「さあ、全国のNECネットをご覧のテレビの前の皆様、お待たせしました。ハプニング続出!、最高賞金一千万円のドンキークイズの時間がやってきました。今日は、3つの大学生のチームをお迎えして年末スペシャル番組、何と2時間半生中継でお送りしまーす。」
ファンファーレとともに司会者が絶叫する。
「今日はスペシャルですので、3人1チームで挑んでいただきます。まず最初はK大学釣同好会の大川さん、横地さん、西村さん。続いて、H大学囲碁部の高瀬さん、田中さん、北村さん。最後はW大学旅と鉄道の会の新田さん、服部さん、中島さんでーす。」
カメラは3人1チームになった9人の男子学生の方を向く。出場者の前にはデスクはなく、椅子に腰掛けた姿が映し出されていく。
「さあ、今日、最高賞金一千万円をゲットするチームは出るのでしょうか。そして、全員ドンキーになるチームは。」
「ドンキークイズのルールはご承知ですね。では第1問。『アメリカ合衆国で一番広い州はどこでしょうか?』、はいH大学どうぞ」
H大学で真っ先に肘掛のボタンを押した田中が答える。
「アラスカ州!」
「はい正解です!H大学1点獲得でーす。1点は1円ですが2点は10円、3点は100円と増えていきますよ。4点千円、5点一万円、6点10万円、7点100万円、そして8問正解で一千万円獲得です。がんばってくださーい!」
客席の女の子から声援が飛ぶ。
「今、応援してくれたのが、田中さんの彼女ですね。しっかり応援してください。では第2問、『来年5千円札に登場することが決まっている女流作家といえば誰でしょう?』、はいW大学の新田さん。」
「紫式部」
「ざんねーん!不正解です。正解は樋口一葉です。ペナルティ第一号ですね。では、アシスタントグルーブの方お願いしまーす。」
H大学に先を越されてあせっていたオレは、ついボタンを押してしまった。しまったと思ったときは遅かった。
「W大学の3人の方は、ズボンとパンツを脱いでくださーい。」と司会者。
フリフリスカートのアシスタントの女性3人がW大学チーム席に駆け寄ってくる。
オレたちは仕方ないからベルトを外してジーンズを下ろした。それをさっと持っていったアシスタント女性は、客席に高々と示してから、こっちを向いてにっこり笑って、オレたちの腰に両手を掛けると、パンツを一気に引き下ろしてしまった。客席からは歓声と冷やかしの口笛。オレは仮性包茎だから、特に冷やかしが多いように感じる。
「W大学の皆さん。前を隠しちゃダメですよ、アシスタントさんは学生さんの手と足をベルトで縛ってくださいね。」
思わず股間に手のひらを持って行ったオレたちだったが、アシスタント女性は無情にもオレたちの両腕に椅子の肘掛に付いたベルトをまわして縛り上げて、両脚も大股開きで椅子の脚に縛り付けてしまった。
隠すものが無くなったオレたちの股間を、カメラのレンズが舐めまわしている。オレたちだって彼女が来ているんだぞ。勘弁してほしい。目の前の応援席には、アイツ、つまりオレの彼女もいる。まあ、オレもアイツも金目当てで、このぐらいは覚悟の上だけど。
司会者が続ける。
「お手つきしても減点はありませんが、このようにペナルティが待っていまーす。ペナルティは順番に用意されていますのでお楽しみに。間違えた人だけじゃなくて、チーム全員が同じペナルティを受けてもらいますのでご注意くださーい。では第3問、『ニューヨークヤンキース松井選手の背番号はいくつ』、あっ、またW大学どうぞ」
これは楽勝だ。55番に決まっていると思ったら、ボタンを押した中島のヤツ、「51番」だと。そりゃイチローだ!バカヤロ!また、アシスタント3人が駈けてくる。今度はバリカンとシェーバーを持っている。またさっきの娘がオレのところにきて、チンコの毛を刈り始めた。バリカンでザッザッと刈ったら次にシェーバーで仕上げていく。あっというまに3人ともパイパンにされてしまった。恥ずかしー!
