■理科準備室
(バーン……)
生物部の部長として理科室で資料をまとめていた僕の耳に、何かが倒れたような大きな音が飛び込んできた。
「なんだ、今の音は?」
僕はとても嫌な予感がして、音が聞こえた場所と思われる理科準備室へと向った。
そして扉を開けようと手を掛けた瞬間、その扉がガラッと開いた。
「キャッ! 高野先輩っ! 大変なんです!!」
興奮した様子で飛び出してきたのは、当番で理科準備室の掃除をしていた生物部の後輩である大潮順子だ。
彼女はとても可愛らしくキュートで男子の間でも人気のある女の子だ。僕も恋愛対象として、かなり気になっている女の子である。
しかし、少しおっちょこちょいな彼女の性格から、また何かをやらかしたのだろうと思い僕はため息をついた。
「ハァ……また何か壊したのか?」
「そっ、それはともかく! とにかく来てください!!」
僕は順子に手を取られ、理科準備室の中へと引っ張り込まれた。
「あ〜あ……」
理科準備室の床一面に、書類や資料が散乱している。
どうやら一番奥にあった書棚をひっくり返してしまったようだ。
「どうしてこうなったんだよ、早く片付けないと」
「先輩! それよりこっちです! これっ!」
順子がブンブンと腕を振って指差す先に、普段は見慣れない標本が並んだ棚があった。
どうやら順子が倒してしまった書棚の裏側に、なぜか隠し戸棚が設置してあったようだ。
「こんな棚があったんだ、知らなかったな……」
順子はその数本並んだ標本の一つを手に取り、僕の目の前に突き出した。
少し変色した溶液の中に、白く長い棒状の物が漬かっているのが見て取れた。
「これってオチンチンですよねっ?」
「ハァッ!? オ、オチンチンだって!?」
僕は順子からそれを受け取り、まじまじと観察した。標本のラベルには何かの日付とローマ字で名前が書いてあるようだ。
長さは15センチ程だろうか、先端には亀頭部分のくびれと鈴口が見える。
切断面は教科書にあるような海綿体の組織が確認出来た……確かにそれは人間のチンポのようだった。
「でもなぁ……切断してるのに勃起状態って変だし……うーん」
「これが勃起状態なんですか……ふぅん」
順子はなんと言えない表情でそれを見つめている。
ふと隠し戸棚に視線を向けると、他にも数本のチンポの標本が置いてあるのがわかった。
「あなたたち、何をしているの?」
突然、背後から声を掛けられた僕たちは驚いて飛び上がりそうになった。
「小野山先生!」
そこに立っていたのは生物部の顧問の小野山綾乃先生だった。
順子は僕の持っていたチンポの標本を引き取り、それを先生に手渡しながら叫んだ。
「先生大変なんですっ! オチンチンがあったんです!!」
「まぁ、オチンチンですって……フフフッ」
「そんな、笑ってる場合ですか!」
順子は必死になって先生に状況を説明しようとする。
「大潮さん、男の子がいるんだから、せめてペニスって呼ぶべきじゃないかしら?」
「え……は、はい……ごめんなさい……キャ」
順子は僕の顔をチラリと見ると、そのまま顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「先生、そういう問題なんですか?」
僕は順子に代わって、なぜ学校に人間のチンポの標本が隠して置いてあるのかを訪ねた。
「あら、あなた達、これが本物のペニスだと思っているの?」
「やっぱり違うんですか?」
「そうよ、これは標本のレプリカ……模型よ」
僕はそれがレプリカだと聞いてほっとした。順子はポカンと口を開けて突っ立ている。
「フフフッ、高野君はこんなに立派に勃起したままでペニスを切断できると思っているの?」
「え? ……いえ、無理だと思います」
「そういう事、これは作り物よ」
以前、生物部で購入した標本のレプリカを、イタズラされないように隠し戸棚を作って保管していたのだと聞かされた。
「それにしてもあなた達、こんなに散らかしちゃって!」
「ごっ! ごめんなさい! すぐ片付けますっ!」
順子と僕はすぐに部屋中に散らばった書類や資料を片付け始めた。
「大潮さん、あなたはもう帰りなさい。もう外は暗いから」
「えっ! でも私が引っくり返したのに……そんなの悪いです」
「いいのよ、女の子なんだから。遅くなると危ないわ」
