「新宿にこんな場所があったなんて……」
僕は風俗遊びの為に闇金で借りた借金返済の為、闇弁護士に渡された地図を頼りに指定された場所へと向かっている。
周囲の街並みは薄汚く、まるで香港や上海の裏通りの様な雰囲気だ。
賑やかな表通りとは全く空気が違う、皮膚に感じる気温が数度低く感じた。
すれ違う人達、窓から覗く人達……ごく普通の格好で歩いているだけの僕の事をジロジロと見つめてくる恐怖に襲われる。
時折建物の間から視界に入る見慣れた高層ビルが唯一、僕の心を安心させてくれた……。
「ここかな?」
僕はようやく地図に書いてある場所へとたどりついた。
昼間でも薄暗い通りの一角に、ニューヨークにありそうな洋風アンティークな店がそこにあった。
年季の入ったウッド調の看板には英語で『PawnBroker』とだけ書かれている。
僕は深呼吸してその扉を開いた……。
『カラン、カラン……』
「あら、いらっしゃい」
心地よいベルの音と同時に、カウンターに肘を付いた美しい女性が笑みを浮かべながら声を掛けてきた。
美しいブロンドの長い髪と、首元が大きく開いた高級そうな黒いドレスを纏った姿に思わず息を飲んでしまった。
その深いブルーの瞳で見つめられた僕は、思わず身震いをしてしまった。
「あの……ここは?」
「ここ? あなた、ここが何か知らないで入ってきたの?」
「すみません、弁護士の遠野さんにここへ来るように言われただけなので……あ、僕は神原真と言います」
「ああ、恵美子のクライアントね、話は聞いてるわ。私はエマよ、よろしくね」
弁護士からこの店にキチンと連絡が入っていることがわかり、僕は安堵した。
「で? 恵美子からは何も聞いてないわけ?」
「はい、ただ行けば解決すると言われて来たんです」
「フフフッ……恵美子はやっぱり悪い女ね」
「あの、ここって一体?」
「あなた英語が読めないの? ここは質屋よ」
「質屋!?」
『PawnBroker』は質屋という意味だった。
しかし、店内には貴金属はもちろんのこと、質入れした商品は何一つ陳列されていない。
手狭な空間にはバーのようなカウンターがあり、その上にはアンティークな西洋天秤がポツンと置かれているだけだ。
ただ、カウンターの奥にあるうす暗い陳列ケースには、グラスで出来たボトルのようなものが数多く並んでいる。
「でも、僕はもう質に入れられるような物は何も持っていませんけど」
「それはどうかしら……フフフッ」
「それは、どういう意味です?」
「フフフッ、ここが普通の質屋に見える?」
「……いいえ」
「そうよ、私のお店は普通の質屋なんかじゃないのよ」
そう言うと彼女はカウンターから店内へと移り、ゆっくりと僕の背後に立った。
そして、そのまま僕を後ろから両腕で抱擁した。
僕は彼女の予想外の行動に驚き、ビクッと全身が反応する。
こんな美しい女性に抱擁されるなんて、まるで夢のようなシチュエーションだ。
「エ、エマさん!」
「あら、これぐらいで動揺するなんて可愛いじゃない……フフフッ」
彼女は僕の耳元でそう囁く。
その両手はゆっくりと下に下がり、僕の股間へと近付いていく。
そして僕のチンポとキンタマは、ズボンの上から彼女の手の平に収まってしまった。
「あっ!?」
(グニュ)
「あら、いいボリュームじゃない……フフッ」
「そ、そんな……やめてください」
「やめないわよ、これがお仕事だから」
「これが仕事?」
「そう、お仕事よ……このチンポとキンタマなら結構良い値が付くと思うわよ」
「ええっ!?」
僕は彼女の言う意味が一瞬理解できなかった。
しかし、何かがヤバいと感じた僕は彼女の手を振りほどこうとした。
「は、はなして下さいっ!」
「大人しくしなさい……」
(ギュウウウウウッ)
「ウグッ……」
彼女の両手は恐ろしい力で僕のキンタマを握り潰そうと襲いかかってきた。
僕は声にならない悲鳴をあげ、床に蹲るしかなかった。
そして股間を押さえながら情けなく蹲る僕を、彼女はもの凄い力で容赦なく引き倒した。
(ガチャリ、ガチャッ)
キンタマを握り締められた激痛で全身に力の入らないまま、僕の両手、両足は床に取り付けてある金具に手錠で固定されてしまった。
「ほら、これでもう逃げられないわよ……フフフッ」
「イタタタタタッ……なぜ、なぜこんな酷い事を!」
「あら、悪いのは返せない借金なんかするあなたの方よ?」
彼女は軽蔑するような眼差しで僕を見降ろしながらそう言い放った。
彼女はゆっくりとカウンターへと戻ると、ゴトゴトと引き出しを開く音が聞こえた。
そして次の瞬間、僕は戦慄した。
彼女の手には刃先が眩く輝く、大き目の剪定ハサミが持たれていた。
「!?」
「良く切れるのよ、このハサミ……フフフッ」
「ま、待って! そんなのでチンポ切ったら死んでしまうっ!」
「あら、いつ私があなたのチンポを切るなんて言ったかしら?」
「えっ? き、切らないんですか?」
僕は何かのジョークなのだと思い、一瞬安堵した。
「チンポじゃなくて、チンポとキンタマを切るのよ……ジャキンって! ウフフフッ」
「い、嫌だ! そんなの死んだ方がマシだ!」
「あらあら、命は大切にしないとダメよ」
