世界観光ガイドブック・去勢特集号
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個人旅行者を対象に、世界の隠れた見どころをご紹介する「世界観光ガイド」シリーズ。
これまでの国別ガイドブックに加えて、事項別シリーズが登場。
いよいよ「去勢特集」発売。君も行って、見て、体験しよう!
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前作「北京の宦官博物館」はこちら
(4) ラスベガスの去勢クリニック
ラスベガスの街を歩いていると、「24時間結婚受付」といった意味の看板が、頻繁に目につく。
結婚や離婚が簡単にできるラスベガスならではの光景である。結婚式用の教会や礼拝堂だけで200近くあるというから、その需要の多さは押して知るべし。年間3万組のカップルが結婚式や結婚手続きに訪れるという。
他の州では難しい離婚の方も、ここでは簡単に成立できることから、行政書士の事務所も多く、やはり24時間営業中だったりする。
料金は、証明書のみの場合は10ドルから。結婚式で、衣装、指輪、写真、花まで揃えて写真撮影を含めると30ドルぐらいからとのこと。
もう一つ目につくのが、泌尿器科の専門病院やクリニックの多さである。そこを訪れる患者の目的は、ずばり「去勢手術」。ラスベガスの場合、性転換手術は精神科医のカウンセリングや判断が必要だが、去勢手術は美容整形手術扱いで、申し込めば即日可能なのである。
多いのは、カジノホテルが並ぶ「ストリップ」から東へ1キロほど行ったパラダイス通とデザートイン通の周辺。去勢専門医だけで20軒以上の病院やクリニックが見つかる。「castration」「penectomy」「glansectomy」などと書かれた派手派手しいネオンサインがあるので、すぐにそれと分かる。中には、外国人向けの看板もあり、「即去勢!」「陰茎切断OK」といった日本語の表示まである。
【↓ 陰茎切断と除睾で完全去勢を勧める広告】
費用は、特別に廉価なクリニックを除くと、両睾丸摘出のみが80ドルから、陰嚢切除が120ドルから、陰茎の部分切断が300ドルから、陰茎の腹腔内を含む完全切断が700ドルから、完全去勢が800ドルからが相場とのこと。睾丸摘出と陰嚢切除は日帰り手術が普通。陰茎切断を含む手術は入院手術が基本であるが、ホテルの宿泊しての通院治療対応もできるので、中には手術後にそのままカジノで遊ぶツワモノもいるとか。
中でも、特別な治療を行うことで有名な病院&クリニックは、次のとおり。
1. BROADWAY HOSPITAL
標準的な、手術申込が24時間可能なクリニックである。ここの最大の特徴は、1階の大通りに面した所ある、大きなガラス張りの手術室。手術がない時間帯は、ブラインドが上がっていて見学自由。そればかりではなく、露出趣味者やナルシストの患者が希望すれば、ブラインドを開けたまま、手術を一般公開して行うこともできる仕組みとなっている。
このシステムは、男性完全去勢志願者の多くは、ナルシズム的な要素を持っていることに着目したもので、実際に大変繁盛している。
手術台は、通行人の真正面に局部が来るように設置されており、壁と天井には鏡もあるので、いろいろな角度から見ることができる。さながら、日本で見る手打ちうどんの実演会場である。
【↓ まずベッドで看護婦がカテーテル挿入】
【↓ 内診台に移動します】
【↓ 黒衣の特別女医の執刀】
【↓ 除睾手術開始】
【↓ 除睾手術中の実写】
【↓ 道路から見た去勢手術の光景】
手術前の浣腸室、剃毛室、麻酔室も1階にあり、これらの部屋の窓のブラインドを開ける場合があるとのこと。浣腸室は患者用トイレを兼ねていて、大便用ブースの手前の通路に、浣腸用の和式風の便器が設置されている。立小便用の小用便器は不要なので、設置されていない。このトイレも窓越しに覗くことができる。
【↓ 窓越しに覗いた浣腸室兼患者用トイレ】
患者が陰茎切断手術後に入院する病室も1階にあって、患者の希望により病室を、道路から覗き見させることもできる。ちょうど包帯の取替え時間にあたると、通行人が患者の手術後の股間部を見ることができるわけだ。
【↓ 去勢痕がほとんどわからない完全去勢術後の患者の下腹部を公開】
中には、包帯が取れてからは、わざとパジャマもパンツも着用せず、全裸で仰向けに寝ている露出愛好家もいるとか。
手術の料金は、完全去勢+尿道口移設で900ドルと、標準的水準であるが、公開手術を承諾すると、病院の宣伝にもなるからと35%の割引が適用される。この割引が魅力で、公開手術に応じる患者も珍しくないとのこと。
2.PALADISE HOSPITAL
