■幼馴染
俺と双子の弟の薫、そして幼馴染の優の三人は、時々放課後の屋上でワイワイと仲良くくだらない話をして時間をつぶしていた。
その日も他愛のない話で盛り上がっていると、優が突然話を切り出した。
「あのさ、私がお金の工面してやるからさ、卒業したら二人でお店開きなよ」
俺と薫は優の突飛な提案に面食らい、思わず顔を見合わせた。
「いきなりなんの話だよ、それ」
「だって圭も薫も料理上手じゃん? 双子シェフって売り文句にしてお店出したら絶対儲かるって!」
確かに俺と薫は親父が昔レストランを経営していた影響もあって料理には興味があり、そこそこの腕前を誇っていた。
「でも……調理師免許とか取らないといけないし」
薫が不安そうな顔をしながらそうつぶやく。
「ん? お店やるのに免許は別にいらないよ、取りたいなら後から取ればいいし」
「マジで?」
「そうだよ、うちの傘下のお店でもそういう所あるからさ」
「でも店開くって、メチャクチャ金掛かるだろ?」
「はぁ~? 私を誰だと思ってんの? 大丈夫だって!」
優は地元の高利貸し……所謂ヤバイ筋の一人娘だ。
俺と薫は幼馴染だからこそ普通に接しているが、そのサバサバした性格や口調も相まって他の生徒や教師たちは誰も優には近づかなかった。
「とにかくさ、マジで考えといてよ」
「わかったよ」
その時は俺も薫も優の話を冗談半分に考えていた……。
■決められた進路
卒業を控え、同級生の皆が進路の話で盛り上がるころ、優は俺と薫をとある場所に呼び出した。
俺たちは優に連れられ少し歩くと、その先に現れた光景を見て驚いた。
そこには昔から喫茶店があったのだが、看板は取り外され店内では内装工事が行われていた。
「これって……まさか」
「そうだよ、圭と薫の二人と……私のお店だよ」
冗談だと思っていたあの時の話が俺の全く知らないところで着々と進んでいたことを知り、その事に軽く恐怖を覚え思わずこうつぶやいた。
「なんだよ……これ……」
俺のつぶやきに優は驚いた表情をしながらこう聞いてきた。
「あれ? 圭、知らなかったの?」
「知らねーよ!」
少し怒鳴り気味に答える俺を見て、慌てて薫が口を開く。
「圭、ごめん! ……僕は知ってた」
「はぁ? なんで黙ってたんだよ!」
同時に優も薫に詰め寄った。
「薫、僕から話すからてって言ってたじゃん……どういうこと?」
「……ごめん」
薫は俯きながらそう答えると黙ってしまった。
「ま、いいわ……とにかく驚いたでしょ! 圭!」
優はニヤニヤと笑いながら俺に問いかけるが、俺の心中は複雑な思いだった。
「……まぁ、な」
とにかく子供のころから優を怒らせると怖いことを知っている俺は、その場は適当に受け流すしかなかった。
薫が俺にこの事を黙っていた理由には心当たりがあった、俺は卒業したら上京すると決めていたからだ。
■薫の思い
家に帰った後、俺は薫に激しく詰め寄った。
「お前、どーするんだよ! なんで断らなかったんだよ!」
「だって……優が……3人で一緒にお店を持つのが優の夢だから」
「そんなの知らねーよ! お前と優でやればいいだろ? お前は優に惚れてるからいいよな、俺はもうあいつには関わりたくないんだよ!」
薫はあまり気にしないが、俺はいつも優のペースに振り回される事にイラつくことが多くあった。
薫は俺の吐いた本音に渋い表情でしばらく黙りこんだ後、こう切り出した。
「僕は悪い話じゃないと思うよ……兄貴だって上京しても何かあてがあるわけじゃないだろ?」
「そりゃ……そうだけど……」
ただ都会に出て成功したいという、そんな曖昧な目標しかなかった俺は言葉を濁すしかなかった。
「だったら一緒にやろうよ! 当面の資金も無利子で貸してくれるって言うからさ!」
「資金って……いくらぐらい?」
「現金で5千万円、利益から少しずつ返せばいいって言ってたよ」
「5千万円!?」