「……はい。高野先輩、ごめんなさい」
「いいよ、後はやっておくから。じゃあまた明日」
順子はペコリとおじぎをすると、申し訳なさそうにしながら理科準備室を後にした……。
■小野山先生
僕は先生と二人で理科準備室の片付けを続けた。
一時間ほど経ったところで、ようやく普段の理科準備室の様相を取り戻した。
「こんなものかしらね……」
「はい、先生」
先生は元通りに直った書棚を左右に動かし、その動きをチェックしている。
「御苦労さま、そこに座ってて」
「はい」
先生は紅茶を淹れる為に、流し台のポットでお湯を沸かしはじめた。
僕は傍らにあるソファに腰掛け、テーブルに置いてある理化学冊子を手に取ってそれを待った。
「おまたせ」
「す、すみません。ありがとうございます」
先生が淹れてくれたくれた紅茶を口にして、ほっと溜息をついた。
先生は隠し戸棚を開き、先ほどの標本をテーブルの上に置くと、僕のすぐ傍に座った。
すぐ傍に感じる大人の女性の体温に僕はドキッとして、思わず動揺してしまった。
「せっ、先生!」
「ウフフフッ、やっぱりコレ、怖い?」
「え、いえ……そうじゃなくて……先生、近すぎます……」
「あら、意外とウブなのね。高野君は彼女いないの?」
「そんなの……いません」
先生は微妙に肩が触れるほどの距離で僕をからかう。ほのかに漂う香水の香りが僕の男心を揺さぶった。
僕は学校のヒロイン的存在の小野山先生と同じソファに座っている。そう認識するだけでフワフワした気持ちになる。
そんな僕の心理を知ってか知らずか、先生は標本をそっと手に取り僕に語りかける。
「ビックリしたでしょうね、コレ……フフフッ」
「それはもちろんビックリしますよ」
「でも、勃起した状態だから、変だと思ったでしょう?」
「はい、切断したら萎んじゃうでしょうし」
「フフフッ、ここを見て……この数字、高野君と同じ年齢じゃない?」
ラベルに記された数字は確かに僕と同じ年齢を示していた。
「はい……僕と同じ年齢ですけど」
「じゃあ高野君のチンポも……これと同じぐらい立派なのかしら?」
「えっ!? チ、チンポって!?」
僕は先生の口からチンポと言う言葉が出て驚き、そして一瞬にしてドキドキと興奮してしまった。
憧れの大人の女性の口からチンポだなんて……女性経験の無い僕には刺激が強すぎた。
動揺する僕の目を見つめながら、先生は意地悪そうな表情で質問を続ける。
「大潮さんはいないんだから、チンポでいいでしょう? ねぇ? どうなの? 教えてくれないの?」
「そんな……僕……恥ずかしいです」
「教えてくれないなら、先生、確認しちゃうわよ?」
先生はそう言うと右手を伸ばし、僕のズボンの上から下腹部を……チンポの付け根の辺りを撫で始めた。
僕は恥ずかしさのあまり小刻みに震えながらも、女性と身近に触れあうと言う初めての経験にチンポは一瞬で勃起してしまい、先生の手にそこがコツコツと触れてしまう。
「ウフフッ、何かがコツコツ当たってるけど? これ、何かしら?」
「そ、それは……」
「ねぇ、何なの?」
僕の心臓は飛び出しそうになるほどドキドキと高鳴り、喉が渇く。やっとの思いで、吐息交じりに僕は答えた。
「ぼっ、僕の……チンポ……です」
「ウフッ……チンポ、良い響きよね、チ・ン・ポ」
「せ、先生!」
(チュ……)
先生は横から上半身を僕の上に覆いかぶせると、そのままキスをしてくれた……とても濃厚で、大人の味がするファーストキスを……。
「あぁん、固くなってるわ……高野君のチ・ン・ポ」
先生の右手はそのままギュウと僕のチンポを握り締め、ゆっくりと上下にしごき始めた。
その数回の感触で、僕はもう体の奥では射精をし始めていた。
「あっ!? 先生! ダメッ! 出ちゃうよ!」
「ふざけないで! あんな汚いモノを吐き出すなんてダメよ!」
「そっ、そんなことを言われてもムリです!」
先生は僕のチンポから手を離すと、ムッとした表情でこう続けた。
「だから男の子は嫌なのよ。すぐに射精して気持ち良くなろうとするんだから……チンポを何だと思っているの?」
「えっ?」
僕は、先生が何を言っているのかさっぱり分からなかった。
先ほどまでいやらしく、色っぽく僕を誘惑しておいて射精するなと言うなんて……。
