これはボクが学校の帰り道で体験した忘れられない出来事です。
学校で先生にこっぴどく叱られた日、ガマンできない悔し涙を友達に見られたくなくて、その日はボク一人で家に向かっていました。
いつもの通学路の道のりの半分ぐらいたどり着いたときだった。悔し涙も枯れはて、当たりようのないムシャクシャとした気持ちになっていたとき、突然の尿意に襲われました。
一人で下校中とはいえ、通学路にはほかの子たちも歩いているため、道端で立小便というわけにもいきません。どんどんこみ上げてくる尿意と戦いながら、とにかくオシッコができるところを探しました。
(そうだ、いつも通る公園の隅に古ぼけた祠があるその裏でしてしまえば誰にも見られない。)
そう思いついたボクはとにかく無我夢中で公園に飛び込みました。
公園といってもブランコと滑り台があるだけの小さなもので、最近は地面の草も伸び放題なところです。もう、廃公園といってもいいほどでした。
滑り台の横にある祠の後ろに身を隠すと、祠の背面の石垣にボクはおもむろに放尿しました。祠がボクを隠してくれるので誰にも見られる心配はありませんでした。
たまっていた尿を出し終えた時でした。祠をよく見ると、誰が供えたのか真新しいお饅頭が置かれていました。
(この祠にお供えする人がいるんだ・・・。そうだ、みられていないなら・・・。)
ちょっとした出来心からボクは、祠のお饅頭へそっと手を伸ばして口にしました。
(先生に怒られた嫌な日だもん。このくらいのことは祠の神様が許してくれてもいいはず・・・。)
そう自分で勝手に思い込み、お供え物のお饅頭に舌鼓を打ちました。
一通り食べ終え、公園を出ようとした時でした・・・・。突然あたりが真っ暗になり、どこからともなく不気味な笑い声がしてきました。
あまりの恐ろしさにボクはその声が消えるまで、その場にうずくまりました。
「ボウズ、俺をよく見ろ!」
あまりの怖さに顔を上げることはできませんでした。
「聞こえているのか。俺をよくみろ。」
恐る恐る顔を上げると、ボクの目の前に恐ろしい顔をした赤鬼が立っていました。
「お前は俺の祠の石垣に小便をした挙句、供え物の饅頭まで盗むとはいい度胸だ。」
「すみません。どうか許してください。」
恐ろしさのあまりそれだけ言うことで精一杯でした。
「あれほどの饅頭の食べっぷり。お前、饅頭は好きか?」
「・・・。」
「正直に申せ!」
「ハ、ハイ好きです。」
「ところで、子供のくせにあの量の小便。お前のイチモツの大きさ、どれほどのものじゃ。見せてみろ!」
「・・・。」
「早く見せろ。」
「ハ、ハイ。」
恐ろしさのあまり、言われるがままパンツを下ろしました。
「ウム、よくわかった。」
赤鬼は、そう言うといきなりボクのオチンチンとタマタマを長い爪の左手で鷲づかみにしてきました。
「うわぁ・・・。」
一瞬にしてボクのオチンチンとタマタマは赤鬼に引きちぎられてしまいました。
「お前には、特別の饅頭をやろう。一生この饅頭を見てすごすがよい。」
そう言うと、右手に持った肌色の饅頭をボクの股間に押し当ててきました。
「その饅頭で再び俺の祠の石垣に小便をかけられるものならかけてみろ。」
再び不気味な笑い声が響くと、目の前が突然明るくなりました。
辺りを見回すと、先ほどボクが小便をした廃公園の草むらにボクはうずくまっていました。
恐る恐る、振り返ってみると古ぼけた祠があるだけで、赤鬼の姿はありませんでした。
しかし、先ほどの白昼夢のような出来事が恐ろしくなり、とにかくボクはそこから逃げ出しました。しかし本当の恐怖はこの後やってきました。
その日の夜、お風呂に入ろうとしたときパンツを脱ぐと、そこにあるはずのオチンチンとタマタマはなく、女の子の股間になっていました。あまりの衝撃にボクが悲鳴を上げると、父母がやってきました。
すぐに病院に連れて行かれ検査をされましたが、ボクの体は完全に女子化してしまい、あの廃公園での出来事を正直に話しても誰も信じてはくれず、結局、原因不明の性転換として片付けられてしまいました。
翌日からボクは、赤いランドセルでスカート姿、女子として学校に行くことになりました。
しかし、いくら体が女子化したとはいえ、すぐには女子としては扱ってもらえず、しばらくは女子化した男子の状態でした。
当然女子として認めてもらえるまでは、トイレも男子トイレの個室を使うこととなりました。
そんなある日、一人で男子トイレに入ったときでした。突然あの赤鬼の声が響いてきました。
「その饅頭で再び俺の祠の石垣に小便をかけられるものならかけてみろ。」
びっくりして振り向くと、個室の反対側にある5つの小便器すべてが、あの祠になっていました。
「ホレ、その饅頭でその祠に小便をかけてみろ。」
怖さと悔しさですぐに個室に逃げ込むと、
「なんじゃ、股間が饅頭になってしまっては祠に小便をかけることはできんのか。饅頭が好きだと言ったから俺がせっかく得別な饅頭をお前につけてやったのに・・・。俺はお前が再び公園の祠に小便をかけに来るのを楽しみに待っておるぞ。」
赤鬼の声がやんでから個室の外を見ると5つの祠の幻は消え、5つの小便器に戻っていました。
それからは赤鬼の姿も声も聞くことはありませんでした。ただ、結局ボクの体が男に戻ることはありませんでした。しかし、あの日の出来事は二度と立小便ができなくなってしまった自分の股間を見るたびに思い出されます。
これがボクの体験した、忘れたくても忘れられない思い出です。
おしまい
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投稿:2013.09.23
鬼と饅頭
著者 やかん 様 / アクセス 11108 / ♥ 1