■再会
「久しぶり! 元気だった?」
「ああ、元気だったよ。由美も元気そうでよかった」
学生時代に付き合っていた彼女、由美から数年ぶりに連絡があったのは三日前のことだ。
久しぶりに会いたいという内容の文面に、僕は淡い期待をしながらこのカフェで由美を待っていた。
「隆、すっかり大人になっちゃったわね」
「由美こそ、大人の女性って感じで素敵だよ」
「そう? ウフフッ、ありがとう」
由美はボーイッシュで勝ち気だった学生時代とは打って変わって、髪型も、洋服のセンスもすっかり大人の女性に変身していた。
付き合っていた当時、由美とは気心も知れた仲になっていたものの、人並み外れたワガママな性格に振り回されるのが嫌になり、逃げるように別れたのだった……当然、由美に凄く恨まれた事も覚えている。
しかし、今、目の前に居る由美の素敵な姿を見て、別れた事を凄く後悔している自分がいた。
「隆は今、どうしてるの?」
「僕の方は相変わらずだよ、あの頃と同じ仕事してるし」
「ううん、そうじゃなくて……彼女はいるの?」
由美は少し照れた表情で僕にそう問いかけてきた。
予想外……否、ほんの少し心の何処かで期待していた通りの展開に、僕の胸はドキリと高鳴った。
「えっ! いや、今はいないよ」
「ホント? 良かった!!」
由美は喜びながらテーブル越しに僕の手を取り、学生時代の頃の彼女のように無邪気にはしゃいだ。
「で、でも、急に一体どうしたんだよ」
「ヤダ、はしゃいじゃってゴメンなさい……どうしても隆の……隆のアレが忘れられなかったの」
「僕のアレって?」
「ヤァン……こんなところで言わせないで」
少し赤い顔をして俯く由美の仕草から、忘れられない僕のものが何を示しているのかが伝わってきた。
大人っぽくなったとはいえ、やはり付き合っていたころと相変らず彼女はエッチなままのようだ。
「今から私の家に来ない? 色々と話したい事があるの」
「え? 今から?」
「ダメ?」
「そんなことは無いよ、喜んで行くよ」
「良かった。私、車で来てるから運転してくれる?」
僕はカフェを後にして、更なる期待に胸を膨らませながら由美の家へと向かう事にした。
僕は由美の愛車の運転席に座り、記憶にある由美のアパート方面に向けて走らせようとすると、助手席の由美が口を開いた。
「あ、そっちじゃなくて世田谷の方」
「あれ? 由美の家って世田谷だったっけ?」
「フフフッ、私、家を建てたのよ。凄いでしょ〜」
「ええっ!? 家を建てたって……それって凄すぎるだろ!」
由美は昔住んでいたアパートではなく、世田谷の住宅街に一軒家を建てたと言う。
半信半疑になりながら辿り着いた場所には、立派な洋館風のお屋敷が建っていた。
由美がダッシュボードからリモコンを取り出しスイッチを押すと、通りに面した大きなガレージの扉がゆっくりと開く。
「凄い……」
ガレージの中には数台の高級車が停められている。僕はその隣に慎重に車を収めた。
車を降りて勝手口から屋敷の中へと入り、彫像品の並ぶ広いリビングへと通された。
アンティーク調のソファに掛けると、由美も僕の傍に腰を下ろす。僕は改めて由美に問いかけた。
「これ……本当に由美の家なのか?」
「ええ、もちろん私の家よ」
「しかし……どうして」
「だって……結婚したら、お家が要るでしょう?」
「け、結婚って一体……」
由美はそう言いかけた僕の口をそっと手で塞ぐと、ゆっくりと僕の前にしゃがみ込んだ。
そして、僕の目を見つめながら口を開いた。
「私の事……まだ好き?」
「もちろん……今でも由美のこと好きだよ」
「本当に?」
「本当だよ」
「じゃあ……私に隆の全てを捧げてくれる?」
「全てって……具体的に?」
「捧げられないの?」
由美は怒りと寂しさの混ざった表情で、僕を問い詰める。
「わかった……由美に僕の全てを捧げるよ」
「ホントに? 嬉しい!!」
由美は満面の笑みを浮かべながら僕に抱きつくと、唇を重ねた。
僕たちは数年ぶりの懐かしい味のするキスを交わした。
「ねぇ……続きはベッドでしましょう」
「うん、わかった……」
僕は由美に手を取られ、2階の寝室へと上がり、その大きなベッドの布団へと横たわった。
「服を脱いで、待ってて……」
