世界的な大富豪しか搭乗を許されない、大海原を進む豪華客船。
その底にある船室には、十五人の少年が雑魚寝をしている。
彼らは皆、栄養、健康状態共に問題なかったが、その瞳と挙止には、何故か少年特有の活発さが見受けられなかった。
皆、首輪をしており、最年長は十八歳、最年少は八歳。
そのうち十人が白人で、五人が東洋人。
容姿は皆、並以上だ。
普段は鍵の掛かったドアが出し抜けに開く。中に入ってきたのは、ドーベルマンを伴った屈強な二人の男だ。
彼らは、少年全員に全裸になれと命じた。
そして、彼ら全員の左胸にマジックで番号を振ると、後ろ手に手錠をかけて、ワイヤーロープで番号順に全員の首輪を数珠繋ぎにした。
「さあ、歩け!」
命じられて歩き始めた彼ら全員の股間には、ペニスと睾丸がなかった。
恥毛も処理され、ペニスのあるべき部分には、それぞれ異なる意匠のピアスが施されている。
少年達は、真っ暗な舞台の上に、横一列に並ばされた。
そして、照明が灯り、舞台の幕があがる。
観客が一斉にどよめき、自分達の真後ろを見た少年達の顔色が、さっと変わった。
…そこには、勃起状態にされたペニスが、二つの睾丸の入った袋もろともプラスティネーション加工され、飾り板に取り付けられて壁に掛けてあった。
露茎、包茎。半包茎に割礼済み。
勃った時の太さも長さも、ねじれ具合も向きも異なる十五本のペニスと、大きさも入っている袋のたるみ具合も異なる三十個の睾丸。
少年達は、一目見ただけで、これがほんの一ヵ月前まで自分の股間に付いていて当たり前だと思っていたものだと判った。
毎日見て、触っていたから間違いない。
これで、立ちションやオナニーをしたり、友達と見せあいっこしたり。
自分の股間で、毎日元気いっぱいに誇らしげに、男の子だと主張して、まだまだ育ち盛りで、もっともっと大きく育つと信じていたのに。
一ヵ月前に、麻酔なしで、手足を押さえ付けられて、泣き喚いて嫌がったのに、斬り落とされた事も思い出した。
彼らは、全員、この場所で、かつて自分の股間にあったものと一ヵ月ぶりに再会したのだ。
かつては暖かい血が通って脈打っていたのに、冷たく堅い標本と化し、体から永遠に切り離されてしまった。
自分の将来の夢と未来と希望を目一杯にたっぷり詰め込んで、はち切れんばかりに勃起していた、愛しく大切な男の子の証。
皆、それら全てを永遠に奪われたことを改めて思い知らされ、斬り落とされた時の痛みと屈辱を思い出していた。
ある者はうつ向き、ある者は顔をしかめ、ある者は涙を浮かべる。
小便以外の使い方をついに知る事がなかった八歳の少年は、わんわん泣いていた。
彼の、花の蕾のように愛らしい包茎のペニスと、小さく丸まっちいぷりぷりした二つの睾丸も、標本にされて、ぴこん、と天を向いていた。
「さあ!一番の元少年からです!入札、どうぞ!!」
司会者が、マイク片手に叫ぶ。
金持ち相手に、少年達を売る競り市が始まった。
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投稿:2007.11.30更新:2007.12.14
大尽道楽
著者 真ん中 様 / アクセス 20120 / ♥ 9