「嫌だ嫌だ嫌だ! お願いです! エマさん止めて!」
「ダメよ。大丈夫、一瞬痛いだけよ……フフフッ」
彼女は僕の声を無視しながら、喜々として僕のズボンと下着を下ろす。
そして、恐怖に縮んだ僕のチンポとキンタマを指先で摘み上げた。
「あら、縮んじゃダメよ。グラム単価なんだからもっと大きくしないと」
「いっ、今から切られるのに大きくなるわけないじゃないか!」
「それはどうかしらね、フフフッ」
彼女は手元の小さな金属ケースから注射器を取り出すと、そのまま僕のチンポへと深く突き刺した。
チクリとした痛みを感じた次の瞬間、僕のチンポは一瞬で大きく勃起してしまった。
「なっ! 僕のチンポに何をしたんだ!」
「フフフッ、特製のお注射で大きくしてあげたんだから感謝しなさい」
「嫌だ! 感謝なんかするわけないだろ!」
しかしチンポは僕の意思に反してこれ以上ないぐらい膨張して、ビクンビクンと脈打っている。
彼女はそれを恍惚とした表情で見つめ、その舌先で舐め上げる……。
(ジュル……)
「あっ!?」
彼女は縮んだチンポを吸い込むように口に含んだ。
その口の中で舌先が、まるで蛇の舌のように絡みついてくる。
初めて味わう快感に全身で身悶えしながら、思わず口が開いてしまう。
「うわっ! 気持ちいい!」
「良いチンポね。量ってみないとわからないけど、借金全額返せるかもしれないわよ?」
「そ、そんな! 量る前に切るなんて酷い!」
「だって、切らないと量れないでしょう? ……フフフッ」
「そんなのインチキだ!」
「可哀想だから、最後に出してあげるわね……」
(あむ……)
彼女は再び僕のチンポの先端を口に含み、その不思議な舌先で弄び始めた。
そして同時にハサミの刃先が僕のキンタマの下の付け根をグッと挟み込む。
「ああっ! い、嫌だ! 最後なんて嫌だ! 出すものか! ああっ……」
必死の抵抗も空しく、僕のチンポの奥からいつもの絶頂感が込み上げる。
「嫌だ! ああっ! で、出るっ!」
しかし、その絶頂感よりも一足早く、彼女の持ったハサミの刃が閉じてしまった。
(ジャキン!)
「痛っ! ああっ!」
僕のチンポとキンタマはまるでソーセージか何かのように一瞬で切り離されてしまった。
大きく誇張したままのチンポとキンタマが、彼女の口からブランとぶら下がる。
(ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……ドクッ)
そして、激痛に消されたと思った絶頂感が再び僕を包み込み、僕はその断面から大量の精液を四方に撒き散らし続けた。
「どう? チンポの最高の瞬間を切り取ったわよ、感謝しなさい……フフフフッ」
彼女が手に持った僕のチンポとキンタマは表面に血管を浮かべたまま、発射寸前の状態で切り取られていた。
その断面からも、僕の股間に残った断面からも出血はしていない……。
僕の体内にあるチンポの残りは硬く勃起したままだ。
「これは一体……」
「注射の効果は企業秘密よ、フフフッ」
まるで大人の玩具のようになった僕のチンポとキンタマを抱えたまま、彼女はカウンターの西洋天秤にそっとそれを乗せた。
慎重に錘の位置を調整しながら、その重さを量っている。
「全部で283gってとこね、まぁ立派な方だわ。自慢しなさい……もう遅いけど、フフフッ」
「僕のチンポとキンタマ返して……」
「グラム十万円だから2,830万円あるなら返してあげるわ。でも、もうくっつかないわよ?」
「……そんな」
僕は取り返しのつかない状況に愕然とした。
「私の手数料を引いても330万円ほどお釣りが出るわよ、良かったじゃない」
「なっ!? 弁護士は1,500万円って言ったのに……手数料が1,000万円!?」
僕は男のシンボルであるチンポとキンタマを失った重大さを忘れるほど、その法外な手数料に怒りを覚えた。
「あら、闇の世界に足を踏み入れたあなたが悪いのよ……諦めなさい」
彼女はそう言いながら、再び金属ケースから注射器を取り出し僕の首元に針を突き刺した。
僕はそのまま意識を失ってしまった……。
そして次に意識を取り戻すと、そこは新宿駅の一角だった。
股間に手をやると、そこには何も無く、ただ平らになっているだけだ……僕の人生はすでに終わったも同然になってしまった。
重さを感じた胸元のポケットに手を入れると、そこには現金330万円が入っていた。
僕はフラフラと立ち上がり、遠野弁護士を訪ねた。
しかし、あの案件はすでに終了したと言う事で追い返されてしまった。
仕方なく記憶を頼りにあの質屋を目指すものの、複雑な路地で一向にたどり着けない……。
僕は急に男では無くなったと言う、言い様のない恐怖に襲われた。
その恐怖を打ち消すように、残された330万円が尽きても風俗街を彷徨い続けた。
しかし、僕のそこは二度と射精することはなかった……。
(END)
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投稿:2013.06.14更新:2013.06.14
PawnBroker
著者 いち 様 / アクセス 11748 / ♥ 2