僕は服を脱ぎ、ベッドで由美を待った。
しばらくして、由美は下着姿にガウンを羽織った姿で寝室へと戻ってきた。
そのプロポーションは数年前よりも色っぽく、胸も大きくなっているように感じた……。
あの頃とは少し違う由美の色気が、僕を誘惑する。
そして、一瞬で僕のチンポはムクムクと起ち上がり、小刻みに脈動した。
由美はその一点を見つめ、ニコニコと嬉しそうにしながら口を開く。
「ヤダァ……隆のチンポ、やっぱり素敵だわ」
由美は僕のチンポをうっとりとした瞳で見つめながら、その指先で付け根から先端まで形をなぞる。
「文句なしに、私のベストチンポだわ……他のチンポなんて、みんな屑よ」
「誉められるのは嬉しいけど、由美はそんなに沢山のチンポを見たのか……」
(パンッ)
そう言い終わらないうちに由美の平手が僕の頬にさく裂した。
「いってぇ……何するんだよ!」
「私にそんな失礼な事を言うなんて、隆でも許さないわよ!」
「なっ!」
大人っぽくなったように見えていたが、由美のワガママは相変わらずのようだ。
やはりこのワガママには付き合えない、僕はそう思いベッドから起き上がろうとした、その瞬間……。
(ガガガガッ)
突如、太ももに連続的な電撃を受け、僕は大きくのけぞった。
スタンガンを手に持った由美の姿を見つめながら、僕は気を失ってしまった……。
■拘束そして切断
次に気が付いた時、僕はうす暗く、ヒンヤリとした空気が立ちこめる部屋に居た。
石造りの壁一面には、様々な拷問器具のようなものが飾られている。
「寒い……な、なんだこれは……」
僕は小さな金属製のベッドに横たわり、両手両足首、そして胴の部分が皮のベルトでしっかりと固定されていた。
「由美! どこにいる! なんでこんなことをするんだ!」
僕は必死に大声を上げ、由美を探した。すると次の瞬間、歯医者の治療室にある様な照明に灯りがともった。
(パッ!)
「眩しい!」
「うるさいわね隆、静かにしなさい」
ラグジュアリーな下着姿でベッドの傍に立つ由美が、僕を見降ろしながら叱りつける。
「私のシュミの部屋へようこそ。もっと優しく、素敵な最後のエッチをしてあげたかったのに、隆が私を怒らせるのが悪いのよ」
「最後のエッチってどういう意味だよ」
「気にしなくていいわ。今、あなたが寝てる間に済ませたところよ……やっぱり最高だわ、あなたのチンポ。フフフッ」
「ええっ?」
そう言われてチンポを確認すると、そこは僕の意思とは関係なく大きく勃起していた。
確かに、チンポの表面はヌルリと濡れている。僕が気を失っている間に、由美は馬乗りになってセックスをしていたのだろう。
「良く効いてるわね、この薬……チンポの持ち主はグーグー寝てるのに、ビンビンに起ってたわよ。フフフッ」
「一体、僕をどうしたいんだよ……」
由美は僕の質問に、ゆっくりとこう答えた。
「隆が悪いのよ……」
「ぼ、僕が悪いって?」
「隆がチンポを付けてるのが悪いのよ……」
「そんな事言われても、どうしようもないじゃないか!」
チンポが付いているのが悪い……何て不条理な事を言うのだろう。しかし、由美にとってそれは本音なのだろう。
「あれから何度も、何度も、素敵な恋をしたのに……どうしても、どうしても、そのチンポが私の心の中に残ってるのよ!!」
「由美……」
「憎い! そのチンポが憎い! そんなチンポ、無くなっちゃえばいいのよっ!」
「ゆっ! 由美っ!」
由美は怒りの表情で涙を浮かべながら、ベッドの傍にあった台から大きなナイフを手に取った。
そして僕のチンポを左手でギュウと握り締め、その付け根にナイフの刃を当てる。
「せっかく、最高のダーリンとも巡り合えたのに……どうしてもそれが……隆のチンポが忘れられなかった」
「ダ、ダーリン?」
「フフフッ、私は人妻よ。隆、不倫しちゃったわね……私の中にドクドクっていっぱい出しちゃったんだから」
「ふ、不倫って、僕は寝てただけだ!」
「私のダーリン怖いんだから、キチンと責任取らなきゃダメよ。慰謝料は……このチンポで許してあげる」
由美の持つナイフの刃がゆっくりとスライドし始める。僕は必死に体を捩るが、逃げる事が出来ない。
「ねぇ隆……女が男のチンポを切っちゃうって、なんかワクワクしない? 凄く興奮するわ」