俺はしばらく黙り込み考えた……。
高校を卒業していきなり現金で5千万円を手に入れられる……俺の心は大きく揺れ動き、こう答えた。
「わかったよ……」
薫は俺の返事を聞いて渋い顔から一変、喜び勇んで優に連絡をした……。
■契約
俺たちは無事卒業式を迎え、スッキリしない気分ながら店の開業準備に取り掛かることになった。
何もかも分からない事ばかりで右往左往していたある日、俺と薫は優の母親に呼び出される事になった。
子供のころはよく優の屋敷へと遊びに行っていたが、もう何年も訪れていない。
広く豪華な大広間のソファで緊張しながら優の母親の登場を待つ俺と薫に優が口を開く。
「私はいいんだけどさ、形式上はキチンとしておかないといけないからってママがうるさいから……別に大丈夫だって!」
優の母親は会社の会長……正直に言えば組長、あるいは姐さんと呼ぶ方が正しいかもしれない。
優の家系では代々女系が長になる組織の掟があると聞いた。
「あ! 来た来た!」
優がそう言うとゆっくりとドアが開き、優の母親が現れた……子供の頃見た姿とあまり変わらず、とても美しい女性だがその目つきは鋭い。
「お久しぶりです……」
薫はすっと席を立ち深々と礼をする、俺も慌てて立ち上がり頭を下げた。
優の母親は俺と薫を冷たい目線でひと睨みしながらソファにかけると、無言のままテーブルに書類を並べる。
とても重い空気が流れる中、優がスッと立ち上がり話を進めた。
「えっと……じゃあここにサインして、ここは印鑑ね!」
契約者は俺、連帯保証人が薫……正直乗り気ではない俺が契約者になるのは不本意だったが、双子とは言え兄である以上それは仕方がないと思い諦めた。
と同時に、これは俺の金だという思いが頭をよぎった。
一通りの書類が揃うと、会長は無言のままそれらを抱えたまま部屋を出て行った。
優の為に仕方なく貸しているんだという思いがヒシヒシと伝わってくる。
心なしか優の表情も強張り、母親に対して何か複雑な思いがあるように見えた。
色々とモヤモヤした気持ちは残ったが、とにかくこれであの店と資金5千万円が正式の俺たち……否、俺のものになった。
こうして不本意ながら開店した俺の店だったが、滑り出しはとても順調だった。
調理師の資格も取り、本格的なメニューにも取り組み俺もやりがいは感じていた。
薫と優はそんな毎日にご満悦だったが、美人オーナーと双子シェフの店という売り文句に俺は正直イライラしていた……。
「(このまま死ぬまで優の尻に敷かれ続けるのはごめんだな……)」
そんな思いが日に日に募っていった……。
■裏切り
そんな俺の元に一人の男が俺を訪ねてきた。
田村と名乗るその男は、東京で様々な飲食店を展開している資産家だと言う。
俺は人気のない場所で彼と接触し話を聞いた……彼の話は単純明快だった。
「どうでしょう、東京であなた達双子シェフを売りにした店を開いてみませんか?」
東京で店を持てる……俺の心拍は自然に高まり、興奮した。
俺は優とその母親が仕切るヤバイ組織との裏事情を話した上で、出来るなら東京で店を持ちたいと答えた。
田村はニヤニヤと笑みを浮かべ自信ある口調でこう言った。
「田舎ヤクザなんて、どうってことはありませんよ」
俺は田村の言葉を信じ、早速薫に話を打ち明けたが、予想通り薫は激高した。
「何バカなこと言ってるんだよ!」
俺も俺の思いをすべて打ち明けた、とにかく優の事が気に入らない、彼女とは縁を切りたいという思いを伝えた。
しかし、薫は頑として首を縦に振ることはなかった。
「わかったよ……」
俺はとりあえず話を濁し、秘密裏に話を進めることにした……たった二人の兄弟なのだから俺が動けば薫も付いてくるだろうと考えた。
表向きは今まで通り優のご機嫌を伺いながら仕事に励み、店休日には優と薫がデートに出掛けた隙に資金を移動させたりと、着々と独立の準備を進めた。
