■1
「ねぇ健二、潮風って気持ちいいでしょう?」
「ん? ああ、そうだね……」
郁は、腰まである長く美しい黒髪を靡かせながら海を見つめている。
僕は彼女である郁と共に、彼女の生まれ故郷である小さな離島に向かう船上にいた。
地図にも載っていないような小さな島なので、そこに向かう定期船はなく、島の者に魚船で迎えに来てもらったのだ。
気持ちのいい潮風、そしてすばらしい海の景色……しかし、彼女の実家に伺うという緊張のせいで、僕の表情は冴えなかった。
「まだ付き合って間もないのに、いきなり君のご両親に会いに行って大丈夫かな?」
「あら、会うのが怖いの?」
郁は意地悪そうな表情で僕にそう問いかけた。
「べ、別に怖くなんかないよ……」
「フフッ……あ! ほら、見えてきたわ……あれが私の島」
「あれが君の生まれ故郷……」
船の揺れに合わせて、水平線の波間に陸地が見える。郁は小さな離島と言っていたが、そこそこの大きな島のように見えた。
一時もせず、船は鄙びた島の港へと到着し、僕たちは岸壁へと降り立った。
「うわっ、島が揺れてる!」
「フフッ、揺れてるのは健二の方よ」
初めて乗った船に酔わなかっただけでも幸いなのだろう、僕はフラフラした足取りで郁の後をついて歩いた。
通り沿いには昭和と江戸時代からの風景が混ざり合ったような民家や商店が並ぶ。
寂れてはいないが、栄えてもいない、不思議な雰囲気を感じた。
路地から黄色い声が聞こえると同時に、数人の若い女たちが現れた。
「おかえりなさいませ、郁様……その方が?」
「フフフッ、そうよ、じゃあ後でね」
僕はたまらず郁に声をかけた。
「……郁様って?」
「驚いた? 私はここでは郁様って呼ばれてるのよ、健二もそう呼んでいいわよ」
「ええっ!?」
「フフフッ、冗談よ冗談。ほら、行きましょう」
僕たちは村の奥へと歩き続ける。途中、すれ違う人たちも郁に会釈をして「郁様、おかえりなさいませ」と話しかける。
僕は何か違和感を感じながらも、仕方なく郁と一緒に歩くしかなかった。
「健二、あれが私の祠よ」
「え? 祠?」
そこに現れたのは、大きな鳥居と歴史を感じさせる社殿だった。
「郁って、神社の娘だったのか?」
「うーん、ちょっと違うわねフフフッ。ほら行きましょう」
郁は僕の手をギュと握り、小走りに社殿へと向かった。
すると扉が開き、中には十人ほどの巫女が整列して僕たちを出迎えた。
「郁様、おかえりなさいませ」
「ただいまぁ! やっぱりここが一番落ち着くわぁ」
僕はいまいち状況が呑み込めず、そこに茫然と立ち尽くしていた。
そんな僕の気持など無視するかのように、郁は中央にある豪華なソファへと腰かけている。
「どうしたの健二? ここに座りなさいよ」
「いや、でも……あ、君のご両親は?」
「フフフッ……そんなの、いるわけないでしょ」
「え?」
郁の言葉の意味がわからず、僕は混乱した。
「さあ、郁様のお傍へ……」
巫女の一人が僕の背中を押し、郁の横へと座れと命じる。よく見ると、その巫女の顔立ちは郁に良く似ている。
僕は巫女たちの視線に照れくささを感じながら、郁の横へと腰かけた。
「どうしたの健二? あなたの願いが叶うんだから、もっと喜びなさいよ……フフフッ」
「僕の願い?」
「そうよ、私とこういうこと……したかったんでしょ?」
郁は今まで見せたことのない色っぽい表情になり、僕の首筋に腕をまわしたかと思うと、そのままギュウと抱きついてきた。
「ちょ! ちょっと待った! みんなが見てるよ」
僕は郁の変貌と行動に驚き、慌てた。
「みんな? 気にするな、あれはみな私の子じゃ」
「え? 何を言ってるんだ?」
表情だけでなく、その口調まで変わってしまった郁。僕はその場から逃げだそうと思い、ソファから立とうとした。
すると、巫女が一斉に僕を取り押さえ、身動きが取れなくなってしまった。
「や、やめろ! 何をするんだ!」
「いやらしい事を考えて、のこのことついてきた健二が悪いのじゃ、私から逃げられると思うでない、フフフフフッ」
「僕はいやらしいことなんて……」
「嘘をつくでない、私とていやらしいことばかり考えておったのだからなフフフフッ」
巫女たちは無表情のまま僕の服を破るようにひき剥がした。その何本もの腕が代わる代わる絡みつくように僕の股間を弄る。