患者の空想やSMの趣味を十分に満足させてくれるクリニックで、最小限の局部麻酔または下半身麻酔を使用し、場所や時代を超えた想定による演出を伴った手術をしてくれる。
【↓ 中国の古代の宦官文字とエジプトの宦官を描いた国際的な広告】
「中国明王朝の宮刑去勢」「古代エジプトの宦官製造所去勢」「フランス革命期のペニスギロチン処刑」「古代ローマの地下牢の奴隷去勢」「近未来の自動睾丸プレス去勢」といった演出で手術してくれる。
【↓ 「古代エジプト宦官去勢」の宣伝用イメージ画像】
【↓ ローラーによる睾丸プレス去勢のイメージ】
手術室は、それぞれの想定にあったインテリアが施され、医師やスタッフだけでなく、患者もその時代風の衣装を着用する。また、病室も、手術の趣向に合わせて、中国風、エジプト風、ヨーロッパ風、古代ローマ風、未来風の部屋が用意されている。
【↓ 「古代ローマの地下牢の奴隷去勢」を行う手術室の光景】
【↓ 「フランス革命のギロチン」をイメージした去勢の光景】
希望により下腹部の永久脱毛とEunuchの入墨を施してもらえるサービスがある。また、有料で、手術風景のビデオ撮影も可能である。
【↓ 手術後には下腹部の脱毛やEunuchの入墨もOK】
【↓ 希望者は入墨をサービスで彫ってもらえる】
【↓ 上腕に漢字で「宦官」の入墨も選択できる】
こうした凝った趣向の割には、料金は完全去勢(腹腔内部の陰茎は残存・尿道口移動なし)で1150ドルと、それほど高くない。なお、睾丸プレスは、睾丸のみの去勢であるが、入院が必要となるので注意のこと。
3.INTERNATIONAL GRAND HOSPITAL
大人数同時手術、流れ作業の短時間手術で、低価格をアピールするクリニックである。
患者は、受付後に更衣室で素っ裸になり、待合室に入ると、そこには全裸の先客が何人もいる。12人集まると医師が来て、全員に手術の説明がなされる。病院名にINTERNATIONALを謳うだけあって、外国人がいるときには通訳も付く。
【↓ 控え室で全裸で説明を待つ去勢志願者たち】
【↓ 全裸の患者へ医師から手術の説明がされる】
医師の説明後に全員で浣腸室に向かう。室内中央には患者が両手両足を付いて浣腸を受ける台があって、その後ろに剥き出しの大便器がすらりと並んだ便所がある。これらとベンチが置かれた待合場所との区切りはなく、浣腸液注入から排泄まで全て丸見えである。
【↓ 浣腸された患者が集団で排泄する完全にオープンな大便器】
浣腸のときは3人づつ四つ這いの姿勢になる。肛門に浣腸液のカテーテルが挿入され、その下には万一のお漏らし用の巾着袋が取り付けられる。浣腸される場所の奥は便所になっているので、浣腸される患者は肛門を既に浣腸が終わって排泄中の患者に見られることになる。
【↓ このように同時に3人づつ浣腸される】
浣腸液の注入が終わると、排泄のために奥の便器まで歩いていく。大を出し終えた後でここで人生最後の立ち小便をする患者も多い。
【↓ 剥き出しの便器での排泄】
浣腸が終わると、シャワーを浴びる。その後に手術着が渡されるが、使い捨ての実に簡素なものである。先ほど身体に書かれた手術の種類によって、除睾だけの去勢志望者は青色、陰茎切除志願者は緑色、完全去勢志願者は赤色、亀頭切除や陰茎短縮といったその他の手術志願者は黄色の手術着を着ることになる。
【↓ 使い捨ての手術着】
次の部屋は剃毛室と呼ばれるが、陰毛の全剃毛と麻酔を一度に行う手術準備室である。患者が寝る台は12人分が並んでいて、他の患者が見ているところで、順番に処置を受けていくのであるが、実に壮観である。
【↓ 12人が同時に剃毛と麻酔を受けられる準備室】
睾丸摘出だけの去勢の場合は、ここから除睾コーナーにベッドに乗ったまま移動していく。除睾コーナーは9人の手術が動じにできるが、廊下に下半身部分だけを隠す簡単なカーテンがあるだけの、正にコーナーである。
【↓ 9人が同時に睾丸切除をされる除睾コーナー】
陰茎切断も行う完全去勢の場合は、5人が同時に手術を受けられる手術室に誘導される。手術室といっても手術台の上の患者の間に仕切りはない。
【↓ 5人が同時に完全去勢をされる手術室の内部】
このように、患者間のプライバシーを配慮せず、流れ作業で手術を行うことが、廉価の秘訣である。患者も、お互いが同じ運命をたどるわけだから、皆平気な様子である。
【↓ 陰茎短縮包茎化手術前後を比較したクリニックの宣伝画像】
料金は、完全去勢+尿道口移設で300ドルと、おおむね準額の三分の一で大変お得であるが、手術効率重視のため、受付時間が短い上、休診日も多いので注意のこと。
4.HOWARD HOSPITAL
【↓ 外観は完全に遊園地かテーマパーク】