そして、行動に移すその日がやって来た。
俺は移動させた2千万円を運転資金にして、田村の用意した都心の一角にある店に洋食屋を開いた。
店の近くには彼と取引のある組の事務所があるので、優の母親の組織もそう簡単には手を出せないはずだ。
俺は優の支配から逃れ、自分の人生を歩むことができる……そう思うと心が躍り、笑いが堪えられなかった。
それから薫に何度も連絡を取り、こっちに来るように誘ったが、あいつは一向に俺の言う事を聞かなかった。
「兄貴! バカなことはやめて戻って来てくれ! 今ならまだ間に合うから……まだ優のお母さんにはバレてないから……」
「お前こそ俺の言う事を聞いてこっちに来い! 一生、優の言いなりになる気か?」
話はいつまで経っても平行線だった……この状況が続くのは俺にとって大変まずい事だ。
都会のど真ん中で何も売り文句のない店の売上が伸びるはずもなく、最初は温厚だった田村も日に日に苛立ちを隠さなくなって来た。
「双子のシェフで開店するのが私の条件だったはずですよねぇ……どうなってるんですかね?」
「すみません……もう少し待ってください」
「待ってくださいじゃあないんだよ? このままだとどうなるか……分かってるよね?」
俺は少しずつ、危険な状況へと追い込まれていった……。
そして俺が東京に来てから1カ月が過ぎた頃、薫からの電話に変化があった。
「兄貴……頼むから……今日中に帰って来てくれ……頼むから……頼むから……頼む……から」
薫の口調は乱れ、まるでマラソンを走った後の様に吐息交じりだった。
「逆だ薫、お前がこっちに来ないと俺は大変な事になるんだ! 頼む薫、こっちに来い!」
俺が薫にそう懇願していると、電話の声は優に代わった。
「圭! とにかく帰ってきて! まだママに頭を下げれば済むから! 帰ってこい! 圭っ!」
上から目線ながら余裕のあった普段の優の口調とは打って変わって、その喋り方は鬼気迫るものがあった。
優の母親が出て来た以上、帰ればタダでは済まない事は予想できた……しかし、だからと言って田村とそのバックにいる暴力団を敵に回すこともできない。
「とにかく薫に代われ、優!」
電話の向こうからは反応がなく、優の怒鳴り声が聞こえる。
「ママ待って! 待って! やめて!! やめろっクソババァ!!」
そこで通話が途切れてしまい、俺は何度もかけ直したが薫も優も電話には出なかった……。
薫に何かあったのか……優の母親に何かされたのか……俺の顔からは血の気が引き、全身が震えた。
「いや……待てよ?」
俺はふと考えた、これは俺を帰らせるための芝居なんじゃないかと……俺は必死に自分にそう言い聞かせた。
■事件
それから数日間、俺は言い様のない不安に襲われ眠れない夜を過ごし、朦朧としながら開店の準備をしているとテレビから事件の報道が流れた。
「悪名名高い美人高利貸し、自宅ビルから謎の転落死! 自殺か!?」
間違いなくそれは優の母親の事だった。
薫と優、そして彼女の母親の間で何かがあった……間違いなく何かが起きた。
俺は恐ろしくなり、慌てて自室へと駆け上がり一人で震えていると電話が鳴った。
それは薫の番号からの着信だった。
「……薫なのか?」
俺は恐る恐る、電話の相手に声を掛けた。
「優だよ」
電話を掛けてきたのは優だった、その口調は優しかったが俺は一瞬戦慄した……優は話を続ける。
「……もう、全部済んだから、帰ってきなよ……圭」
「全部済んだ?」
「うん、全部済んだから……薫と一緒に待ってるよ」
優はそこで電話を切った。
(ドンドンドン)
「ヒッ!」
電話が切れたとほぼ同時に、ドアをノックする音が響き俺は身を竦めた。
ドアを開けるとそこには田村が立っていた。
「た、田村さん!」
「おはようございます、さあ行きましょうか」
「行くって? どこに?」
「あなたの故郷にですよ」
「えっ?」
