「序」
再転校前に親友から届いた手紙。すべてはそこから・・・。
第1章 「再会」
僕はタダシ。父親の仕事の都合で3ヶ月間他県の小学校に転校していた。そして夏休み明けから、またもとの小学校に再転校することになり、8月のはじめに、懐かしいまちにもどってきた。このため、6年生のブルマ検査は転校先で受けて、何とか僕は合格できた。
元の町への引越しを数日後に控えた頃、幼馴染で親友のナオヤから手紙が届いた。手紙によると、ナオヤは7月のブルマ検査でブルマになり、現在はナオになっているとのことだった。
親友の突然のブルマに変身したことを、驚きと不安を抱きながら、電話で元の町に引越したら再会の約束をナオ(ナオヤ)とした。
数日後、引越しも終わり懐かしい公園に行ってみると、赤いスカートを穿いた女の子がいた。ナオだった。
「タダシ。久しぶり。」
「お前本当にブルマになっちゃったんだな。」
「悔しいけど、こればっかりは仕方がない。決まりなんだから・・・。」
「・・・。」
「まだ服もスカートも、姉ちゃんのお古だけど最近ようやく女の服にもなれたっていうか・・・。」
3ヶ月ぶりに会ったナオヤ(現ナオ)の変貌はかなりのものだった。まだ胸はなく、顔つきもナオヤそのものだったけど、少し長めに伸びたオカッパと服装によって確実にナオに変化していた。
再会話もそこそこに、男同士だった頃に良く遊んだ川や林に行って、その日はひととおり遊んだ。その日の別れ際に、
「今日はとっても楽しかったよ。でもボクはこれからどんどん女子化していくだろうから、少しでも男の子できるときは男の子したいんだ・・・。」
そう言ったナオの表情が少しさびしげだったのが心に残った。
翌日はテレビゲームをする約束をナオとして、その日は別れた。
第2章「次の日」
次の日ナオは僕の家にやってきた。両親とも用事で出かけているので、家にいるのは僕たち2人だけだ。
テレビゲームをしている最中、ナオから意味深な質問が飛んできた。
「ボク達、他の人から見るとデートしているように見えるのかな?」
「・・・!?」
「だって、いくら幼馴染でも今は男女なんだから、いくらボクが男っぽく振舞っても、他の人からみれば・・・。」
なんて答えていいのかわからなかった。
「こんなボクだけど女の子に見える。」
「一応・・・。」
「ほんとに。実は女の子に見えているのかすごく気になっていたんだ。タダシにそう言ってもらえて少し安心した。もうひとつ。ボクってかわいい?」
「・・・。」
「赤くなっている。赤くなっている。」
正直、かわいい。でも、ついこの前まで男だった親友に「かわいい」は言うことはできなかった。
「ところで、タダシって彼女とかいるの?」
突然の質問で僕が唖然としていると、
「だってさ、タダシって一人っ子じゃん。彼女とかいないんだったら、ボクが初めての女友達なのかなって・・・。」
「・・・。」
「その顔じゃ、ほんとにいないな。だったら・・・。」
突然何を思ったのか、ナオが僕の手をとると無理やり彼女の肌を触らせてきた。
「どう、女の子の肌って初めて触ったでしょ。男の子の時と違ってすべすべしているでしょ。」
僕があっけにとられていると・・・。
「ボクはまだ胸がないから、・・・。そうだ今日は特別。」
突然、スカートを捲り上げ、ナオは自分の下着の中にボクの手を突っ込んだ。
「ちょっと待て・・・。」
コケシ
「って、・・・。あれ!?」
「うふふ、びっくりした?実はまだ付いているの。」
「だって、ナオはブルマになったって・・・。」
「ふふふ。あんなの嘘。タダシ、男の娘って知っている?」
「どういうことだよ・・・。」
「実はボク、最近男の娘に目覚めちゃって、お化粧とか楽しくて・・・。タダシ、僕のこと本当のブルマだとすっかり騙されていただろ。男の娘は女の子のマネだけでなく、ブルマのマネもありかと。」
「や、やめてくれ。」
「もう遅い。さっきまでボクに顔を赤くしていたくせして。」
「た、助けてくれ。」
僕は外に逃げ出した。ナオ(ナオは偽名であり実際はナオヤ)は後を追いかけてくる。
「男とわかった途端に逃げ出すとは卑怯だぞ。それでも親友か。男の娘は体は男の子でも心は女の子なんだぞ。女は執念深いぞ。」
大声で追いかけてくるナオ(ナオヤ)を振り切るのに必死だった。
僕の夏休みはもうメチャクチャだ。
第3章「顛末」
結局、せっかくの夏休みはナオヤに振り回されてしまった。9月に再転校してクラスメートにこのことを話すと、被害者は僕だけではなかった。
聞くところによると、ナオヤは他の男の子にも、「夏休み中にブルマ志願して、ブルマになった」などと嘘をついて、女装して偽ブルマになっていたとのこと。
こんなナオヤにも、ついに天中殺が下った。9月になってしばらくしたある日、今年ブルマになった子のメンタルケアなどのために保健室に、ブルマ検査を担当した去勢科の女医さんがやってきた。この医師に偽ブルマのナオヤのことが伝わり、二人の看護婦さんに肩を抱えられ、引きずられながらナオヤが泣きじゃくっていた。
「ブルマを装って男の子をたぶらかすような子は男の子失格です。」
「そんなに女が良いなら、今からあなたにはブルマになってもらいます。」
「反省のために麻酔はなしですよ。」
しばらくすると、保健室から「ギャー!!」という学校を震るわせるほどの大きなナオヤの悲鳴がとどろいてきた。
結局、ナオヤは懲罰としてブルマにさせられてしまった。しかし、僕の悲劇は第2幕に入っていった。
ある日、登校中に本当にブルマになったナオに会った。さすがに彼(彼女?)もばつが悪いと思うかと思ったのだが、甘かった。
「これで本当のブルマになったから、今度こそ僕はタダシの彼女になってあげる。」
「いい加減にしろよ。いくらブルマになっても、僕にとってはナオヤはナオヤだぞ。」
「それって、ボクを女として見ていないってこと?この前と態度が違うって、それひどいよ。」
「ほんとにいい加減にしろ。」
怒りに任せてナオヤに掴みかかったところ、
「わー、やめてやめて。スケベ。エッチ。女に腕力で向かうなんて・・・。」
もうナオヤの最悪な態度に呆れて逃げ出した。しかし、ナオヤはまた追いかけてきた。
「なぜ、僕だけに付きまとうんだ。」
「やっぱり、男の人を選ぶなら親友のタダシがよいかと思って。」
「僕はナオヤにそんな興味はない。」
「女は執念深いって言ったはずだよ。」
「やめてくれー。」
朝からとてつもないことが始まってしまった。
この現実からどうしたら逃げられるのか、今後も僕の苦労は続きそうです。
オシマイ
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投稿:2016.01.11
シンユウ
著者 やかん 様 / アクセス 12740 / ♥ 5