンが輝く娯楽施設「キャッスル」へと連行された。
世界中の富豪の女性が集まり、楽しい時間を過ごす為に作られた施設だと言う……。
チンポやキンタマ、あるいはその両方を失った悲しい男達が住む街「ジャンクヤード」。
もはやこの地球上に、男達の幸せな未来は無いと感じた。
ここで過ごす悲惨な日々に僕は大きく後悔した。
チンポを弄られて射精するのが男の幸せだったんだと、心の底からそう思った。
(END)
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投稿:2013.05.01更新:2013.05.01
監禁搾精〜ネクストY−DNA
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