外国人であるため日本語が不自然なところはいっぱいあると思いますが大目に見っていただければ嬉しいです。
目を覚めたら、自分の身体は大の字でベッドに縛られていた。
頭は妙にぼうっとしてて、何が起こったのか全然思い出せない。
周囲を見渡せば、自宅にーーしかも自分の部屋にいることをわかった。
しかしそれは安心させるどころか、むしろ不安を煽る材料にしかならなかった。
なぜならこの家には、僕しか誰もいないはずだから。
僕が寝ていた間に、誰かが家に不法侵入して僕を拘束したとしか考えられない。しかし誰が?どうして?なんのために? そんな疑問が頭の中を埋め尽くす。
ーーその時。
「あ、起きたか、カイさん」
知てる声だが、まるで知らない人みたいに冷たかった。
一人の少年は大きなナイフを持って、部屋に入ってきた。
「えっ……」
その人は……恋人のエイジの弟である、セイジだ。
「セイジくん?もしかして、僕を縛らったのは、君なのか?」
掠れた声で聞くと、セイジは軽く頭を縦に振った。
「ああ。そうだよ。」
恋人の家に遊びに行く時や、デートする時には、何度もエイジくんに会ったことある。兄を奪った僕に恨みを持つように睨みつけてきたことも覚えている。
でも今の彼の目に燃やしてるのは恨みどころか……憎しみ、いや殺意を連想させるほど冷たくて昏い焔だ。
こんな彼を見って、何が起こったのか、そしてこれから何が起こるのかを、僕は一瞬で理解した。
「そうか。君はもう、知っているんだ。僕がエイジにしたことを」
「兄貴の名前を口にするな!」
先程まで無表情だったセイジの顔が怒りに歪んだ。
「じゃ、僕に復讐にしてきたんだね」
「復讐?いや違う。これは恩返しだ、カイさん。オレはアンタに感謝してるよ。」
セイジの口元は皮肉げに吊り上がった。
「か、感謝だって!?︎」
「ああ、感謝だよ!あんたのおかげて、オレはようやくアンタから兄貴を奪い返せるんだ。アンタが兄貴にしたことを、アンタにもしてやれば、アンタはもう二度と兄貴を満足できないからだ!」
その言葉を聞いて、僕は……
納得した。
エイジとセイジの兄弟は、近親相姦の関係にあっただと、付き合い始めた後にエイジから聞いた。
元々その背徳な肉体関係に罪悪感を覚えたエイジは、僕の告白をきっかけに、弟との関係に終止符を打とうとした。
しかし恋人の僕にはわかっている。この兄弟二人は今でもお互いを思ってるだと。
高校の先輩後輩時代には、僕は毎日エイジに会えて、デートもセックスもできるから、自分の独占欲をなんとか満たせた。
でも今年僕は大学に入ってから、エイジに会う機会がめっきり減った。
もちろん電話やメールなど連絡手段はあるけど、それでも弟と同じ家に住んでるエイジのことを想うたびに、僕の心は嫉妬と不信感が湧き上がる。
だから僕は、ついやってしまった。
エイジを弟から奪おうと、彼を説得し、去勢した。
それはあんまりにも短慮で、近親相姦よりも許されない行為だけど、浅ましい僕はこれでエイジは永遠に自分のものになったと信じ込んた。
だがその全てはどうやら、セイジにバレってしまった。
そして僕の罪は、裁かれることになる。
セイジの手に持ってるそのナイフは、不吉な光を反射する。
「ま、待って、セイジくん」
「叫んでも無駄だよ。アンタの家に誰もいないだって、兄貴から聞いた」
セイジはナイフを持ったまま、ゆっくりと僕に近づく。
「いや、許しを請うつもりはない。君にはその権利がある。しかし君はやり方をわかってるのか?麻酔や消毒とか、ちゃんとしないと大変なことになるぞ……」
「知るもんかそんなの!勝手に痛いて、感染病で死にやがれ!」
僕の言葉に苛立ったセイジは、怒鳴りつけた。
「でも僕が痛くてうんこ漏らしたら、君もいやだろう!」
死に物狂いで僕も、言葉遣いに気をつける余裕がなくなった。
しかしそのストレート過ぎる言葉は、どうやら効果があったようだ。
「え」
セイジの顔に、一瞬嫌悪の色が浮かぶ。
このチャンスを逃さないよう、僕は慌てて言葉を繋げる。
「だからそうならないように、そこの箪笥にある手術用具を使ってね。やり方も、僕が教えてあげるから」
