前作(Part2)はこちら
私は、都内の専門商社に勤める会社員。まだ独身だ。
今日は、土曜日で会社は休み。たまたま買った週刊誌に載っていた病院の、「包茎手術・陰茎増大術・断種・去勢・陰核切除・膣縫合・陰毛永久脱毛・・・・性器手術即日可能・・・・入院不要」という広告につられて、私は新宿区までやってきて、その病院~「YODOBASI GENITALS CLINIC」~の入口の看板を見上げていた。
日本語に訳せば、淀橋生殖器診療所となるだろうか。
そこには、
「男性去勢手術大幅値下げ!!!・陰嚢切除40,000円→10,000円・外部陰茎切断70,000円→15,000円・男性2点去勢90,000円→20,000円・この機会にぜひどうぞ!」
とあった。
私は、意を決して入口のドアを開けて中に入った。
そこは待合室になっていて、20人ほどの男性と5人ほどの女性が順番を待っていた。中には明らかに恋人同士と思われるカップルもいた。
この賑わいにちょっと驚きながら、私は受付の若い女性に尋ねた。
「入口の大幅値下げの看板を見たのですが。」
受付嬢はにっこり笑って答えた。
「男性去勢手術ですね。どのような手術をご希望ですか。」
「いろいろな種類があるのですか。」
「今回お安くなっているのは、陰嚢切除、外部陰茎切断、男性2点去勢の3つです。陰嚢切除は、睾丸が入ったままの陰嚢を切除します。外部陰茎切断は外から見える陰茎を切除しますが、陰茎の付け根は腹腔内に残ります。男性2点去勢は、陰嚢切除と外部陰茎切断を同時に行います。」
「その他にも、どのような去勢がありますか。」
「簡単なのは、両睾丸剔出の25,000円、亀頭切除の50,000円でしょうか。陰茎中間短縮といって、陰茎の途中部分を切除し亀頭は残して再縫合する処置は125,000円です。陰茎完全切断は陰茎を骨盤との付け根の陰茎脚から全て切除するタイプで、尿道を会陰に誘導して付け替えます。これは165,000円かかります。男性完全去勢は、陰嚢切除と陰茎完全切断を行うもので、突起物は全て無くなります。これは185,000円です。」
この答えを聞いて疑問に思った。
「そうすると、入口の看板の手術はずいぶん安いですね。どうしてですか。」
「それは、最近開発された『アメリカン去勢デバイス』という手術道具を使うからです。ボタン操作だけで麻酔注射、緊縛、レーザーメスでの切断、高周波止血と縫合を自動的にすべてやってしまうのです。男性2点去勢でも10分もあれば終わります。痛みもほとんどありません。そのほかの手術は、医師がメスで切開していくので、どうしても大掛かりになります。」
「それは良さそうですね。それじゃ男性2点去勢をお願いします。」
「ありがとうございます。この申込書をご記入ください。」
私は、渡された紙に名前などを記入して提出すると、待合室で名前を呼ばれるのを待つように言われた。
待合のベンチに腰掛けていると、ほかの患者の話し声が聞こえる。
それを聞いていると、包茎手術や陰茎増大術で来ている患者はいないらしく、断種、去勢、永久脱毛が希望の様子。カップルの若い男女は、男が完全去勢、女が陰核切除と膣縫合を受けるらしい。
待合室のポスターを見ると、
「あなたの陰茎を幼児時代の姿に復元~小さな皮被りのオチンチンにすぐにもどれます」
とか、
「グロテスクなペニスはもういや!=あなたの陰茎を無毛・完全包茎・短小に!」
といった広告が目に入る。詳しく読むと、
「長くなりすぎた陰茎を3センチ程度残して切断します→陰茎海綿体を切除して陰茎を細くし絶対に勃起しないようにします→陰茎短縮で余った皮膚で先端を皮被りとします→包皮口を縫い縮めて亀頭が絶対に露出しない完全包茎にします→もちろん陰毛は完全に永久脱毛します→切り縮めた陰茎が手術後に成長しないように睾丸を除去し陰嚢を切り縮めます」
と手順が解説してあった。手術代は198,500円で、何と完全去勢より高い。
別のポスターには、
「両乳首切除術~男性19,000円 女性28,000円」
とか、
「肛門永久拡張術=肛門を直径7㎝程度まで一度の手術で拡張します~88,000円」
「肛門括約筋除去術=肛門括約筋を除去し、一生大便垂れ流しにします~68,000円」
とか、びっくりするような手術がある。
また、一方では、
「ご子息の去勢承ります~男性自慰常習者のための去勢は安価で信頼の当医院で!」
「男性の自慰常習などの性欲過剰は、精神薄弱の恐れがあります。対策として確実なものは、早期の去勢手術です。」
といった平凡な広告もある。
もう一つの壁のポスターを見ると、
