「序」
勢いでブルマ志願してしまった、元男の子のお話。
第1章 「飴と鞭」
僕(リョウ)がブルマに志願したのは、ある飴の魅力のせいだった。決して僕は成績が良いほうじゃない。ごく普通の男の子だった。クラスのレイカに片思いをし、悪ガキの友人と遊ぶ・・・。そんな小学生生活だった。
小学6年生になってすぐ、僕たち男子には「ブルマ対策講座」というものが開かれた。これは数ヵ月後のブルマ検査を模擬的に受けてみるというもので、「膨張率検査」「射精検査」「放尿検査」・・・。この模擬検査で不合格でも、即ブルマというのではなく、本番までに改善していれば良いというもので、それほど深刻なものではなかった。
しかし、この「ブルマ対策講座」の最後に、「ブルマ志願者」についての説明があった。年々ブルマ検査の合格者が増える一方で、志願者が減っているという内容で、少しでもブルマになる人数を増やすために、志願者には進学や就職について特別な優遇措置をするというものだった。
つまり、「男」を捨てるという鞭に対して、進学や就職には特別優遇措置という飴が出るというものだ。
僕は自分が「女」になることは微塵も考えていなかった。しかし、このまま受験戦争や就職活動という波にもまれながら平凡な人生を送るより、「男」を捨てることで特別優遇措置がもらえるなら、それはそれでありかと・・・。つまり、「楽して生きて行ける」という浅はかな気持ちが、僕の中で「ブルマ志願者」の飴と鞭の飴のほうに惹かれる結果になった。それに、レイカにずっと片思いで終わるなら、ここで男を捨てれば諦めが付く・・・。これも浅はか過ぎる理由だった。
かくして僕は夏休み前のブルか検査では自ら進んで「ブルマ志願」をすることにした。
第2章「ブルマ教育」
自分が選んだ道とはいえ、ブルマ施術が終わって何もなくなってしまった股間を見たときには喪失感で涙が止まらなかった。もう戻れないと解っていても、全く男に未練がないわけじゃない。このため、施術はオチンチンが溶けて完全に無くなってしまうメルトブルマーではなく、標本という保存処理で戻してもらえる「切り取り」方式を選んだ。
ブルマ施術から3日後、僕たちブルマになった子を対象に「ブルマ教育」が開催された。夏休みというのに「ブルマ教育」のために学校に行くのは辛いけど、「ブルマ教育」は出席してさえいればブルマとして認めてもらえる。というものだった。
元来勉強が嫌いな僕は「出席さえしていれば・・・」なら、寝て過ごすことにした。毎日登校しては寝る。終われば帰る。このくりかえし。もう取ってしまったものは生えてくることがない。それなら堅苦しい講義なんかそっちのけで寝ていたほうがいい。これで進学や就職が特別優遇されるのなら、これほど楽なことはない。
かくして、夏休みの終了とともにブルマ教育も終了して、僕はほとんど「出席だけ」してブルマに認定された。
第3章 「天国から地獄へ」
夏休みが終わると、僕は女子として学校に通い始めた。しかし、ブルマになったらこれからは順風満帆という考えはもろくも崩れ去った。
居場所がなかったんだ・・・。一緒にブルマになった子達は次々に女子としての生活に順応して、本当の女の子たちと違和感なく溶け込んでいる。僕は女子の輪に入るきっかけさえつかめない。かといって男子の社会にはもう戻れない・・・。完全に孤立した・・・。
一緒にブルマになった子に聞いてみると、ブルマ教育では男子社会と女子社会の違いや順応の仕方、男子から女子への気持ちの切り替え方や、男子の性欲が出てしまった時の対処の仕方などをおしえてもらったとのこと。
僕が寝ているうちに皆はどんどん女子として先に行ってしまった。日々体は女子化していく。僕はブルマになったとはいえ、女体化した男子だ。
こんな僕を知ってか知らずか、レイカは孤立した僕に対して挑発的な態度を見せるようになった。おそらく、彼女のセクシーポーズを眼に焼き付けた男子はその日その記憶をオカズにしたであろう。そんな僕も彼女のセクシーポーズにムラムラした一人だった。
その日、家に帰ってもムラムラが収まらなかった。本能に負けてブルマーとパンツを下ろすと・・・。なにもなかった。
しごきたくてもしごけない。言いようのない情けなさとむなしさが僕を襲う。僕の「男」はもう標本はプラケースの中だ。解っていても僕の本能は男の子としての処理を要求してくる。男を失ってしまった股間を見るのが辛くて、急いでブルマーを引き上げた。しかし、気が付くとブルマーの股間を突き出し、幻のオチンチンで、必死にブルマーをテント状に押し上げようとしていた。
いくら頑張っても勃つことのないオチンチンを刺激しようと、手はブルマーの中をまさぐっていた。
(ない・・・、ないよう。)
男の子としての処理しか知らない僕にとって、あるべきものがないことは地獄の苦しみでしかない。
このあともレイカの挑発行為があるたびにこの苦しみを味わった。
地獄の苦しみは何もレイカの挑発行為だけじゃない。
ある日、家のお風呂が壊れて銭湯にいくことになった。もう僕は女湯だ。思春期頃の男の子なら女性の裸には過敏に反応してしまう。同世代ぐらいの女の子がいればそれはなおさらだ。
ブルマ教育を不真面目に受けて心が女子になれなかった僕にとって女湯がどれだけ刺激的な場所なのか・・・。
言葉で言い表せない興奮がこみ上げてきて、股間に固くそそり立つものを感じる。しかし、目を股間に移せばすべてを奪い去られていてそこには何もない。心が男のままゆえの、泣きたくなるような喪失感。