「偉そうにものを言うじゃない!」
セイジは悪態をつきつつも、素直に箪笥の方へ向かった。
まさかうんこに助けられる日が来るなんで、夢にも思えなかったよ……
「よしいい子だ。それでこそ君だ。」
注射器やメスなどを取り出すのを見て、僕は安堵のため息をつく。
「子ども扱いするな。しかし随分と揃ってるな。これらは全部、アンタが兄貴を去勢するために用意ものか?」
「あ、ああ…」
そして皮肉にも、これから自分が同じことをされる立場になるなんて……
「っで?これらをどう使えばいい?」
不慣れに道具を使いながら、セイジは尋ねる。
「えど、まずは麻酔だな。麻酔薬はまだ何本か残ってるはずだ。それを注射器に入れて、僕の陰茎の根部や、陰嚢の周囲に注入して」
「わかった」
セイジは言われた通りに動く。
その手際は悪くないけど、やはり素人の手付きなので、少し危なっかしい。
「次はカテーテルだ。これは尿道に入れるためのものだ。これを勃起した僕のペニスの先端に挿入して、膀胱まで入れるんだ。」
「ふん、難しいことを要求しやがて。オレは医者じゃねえぞ。」
「大丈夫さ。君を信じるよ。」僕は笑いかけようとしたが、うまく笑えない。
「キモい。黙れ。……とにかくこいつをチンコに差し込んで、底まで入れればいいんだろ?」
セイジは慎重に、僕の亀頭の先に触れる。
「あっ」
敏感な先端部分を触られて、思わず声が出てしまった。
「おい、変な声をするじゃねえ。オレは真面目にやってるんだよ。」
「ごめん。ちょっとくすぐったかっただけだよ。続けてくれ。」
「……続けるぞ。」
セイジは亀頭の先端を摘んで、カテーテルを穴の中に押し込む。痛みはないが、奇妙な感覚が僕の股間を支配する。
エイジも、あのときはこんな感じだったのか?
「これで終わりだよな。もう切ってもいい?」
「あ、ああ。睾丸の方は相対的に切りやすいから、先にそっちを切ろう。」
「わかった。」
セイジは躊躇なく、僕の陰嚢を切り裂いた。
「うぐぅ」
「うわ、血が出てる。」
セイジは驚いた様子で、僕を見つめる。
「は、は……ガーゼで血を拭きながら、続いてくれ。2つの睾丸を見えたか?それらと体を繋いてる糸を全部切断して、睾丸を取り出して。」
「できた。ほら」
セイジは、まだ温もりのある僕の精巣を手に取った。わざわざ僕に見せつけるなんで、この子もなかなかSだね。
思い出せば、エイジを去勢するときに、僕もエイジに同じことをした。まさか自分が同じ目に遭うとは、あの頃はまだ予想できなかった。
「ああ。それで陰嚢を縫合して」
「ふーん。」
セイジは興味なさそうに返事をして、テキパキと手術を進める。
「よし、終わった。後はチンコを切るだけ?」
「そうだね。まずはペニスの根元にメスを入れて、皮を切り取ってくれ。」
僕に教えられるまま、セイジは淡々と陰茎組織を切除していく。
メスが動くたびに、僕が男である証拠は、すこしつづ崩れる。
誰かを抱くことはもう二度とできなくなった。
そしてこの世界に唯一僕が抱かれたいと思う人も、すでにその可能性は僕の手で剪除された。
「あは、あははは……」
僕は自虐的な笑いを浮かべた。
ごめんなさい、エイジ。僕はもう君の恋人でいられないだ。
この傷口が癒やしたら、僕は君に別れを告げるだろう。本当の理由を隠して、適当な口実を探して。
その時君は悲しんでくれるといいな。納得できなくていてくれるといいな。
そして泣き果てた君を、セイジは根性よく慰めるだろう。
君もやがて僕を諦めて、セイジと一生禁じられた愛を分け合うだろう。
僕がずっと危惧してきた未来は、僕のせいで現実になってしまうだろう。
だけどエイジ、君は僕の呪縛から逃げることを一生できない。
なぜなら僕と同じ思いを、同じ罪を背負うセイジはずっと君の隣にいるから。
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投稿:2021.12.24
君の罪と僕の罰
著者 外人怪人カストラドール 様 / アクセス 12923 / ♥ 100