ウチのチームを見てビビったらしく、K大もH大もボタンの押しが遅い。おかげで、このあと3問連続ゲットでたちまちトップ。といってもまだ金額千円だから、これで終わるわけにはいかない。
第7問でK大がお手つきで下半身裸で大股開きに、第8問はH大が正解、第9問はK大が再びお手つきで、オレたちと同じように3人ともパイパンになった。H大だけ普通に服を着ているのが腹がたつ。さすがに囲碁部は慎重で、オレたちにとって相手が悪い。
第10問をオレが正解して1万円になったところで、コマーシャルタイム。
生中継なので、オレたちも休みだけど、椅子に縛られたままだ。
「続けていきます。第11問、『西暦1183年、都から平家を追放した、別名朝日将軍と呼ばれる武将は?』はい、W大学!新田さん」
「源義経」
「さーんねん!木曾義仲です。W大学の3人の方、フォックス決定!」
まずい、ヤバイ、ヤバすぎる。と思ったけどもう遅い。服部だけじゃなくて中島まで、恨みがましい眼でこっちを見つめよった。
「ご紹介しまーす。本日の担当医師、N女子医大助教授鹿島澄子ドクターと、看護婦の新井美千代ナースでーす。」
白衣の2人が入ってくると同時に、オレたち3人の縛り付けられた椅子が後に傾く。
椅子の背もたれがそのままベットになって、一緒に90度回転した椅子の脚に縛られたオレたちの両脚は、ベッドより高く固定されて客席に足の裏を見せた格好。その上、座板だけは後に動かなくて水平のままだ。
位置を考えると、足の裏だけじゃなくて、3人のお尻の穴も丸見えのはずだ。
ところで、あの女医は顔も年恰好も南野陽子そっくりだが、まさか本物じゃないよな。看護婦はなんとなく広末涼子に似ているし、ああいうのがテレビ局の好みなのだろうか。
「テレビをご覧の皆さん、お待たせしました。フォックス手術は毎週ありますねえ。では、ドクター、麻酔をお願いします。まず、睾丸クランプとエラストレーターバンドを嵌めていただきましょう。」
ヒロスエみたいな看護婦はクランプを持ってきて、オレたち3人の毛を剃られたフクロを挟んだ。次にペンチのような変な器具に、緑色の小さな輪ゴムを付けると、その輪をガーと引き伸ばして大きくして、オレたちのフクロをくぐらせてから放す。輪ゴムは超強力で、バチッとフクロの根元が締められた。
女医のナンノはフクロとその周りに何本も注射を打つと、看護婦からメスを受け取った。
「全国の皆様、ちゃんと麻酔をしていますからご安心ください。じゃあ、まず新田さんからフォックスになりまーす。」
司会者がオレを指名した。ナンノはオレのフクロにメスを入れていく。カメラマンは、ナンノの肩越しにしっかりと画像を送っていく。オレの白いキンタマが顔を出すと、ナンノはそれを掴んで引っ張り出した。
キンタマのうしろにはヒモが繋がっているけど、ナンノはハサミを取り出すと、パチンと切ってしまった。
観客は、バックのスクリーンでその瞬間を見ていて、拍手が起こる。オレとしては気分よくない。ナンノはもう一つのキンタマも取り出して、それもパチンと切り取ってしまった。もう一度大拍手と口笛が聞こえる。
ナンノがオレのフクロを縫い合わせていく。ヒロスエがその上に消毒液を塗って、オレの手術は終りらしい。ナンノは、中島のフクロを切り開き始めた。中島は情けないことにブルブル震えている。その点服部は、覚悟ができているようで、タマと取られる瞬間も、努めて平静を装っていた。
オマエは間違わなかったのにスマン。
抜かれたタマタマは、6個まとめてステンレスのトレイに載せられたまま、ステージ中央のテーブルの上に置かれる。そのうち2つがオレのキンタマだ。トレイのうしろにはW大学と大きく書かれている。
オレたち3人の手術が終わると、うしろに寝ていた椅子が縦に戻ったけど、相変わらずベルトは締まったままだ。
司会者がマイクを近づけてきて聞いた。
「男でなくなった気分はどうですか。リーダーの新田さん。」
そんなことを聞かれてもわかるもんか。でも、黙っているわけにもいかないので、「爽快です。」と答えてやったら、変な顔して行ってしまった。
「さあ、続けます!、W大学はあと一問間違えると、ドンキーで上がりになってしまいますから気をつけてくださーい。」