「私が高野君にチンポの本当の素晴らしさを教えてあげる。ほら、ズボンと下着を脱ぎなさい」
「チンポの……本当の素晴らしさ……ですか?」
「ええ、そうよ……フフフッ」
先生は僕の事をからかっているのだろうか? そう思いながら、先生の手でズボンを取り上げられるように脱がされ、下半身を露にした。
その瞬間、僕のチンポがブルンッと上を向き、先生の目の前で起立する。
先生はうっとりとした表情でそれを見つめ続けた。
「アァン……高野君のチンポ、やっぱり素敵だわ」
「そっ、そんな……恥ずかしいです」
「恥ずかしがる事は無いわ。勃起したチンポは神様が作られた芸術品よ……素敵」
先生はそう言いながら、先ほどの標本を僕のチンポの横に添えると、大きさを見比べた。
「この子も立派だけど、高野君のチンポの方が少し長いわね……素敵な子だわ」
「こ、この子って……」
僕はチンポの標本をこの子と呼ぶ先生に違和感を感じ、少し戸惑った。
先生は標本をテーブルに置くと、僕の硬くなったチンポにそっと右手を添えながらこう囁く……。
「高野君のチンポ君……すぐに男の子のワガママから解放してあげるからね」
「男の子のワガママ?」
「ええ、そうよ……すぐに汚い精液を吐き出して気持ち良くなりたがる、男の子のワガママからこの子を救うのよ」
「!?」
先生はそう言うと、素早く後ろ手に隠していた注射器を僕の首筋へと打ち込んだ。
(プッ)
「せ……ん……」
言葉を発するよりも前に、僕の目の前はサッと暗くなりそのまま闇の中へと落ちた……。
■チンポ
「ほら、起きなさい……ほら」
「ん……う……せ、先生?」
目を覚ましたと同時にズキズキと痛む頭頂部を庇おうと手を動かす。しかし、それは出来なかった。
「え? ……ええっ!?」
「ウフフ、高野君おはよう」
僕はうす明るい二畳ほどの狭い空間の中で、壁の板に磔にされていた。
「こっ、これって一体!? ここは!?」
「流石に気付かなかったようね。ここは大潮さんが引っくり返した書棚の奥にある、隠し部屋よ」
「そ、そんな……どうして僕をこんな目に合わせるんですかっ!」
「高野君の素敵なチンポを……この子を楽にしてあげる為よ」
「ら、楽って一体?」
先生は質問を無視して、磔にされた僕の全身を……そしてなぜか勃起したままのチンポをハンディカムで楽しそうに撮影している。
「高野君の思い出の映像を撮っておいてあげるわね、これが最後なのよ」
「さっ、最後ってどういう意味ですか……?」
「高野君にチンポが付いている、男の子としての最後の姿よ……フフフッ」
「えっ!? 付いてる? 最後? 意味がわかんないよ!」
僕は先生が何を言っているのか、先生が手にしているそれを見た瞬間まで理解出来なかった。
「これでも、意味がわからないかなぁ? ウフフッ、フフフフフフッ」
「せっ、先生! 待って!!」
先生の右手に持たれていたのは糸のこぎりだった。
「これで高野君のチンポを切っちゃうのよ、ゴリゴリ、ゴリゴリって……ウフフフッ」
「ヤメテ! 先生! お願いですやめてください!」
僕は必死に逃れようともがく。しかし、磔にされた腕輪と足輪、胴体のベルトはビクともせず身動きが取れなかった。
「あらぁ、心配しなくても大丈夫……痛くないから……ほら」
先生はそう言いながら、糸のこぎりの刃を僕のチンポの付け根に押し当てると、いきなり横にスライドさせた。
(ゴリッ)
「うわぁああああああっ!!」
心の準備も無いまま、僕はいきなりチンポを切り落とされる。
絶望と激痛の予感から、僕は全身の力を込めて悲鳴を上げた。
「あら、どうして情けない声を出してるの? 痛くないでしょう?」
「えっ……あっ……ええっ!」
恐る恐る、そこに視線を落とすと、糸のこぎりの刃が押し当てられた部分が数ミリほど削られ、薄らと赤い肉が覗いている。
しかし、痛みは全く感じなかった。
「ねぇ、素敵でしょう? キミのチンポは永遠にこの凛々しい姿のままなのよ」
「こ、これって……一体」
僕の心臓は切断の恐怖とは違う恐怖を感じ、その恐ろしい予感でバクバクと震えている。
「このチンポ君に、血液と樹脂と置換する薬剤を注入したのよ」
「そ、そ、そ……そんな、それじゃあ僕のチンポは……」
「賢い子ね、もう元には戻らないわよ。ビクンビクンって震えながら精液を吐きだして、情けなく縮んでしまわないのよ、フフフッ」