結局、日常のいたるところで「男を失ってしまった。」ということの苦しみを味わうことになった。
第4章 「さらなる地獄へ」
小学校で孤立してしまった僕はそのまま卒業式を向かえ、中学に進学した。
しかし、心が男のままの僕は中学でも孤立してしまった。
同時にブルマになった子達は、はじめから女子だったといっても違和感がないほどに女子化していた。反面、男の子が抜けきらない僕は女の子なのに男の子な態度を取ってしまうことで、担任をはじめとした大人からしかられることも多く、今更ながらにブルマを志願したことに後悔していた。
そんな孤立を極める僕に声をかけてくる女子がいた。中学の不良女子たちだった。はじめのうちは彼女たちは僕に優しかった。男っぽい性格の女子(ブルマ)の自分は彼女たちにとって利用しやすかったのだろう。しかし、気が付けば僕は彼女たちのパシリにされていた。当然彼女たちと付き合うようになった僕の生活態度は荒れていった。ある日、断りきれなくなって万引きをした僕は、ついに捕まって警察のご厄介になることになってしまった。
結局、万引きの常習犯以外に、ブルマとしての素行不良なども問題視され、僕は女子少年院送りになってしまった。
しかし、女子少年院は僕にとって更なる地獄だった。ブルマ(女子)としての再教育を課せられただけなら、ブルマの子達が収監されるいわゆる「ブルマ房」だが、万引きもあるため、普通の女子たちと一緒の「一般房」に入れられた。
これは、万引き常習犯の更生がメインで、ブルマについては一緒に生活する女の子を見て、女子としての生活態度を体得せよというものだった。
一日の日課が終わり、就寝前の自由時間、僕にとってはいじめの時間の始まりだった。
同じ部屋のアケミとマミは僕に対して容赦はなかった。
「ブルマのくせに一般房なんてアンタ生意気なんだよ。」
「ブルマにすら順応できないくせに女として扱ってほしいんだ。」
「・・・。」
「アンタ、ブルマになれなかったんだから、まだ男だよね。」
「だったら、ここで立ちションしてみなよ。」
「そんな・・・。」
「いいから、私たちが脱がせてやるよ。」
2人に立ったまま押さえつけられて、ズボンと下着を脱がされてしまった。
「キャハハハ。ほんとに何も付いていない。」
「ほら、ちゃんとオチンチン持って、私たちにしっかり見せてみな。」
「・・・。」
黙っている僕の尻にマミの蹴りが飛んだ瞬間だった。衝撃でオシッコが溢れてしまった。
オチンチンを失った股間から溢れたオシッコはふとももを伝い、畳をぬらしていった。
この騒ぎに職員たちが僕たちの部屋に駆けつけてきてしまった。惨めな僕の状況をアケミとマミは、
「リョウ君が僕は男だと言って私たちの前で立ちションしました。」
などと訴えた。僕も2人のいじめを訴えた。
結局、オシッコを駄々漏れになっている僕の状況が「状況証拠」となってしまい、僕の訴えは認められず、僕はブルマ懲罰用の独居房送り1ヶ月になってしまった。
ブルマ懲罰用の独居房は、壁がすべて鏡張りで3条の畳敷き。机とプライバシーのないトイレ。しかしそのトイレは男子用の小便器しかない。制服も男子用。
ここでは、好きなだけ男子として振舞っても良いというものだった。しかし、ブルマの体になってしまった僕が今更男子の制服を着用しても似合うはずがない。トイレも大便の時だけ職員に申告すれば部屋から出され、これまたプライバシーのないトイレで用を足すことができる。しかし、小便の時は無理でも男子用の小便器を使用しなければならない。
当然、小便器に向かってはできないし、中腰になって後ろ向きにやったとしても、その情けない姿を職員に見せる形となる。
つまり、この部屋は無理に男をさせ、もう男には戻れないという現実と惨めさを突きつけさせることにある。
ブルマ懲罰用の独居房に来てからは職員も容赦はなかった。
「男の子ならちゃんと便器に向かってやりなさい。」
「そんなこと言ったって。」
仕方なく腰をかがめ、便器に張り付くようにして放尿する。
「あーあ、また床を汚しちゃっているじゃないの。ちゃんと掃除しておきなさいよ。」
泣く泣くこぼれたオシッコを雑巾で掃除する。こんなことの繰り返しだ。
もうここまでくると、学校で浮いた存在だった時でさえ天国のように感じられる。
終章
今僕は、ブルマ懲罰用の独居房での生活があと1週間となっている。正直、無理に男を強制されるこの生活から早く抜け出したい。しかし、元の部屋に戻ればそこにはアケミとマミがいる・・・。
この部屋にいても地獄。元の部屋に戻っても地獄が待っている。今更ながら、こんな運命が待っているのなら、ごくごく平凡でもいい。男の子のままでいればよかった。ブルマになんかならなければよかった。何もなくなってしまった自分の股間を見るたびに、悲しい後悔だけがこみ上げてくる。
今になってみれば、ブルマになってせっかく手に入れたはずの進学、就職の優遇措置もこの女子少年院に入ったことで取り消されてしまった。
オチンチンもタマタマも優遇もすべてを失って、地獄だけが残った。
いまはただ、この女子少年院を出られる日をひたすら待ち続けている。
おしまい
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投稿:2016.01.07
ブルマ残酷物語 「ブルマの転落」
著者 やかん 様 / アクセス 15646 / ♥ 4