俺は田村の話の意味がわからなかった。
「全部済みましたから、私としては不本意ですが利益が出たからよしとしましょう、ハハハ」
「いや、でも……俺はここで」
俺は意味も解らず優の元に帰されることに抵抗した。
「あのお嬢さんからあなたの送迎代も頂いているので、そうはいきませんよ」
男はポケットからスタンガンを取り出し俺の腹へと押し当てた。
(パチパチパチ……)
一瞬の出来事に成すすべもなく、その乾いた音が鳴り響くと同時に俺は気を失った……。
■帰還
次に気が付いたとき、俺は冷たいコンクリートに囲まれた部屋に固定された鉄の椅子に縛り付けられていた。
両腕と両足、そして腹がきつく縛り付けられ、まったく身動きが取れない。
「……寒い」
俺の着ていた服は全て剥がされ、素っ裸だった。
まだはっきりしない意識を集中させていると、目の前に二人の姿がある事に気付いた。
「……薫? 優?」
間違いなくそれは薫と優だった。
二人は豪華なチェアに座り、じっと俺を見つめていた。
「圭、お帰り……待ってたよ」
優の口調は静かで優しいが、その表情には怒りが満ち溢れていた。
薫も冷淡な表情のまま、鋭い視線で俺を睨み続ける。
俺は二人に何も言えず、ただ苦悶の表情を浮かべながら項垂れるしかなかった。
「圭、良かったね! 東京の組長さんも許してくれるって……命拾いしたね!」
「……えっ?」
「私が圭を買い戻したんだよ? 私は圭の命の恩人ってこと!」
優は怒りの表情を歪めながら俺に明るく話しかける。
「あぁそうだ! 言い忘れてたけどママ死んじゃったから……私がここの頭(カシラ)だから」
優の母親が死んだのは間違いないようだ……本当に自殺なのか? そう疑問に思うと全身に鳥肌が立つ。
「ママは罰が当たったのよ……薫に酷いことをしたから」
優はそう言いながら、膝の上に置いてあった瓶のようなものを優しく抱きかかえると俺に近づき、それを見せつけた。
俺はその中身を見てその正体に気付き、大きく悲鳴を上げ仰け反った。
「ヒッ!!」
その次の瞬間、優の蹴りが入った。
(ゴスッ)
「何気持ち悪い悲鳴上げてんだテメェ!」
「カハッ! コプッ……」
俺は悶絶しながら、その瓶の中身を目の前に見せつけられ痛みと嫌悪感で嘔吐した。
「なぁ! これが何かわかるだろ? 圭!」
瓶の中に浮かぶそれは間違いなく、切り落とされた人間の男のチンポとキンタマだった。
そしてまさかという思いが脳裏を過る……その思いはまさかではなかった。
薫はゆっくりと立ち上がり無言のままズボンを下ろすと、そこを俺に見せつけた……。
そこにあったはずの薫の男のシンボルは失われ、まるで女の様に平らになり薄赤く変色した楕円形の断面がぽつんと露わになっていた。
「まさか……そんな……そんな! なんてことをしやがる!」
俺がそう叫んだ次の瞬間、再び優の蹴りが入った。
(ゴスッ)
「はぁあああああ? 誰のせいだよ! 誰のせいで薫が男じゃなくなったと思ってんだよ! クソが!!」
優は薫のものだったチンポとキンタマを抱きかかえたまま泣き喚き、何度も俺に蹴りを入れ続けた。
「お前があんとき黙って帰ってきてりゃ、薫は男でいられたんだよ……畜生」
俺のせいで薫が男ではなくなってしまった……優はそう喚き散らした。
「ふ、ふ、ふざけんな! チンポを切る方がおかしいだろうが!」
俺は怒りに任せて逆切れした。
逆切れした俺に呆れた表情を示しながら優は席に戻り、ゆっくりと口を開いた。
「チンポ1本で1千万円、キンタマ1個が5百万円の担保……それがうちの金貸しのルール」
俺はその悍ましいルールに苛立ちを覚えながら優に言い返した。
「なんでそれを先に言わねーんだよ!」
「はぁ? 私の口からチンポとかキンタマちょん切るとか……恥ずかしくて言えるわけねーだろ!」
間髪入れず帰って来た優の答えに俺は驚き、呆れた……優は話を続けた。