両腕、両足を抑えつけられ、身動き出来ない状況では、それはただの恐怖でしかなかった。
「やめろっ! やめてくれ!」
「やめてくれなど嘘をつくでない、健二も男であろう?」
郁はそう言いながら着ている服を脱ぎ捨て、裸になり僕の前に立つ。
その見たこともないような美しい肌と美貌に、僕は一瞬、ゴクリと息を呑んでしまった。
「ほら、健二も男ではないか。私の裸を見て息を呑んでおる……フフフッ」
「ちっ、違う!」
「違わないわ、健二の男根はそそり立っておるではないか……立派なチンポで私は嬉しいぞ!」
郁は両手で僕のチンポとキンタマをそっと握りしめ、その指先で品定めしている。
「金玉もたゆんと重たく大きくて立派じゃ! 健二は実に良い男じゃ」
「僕を一体、どうする気だ! 郁……君は一体何なんだ?」
僕はたまらず、郁にそう問いかけた。
「フフフッ、私は郁ではなく、郁乃島じゃ……この島そのものじゃ」
「……な? えっ?」
僕は郁の言う言葉の意味がわからず、一層混乱が増した。
「この巫女たちは私の子……分身じゃ、やがて私の跡を継ぐ」
「そんなバカな……」
「分身ゆえに、私から男が産まれぬのが悩みの種での。さすがの私も、男の精がないと子は産めぬからの」
「それで僕を騙して連れて来たのか?」
僕がそう言うと、郁は表情を変え、顔を真っ赤にして激高した。
「だっ! 騙したとはなんじゃ! 私は健二のことが好きだからここに連れて来たのじゃ! 健二も私が好きであろう?」
「そ、それは……」
「今さら、好きじゃないって言うの?」
郁はいつもの、元の口調で僕を責める……僕は何も言い返せなかった。
「ほら、私とエッチしたかったんでしょ?」
「い、郁……」
(クチュ……)
郁はそっと僕のチンポを咥え、その舌で愛撫を始めた。その舌先が触れるたびに、僕はビクッと仰け反り反応する。
同時に、僕を押さえつける巫女たちの指先がチンポの付け根とキンタマを、乳首や首筋を弄る。僕はあまりの感覚に、気がおかしくなってしまいそうだった。
それは今までに経験のない、生まれて初めて感じた快感だった……。
「あっ……郁!」
「フフフッ、気持ち良いであろう?」
「あ、あぁ……気持ち……良い」
今まで経験したことのない快感に、僕は一瞬で堕ちてしまった。しかし、その口はすぐに僕のチンポから離れた。
「もっと私と気持ち良いことを、したいであろう? 健二」
「あぁ、したい、したい!」
僕が郁としたいという意思を示すと、巫女たちは僕を解き放ち、ゆっくりと奥にある寝室へと向かい行列を作った。
その途中、巫女たちは無表情のまま、代わる代わる僕のそそり立ったチンポを見つめ興味を示していた。
寝室はまるで平安時代の貴族の豪邸のような造りで、そこには煌びやかな布団が敷いてあった。
郁は先に布団へと入り、僕を導いた。僕にもう迷いは無かった。
「さあ、健二……私を抱くがよい」
「郁……」
僕は本能に身を任せ、郁に体を重ね、深いキスを交わした。
(チュ……ウ……)
「んっ……あぁん、健二……早く、早く!」
郁は体を捩じらせながら、僕のチンポをそこに入れろと急かした。その紅潮した顔と色っぽい声に、僕は夢中になり、郁と一つになった。
そして呼応するように巫女たちも服を脱ぎ捨て、僕と郁の横に、上にと重なり、その形のよい乳房を押しつけ、その指先が、舌先がありとあらゆる場所を愛撫する。
「ああんっ! 良いぞ、実に良いチンポじゃ! あぁああん、健二、好きじゃ!」
僕は郁と……人ではない女たちと交わっている、しかし、そんなことはもうどうでも良くなった。
ただひたすら、この快感を享受したい、し続けたいと願った。
「ああっ! 郁、出る!」
「あっ、あっ、だ、出すがよい、私の中にっ……ああっ!」
(ドクッ、ドクドクドクッ……ドクッ)
僕は郁の胎内にドクドクと射精し続けた、しかし、不思議なことにチンポは全く萎えず、そそり立ったままだ。
「あ、あれ? 萎えない」
「フフフッ、たった一度の精で萎えるなど男として言語道断じゃぞ? まだまだ序の口じゃ」
(チュ……ウ)
郁と再びキスを交わすと、僕のチンポはなお一層固さを増し、郁を喜ばせた。
■2
「はぁ、はぁ、はぁ……い、郁……少し疲れないか?」
「はぁん……な、何を言っておる、まだまだじゃ! 健二のチンポはカチカチじゃぞ? フフフッ」
あれからもう何時間経ったのだろうか?