「待って! 待ってくれ由美! そんなの酷過ぎる!」
僕の叫びに由美の手が止まり、少し考えてから口を開いた。
「……そうね、ちょっと酷いわね」
「そうだよ、酷いよ!」
「起きてるときにチンポで気持ち良くしてあげないと、可哀想よね……もう出来なくなっちゃうんだもの」
「なっ!? そ、そう言う意味じゃなくて! アッ……」
由美はナイフを持ったまま、僕のチンポの先端を口に含むと、舌先で執拗に愛撫を始めた。
「ま、待って由美! そんなことしてる場合じゃないだろ! アアッ気持ちいい!」
由美はニヤニヤと笑みを浮かべながら、僕の目をみつめチンポの先端を舌先で転がす。
薬のせいなのか、張りつめたチンポの表面が普段より敏感にそれを感じ取る。
射精寸前の紙一重の状態で息を荒げながら、それを堪える。
「ダメだ、ダメだ! 出る!出るっ! ゆっ! 由美!」
射精しそうな僕を見て、由美は再びナイフを持ちあげた。そして、僕の起立したチンポの付け根に刃を当てがう。
「やっ! やめろっ! ハッ……ウッ!」
(ドクッドクッドクッドクッ……)
恐怖のせいか、腰の奥から響くように走る快感と共に僕は大量の白濁液を由美の口に吐き出し続けた……。
「隆、チンポ……気持ち良かった?」
「ハァ、ハァ、ハァ……き、気持ち良かった……ハァ、ハァ、ハァ」
「そう、よかった……(チュ)」
由美はそう言いながら、僕の唇に精液の臭いがするキスをした。
由美が僕のチンポを切ると言うのは、やはり冗談だったようだ。僕はそう思い安堵した。
と、その時だった。
「バイバイ……隆の素敵なチンポ」
「えっ!?」
(ズパッ)
それは一瞬の出来事だった。
チンポの付け根に冷たい感触を感じると、次の瞬間、そこに燃えるような熱さがこみ上げる。
由美はナイフを床に落とし、僕から切り取ったチンポを頬に擦り寄せ、うっとりとした表情で抱擁していた。
そこでようやく僕の脳は、由美が本当にチンポを切り落としたのだと理解し、大きく悲鳴を上げた。
「チ、チンポがっ!? 僕のチンポがっ!! うわぁああああああああっ!!」
僕は手足を冷たいベッドに固定されたまま、痙攣するように全身を震わせ、男のシンボルを奪われたショックを体現し続けた。
チンポの断面から込み上げる熱を脳が勘違いしたのか、腰の奥から再び快感を感じ、そこから再び大量の白濁液を発射し続けた。
「チンポが無くなってもキチンと射精するのね……よかったわね、隆……フフフフッ」
僕から切り取ったチンポをしっかりと握りしめたまま離さない由美の姿を見つめながら、僕は気を失うまで延々と悲鳴を上げ、泣きわめき続けた……。
■監禁……そして調教
「ここは一体……痛っ!」
ふと気が付くと、僕は小さな灯りが灯った狭い部屋のベッドに横たわっていた。
僕の両腕には手錠が掛けられ、足は壁に鎖で繋がれている。
「ああっ……そんな、そんな、そんなっ!!」
僕は一糸も纏っていない事に気付き、ズキリと痛む股間へと視線を落とした。
そこにはもう、チンポは無く、薄肌色の断面の下に情けなくキンタマがぶら下がるだけだった……。
(パッ)
「!?」
突如、正面にあった大きな鏡に部屋が浮かび上がった。
「マジックミラーなのか? これって……あの寝室か!?」
寝室では見知らぬ男が、由美を抱き寄せ、キスを交わしている。
彼が由美の言っていたダーリンなのであろう。そのまま二人はベッドの上で体を重ねる。
「や……やめろよ……なんだよこれ」
怒りとも、興奮ともとれない、今までに感じた事のない感情が心の奥底に沸きあがるのがわかった。
その感情に呼応して、股間の痛みも無視して、チンポの残骸が硬く勃起しているのがわかった。
昔、触れ合った懐かしい由美の美しい体を、見知らぬ男が親しく触れ、そして犯している。
由美は、男のチンポと繋がったそこをこちらに見せつけるように喘いでいる。
そして時折、こちらに視線を向け、意地の悪い笑みを浮かべる。
由美の悪趣味な行動に悪寒が走った……しかし、その姿を見ると僕の残された男の部分、チンポの残骸が疼く。
「……由美」
僕は、手錠をガチャガチャと鳴らしながら、わずかに膨らんだチンポの残骸とキンタマを必死に指先でコリコリと転がす。