「あとさ……私が圭や薫と近づいてイチャイチャするのが面白くなかったんだよ、ママは……薫の大事なトコを切り落とせば私も諦めると思ったんだよ」
俺は優に質問した。
「それで……殺したのか?」
優は無言になり、そして顔を歪ませながら笑い声を上げた。
「ハハハッ……知らないよ、屋上の手すりから勝手に転げ落ちたんだよ……ねぇ薫」
薫は無言のまま優の言葉に頷いた。
「さっきも言ったけどさ、薫に酷いことをしたから罰が当たったんだよ……圭、あんたにも今から罰が当たるから」
優はそう言うと薫のものだったチンポとキンタマが入った瓶をそっと棚に置くと、薫と一緒に何かの準備を始めた。
■罰
優は俺の足元に膝をつき、そのまま両手でチンポとキンタマをギュウと握りしめた。
そして一旦手を離すと、今度は右手で俺のチンポを上下にしごき始めた。
「な! 何を!」
俺は驚きその手を振りほどこうとするも、体はビクともしない。
「幼馴染の私にチンポ握られてんのに、勃たないんだ……」
「お前なんかで勃つわけないだろ! クソッ!」
「ふぅん……じゃあコレはどうかな?」
(あむ……クチュ)
優はそのまま俺のチンポを口に含み、その下で執拗に先端を舐めとる……その快感に思わず吐息が出てしまった。
「クッ……」
「ハハッ……偉そうに言ってたけど感じてんじゃん、素直になりなよ(クチュ)」
優のような気が強くてがさつで荒っぽい女は嫌いだ……心ではそう思っていても、その刺激には勝てなかった。
「へぇ! 薫とおんなじで勃つと立派なんだ……凄いね、ホント形も大きさも薫のチンポとソックリ! ねぇ薫!」
薫は言い様のない表情で無言のまま優と俺を見つめていた、その手には銀色の高級そうなクーラーボックスが用意されている。
「じゃあ萎えないうちにやっちゃおう!」
優はそう言いながら俺の陰毛をザクザクと剃り落とし始めた。
「なっ! 何をするんだ優っ!」
「何って、圭のチンポとキンタマをちょん切る準備してるんだけど?」
優は俺のチンポとキンタマを切ると言った。
「じっ、冗談だろ!?」
「冗談なわけないだろ? 安心しなよ、チンポとキンタマちょん切っても死にはしないから、ハハハッ!」
綺麗に陰毛を剃り終わると、今度は茶色い消毒薬を振りかけ、キンタマよりも付け根側を細い紐でギュウギュウと縛り始めた。
「嫌だっ! 嫌だ嫌だ嫌だっ! 薫! 助けてくれっ!」
俺は泣き叫びながら薫に助けを求めた。
「よく薫にそんな事が言えるな圭……姿は似てても圭と薫は全く別人だな、信じられないよホント」
薫は俺の叫び声を無視して、優に鎌のような形をした刃物を手渡した。
俺は恐怖と絶望から全身が震え、声も出なくなってしまった。
「ヤッ、ヤメテクレッ!」
「正直さ、あんたみたいなクズ野郎のチンポで抱かれるのは嫌だけど……薫の為に我慢するわ」
「だっ、抱かれるっ? 俺のチンポで?」
俺はその言葉の意味を理解出来ないまま、着々と進むチンポ切断の準備に涙を流した。
「圭のチンポとキンタマを切って薫にくっつけるんだよ、双子だから上手く行く可能性高いって闇医者も言ってたから」
優は俺のチンポとキンタマが薫のそこに移植されると言うが、そんな事はにわかには信じられなかった。
「さぁ準備オッケー! いくよ薫!」
薫はゆっくりと俺に近づき、紐で縛られうっ血したチンポの先端を掴むと、そのまま力一杯引っ張り上げた。
「頼む! やめてくれ! 切らないでくれ! 俺のチンポが薫にくっつくわけないだろ! 許してくれ薫!」
俺の断末魔のような叫び声に優が呆れながらつぶやく。
「すごいねお前……俺が悪かった、お詫びに俺のチンポを薫にやる! ぐらい言えないの? ホントクズだな……」
(ザシュッ……ブツッ)
何の合図もなく、優は俺のチンポとキンタマを切り落とした……何の戸惑いもなく、一瞬で俺の男を全て断ち切ってしまった。