ここも流れ作業で低価格手術を実現したクリニックであるが、遊園地のアトラクションの感覚で手術を受けるのが特徴。建物まで遊園地風である。
【↓ チケット売り場まである遊園地のような入場口】
INTERNATIONAL GRAND HOSPITALと違うのは、患者が受付でベッド兼手術台になったライド(乗物)に乗ると、そのまま手術台の方がレールの上を移動して、手術が進むことである。
ライドの乗場の前にあるホールには、向かって左側の通路に「Total Emasculation」、右側の通路に「Castration(Orchiectomy)」とあり、中央には「Penectomy」の表示があって、陰茎切断のみを希望する患者は、オレンジ色の矢印が点灯している方に進むように案内される。
【↓ ライドの乗場の前にあるホール~去勢の種類により通路が別れる】
【↓ 去勢希望の登録も自動式~去勢前の最後の記念撮影も同時に行う】
ライドの乗場にはひとりづつ入る。ここで患者は全裸になって、自分で衣服をライドの下に収納し、ライドの中に仰向けに横たわる。口に水分補給チューブを銜え、酸素マスクを口と鼻を覆うように着け、足首、大腿、上腹部に安全ベルトを掛け、両手首を自分でベルトの輪に通す。
準備ができて、右手の先にあるボタンを押すと、安全ベルトが自動的に締まり、身体を覆い隠すカバーが閉じる。このカバーは、患者のプライバシーのため、身体を完全に隠すようになっており、これから患者の身体を仰向けやうつ伏せに変える必要がある「Total Emasculation」のライドでは、幌のように半円形の膨らみがある形をしており、患者が仰向けのままの「Castration」のライドでは、患者が入った四角い箱に単に蓋のようなカバーが掛かるだけとなっている。
【↓ 乗場から手術室への通路を移動するライド~左右で形状が異なる】
カバーが患者を覆ってしまうと、次の患者が受付に招かれる。ライドは長い通路を遊園地の乗り物のように移動し、前が混んでいると停止して待機する。順番が来ると次々と浣腸、剃毛、下半身麻酔をされ、手術室に送られるのである。
【↓ 完全去勢術前後を比較したクリニックの宣伝画像】
処置や手術の際は、カバーが開いてから、機械装置により、ベルトで止められた脚部が左右に分かれ、大股を開いた恰好になる。手術後に、入院が必要な場合は、手術台がそのままベッドになる。
【↓ クリニックの宣伝から~去勢前の黒人と去勢後の白人】
傷に触れないよう手首のベルトは外れないので、患者は身動きせず蓋の中何日も過ごす。病室は大部屋だが、ライドの中なので、患者同士のプライバシーは確保される。医師の回診時も、ひとりづつカバーが開くので、お互いに見られることはない。退院時は、ライドが出口まで移動してから、カバーが開くので、患者は服を着て、病院を後にする。なお、退院時に、病院から記念の宦官用下着が贈呈される。
【↓ 去勢手術後退院時に贈呈される記念の宦官用下着】
【↓ こういうタイプもあります。EUはEUNUCHの略称です】
料金は、標準額の半額程度、INTERNATIONAL GRAND HOSPITALより高いが、プライバシーを確保したい廉価手術希望者には、お薦めである。
▲▽▲▽▲▽▲▽ 読者からの耳より情報 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
去勢手術希望者で、クリニックが決っていない人は、「Eunuch Informationhe
Center」を訪ねると良いと思います。場所は、パラダイス通とフラミンゴ通の交差点。クリニックが多い地区の南端になります。
私はここで、日本語が通じて陰茎切断ができるクリニックをお願いし、COLUMBUS HOSPITALというところを紹介してもらいました。
陰茎切断は「ぶち切り」ではなく、ちゃんと腹腔内部の陰茎脚から除去し、尿道を会陰に開口させてもらって、700ドルで済みました。
切断後の私の「一物」は、ホルマリン漬にしてもらいました。日本帰国時のに、関西空港の税関で質問を受けましたが、事情を説明したところ、「問題なし」とのことでした。
【↓ 無事に日本に持ち帰れたホルマリン漬けのペニス】
(2005年春~京都市・中野和一)
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世界観光ガイド・去勢特集(5)~シンガポールの去勢刑執行はこちら
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投稿:2006.05.16更新:2022.03.15
世界観光ガイド・去勢特集(4)~ラスベガスの去勢クリニック
挿絵あり 著者 Castrato 様 / アクセス 88219 / ♥ 203