「そ、そんな……どうして、どうしてこんな事するんだよ! 何も悪いことしてないじゃないかっ!」
僕はもうチンポで快感を感じて射精することも、柔らかいチンポで立ちションすることも出来ない体にされてしまったのだ。
「悪い事? してるわよ……チンポ君から汚いモノを吐きだして、情けないフニャフニャな姿にしてたんでしょう? 許せないわね」
「そっ、そんなのみんなしてるじゃないか!」
「そうよ、だから男の子は嫌いなのよ。せっかく神様から頂いた素敵なチンポを、いやらしい事にしか使えない最低な生き物よ」
「そんなのむちゃくちゃだよっ! 酷いよ! 酷いよっ! 酷いっ! うっ、ううっ……」
僕は先生の狂った考え方と、取り返しの付かない状況に絶望して、涙を流し、嗚咽した。
先生は急に優しい表情になり、僕の頬をそっと優しく撫でてくれた。
「……高野君、ごめんなさいね」
「謝ったって、もう、遅いじゃないか!」
「ええ、でも最後に……その汚らしい欲望を叶えてあげるわ」
「欲望って……」
「こうよ」
先生はビデオを録画にしたまま三脚にセットすると、僕の目の前でゆっくりと服を脱ぎ始めた。
「見たかったんでしょう? 私の裸を想像しながら、チンポをシコシコしてたんでしょう?」
「せっ、先生……」
「フフフッ」
先生は軽く頬を紅潮させながら、一枚ずつ服を脱ぎ捨て、純白のブラと下着だけの姿になってしまった。
まるで雑誌のグラビアで見るような、美しい女性の下着姿が目の前にあった。
しかし、僕のチンポはそれに応える事は無く、ただ、凍りついたように上を向き続けていた。
脈拍に応じてビクッビクッと、あの心地よい快感を感じる事が出来なかった……。
「私が高野君の童貞をもらってあげるのよ? 嬉しい?」
「そ、そんな……嬉しいのか、もう何が何だかよくわからないよ……」
(チュ)
先生は再び唇を重ね、濃厚なキスを続けた。
その右手が、僕のチンポを握りしめる振動が鈍く伝わる。
「アァン、硬いチンポ、素敵なチンポ……先生が包んであげるわね」
「先生……」
先生はブラと下着を脱ぎ捨て、その程良い大きさの乳房を僕の胸板へと押し付ける。
そしてゆっくりと、僕のチンポへと腰を押し付け、そこが先生の中へと挿し込まれるのを微かに感じた。
「ア……アァア……チ、チンポ……大好き! アァン」
先生は僕の存在などすっかり忘れてしまったように、そこを激しく動かし続ける。
クチュクチュとイヤらしい音と、鈍い振動だけが響き渡る。僕は射精する感覚はおろか、少しの快感も感じない。
僕は憧れだった学校のヒロインである小野山先生とセックスをしている。そんな喜びは微塵にも感じる事が出来なかった。
「ハァハァッ……ンフフフフッ、ほら、汚い精液を吐き出しても良いのよ? 出したら赤ちゃん産んであげるから アァン……フフフッ」
「(酷い……酷過ぎる)」
僕は磔にされたまま、先生が何度か果てるまで、樹脂で固められ射精出来ないチンポを延々と犯し続けられた……。
■解放
「ウフフフッ、この子の最後の女は私……嬉しいわ」
先生は愛液でベタベタになった僕のチンポを手の平で撫でながら、そう呟いている。
僕は先生との最初で最後のセックスを楽しむ事も出来ず、ただ、次に待っている事への恐怖に震えていた。
「せ、先生……」
「どうしたの?」
「僕のチンポを切らないでください」
「ダメよ、このチンポをキミから解放するのが私の目的なのよ? 諦めなさい」
先生は下着を履き、ブラを整えると再びあの糸のこぎりを手にとって僕の前に立つ。
「お、お願いです! 何でも先生の言う事を聞きます! チンポを切るのは止めてください!」
「この子は先生が大事に愛でてあげるから、安心しなさい」
「そんな! 嫌だっ! 男じゃなくなる!」
「あら、ペニスが無くなっても精巣が、キンタマがあれば男の子でしょう? 賢い高野君ならわかるはずよ? フフフッ」
「そっ! そんなの嫌だっ!」
僕の最期の願いは叶わなかった。先生はまるで少女の様な無邪気な笑顔を浮かべながら、その刃先を僕のチンポへと押し当てると、勢いよくスライドし始めた。
(ゴリッゴリッゴリッゴリッ……)
「うあああああああああっ! ヤメロ!ヤメロ!ヤメロッ! ヤメテッ! 嫌だぁあああああっ!」