そんなこと言われても、オレたちとしてもキンタマを両方とも取られて、1万円で引き下がるわけにはいかない。お手つきしたら終わってしまうが、H大学も好調だし、放送時間との勝負でもある。
第12問をゲットして10万円に、でもそこからH大も勝負に出てきて、1問お手つきで、下半身素っ裸になりながらも3問正解で、1万円まで上げてきた。
ここで臆病風で固まってしまっていたK大学が、第17問に正解でようやく1円ゲット。でも第18問で痛恨のお手つき。K大学の3人もタマタマを取られてしまい、テーブルの上のタマタマは12個に増えた。
それを見ながら司会者は、
「いやあ、今日は大収穫ですね。続けていってみましょう!」
と、まるで他人事。まあ、実際他人事だけど。
「第19問、『スーパーマリオネットによるSFドラマ、サンダーバードで、水中で活躍したのは何号?』、はい、W大学!」
おっ、中島、今度は大丈夫だろうな。頼むぞ。
「3号」
おい、3号はロケットだろ!あー、ダメじゃん。
「ざーーーーーんねーーーん、4号です。W大学旅と鉄道の会チーム10万円で上がりです。ドンキー決定!」
オレたち3人の椅子がグワーとうしろに傾いていく。今度はお尻の穴だけじゃなくて、キンタマを抜かれた傷口も丸見えだ。
「さあ、スーパードンキーが決定した3人は、これからドンキー手術を受けます。ドンキー手術は3週間ぶりです。客席の一番前にお見えなのは、W大学チームの方の応援団ですね。女性の方3人は彼女かな。ちょっと前に出ていただけますか。」
おいおい、司会者がオレのアイツをわざわざステージに上げているぞ。何する気だ?
司会者がとんでもないことを言い出す。
「さあ、最後にお別れに彼氏を触ってあげてください。」
「えーー!」とアイツ。
いつもはこんなことはないのに。大学生大会だからか。
モジモジしていたアイツが意を決して近づいてくる。オレとアイツの目が合う。アイツは、ゆっくりと手を伸ばして、オレのオチンチンの先に触れた。
さっきの麻酔がまだ効いていて、他人のオチンチンみたいだ。
アイツは指先で掴むとオチンチンを裏返して、さっきキンタマを抜かれたあとの傷を見つめてつぶやいた。「かわいそう・・・」。
突然、アイツはオレのオチンチンを口にくわえてしゃぶりはじめた。でもオレのオチンチンは、縮こまったまま無反応。するとアイツは、オチンチンを口から放すと「さよならー」と言って、走ってステージを一気に駆け下りて行ってしまった。
オレはもちろん、司会者も予想外のことに唖然。
気を取り直した司会者がしゃべる。
「最後のお楽しみも終わったようです。ではドクター、始めてください。まず新田さんから。」
あのナンノとヒロスエがゆっくりと近づいてきた。
司会者の声が入る。
「ナースはまず、尿道のカテーテルを通します。失血を防ぐため、エラストレータ-バンドを使用します。」
ヒロスエがオレのオチンチンにカテーテルを通してからゴムバンドを嵌めた。
するとナンノが、また、麻酔の注射をさっきより長い針で何本も打ってから、オチンチンの根元の腹の皮膚をメスで切開しはじめた。
司会者が解説を始める。
「私たちのドンキー手術では、まず、陰茎提靱帯を切って海綿体を恥骨から分離します。これは陰茎をあらかじめ下に向けて、切断後の新しい尿道口を肛門の方に寄せて、排尿の時に困らないようにするためです。ドンキー手術をしても、ちゃんと座って小便はできますので、ご安心ください。」
「全国のテレビの前の皆さん。この処置が終わると、いよいよ今日のハイライト、W大学の3人の陰茎切断ショーでーす。」
司会者まで興奮している。
ナンノはオレのオチンチンに一気にメスを入れていく。根元を切断されて、カテーテルで串刺しになったオチンチンが、ゆっくりと切り離され、抜き取られていく。
この瞬間、会場からはすごい拍手だ。
オレのオチンチンはガラス瓶の中にポチャンと落とされ、切断口は手際よく縫合されていく。
司会者が言ったように、尿道口はお尻の穴のすぐ前に付け替えらえた。そこからカテーテルだけが飛び出している。
「続いて中島さん行きまーす。」
中島のオチンチンが切断される。
「最後は服部さん。いいですねー。」
