「ねぇ、キモチイイ事してあげるからこっちに出してよ……チ・ン・ポ」
飲み会からのの帰り道に立ち寄った深夜の公園のトイレで用を足していると、突然聞こえてきたその女の声に僕は一瞬戸惑った。
「えっ? えっ?」
ぐるりと周囲を見回しても誰もいない……今の声は一体どこから聞こえてきたのだろうか?
まだ酔いがさめていないのかもしれないなと考えながら用を足し続けると、またあの女の声が聞こえてきた。
「チンポが立派なおにいさん、こっちこっち」
再び聞こえてきたその声の方向をよく見ると、トイレの壁に20㎝ほどの穴が開いていることに気付いた。
恐る恐るその穴に顔を近づけ覗き込んでみると、その中に鈍く光る大きな瞳と視線が合った。
僕は驚き、思わず大きな声を出した。
「うわっ!」
「そんなに驚くなんて失礼じゃない?」
彼女はその穴から不服そうな表情を覗かせた。
「ご、ごめん……いや、だってどうしてそんなところに?」
「だって、ここならおにいさんに襲われる心配ないでしょ? 安心してチンポ舐めたいのよね、私」
それは確かに、そこなら安全かもしれないけれど……一体どうやって壁の中に入ったんだろう?
そもそも、そこまでしてチンポを舐めたい理由がわからない……僕は直接聞いてみた。
「そこまでしてチンポ舐めたいの?」
「うん! 舐めたい! 私、チンポ大好きなの!」
彼女は瞳を輝かせて開いた口を指さしながら、興奮気味にそう答えた……チンポが大好きなのは本当らしい。
「普通にセックスするのはダメなの?」
「セックスはあんまり好きじゃないのよね……でも、おにいさんのチンポ気持ちよさそうだし……してあげてもいいかな~……」
彼女は、思わせぶりなセリフと表情で僕を誘惑してくる。
僕は良からぬ想像をしてしまい、先ほどからズボンから出しっぱなしのチンポは大きく起ち上がり、ビクンビクンと脈打っていた。
「わぁ! やっぱりおにいさんのチンポすっごく立派! 大きいって言われない?」
「大きい方とは言われたけど、そんなに自信はないよ」
「ふぅん……おにいさん、彼女いるの?」
「今はいないよ……」
「そう、よかった! じゃあその大きなチンポこっちに出してよ、私が舐めてあげるからさ」
「え……でも……」
女の子にチンポを舐めてもらえることを断る理由はないけれど、壁にあいた穴に大事なモノを突っ込むことに、僕は言いようのない不安を感じていた。
「何か心配? あ! 私、お金取ったりしないから大丈夫だよ?」
「いや、そうじゃないんだけどさ……」
「彼女いないんだし別にいいじゃん……私がお口で忘れられない思い出作ってあげるからさ……舐めさせてよぉ……チ・ン・ポ」
彼女は悩ましい声を出してさらに僕を誘惑してくる……これ以上断るのも悪い気がしてきた。
「わかったよ……ほら」
僕は意を決してその壁の穴に反り立ったチンポを近づけ、ゆっくりとその中に押し込んだ。
僕の体で遮られ穴の中の様子は見えなくなったが、彼女が鼻先をチンポに近づけ撫でるようにクンクンと匂いを嗅いでいるのがわかった……。
その、こそばゆい感触に僕はゾクゾクとして全身に鳥肌が立った。
「わぁ……おっきいチンポ……すっごくいやらしいチンポ……好き」
(あむ)
「あっ……!」
その先端を口に含まれ、生暖かい舌先の感触を感じながら僕は出したい気持ちをグッと抑えた。
彼女は休むことなく、その舌先で延々とチンポを舐り続けた。
先端からあふれ出る我慢汁をゴクゴクと飲み込むリズムが、チンポに程よい快感を伝える。
「んっ! うっ……ふぅ……ん!」
僕は情けない吐息を漏らしながら、この気持ちよさを一秒でも長く楽しむ為に出したい気持ちを必死に我慢し続けた。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、彼女の舌先は僕のチンポを執拗に舐め続ける。
「うっ……凄い!」
気がつけば僕のチンポは半分ほど彼女の口に飲み込まれいた。
自慢するわけではないが、18センチ程はある反り起ったチンポが半分ほどその口に飲み込まれている。
チンポの先端が喉の奥に当たるのは不思議な感覚だ、こんな経験は初めてだった……。
ふと、彼女の指先がキンタマに触れた。
彼女は僕のキンタマをズボンからズルリと外に引っ張り出し、その指先でタマをコロコロと優しく撫でまわした。
「……ふぅ」
すっぽりと生暖かいお口に包まれた痺れるようなチンポの心地よさと、指先で愛撫されるタマの刺激に、僕は頭が真っ白になり堪えようのない快感を感じた。
そして僕の意思など全く無視して、体の奥からドクドクとあの快感が外に向かって大量に溢れ出た。
「あふぅっ……んっ!」
(ドクドクドクドクッ……)