糸のこぎりの刃がリズミカルに鈍い振動を伝えながら、僕の体から着々とチンポを切り離していく……。
「見て! 高野君のチンポがホラ! 取れちゃうわ! 取れちゃうっ! 見てっ!」
「嫌だ嫌だ嫌だっ!」
その瞬間、チンポがグラグラと頼りなく体に繋がる感触が消え去り、僕の体の重心は僅かに変化した……。
「私のチンポ……素敵な子……楽にしてあげたわよ、フフフッ」
「ああああああああっ、ああああああああああああっ! うわああああああああっ!」
僕から切り離したチンポを指先で撫でまわし、うっとりとした表情で何度もキスをする先生の姿を目に焼きつけながら。僕は、声にならない悲鳴を……絶望と怒りの叫び声を上げ続けた……。
■脅迫と御褒美
一しきり悲鳴を、叫び声を上げた後、僕は呟いた。
「許さない……」
「あら、何を許さないの?」
チンポを切断するという狂気じみた興奮状態から覚めた先生は服装を整え、僕のチンポを溶液の入ったあの標本瓶に付ける作業をしている。
「僕のチンポを切った事を許さない! 訴えてやる!」
「あら、チンポが付いてない男の子がキンタマをブラブラさせながら怒っても情けないだけよ? フフフッ」
「黙れ! 許さないっ!」
先生は僕の怒りを完全に無視しながら棚の引き出しから銀色のリングを取り出すと、僕のいる隠し部屋へと戻ってきた。
「チンポが無くなって寂しいでしょうから、これをキンタマに着けてあげるわね」
「なっ、やめろっ!」
先生はそう言いながら、小さな手錠のようなリングを僕のキンタマの付け根にカチャリと装着した。
「簡単にはずせないから諦めなさい」
「こ、これは何なんだよ!」
「ウフフッ、教えてあげる」
先生はポケットからリモコンのスイッチを取り出すと、赤いボタンを押した。
(カリカリカリカリカリ……)
「なっ!?」
僕のキンタマに装着されたリングがギアの音を鳴らしながら、ゆっくりと締めつけてくる。
そしてピリッと、その皮膚が切り裂かれる痛みが走った。
「このままにしておくと、高野君のキンタマが二つともジョキンて、床に落ちちゃうのよ?」
「やっ! やめて! 止めてっ! 止めてください!」
チンポを失った上に、キンタマまで失くしたら僕は生物として完全に男では無くなってしまう。僕は先生にキンタマを切らない様に必死に懇願した。
「そんなに怖がらなくても大丈夫よ、一瞬だから……ボトッって、フフフッ」
「嫌だ嫌だ嫌だっ! 完全に男じゃなくなる! お願いです! 止めてくださいっ!」
「ウフフッ、じゃあ止めてあげる」
先生は笑みを浮かべながら青いボタンを押すと、その締め付けがゆっくりと緩み、僕はホッとした。
「高野君は賢い男の子よね? これからどう振る舞えば良いか……わかるわね?」
「……はい」
「ウフフッ、イイ子ね」
先生は僕の頭を撫でると、僕を磔台から解放してくれた。
ジンジンと痺れるベルトの跡を擦りながら、ゆっくりと隠し部屋を出ると、僕は床に崩れ落ちるように座り込んだ。
「そんなに悲観することはないわ、チンポ君を解放してあげた代わりに御褒美を用意してるんだから」
「御褒美……?」
次の瞬間、僕は理科準備室の入り口に人の気配を感じた。
「……高野先輩」
「おっ! 大潮さん!?」
そこに立っていたのは、帰宅したはずの順子だった。
僕は慌てて、チンポを切断された部分を隠し、動揺した。
「あら、隠さなくてもいいわよ、大潮さんもずっと見てたんだから」
「えっ? えっ!? これって一体……」
僕は完全に動揺して順子と先生の顔を交互に見つめる。この状況を掴むことが出来ないでいた。
不安と動揺で踊る僕の目を見つめながら、順子が静かに口を開いた。
「高野先輩……私、先輩のことが好きです……付き合ってください!」
「え……えっ?」
順子が僕に告白をしている。素っ裸でチンポが付いていない股間を晒しながら床に座り込む、この僕に……。
「あらあら、いきなり告白しちゃったわね、ウフフフッ」
僕は一体、何がどうなっているのかわからず、言葉が出なかった。
先生は僕に事情を説明するように、順子との会話を続けた……。
「大潮さんは、チンポが大嫌いなのよね?」
「はい……オチンチン……オチンチンなんて大っ嫌いです!」
「オチンチンが付いて無い男の子が、理想なのよね?」