郁の色香は全く衰えず、僕のそそり立ったままのチンポを、精を容赦なく飲み込み続ける。
「だ、だけど、そうだ! お腹すかないか?」
僕はなんとか休憩しようと、考えを巡らす。
「そうじゃな、少し減ったかの……少し腹ごしらえしてくるとしよう」
「そうしよう、そうしよう」
(ニュルッ……)
僕のチンポはようやく郁の胎内から解放され、そのドロドロに濡れた姿を灯りの下に見せた。
「ではお前たち、私の代わりに健二の精を貯めておくのじゃぞ?」
「!?」
郁は巫女たちにそう声をかけると、寝床を後にした。
「いや、僕も何か食べ……うわっ!」
巫女たちは無言で僕に一斉に圧し掛かると、我先にと僕のチンポをつかみ取ろうとする。
「やっ! 待て待て! うわっ」
一本のチンポを奪い合ってもらちが明かないと気付いた巫女たちは、目で会話をすると、順番に僕のチンポを割れ目に咥え始めた。
ほんの少し、ピクッと快感に反応するだけで、淡々と僕のそそり立ったチンポを咥えながら腰を動かし、僕の精を吸い取っていく。
その様子は、まるでロボットのようだと感じた。僕はまるで乳牛にでもなったような気分になった。
「君たちは心が無いのか?」
「それは少しちがう、魂がないのじゃ」
「魂が?」
一人腹ごしらえから戻ってきた郁がそう語り続けた。
「魂が入っておるのはこの私だけじゃからな、私が死んだら、この子らの中の誰かが私になるのじゃ」
「郁が死ぬなんて、そんな……」
「なんじゃ? 心配してくれるのか? 心配せずとも私の魂は死にはせん、体が……依り代が変わるだけじゃ」
「そうなのか……」
「だから、健二の精をこの子らの胎内にも貯めておきたいのじゃ……その時に好みの男が手に入るとは限らぬからの、念の為じゃ。フフフッ」
僕はその念の為に、巫女たちに代わる代わる精を吸われながら、郁の話を聞き続けた。
「しかしの、私は精を貯められるが、村の女たちはそうはいかぬからの……そこが悩みの種じゃ」
「え? 島の女って……そう言えば、島に男はいないのか?」
僕がそう聞くと、郁はクスクスと笑いをこらえながらこう答えた。
「フフフフッ……私は覚えておらぬが、大昔の私が島の男を片っ端から漁ったそうじゃ。だから男の子が生まれると、島の外に出す習慣が生まれての……私も苦労しておる」
「漁ったって……そんなことしてよく無事でいられるな」
「無事も何も、私が消えればこの島が消える。村の者が先祖代々住んできた土地が消えるということじゃ。誰も私を倒そうなどとは思わん」
「なるほど……」
「そんなことより、続きを楽しもうぞ……健二」
巫女たちとの交わりが終わると、僕とチンポは休む間も与えられず、再び郁と交わることになった……。
■3
あれからまた数時間以上、粘液が途絶えることもなく、いやらしい音をたてながら僕は郁と交わり続ける。
おそらく、百回以上は射精しているだろう……普通であればありえない話だ。
不思議なことにチンポとキンタマは全く悲鳴をあげないが、僕の肉体と心は悲鳴を上げ続けている。
「郁! はぁはぁはぁはぁ……ダメだ、もう限界だよ」
「何を言っておる、健二のチンポはまだ私の中でそそり立っておるぞ?」
「頼むから、休ませてくれ……」
郁は怒った表情で頬を膨らませると、不満そうにその指先で僕のキンタマを弄り、何かを感じ取っているようだ。