情けない吐息と共に僕は大量の精液を、彼女の喉の奥に吐き出した。
それをリズミカルにゴクッゴクッと飲み込む感触が、まだまだ硬さを失ってないチンポに響き渡る。
その瞬間だった。
(グチッ)
「!?」
何かの肉が断ち切られるような大きな音とその振動が直接、僕の体に響いた。
先ほどまで重さを感じていた僕のチンポが急に軽くなり、スースーするような妙な感覚を感じた。
(グチュッ……グチッ……グチュッグチュッ……グチッ)
穴の中から何かの肉を咀嚼する音が響き続ける……。
「まさか……まさかまさかまさかっ!?」
僕は急いで穴からチンポを引き抜こうとした……が。
「イタタタタタタッ!」
穴の向こうでギュウと両方のキンタマを握られており、引き抜くことが出来ない。
「うわぁあああ! 僕のチンポに何してるんだ! キンタマを放せ!」
「ダメだよ無理に引っ張ったら、おにいさんの大事なキンタマがちぎれちゃうよ?」
ひとしきり咀嚼が終わったのか、彼女の声が聞こえた。
「僕のチンポに何したんだ!」
彼女が僕のチンポに何をしたのかは想像がついていた……でも、何かのジョークであって欲しい、そう心から願った。
「おにいさんのチンポのお肉、最高! ボリュームたっぷりですっごく美味しいの!」
「あああああああっ! 嫌だ! 嫌だ! そんなの嫌だ!」
彼女は僕のチンポを噛み千切り、食べてしまったのだ……それが現実だった。
「ごめんね~、おにいさんのチンポ立派すぎて一回で噛み切れなかった……今から残りも頂くね、あー……む」
「嫌だっ! やめろやめろやめろっ! やめてっ!」
まだ望みが残っていた数センチほどのチンポの残骸が、再び彼女の口の中に含まれた。
その断面を、その肉片を舌先で弄る感覚が伝わってくる。
(グチッ)
再び、あの嫌な感触が僕の体に響いた……。
「あぁああああああ……あぁ……」
僕は絶望の悲鳴を、静かに響かせた……。
彼女は僕のチンポの肉をひとしきり咀嚼し終わると、舌先でペロペロとその断面を舐め続ける。
僕は穴の向こう側でキンタマを握られ、その場から逃げることもできない。
「僕を……食べるのか?」
「え? 食べないよ?……私が好きなのはチンポだけ、キンタマは苦手だから残してあげる」
どうやらキンタマは無事で済むようだ……それがラッキーなのか、アンラッキーなのか考える気も失せた。
ペロペロと舐め続けていた舌先が止まると、そこにチュッとキスをされた。
同時に僕のキンタマが解放され、その穴から脱出することができた。
僕は急いでズボンを下ろし、そこを確認した。
「ああ……そんな……そんな……」
わかっていたとはいえ、改めてチンポがなくなったその断面を見て、僕は溢れ出る涙を堪えられなかった。
僕は情けない顔をしながら、そのままペタンとトイレの床に座り込んだ。
壁の穴の中の彼女は、悪びれもせず話しかけてくる。
「大丈夫? 私がいっぱい舐めてあげたから血はキレイに止まってるし、あんまり痛くないでしょ?」
そこにはグロテスクな断面が覗いているが、確かに血はキレイに止まっているし痛みも殆ど感じない……彼女の唾液にはそういう成分が含まれているらしい。
最初に見たときは気づかなかったが、その口には牙が覗き、頭の上には獣のような耳が付いている……彼女は人ではなかった。
「……よくも……よくも僕のチンポを食べたなっ!」
僕の心に沸々と怒りが沸き上がり、壁の穴の中の人ではない彼女に怒鳴りつけた。
「だって、おにいさんが私にいやらしくておいしそうなチンポ見せつけたんだもん……おにいさんが悪いんだよ?」
「ふざけるな!」
僕はドンと壁を殴りつけて怒りをぶつけた、しかし、壁の中の彼女に手は届かない……そう、彼女が最初に言った通り、壁の中の彼女を僕は襲うことは出来ないのだ。
「おにいさんどうせ彼女いないんだし、チンポがなくなっても誰も困らないから別にいいじゃん! ごちそうさま~、じゃあね、バイバイ!」
「ちょっ! 待て! 待って! 待ってくれ!」
彼女の姿は消え、ぽかりと空いた壁の穴だけが残った……。
チンポを失ったショックでその場にうなだれていると、ふと、壁の穴に気配を感じた。
再び舞い戻った彼女が壁の穴から顔を覗かせながら、こう言い放った。
「言い忘れてたけど、セックスしてあげてもいいかな~って言ったけどあれナシね! だって、チンポが付いてない男とセックスしてもつまんないし、じゃあね~!」
(END)
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投稿:2021.06.13
壁の穴
挿絵あり 著者 羅切庵 様 / アクセス 8067 / ♥ 5