(2023.1.1-改題しました)
これは、聖職者は全員が去勢し、信徒は自分自身を生贄として神に捧げる、そんなクルセード(十字軍という意味の宗教集団)のお話です。
このクルセードでは、本部のほか、全国を東西南北に分けた教区も置かれ、その下には教会があります。
そして聖職者となる神学校の入学者数や、春夏秋冬の大祭の参加者数を、各教区が競い合っています。
こんな自己犠牲の競争も、外から見ていると興味深いものがあり、全国に報道されたりしているので、ご存じの人も多いのではないでしょうか。
**********聖職者*********
聖職者を志願する者は、競争率の高い神学校の入学試験に合格し、全寮制の修道院のような神学校で勉学と修行を積む。
神学校の入学は21歳以下の男性に限られており、卒業と同時にクルセードの聖職者に任じられる。
そして、卒業時に最後の試練として、自らの男性器を破壊していくのである。
その方法は、男性器を切り開いて花弁のようにしたり、火で燃やしたり、火薬で爆発させたり、先端から少しづつ輪切りにしていったりと、相当厳しいものとなっている。
**********春の大祭*********
春の大祭は信徒による集団磔である。磔には和風と洋風があるが、ここでは和風の磔が採用されている。
ただし、磔柱の形は男女問わず股を閉じた十字架型で、犠牲となった信徒は、柱上で3日3晩晒されてから、両腋から槍で刺され絶命する。
この磔祭の生贄への志願は男性でも可能であるが、おもに若い女性信徒が志願者の中心となっている。
見どころは何といっても両脇腹から槍で刺される瞬間であるが、その前の3日間の晒や絶命後の犠牲者の姿も、根強い人気がある。
また、西洋式磔が行われる場合は、十字架に釘打ちするときも含めていつでも見学可能であるが、大抵は3日以内に絶命するということだ。。
なお、絶命後の晒は3日間で、その期間が終わると死体は取り片づけられるが、磔柱はそのまま1年間残される。
シーズンオフの真夏の磔の丘の光景を見学するのも、また一興である。
**********夏の大祭*********
夏の大祭は京都の大文字の送り火風である。ただし形は十文字で、しかも1つの火柱毎に信徒1人が生きたまま焼かれる。
場所は広大な教団所有地の中の山の中腹であるが、年によって場所が移動する。
生贄になる信徒の服装は自由だが、熱さで思わず逃げ出さないように、泥を塗りこんで燃えなくした縄で、厳重に身体を縛られる。
それから信徒の周囲に小枝と藁を積んで用意が完了すると、一斉に点火され夜空に十文字が浮かび上がる。
十文字を形作る4つの火の列が、それぞれの教区に割り当てられているため、各教区ともできるだけ多くの信徒の参加を呼び掛けている。
そのためもあって、参加する信徒は老若男女を問わず誰でも良くなっている。
見どころは、何といっても十文字に一斉に点火される瞬間であろう。翌日から1週間、信徒の焼死体はそのまま晒されて、近くで見学することもできる。
なお、遠方で本部の「十文字焼」の大祭に出向くのが難しい信徒は、地元の教会に申し出ると、「ひとり松明」という火炙り行事を行ってもらうことができる。
ただし全国に教会は多く、毎年あるわけではない上に、その日になって本人が申し出でて、急遽実施されることもあるので、要注意である。
**********秋の大祭*********
秋の大祭は信徒の大量絞首式である。収穫の感謝をこめて自らを神に捧げる儀式で、参加者も多い。
他の大祭に比べて派手さには欠けるが、丘一面に絞首された信徒の死体が並ぶのは壮観である。
ただし、秋の大祭の参加者は、中高年の信徒が多い傾向となっている。
服装は自由だが、収穫感謝祭ということもあって、農民の姿、特に中世ヨーロッパの農民の服装をするのが流行しているという。
縛り方も自由だが、一般的には後ろ手拘束で、両足は縛らないことが多い。
なお、秋の大祭は、小規模ながら本部以外の各教区毎でも行われている。この場合は収穫感謝を込めて、教区の直営農場や牧場が会場になることが多い。
各教区での絞首式は、全国4カ所で行われることもあって拝観しやすいが、志願者の人数は年によって変動が大きい。
各教区も毎年絞首台などの準備はするものの、志願者がなくて行われない場合もある。
一方、地元で生贄になることの長所もあり、現役の女子高生が、最少年齢の18歳0ヶ月で生贄になったときには、同級生もたくさん見物に来て、女子高生が見事に絞首台からぶら下がると、拍手が沸き起こったとのことだ。
本部も教区も見どころは、絞首の準備から、絞首の執行までがメイン。ただし、絞首後も1週間は、死体がそのまま晒されていて、あとから来た一般人も見学可能となっている。
**********冬の大祭*********
冬の大祭は全裸の信徒が肛門から口へ一本の杭で串刺になるという過激なものである。
肛門から杭を刺すので、生贄となる信徒は必ず全裸となる。