「最近の若い男はこんなものかの……健二は草食系男子というやつかの?」
「そ、草食系男子が数え切れないほど射精できるか!」
「そうなのか? つまらぬのぉ……これが最後の交わりであると言うのに」
「え? 最後って?」
郁は不適な笑みを浮かべながら、ギュウ、ギュウとそこで僕のチンポを締め上げる。
「どうじゃ? 私を感じるか? 健二と私がこうやってチンポで交わるのは、今宵が最後じゃと言っておる」
僕は郁が言っている言葉の意味が全くわからなかった。
「まぁよい。十分な量の精は溜まっておる……私も健二と交われて、まぁ幸せじゃ」
「ちょっと待って! どういう意味だよそれ」
「まだ人の子を孕ませる程度の精は残っておるからの、島の女たちへのおすそわけじゃ……ほれ、入るがよい」
郁がそう言うと、社殿の入り口から先ほど出会った若い女たちが入ってきた。
「郁様、ありがとうございます」
「構わぬ、大昔の私が悪さをしたせいじゃ、気にするな」
郁は僕と深いキスを交わすと、名残を惜しむように、ゆっくりと僕のチンポをそこから引き抜いた。
「まさか、彼女たちと交われと言うのか?」
僕は郁にそう問いかけた、すると意外な答えが返ってきた。
「健二は私の惚れた男じゃ。健二が他の女を抱く姿など見とうないし、許せぬ」
「じゃあ一体……」
「こういうことじゃ……ほれ」
郁が巫女たちに目で合図をすると、再び僕は両腕、両足を抑えられ、身動きが取れなくなった。
僕は両足を大きく開いたまま、愛液に濡れ、そそり立ったままのチンポを皆に見せつけるような体制を取らされた。
「イタタタタ……な、何をするんだ!」
郁は少し悲しそうな表情でしゃがみ込むと、そっと僕のチンポを掴み、その形を確かめるように指先を動かす。
「まだ名残は惜しいが、村の者との約束じゃ……ほれ、持って行くがよい」
郁は立ち上がって後を向くと、村の女にそう語りかけた。
「ありがとうございます、郁様」
村の女の一人が白い布から包丁を取り出し、そのまま僕の前へと正座した。
「どうかお許しください、島の未来の為なのです」
「お許しくださいって……ま、まさかそれで僕のチンポを切るのか!?」
「はい、これが村でのしきたりなのです」
村の女は巫女の用意した桶の水で丁寧に包丁を清め、その刃先を僕のチンポの付け根へと運んだ。
「失礼します」
そう言うと、左手で僕のチンポとキンタマを握りしめ、その下の付け根を指先で確かめ、そこを切り離すという意思を示す。
「まっ! 待ってくれ! 郁っ! チンポを切られるのは嫌だっ! 死ぬっ!」
僕は精いっぱいの声を出して、郁に助けを求めた、しかし、郁は後ろを向いたままこう答えた。
「もう健二の金玉には私と交わる精は残っておらぬ、村の者との約束じゃ……私の力があればチンポを切っても死にはせぬ」
「そっ、そんな! 郁とまだ交わりたい! 頼む! チンポを切られるのは嫌だっ! 郁!」
「健二の泣きごとなど聞きとうない! 早う切れっ!」
郁は後ろを向いたまま耳を塞ぎ、その場にしゃがみ込んだ……。
郁の命を受けて、村の女が震える手つきで包丁に力を入れた。その力加減と震えがチンポとキンタマの付け根へと伝わる。
薄らと皮膚から血が流れ出た瞬間、村の女は一気に決断した。
「お切りします!」
(ザクッ!)