「展示用男根の作成はいかがですか?~貴方の男根を切断しプラスティテーション処理します」
という広告が目に入った。
解説を読むと、
「男根切断料込みで驚異の安さ! 加工場に隣接の手術室で切断・新鮮処理が可能。切断手術料+加工料は、陰茎+陰嚢=45,000円、陰茎のみ35,000円! (男根鑑賞用ケース付)」
「プラスティテーション(樹脂浸透保存)とは、ドイツのギュンター・ハーゲンス教授が開発し、医学界でも組織保存に用いられている技法で、ホルマリンなどに浸さずに常温で乾燥状態を保つ方法です。性器の切断は『アメリカン去勢デバイス』を使用しますので手軽で、身体への負担もありません。」
とあった。
私が申込んだ男性2点去勢が20,000円なので、25,000円追加でこの処置ができるわけだ。私は、立ち上がって、先ほどの受付嬢にこっちもお願いできないかと聞いてみたが、人気殺到で処理タンクが空かないので無理とのことだった。ちょっと残念。
こうして待つこと40分、いよいよ私の名前が呼ばれた。
手術室に入ると、そこは実にオープンな空間。広い部屋に手術台が5つ並んでいて、そのうち4つには先客があった。3人は男性だが一番奥は女性、奥に先ほどのカップルが並んで寝かされているわけだ。
4人はいすれも裸で、両脚を大きく開いて上にあげて、膝の裏を支えの上に載せている。入口から入ってきた私からは、全員の股間部が丸見えで、プライバシーは全くない。
ここらへんは、やはり値段相当なのかもしれない。
二十歳そこそこでなかなか美人の看護婦が、私に近づいてきて、
「服を全部脱いでそこに寝てください。」
といった。
それに従うと、看護婦は私の身体をベルトで手術台に縛り付け、ほかの4人と同じように身動きできないようにしてから続けた。
「申込書によりますと、あなたの陰茎の長さは勃起時で7センチですか。ほとんど子供サイズですね。これなら男性2点去勢は非常に良い選択だと思います。あなたの陰茎は1センチ以上残ることはないでしょう。じゃあ、すぐ始めましょう。」
看護婦は、左手で私の陰茎を持って、尿道に金属のパイプを刺し込んだ。それから大きなペンチを持ってきて、
「これが、今話題の『アメリカン去勢デバイス』。これなら注射を打つのと同じ感覚で、私たちナースでも扱えるから、ドクターは大助かり。」
と言いながら、リング状になった部分で私の陰茎と陰嚢の根元を一緒に挟み込んだ。
「睾丸は二つとも陰嚢に入っているわね。さあ、ここからは、ワン、ツー、スリーよ。」
と言いながら、看護婦は青いボタンを押し、レバーを引いた。そして、赤いボタンを押すと、ジュッという音とともにリングのところから小さな煙が上がった。痛みは全くない。
「はい、終りましたー。」
と言いながら、看護婦は私の陰茎と陰嚢を一緒に上に引き抜いた。尿道に刺さった管だけがあとに残されている。
「5分たったら、電気での止血と縫合が終わります。ちょっと待っててください。」
私の陰茎と陰嚢は、そのままの形でガラス瓶に入れられた。瓶に名前が書かれている。
「じゃあ、デバイスは外します。あっ、特に問題ないですね。傷もきれいに塞がっています。傷の上にバンドエイドを貼ります。服を着てもいいですよ。カテーテルは3時間ぐらいしたら自分で外してください。」
こうして私の2万円去勢は完了した。待合室で会計を済ませると、私のあとにも20人ぐらいの患者がきていた。
その中に、同じ会社で1年後輩の経理課の沢崎くんの姿をみつけた。彼も私に気が付いて言った。
「あれ、先輩、今日はどうしたのですか。」
「いや、ここにある『男性2点去勢』をやってもらったところなんだ。終わって今から帰るところ。」
「そうなんですか。実は私も『男性2点去勢』を申し込んで待っているところなんです。手術はどうでしたか。」
「簡単、簡単。楽勝だったよ。痛みもないし。明日は普通に出勤できるよ。心配ない。」
「そうですか。じゃあ、ボクもしっかり去勢してもらってきます。」
「じゃあ、月曜日に会社でな。でも、トイレで会っても連れションは無理だねえ。」
「あはは、そうですね。まあ、大の方で隣りの個室でよろしくお願いします。」
あさって会ったら、彼の手術の感想を聞いてみよう。きっと、彼もあっと言う間だったと思うが、彼は巨根で有名だから、あの看護婦が何て言ったか楽しみだ。
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投稿:2006.05.27更新:2021.10.21
アメリカン去勢デバイス◆PART3~二万円去勢のクリニック◆改訂版
著者 名誉教授 様 / アクセス 25162 / ♥ 53