「……はい」
「と言う事なのよ、チンポってこんなに素敵なのに……わからないわぁ」
先生は僕のチンポの標本に頬ずりをしながら、こちらに視線を向ける。
「ほら、どうするの? 女の子が勇気を振り絞って告白してくれたんだから、答えないとダメよ?」
「そ、そんな……」
僕は先生と順子に完全に罠に嵌められたのだと知った。
しかも、僕と付き合うために、それが大嫌いだからと言って僕の命の次に大事なチンポを切断させるなんて……正直、許せなかった。
僕の表情は、徐々に怒りの形相へと変化した。
「あら怖い、何を考えているのかしら? チンポが付いてない男の子に告白してくれる女の子なんて、大潮さんしかいないわよ?」
「ふざけるな!」
僕は思わず激高してしまった。そして後悔した。
先生はリモコンを取り出し、そのスイッチに指を添えた。
「あらあら、酷い男の子ね……そんな子はキンタマを取っちゃいましょうね」
(カリカリカリカリ……)
再び、あのリングに取り付けられた刃先が僕のキンタマを締め上げ、切り落とそうとする。
「やっ! やめろっ!」
「せっ、先生っ! 止めてください! 私からもお願いします!」
「……大潮」
僕が声を上げると同時に、順子も大声で僕のキンタマを切らないように叫んだ。
「いいわ、大潮さんの為に止めてあげる……」
順子はホッとため息をつくと、僕の傍にペタンと正座した。
「高野先輩……ごめんなさい。先輩の大事なオチンチンを切るなんて許せませんよね……でも、でも、私……先輩のことを愛しています、愛しているんです!」
「……」
順子の僕に対する愛情は深い……その闇のように深い愛情がピリピリと伝わってくる。
ふと、先生の方に視線を向けると、ニヤリとした表情でその指先があのリモコンへと添えらている……僕に選択肢は無かった。
「大潮……いや、順子さん。僕も君の事がずっと気になっていたんだ……好きです」
「本当に? 嬉しいっ!」
順子は僕の両手を取り、そのままギュウと力強く抱きついてきた。
僕はこの数時間で童貞を失い、チンポを失い、そして彼女を得ることになった……。
■支配
チンポを切断されたあの日からも、僕は普段通りの生活を余儀なくされた。
朝起きると、窓の外には先生の車が停まっており、その車の窓越しにリモコンを見せられる。
僕は学校に行くのを躊躇ことすら許されなかった……。
「先輩、おはようございます……エヘヘッ」
「おはよう……」
通学は順子と待ち合わせ、しっかりと手を繋いで歩く事を強要された。
学校では熱愛だと揶揄され、もうやったのかと尋ねる男子達の言葉が僕の心に深く突き刺さる。
僕の切断面は樹脂のせいでカチカチに固まったままで、押しても引っ張ってもビクともしない。
いくらそこを指先で弄ろうとも、そこから性感を感じることは無く、精液は僕の体内に蓄積され続けた。
トイレでは便座に座ると思いっきり前にしゃがみ込み、そこをギュウと下に向けながら用を足す……僕はもう男ではない、毎日の様にそう感じさせられる。
校内でふと気が付くと、そこには必ず小野山先生の姿がある。その先生の視線が僕を支配し続ける……。
ある日の生物の授業の時間、僕は戦慄した。
「今日はみんなにイイ物を見せてあげます」
先生は教壇の下から、見慣れたガラスの標本を取り出した。
「キャー!」
「チンポじゃねーか!」
「ヤダー!」
「これは模型だから、はしゃがないの! キチンとペニスって言いなさい」
先生は僕のチンポの標本を、正真正銘本物である僕のチンポをクラスの皆の前へとさらけ出したのだ。
「すごーい!」
「なんか本物みたい」
「私、欲しいかも、アハハッ」
教壇の周りに集まり、僕の切り取られたチンポをクラスの女の子達が興味心身に観察している……僕は思わず、逃げるようにその場を離れようとする、が、しかし……。
「高野君、こっちで生物部部長として、ペニスの構造をみんなに説明してあげなさい」
「なっ!?」
先生の白衣のポケットから、指先に持たれたあのリモコンが見え隠れする……。
僕は仕方なく、自分自身のチンポの海綿体や血管、尿道、神経などの構造を、自らの口で説明した……するしかなかった。
僕はその授業が終わると急いでトイレに飛び込み、一人、嗚咽した……。
