私の名前は由希。都内の美容系の個人病院で受付の仕事をしています。
美容系というと整形、豊胸手術、包茎手術、性転換などを専門にしています。
同期で看護師の明奈とは歳が近いこともありウマが合う。なので私たちは度々飲みに行く関係となっていた。
そして、入社3年目の夏が私たちの数奇な運命の始まりだった。
偶然入ったお店のメニューで山羊の睾丸というものがあり明奈が
「なんか、コレ食べてみたい」
と言い出した。私は
「え~こんなのおいしいのかな」
なんて言いながら、注文することになった。
そして料理が来ると私たちは2個ある玉のうち恐る恐る1個ずつ召し上がったのだった。
「案外イケるね」
「なんか恥ずかしくなっちゃうけど、意外とおいしい」
そして睾丸の話で盛り上がってしまい、
「牛とか、豚のも食べてみたいよね?」
「え~そんなのおいしいのかな」
「山羊のだっておいしいんだから絶対おいしいって」
そして明奈はスマホを取り出し、牛や豚の睾丸が食べられる店を検索した。
「ここなんてどう?来週いこうよ」
「うん、わかった。」
ごり押しする明奈を見て私も自分から行きたいとは言えないが、
行ってみたいと思ったので快く承諾した。
そして翌週、豚と牛の睾丸も食べた。
山羊のよりも大きくて食べごたえがあった。そして私もいろんな動物の睾丸を食べてみたいと思った。
「いろんな動物の金玉食べてみたいね!」
と私は明奈に言った。
「でもさ、一番食べてみたいのは人間の金玉だよね」
「まぁ私も興味あるけど・・・。ってさすがにそれはまずいって」
と私はヒヤッとしたのだった。
「うちの病院で睾丸摘出手術してるけど、ほとんどの患者は記念に持って帰るけどたまに破棄してくれっていうオカマちゃんいるじゃない。」
「うん、いるね。」
「その玉、今度こっそり持ち帰ってさ家で食べてみるっていうのはどう?」
「確かに食べてみたいけど、バレないかな?」
それはしてみたいけど、バレたらたぶん病院クビだ。
「大丈夫、私が最近は医療廃棄物処理係だしバレないよ。」
とごり押しする明奈だった。
そして一月に一回くらいのペースで睾丸摘出手術の受付をしました。
そのたびに受付で「摘出後の睾丸はこちらで処分しますか?お持ち帰りになさいますか?」と聞きました。
そのたびに記念に持ち帰りたいといわれて、精算時受付からお渡ししていました。
3ヶ月が過ぎるがそのたびに「お持ち帰り」で3戦3負中でした。
そのたびに少し悔しい気持ちになっていた。明奈とも
「今回もダメか~」なんて話をしていた。
そして4ヶ月後いよいよ、チャンスが訪れる。
「いらないから、処分してくれる?」
というニューハーフの客が現れ、その後明奈のがこっそり持ち帰りました。
その夜は明奈の家で試食会が行われました。
冬だったのでシンプルに鍋に入れてみようという話になり、もつ鍋の中に睾丸を入れ食べました。
「ん~なんか精子くさいけど、コリコリしておいしいね」
「今度は別の方法で食べたいね。あぶりたまたまとか?」
それからしばらく経ってから、睾丸は持ち帰りラッシュでした。
しかし、そこそこイケメンの男が包茎手術で病院にやってきて私が受付をしました。
女の私が受付で恥ずかしかったのか照れていた様子で一皮むけた男になりたいといっていてかっこいいと思いました。
「皮はお持ち帰りになさいますか?それともこちらで処分しますか?」
と聞くと、
「持ってても仕方ないから、処分してください」
と言われました。そしてすぐに明奈のところに行き
「ねぇ、彼の皮持って帰って私にちょうだい」
「いいけど、由希今度は皮食べたいの?」
「うん、だって結構イケメンだったよ。ちなみに後でサイズ教えてね」
「手術のあと、皮ついでに教えるね」
そして、手術が終わると受付に明奈が来て氷の袋の中に皮を入れて私に渡した。
「早く鞄にしまってね。」
「それで!大きかった?」
と私は聞いた。
「粗末だったよ笑。小指くらい」
「マジか~笑」
私はイケメンだが短小包茎であることが職業柄分かってしまって、クスクス笑っていた。
そして会計が終わると
「お姉さん、これで男として自信が持てました。いつかお姉さんみたいなキレイな人と長くお付き合いしたいです」
なに?私を口説いてるつもり?と思った。
「やだ~。」
と恥ずかしがったが、ちんちんが大きかったらお付き合いしてもよいかなと思った。
非常に残念なイケメンさんでした。その夜彼の顔を思い出しながら皮は塩焼きにしていただきました。
正直ゴムのように硬かったです。
そして、私たちが山羊の睾丸を食べてから1年が経過しました。
患者の数も増えて、もう一人の医療事務スタッフを雇うことになりました。
男女平等の流れから、男子が入ってきました。名前は徹平君。25歳前後ってところかな?
「私は由希。よろしくね」
そして、私は彼の教育係になり仕事を教えることになった。
あまり覚えはよくないが少しずつ一生懸命覚えていく彼に好感も持つようになる。
彼が入ってから数カ月後、また睾丸摘出希望のニューハーフが現れる。
そして、久しぶりの処分希望でした。うれしくなった私は徹平君がいるのも気づかずに受付で明奈にすぐに報告した。
「久しぶりに金玉手に入りそうだよ」
「じゃあ、炙りで食べてみよっか?」
「じゃあ、今日は明奈の家で夕食だね。」
そして私たちは睾丸の炙りをビールと一緒に食べたのだった。
「鍋もよかったけどさ、炙りもいいね~」
「うん、またタマ食べたいね」
と言い、解散したのだった。
そして、翌日徹平君からは
「昨日、玉食べたんですか?」
と聞かれ、
「えっ!?」
と度肝を抜かれた。
「昨日、ナースの方と話してましたよね?」
しまった。聞かれていたか・・・。どうしよう。
「まぁそんなとこかな。ははは。このことほかのスタッフに言っちゃだめだからね。」
「言わないですよ~。でも由希さんキレイな割に変な趣味あるんですね。」
と逆にからかわれてしまった。
「ちょっと!」
と私は恥ずかしい気持ちになった。そして彼に知られた以上次からは彼も共犯にしなくてはという気持ちになり
「次、タマタマが手に入ったときは徹平君も呼ぶからね」
「はっはい」
と彼はキョトンとした顔で返事をした。
そしてその数週間後に自分の性別に違和感のあるという男性がやってきた
話を聞くと女性になりたいわけでもないらしい。その患者さんには徹平君が対応した。
「本当によろしいんですか?陰茎も睾丸も切除で」
「はい。性に縛られない人間になりたいんです。ずっと男というだけで我慢させられることばかりで」
「そうですか・・・・。」
と徹平君が答える。
「摘出したものは持ち帰りますか?」
と聞く
「はい。自分が男だった証はとっておきたいんで」
と彼はいい、受付を済ませたのだった。
その後徹平君は男として複雑な気持ちだったといっていた。
私には分からないが、持ち帰りで正直残念だった。
処分だったらどうやって料理して食べようか実はずーと考えていた。
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投稿:2019.11.25更新:2019.12.06
医療スタッフの食欲(前編)
著者 あさくら 様 / アクセス 4779 / ♥ 9