杭は鉄串で作られており、その長さはある程度希望できるが、長い串で空中高く晒されたいという信徒が多く、年々長くなっていく傾向も見られる。
例年志願者は10人ほどだが、年によって異例の大人数になることもあり、そういう場合は串刺の作業も大変である。
串刺の方法としては油を塗った細い鉄串を回転させながら肛門から徐々に刺し込んでいく方法と、ある程度太い鉄串をずれないような枠に固定して、重い木槌で一気に叩き込んでいく方法がある。
肛門から口まで一気に串刺にするには、職人技ともいえる熟練が必要であり、冬の大祭は本部のみで行われる。
それでも串刺の作業が間に合わない場合のため、専用の串刺装置が用意されており、年によってはこれを使用する場合もあるという。
機械による串刺は確実であるが、神秘性に欠けるので今一つ人気がないとのことだ。
その厳しさから、参加は若い男性信徒にほぼ限定されている。
串刺の瞬間は場所と人数の関係で、一般観光客は不可であるが、串刺になった死体は1ヶ月晒されているので、見学は十分に可能である。
冬の大祭が終わってやがて黄昏時が訪れると、その光景はまた格別であるとのことだ。
**********生き神様*********
生き神様の信仰もご紹介しよう。
これは、完全去勢して教団の聖職者となった者の中から、特に選ばれた献身者が、信徒の懺悔を受け持つ習慣で、生き神様となった献身者は、信徒の秘密を絶対に他言しないということを保証するため、両腕両脚を切断し、眼を潰し舌を抜く。舌を抜くのは言葉を話せなくするためで、いわば当然であるが、手足を切断するのは、筆記はもちろん手話などでも秘密を洩らさないため、眼球を潰すのは、信徒の顔を見ないためと、まばたきで内容を伝えることができないようにするためである。
すなわち信徒の話を聞くと言っても、五感のうち生き神様が使えるのは、聴覚と嗅覚と触覚のみとされているのである。
生き神様は、全裸で24時間祭壇に入る必要があるため、常時5人が控えていて、日中は2時間交代で任務になったっている。
祭壇の上の十字架は教団のシンボルで、春の大祭で両脇から槍を刺されたままま晒される信徒をかたどっている。
時間がくると、祭壇の一部が生き神様を載せたまま後ろに下がり、ぐるっと回転して、新しい生き神様と交代する。この交代は、まるで仕掛け時計のようでなかなか見ものである。
祭壇の裏は生き神様の控室になっていて、両腕両脚がない生き神様は、寝台に横になって休息するとともに、食事や排泄の介護を受けることになる。
両脚がないので、排便を自分の意思ですることができす、排泄は浣腸で行う。また、不用意な排便に備えて、休憩中はオムツを着用する。
また、両腕がない上に、舌を抜かれているので、飲食は誰かに頼むしかない。
祭壇前に夜間は誰も来ないので、6時間連続して祭壇を守る。暇なようだが、その間飲み物もなく、大小便もできないので、夜の方が結構きついという。
また、生き神様5人はぎりぎりの人数で、2人が日中に2時間交代、2人が夜間の前半と後半、1人が完全休養日となるのが原則であるが、誰かが体調不良を起こすとたちまちローテーションがきつくなる。
しかし、相談だけではなく、生き神様はその全身が礼拝の対象となっているので、空席にするわけにもいかない。
しかも、股間の去勢痕は礼拝の対象として特に人気が高いので、小用を足すこともままならない。
視覚と味覚がない生き神様にとって、聴覚、嗅覚と並んで触覚は重要なコミュミケーション手段となるので、信徒は生き神様の身体に直接触れることが許されている。
そのため、手で触れるだけでなく、舐めたり、臭いを嗅いだりということも行われる。
その中でも、生き神様の去勢痕は、特に人気の的となっているのである。
なお近年、秘密絶対厳守の生き神様でも、歯を鳴らして情報を送れるのではという可能性が問題となり、生き神様全員が全抜歯することになった。
画像は、口腔内の全ての歯が抜かれた生き神様の口の中だが、上の写真でそのままだった歯が、全て抜かれているのがわかる。
この処置で、ただでさえ手足がないので全面的な介助が必要だった食事が、流動食しか摂れなくなり、生き神志願者がますますいなくなってきているということだ。
こうして聖職者の中でも生き神様志願者はなかなかいないため、一般信徒から生き神様前提の献身者を募る案もでているそうだ。
実現したら、君も入信して是非応募してみないか。
一般の聖職者と違って生き神様は人材不足で、どうも信徒歴の長短は問わないことになるらしいから。
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投稿:2021.09.19更新:2023.09.17
クルセード
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 51116 / ♥ 461