その日の放課後、その屈辱に対する御褒美として、僕は順子の舌でキンタマを愛撫してもらえた。
「ウフフフッ、今日はチンポの説明が上手だったから御褒美をあげるわね。大潮さん、ほら……」
「は、はい……先輩、今日は先輩のキ……キンタマを舐めてあげるね、キャ」
僕は先生と順子に言われるまま情けなくぶらさがるキンタマを差し出した。
しかし、意外なことに、僅かながらもそこは快感を感じ、チンポの奥底から何かが湧き出るような感覚を覚えた。
「ハァハァ……クッ……じ、順子……辛い……でも、気持ちいい」
「先輩、頑張って……いっぱい、いっぱい舐めてあげるからね……ペロペロ」
「クッ……アアッ」
(ドクン……ドクドクドクドクッ)
順子の舌で何度も、何度も、皮膚が湿気を帯びるほど長時間に亘ってそこを舐めまわされ、僕はようやく数週間ぶりに射精する事が出来た。
平らになった切断面から、方向の定まらない精液を飛び散らせる……順子は放心状態でそれを見つめている。
「ウフフフッ……」
先生は、僕たちの愛し合うその滑稽な姿を、僕のチンポの標本を抱きしめたまま頬を紅潮させ、太ももをモゾモゾとさせながら観察していた……。
■卒業
「高野君、卒業おめでとう」
「先輩、卒業おめでとうございます」
僕はようやく、悪夢のような日々を終え、先生からの支配を逃れることが出来た……はずだった。
先生は僕のキンタマに装着されたあのリングの予備のリモコンを、順子に手渡したのだ。
「大潮さんのリモコンに何かあっても、私に言ってくれれば、このリモコンで高野君のキンタマを切ってあげるから大丈夫よ」
「はい……でも、大丈夫です、先生」
「そう?」
「はい……どうしても先輩のキンタマを切らないといけない時は、私の手で切りたいから」
卒業式の夜、僕はホテルで待ち合わせて順子と体を重ねる約束をしていた。
順子はチンポは嫌いだが、それが付いてないのであれば、そういう行為をしてみたいと言ったからだ。
僕自身も、チンポを失くしたとはいえ、女の子と裸で体を重ねるチャンスは逃したくなかった……僕はチンポが無くとも一応、男なんだなと感じた。
シャワーを浴び終えた順子が、両手で恥ずかしい部分を隠しながら、僕の待つベッドの傍に立つ。
「先輩……恥ずかしい」
「順子、もっと見せて」
「ヤダ……」
僕は一糸も纏わない順子のスレンダーで美しいボディに興奮した……しかし、そこはまったく無反応で、ただ無機質に、カチカチに固まっているだけだった。
僕はただ本能に任せて、普通にセックスをするように順子の上に体を重ねようとした。
「アァン、待って……先生が……オチンチンが無いから、エッチは逆の方がイイって言ってたの」
「先生が……」
僕は渋々ベッドに仰向けになり、その上に順子が跨る格好に入れ替わった。
下半身に視線を移すと、そこには順子の大事な部分がチンポの断面に触れているのが見える。
「ヤダ、見ないで!」
「わ、わかったよ」
(クチュ……)
「ア……ア! ヤダ! ヤダ! 気持ちイイ!」
「そ、そうか?」
「アッ! ヤァン……気持ちイイよぉ……アァ……ン」
順子は口に手を当て、顔を真っ赤にしながら吐息を漏らし、そこを擦りつける。
しかし、やはり僕は快感を感じることは出来なかった……僕は先生を改めて恨んだ。心の底から憎んだ……。
「ねぇ大潮さん、気持ちいいでしょう?」
「せっ、先生っ!?」
突如、ホテルの部屋のドアが開き、現れたのは先生だった。
「アァン、ヤダァ……せ、先生……エッチって気持ちいですぅ」
「でしょう? 高野君もそんなに驚かなくてもいいじゃない、童貞をもらってあげた女なんだから、フフフッ」
先生はリモコンを片手に持ち、僕に反論を許さなかった。先生は当たり前の様な表情で僕達の初体験に参加した。
「大潮さん、もしかしてチンポ……入れたくなっちゃったんじゃないの?」
「そっ、そんなっ……で、でも……ちょっと、だけ……ウズウズしてます、キャッ!」
「なっ! そんな! 今さらっ!」
今さらチンポが欲しい!? そんなワガママが許されるのか? 僕は思わず声を上げた。
「大きな声出さないの。ほら、持ってきてあげたわよ」
「あっ……先輩の……先輩のオチンチン……オチンチン……アァン」
それが嫌いだと言ったはずの順子が、それを……僕のチンポの標本をいやらしい表情で見つめている。