こんな調子で、オレたちのチームは3人ともこの番組でいうところのドンキー、完全去勢者にされてしまった。一物のあったところは、縦に一本の縫われた傷口があるだけの情けない姿だ。その上、それがクローズアップで全国放送されている。
オチンチンを入れたガラス瓶が3個、ステージ中央に並べられた。
このあとは、2チームの争いで、オレたちは指をくわえて見ていただけ。ていうか、手足拘束で脚を高く上げて寝かされたままなので、指をくわえることもできない。
でも、あと2問で放送時間が終わっていまい、最後の問題でK大学が1円から10円に賞金を上げただけで終わった。結果はオレたちが賞金10万円で第一位。
司会者がインタビューする。
「賞金10円という結果でしたが、K大学釣同好会チームの皆さん、ご感想は。」
リーダーの大川という男が答える。あっと、もう彼も男じゃなかったか。
「タマタマは抜かれちゃいましたが、サオが無事なので立小便はできます。釣をしていると立小便ができないと物凄く困るので、まあ、良かったかなと思います。」
10円で両タマ抜かれたら、オレたちより分が悪いと思うがなあ。
いろいろな考え方があるんだ。
「H大学囲碁部チームは、賞金1万円で今ひとつ及びませんでしたが、いかがでしたか。」
「ちょっと消極的だったかな。男ならもっと勝負すべきだったかな、と思います。」
そうか、あいつらだけ、まだ男なんだ。無傷で1万円は上等じゃないか。
司会者がオレのところに来る。オレたちはミジメな格好で寝かされたままだ。
「優勝おめでとうございます。優勝賞金10万円と、スポンサーのからのスペシャル賞品、新日本旅行から『信州安曇野と奥飛騨混浴露天風呂の旅』、東京理研から『コンドーム1年分』、日本チャスチティから『男女貞操帯セット』、関西ビデオから『アダルトビデオ全50巻』、大江戸観光から『サウナ入浴50回券』、横須賀美容クリニックから『永久脱毛コース1年無料券』です。どうぞお受け取りください。」
おい、あまり使えそうな賞品がないじゃないか。
「どうですか、優勝のご感想は?。」
仕方ないから今度は答える。
「あと2問で一千万円だったのに残念です。旅と鉄道の会では、全国あちこちユースホステルに泊まりながら旅行をするのですが、これからもちゃんと男性の方に泊めてもらえるかちょっと心配です。それから公衆トイレでも男性用は個室少ないので、オシッコでも時間がかかりますね。」
「中島さんは?」
「温泉めぐりが好きなのですが、これからは風呂でジロジロ見られそうだなあ。でも、タオル入れると怒られるし。」
「服部さん、ご感想は?」
「立ち小便できないので、山の中でSLの写真を撮る時に、有名な撮影ポイントだと、いざしゃがんだとき他人の目が気になります。」
司会者がここで引き取る。
「ありがとうございました。W大学旅と鉄道の会の皆様にもう一度拍手ーー!。番組では出場者を募集しています。20代から40代の男性の方、下記の宛先まで振るってご応募ください。来週はお休み、再来週は通常の1時間放送です。いつもの個人出場で海の男、漁師さん特集でーす。お楽しみにー。」
こうして2時間半の放送時間は終った。カメラが止まると、オレたちの傷口にもようやく包帯が巻かれ、それから椅子ベッドから解放された。
そして、パンツとズボンをはいてから、暗くなったステージの上を、3人並んでヨタヨタと控え室へ歩いていった。
ステージの上では、次の収録番組のの歌謡ショーの準備が始まった。このショーでは、20人のアマチュアカストラート合唱団も出演する。プロではなくてアマのカストラート、生活のためではなく、趣味のためにカストラートになるというのは、ちょっと珍しい。
普段は別の仕事をしていて、年に何回か集まるそうだが、中には40歳代の男性も混じっているのに、少年合唱団のような歌を歌うというので、最近、ちょっとした評判になっている。
ゴールデンボックス(ドンキークイズの続編です)はこちら
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投稿:2004.01.09更新:2022.06.04
ドンキークイズ
著者 名誉教授 様 / アクセス 22182 / ♥ 95