「あっ……あっ……ああっ……ああああああああああああああっ! イテェエエエエエエ!」
一呼吸遅れて湧き上がってくる激痛に俺は悶絶し、大声を上げながら冷たい椅子を震わせた。
「早く行って! 薫! 急いで!」
薫は俺から切り離したチンポとキンタマを急いでクーラーボックスに仕舞い、それを抱えたまま部屋を出て行った。
優はさっきまでの冷淡な表情から一転した嬉しそうな表情で再び俺に近づく。
「痛ぇ……痛ぇよ……死ぬ……俺……死ぬ」
沸き上がる激痛と男でなくなった事に対するショックで俺の心はボロボロになっていた。
「うるせーな! 死なないって言ってるだろ?」
優はニヤニヤとしながらゴム手袋をはめて俺のチンポの断面をぐにゅぐにゅと探り始めた。
そこを指先で弄られる度にズキンとした激痛と、キンタマを蹴られたような激痛が同時に襲いかかる。
「カハッ! いってぇえええええ!」
俺の悲鳴を無視しながら断面に空いた穴に細長いビニルチューブを一気に差し込んだ。再び言い様のない激痛が俺を襲う。
「ガァアアアアアアッ! 痛いって言ってんだろ畜生!」
「ハッ! そんだけ元気なら大丈夫だね! 今から切ったトコ縫い合わせるから……私、裁縫上手なんだぜ? 女子力高いだろ? ハハハッ」
「カハッ!」
優の指先が俺のチンポの断面にザクザクと針と糸を通す度に激痛が走り続ける……俺はその激痛と絶望でそのまま気を失った。
■俺と薫と優
「ホント凄いよね、現代医学って! ねぇ薫……愛してる」
「僕も愛してるよ……優」
あれから半年が経ち、俺の体から切り離され薫の股間に移植されたチンポとキンタマは息を吹き返していた。
そして今、両足を鎖でつながれた俺の目の前で、その男としての機能を完璧に果たしていた。
「あっ……んっ!」
薫の股間で小刻みに脈動しながら、薫の……いや俺のものだったチンポが大きく反り返っている。
そしてその先端が、優の柔らかそうなそこへと押し当てられ、ゆっくりとそのグロテスクな姿を沈めて行く。
「あぁん……薫……好きっ! 私を愛してっ!」
俺はその二人の愛し合う姿を見つめながら、まるで女のように平らになってしまったそこを指先で弄り回す……。
ザクザクとした縫い目が合わさった断面を指先でなぞり、そこに空いた穴からドロドロと流れ出る精子の入っていない我慢汁を頼りに刺激を与え続ける。
「ハハッ……圭も私を見て感じてるの? あっ! あぁ……ん」
本来であればキンタマを取られたのだから性欲が少なくなるはずなのだが、俺は男性ホルモンを投与され続けている。
平らになった股間の奥深くでチンポの残骸が硬く大きく膨らみ、俺を苦しめ続ける。
「あーっ……苦しい……苦しい……畜生……」
苦しいけれど、宦官のように男とも女ともつかない姿になってしまうよりはマシなのだと自分に言い聞かせる……。
そんな俺の苦しみなど無視して薫と優はベッドの上で激しく愛し合い、そして果てた。
無造作に露わにされた優のその部分を見つめながら、俺は必死に自分の情けない断面を愛撫し続け少しずつ役立たずの精液をトロトロと吐き出し、自分の中に残った男を慰めるしかなかった。
しかし、男としての機能を全て失い生きる望みもない、そんな俺にもかろうじて生きがいが残されていた。
この長い鎖につながれた壁の反対側には、あの店のキッチンがある。
美人オーナーと双子シェフの店……心身共に取り返しのつかない傷を負わされ、完全に優の奴隷と化した俺はそのネーミングにはもう何も感じない。
優の夢のひとつだったこの店は、今も営業を続けている。
(END)
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投稿:2019.02.13更新:2019.02.13
双子のシェフと幼馴染の少女のお話
著者 いち 様 / アクセス 3613 / ♥ 5