「ほら、どうする? チンポ嫌いなんでしょう?」
「アァン、先生の意地悪……」
順子は急に激しく、僕の断面にそこを擦りつける。僕のチンポを見て性的に感じ、そこがグチャグチャに濡れ始めたのが分かった。
「いいわよ、私が挿れてあげる」
「せっ、先生が!」
先生は僕の声を無視したまま、瓶から起立したままのチンポを取り出すと、僕と順子の重なる部分へとそれを運んだ。
「心配しなくても大丈夫よ、液体はただの水だから……ウフフフッ」
「アァン、ヤダ、ヤダ……怖い!」
「大丈夫よ……私が優しく挿れてあげるわね、ホラ……」
(ヌ……プッ)
「イヤァ! 怖いっ……アアッ、でもっ、でもっ……いい……アッ」
「ウフフフッ、カワイイわね……これが高野君のオチンチンよ……感じなさい」
「せっ、先輩のオチンチン……入ってる! オチンチン……アアッ……ン」
先生は意地の悪い表情で僕を見つめながら、僕から奪い取ったチンポで順子を犯した。
チンポが嫌いと言っていたはずの順子は、自らそのチンポを迎え入れるように喘いでいた。
……僕は、気が狂いそうだった。
しかし、先生の左手でいやらしくキンタマを愛撫され続け、興奮と狂気の中、ドクンドクンと大量の精液を断面から四方に撒き散らした……。
そして、先生の手で犯される順子も絶頂を迎え、果てた……同時に、先生の表情からも軽く絶頂を迎えたのが見て取れた。
僕たちは、ベッドの上で言いようのない余韻を過ごした……。
「ねぇ、あなたたち……結婚しちゃいなさいよ」
「えっ!? そんな……結婚だなんて、ヤァン」
何も考えられず横たわる僕の傍で、先生と順子が勝手に縁談を進めている。
「チンポが無い高野君なんて、大潮さんぐらいしか結婚相手居ないわよ?」
「でも……結婚したら、オチンチンが無いと……」
「大丈夫よ、私があなたたちの人工授精を手伝ってあげるから」
「本当ですか先生!? 嬉しい!」
「なっ!? そんな勝手な事!」
僕達は先生のペットじゃない。そう言おうと思った……しかし、先生の手にはリモコンが持たれている。その姿に順子が反応した。
「先生ダメ! 先輩のキンタマは私が切ります!」
順子は慌ててリモコンを手に取り、僕は同時に二人の女性にキンタマを狙われてしまった。
「高野君、どうするの?」
先生はニヤニヤと意地悪な表情で僕に返答を求める……やはり、僕に選択肢は無かった。
「わかったよ……順子と結婚したい。人工授精は先生にお願いします」
「あぁん、嬉しい! 私が卒業したら結婚してね!」
順子は大喜びで僕に抱きつき、キスをせがむ。
「ウフフフッ、うらやましいわね。じゃあこれは婚約のお祝いにプレゼントしてあげる」
「えっ? 先輩のオチンチン……いいんですか!?」
先生は僕から切り取ったチンポを、順子にプレゼントすると言う……それなら最初から切らなきゃ良かったじゃないか、そう思ったが、やはり言葉には出来なかった。
「いいわよ、その代りセックスの時は呼んでくれる? 私が挿れてあげるから、ウフフッ」
「ヤダァ……」
順子は、僕たちのセックスに先生が参加することを喜んで受け入れてしまった。
「それから、これもあげるわ」
「これって……空の瓶ですか?」
「そうよ。もし高野君のキンタマを切っちゃたら、必要になるでしょう? ウフフフフッ」
僕はもう、戦慄するしかなかった。
「そんな、赤ちゃんが出来るまで切れませんよぉ」
「じゃあその後で、切るかもしれないじゃない」
「でも……先輩のキンタマ、コロコロしててカワイイし」
「ちょっと待ってくれ!」
僕は自分自身のキンタマの危機を感じ、たまらず口を挟んだ、が……。
「あら、キンタマ要らないの?」
先生と順子がニヤニヤとしながらリモコンに指を添える……僕の人生はもう終わったも同然かもしれない。
僕は二人からキンタマを守りきれるのだろうか?
いつの日か、僕のキンタマは新たな標本となって、瓶の中に浮かぶのかもしれない……。
(END)
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投稿:2014.02.10更新:2014.02.11
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