そこはチンポには敵わないが、かろうじて快感を感じる。
しかし、あと一息のところで射精まで行かない……僕は興奮と悶絶を繰り返す。
「畜生……畜生……ハァ、ハァ、ハァ……出ない、畜生っ!」
(ドスッ)
「イテテテ……畜生」
どうしようもない歯痒さに、思わず僕はそこを殴りつけた。
その拳がキンタマに軽くヒットしてしまい、その激痛に一人悶絶した。
「由美……」
マジックミラーの向こう側では、由美と男が激しいセックスの末に絶頂を迎え、グタリとベッドに横たわる。
僕はもう、二度と由美と繋がることができない。例えキンタマがあろうとも、チンポが無い僕はもう男ではないのだ。
昔、飽きるほど体を重ね、由美と感じ合った日々を思い出し、僕は失った部分を見つめながらボロボロと涙を流した。
僕はチンポの残骸で射精することを諦め、ベッドに倒れ込んだ。
その時、ふと、部屋の奥の棚に何かが置いてあるのが見えた。
「これは……」
棚の上には、僕が由美と付き合っていた頃の手紙や、プレゼントした物がズラリと並べられている。
そして奥の壁には、僕と由美のツーショット写真が色々なサイズで額に飾られていた……。
「うっ!?」
そして、もう一つあった棚の中央に飾られている陳列ケースを見て、僕は驚き声を上げた。
その中には、僕から切り取ったチンポが、透明な樹脂で四角く固められて、まるで標本の様に飾られていたのだった。
僕は慌てて陳列ケースからそれを取り出し、何とかチンポを取り出そうと必死に床に叩きつける。
しかし、それはビクともせず、勃起した姿のまま固められた僕のチンポが誇らしく、そして空しく男らしさをアピールしていた。
僕はただ悔しく、歯軋りをしながらそれを眺め続けるしかなかった……。
「隆の素敵なチンポを諦める為に、そうやって固めたのよ……」
ふと気付くと、奥の通路からガウン姿の由美が現れ、そう語りかけた。
「由美!! どうしてこんなことをしたんだよ! 僕の人生はもうお終いじゃないか……」
「何を言っているの? 私を捨てた隆が悪いのに……。それに、チンポを切るだけで済ませてあげたんだから、感謝して欲しいわ」
由美はそう言うと、部屋の奥を指差した。うす暗い一角に目を凝らして見ると、何か四角い物が見えた。
「あれは……」
「フフフッ……あれは隆を固める為に買った陳列ケースよ」
「なっ!?」
そこには2mほどの巨大なガラス製の陳列ケースが置いてあり、その傍には液体樹脂の入った缶が大量に並んでいた。
由美は僕を丸ごと標本にしようと考えていたのだろうか? そう考えると、一瞬で背筋が凍りついた。
「ねぇ聞いて隆。今日、初めてダーリンのチンポで感じてイクことが出来たのよ……隆のチンポを切った甲斐があったわ」
「僕のチンポのせいで感じなかったとでも言うのか!」
「そうよ、隆のチンポが忘れられなかったって言ったでしょう? でも、もう二度と使えないと分かれば、気にならないわ、フフフッ」
「ふざけるな……僕の人生はどうなるんだよ、畜生」
もう由美に何を言っても、何をしても僕のチンポは元には戻らない。僕はどうしていいのか解らなくなった。
「ねぇ、隆……チンポが無くなった隆を気持ち良くするために、キチンとシュミの腕も磨いてたのよ……フフフフッ」
「!?」
由美が着ていたガウンを脱ぎ去ると、その下から黒く輝くボンテージ・コスチュームが現れた。
由美はそのセクシーで攻撃的なボンテージ姿で、ニヤニヤと笑みを浮かべている。
その右手には、艶やかに黒光りした20cmはあるであろうディルドが握られていた。
そしてテーブルに置いてあったローションをそのディルドの先端に垂らしながら僕に話しかける。
「隆、チンポが無くなったあなたを一生愛してあげる。私が毎日イカせてあげる。だから感謝しなさい……フフフッ」
僕はあの時、由美から逃げた事を激しく後悔した。
そして一生、後悔し続けた……。
(END)
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投稿:2014.01.08更新:2021.02.05
元カノの誘惑
著者 いち 様 / アクセス 19133 / ♥ 1