「うわぁあああああああっ!! あああああああああああっ!!」
僕のチンポとキンタマは一瞬にして切り離されてしまった。激痛と熱がそこからこみ上げてくる。
村の女は僕から切り離したチンポとキンタマをギュウと握りしめたまま、顔面蒼白で震えながらその場にへたり込んでしまった。
「あっ……あっ……」
僕は何かを喋ろうとしてもショックで声が出ず、ただ、嗚咽しか出なかった。
先ほどまで隆々とそそり立っていたチンポも、郁に大きいと褒められたキンタマも、もう、そこには存在しなかった。
脈に合わせてチンポの断面から噴き出す血を見つめながら、僕は死を覚悟した……。
「い……い、いく……郁……」
やっとの思いで郁の名を呼ぶ。先ほどまで後ろを向いてしゃがみ込んでいた郁は急に立ち上がると、僕の傍へと駆け寄ってきた。
「すまぬ……許せ」
(ペロッ)
「あっ……」
郁がその舌先で僕の断面をぺろりと舐めとると、その出血は止まり、痛みも熱も引いてしまった。
「そんな、馬鹿な……」
出血と痛みが消え、一安心したのもつかの間、僕は失ったものの大きさに気付き、全身が震え始めた。
郁はそんな僕をギュウと抱き締める、ただ無言でギュウと抱き締め続けた。
「早う、去れ!」
「は、はい! 郁様、ありがとうございました」
村の女たちは僕のそそり立ったままのチンポとキンタマを手桶に仕舞うと、そそくさと社殿を後にした。
その使い道は、おのずと想像がついた……。
■4
「健二……」
「……」
「私とはもう、話もしとうないか?」
「……」
僕は郁と巫女たちに抱きしめられたまま、一時ほどが経った。
郁は僕を気遣うが、チンポとキンタマを奪われ、何かを考える気力もなくただ項垂れていた。
「こうしないと、村の者が途絶えてしまうのじゃ……許してくれぬか?」
「……村の……村の男を、呼びもどせばいいじゃないか」
「そうなのじゃが、島に若い男が大勢いれば、私も我慢できぬであろうからな……」
僕は郁の言い訳に呆れ、ため息を吐きそうになった。
「そんなに男とするのが我慢出来ない女が、これからどうするんだよ……チンポがない僕は捨てるのか?」
「そんなことするわけないであろう! 健二は私の惚れた男じゃ!」
郁がそう言い放つと、巫女の一人が立ち上がり、社殿の奥から何かを運んできた。
「大昔に海岸に流れ着いたこれがあれば、愛しいチンポとキンタマを失うても、私も健二も安泰じゃ!」
巫女が郁に手渡したのは、その長さが30センチはありそうな、木で出来た大きなチンポの張形だった。
「……それをどうしろと言うんだよ」
「こうじゃ」
郁は僕のチンポの断面にグリグリとその張形を押しつけると、それはそのままくっついてしまった。
しかし、それはただくっついただけで、チンポのような快感は全く感じない。
「えっ? ど、どうなってるんだこれ?」
「これで、私を抱くがよい……健二」
「抱くって、僕は何も感じないじゃないか! それにキンタマが無いと女みたいになるんだぞ!」
「私の力がはたらいておるから、女のようにはなりはせん」
郁は人ではないのだから、そのような不思議な力があっても不思議ではない……しかし、問題はそこではなかった。
「僕もきちんと感じるのか? 気持ち良くなるのか?」
「健二は、まだそこで気持ち良くなりたいと思うのか?」
郁にそう聞かれて、僕はハッとした……先ほどから、素っ裸の郁や巫女たちの肉体を見ても、何も思わないことに気付いた。
「あ、あれ? 別に何も思わない……あれ?」
「精を出す金玉がないのに、感じる必要もあるまい。健二はただ私を満足させればよい、これからはそれを喜びにして生きるのじゃ……幸せであろう?」
「幸せ……うーん」
納得できない表情でいると、郁は意地悪そうな表情になり、街にいた頃の口調でこう言った。
「嫌なら、チンポも金玉もない体で街に帰ってもいいのよ? フフフッ」
(END)
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投稿:2014.09.08更新:2014.09.08
郁乃島
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